犬の食事

【獣医師執筆】犬の腎臓病フード(療法食)とは?療法食の必要性と効果

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腎臓は犬の体内で不要な物質、いわゆる老廃物を尿として体の外に排泄するという、生きていく上でとても重要な役割を果たしています。

しかし病気や年齢を重ねるにつれて腎臓の機能が低下し、一定以上の機能が損なわれると“腎不全”と呼ばれる状態になってしまいます。

腎不全の治療は様々ありますが、腎臓への負担を軽減するための食事療法として腎臓病用の療法食は治療の大きな柱のひとつです。

今回はそんな犬の腎不全の特徴や腎臓病療法食の必要性、どんなフードがあるのか、などについて詳しくお話しします。

この記事の結論

  • 犬の腎臓病は重篤度によって、大きく分けて4つのステージがある
  • 腎臓病療法食とは、腎不全の子のために設計された療法食のこと
  • 腎臓病療法食は主に、低タンパク質&低リンで構成されている
  • 食事療法を始める際には、必ず獣医師の指示の下で判断する

執筆・監修

原 駿太郎

原 駿太朗

獣医師、ペット管理栄養士、ペット用品取扱士

大学卒業後、総合診療に加え夜間救急、整形外科の専門治療、東南アジアでの診察指導などに従事。
現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。

担当執筆者

nademo編集部

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犬の腎不全(腎臓病)とは?

そもそも犬の腎不全とは、腎臓が十分に機能しなくなり、さまざまな症状を引き起こす病気のことです。

腎臓は尿を作ったり、溜まった老廃物や毒素を排出する働きがあるため、十分に機能しなくなれば老廃物や毒素が蓄積されやすくなってしまうのです。

腎不全はその重篤度によって大きく4つのステージに分けられます。

ステージ1~2

ステージ1~2は比較的軽症の段階とされ、下記の症状が見られやすいとして言われています。

  • 水を飲む量やおしっこの量が増える
  • ご飯の食べつきが前と比べて落ちる
  • 吐く頻度やお腹がゆるくなる頻度が増える

ステージ1では、尿検査によって尿比重の低下・蛋白尿などに異常が見られることもあります。

ステージ2では、主に多飲多尿が見られるようになりますが、基本的にはまだ元気に見えることが多いです。

ステージ3~4

ステージ3~4と中等度から重症に進行すると、下記の症状が見られるようになることが多いです。

  • 全くご飯を食べない
  • 嘔吐を頻回に繰り返す
  • ぐったりしている
  • 口臭の異常
  • 痙攣をおこす

ステージ3では、老廃物等の有害物質を排泄できなくなるため、尿毒症を発症し始めます。

ステージ4では、適切な治療を行わなければ、命に関わる危険性のある状態です。

一度、腎不全になってしまうと、今の獣医療では腎機能の劇的な改善は難しいです。

そのため原因に対して適切にアプローチを行うことで、残っている腎機能をなるべく維持させながら体調を安定させることが、治療の中心になっていきます。

こうした治療のひとつの柱が、腎臓病療法食を使った食事療法です。

犬の腎臓病療法食って?

腎臓病療法食は、腎不全の子のために特別に設計されたフードです。

では一体、普通のフードとはどこが違うのでしょうか?

低タンパク質 

腎臓が正常に機能しない犬では、タンパク質の代謝によって生まれる“老廃物”をうまく体の外に排出できなくなり、体にさまざまな不具合を起こしてしまいます。

そのため、腎臓病療法食はタンパク質の割合そのものを制限し、体の中にそういった老廃物がたまりづらくなるように設計されています。

ただ、タンパク質の割合を制限するということは、穀物が中心になりやすいため、食いつきが悪くなることもあります。

低リン

リンは本来、細胞そのものを形作ったり骨や歯を構成する際に、とても重要な栄養素。

しかし腎不全に陥ると、血液中のリン濃度の調節が苦手になり血中に多くリンが含まれている状態になりやすいです。

それが結果としてさらなる腎機能低下を引き起こしてしまうので、腎臓病療法食ではリンの含有量を制限することで、リンの調節が苦手になってしまった体でも腎臓への負担を軽減してくれます。

愛犬の腎臓病療法食はいつから始める?どこで手に入る?

腎臓病療法食は“療法食”と名が付くように治療のためのフード。

そのため、食事療法を始めるのは獣医師から療法食の指示を受けてからにしましょう。

獣医師は検査や診断により腎機能を評価し、腎臓の負担を軽減するために療法食が必要だと判断した時に初めて、飼い主さんに食事の変更を提案します。

ですので腎臓病療法食は原則、動物病院で処方されるものです。

一方で近年ではペットショップなどで売られていることもあり、誰でも簡単に購入することができますが、飼い主様の判断で食事療法を始めると危険があります。

また、「腎機能に配慮した~」といった記載がありますが、食事の区分としては療法食ではなく、あくまで“総合栄養食”といったものもたくさんあります。

健康な子がそれを食べる分には全く問題ありませんが、療法食ではないため腎不全に対して食事療法をされる際はそれらのフードを選ばないよう注意が必要です。

犬の腎臓病療法食の一例をご紹介

現在、市販されている腎臓病療法食をいくつかご紹介します。

動物病院でおすすめされることが多い、いくつかの療法食となっています。

かかりつけの獣医師と相談しながら購入しましょう。

ロイヤルカナン腎臓サポート ドライ

出典 :https://www.amazon.co.jp/

動物病院でおすすめされる機会が多い療法食のひとつ。

下記で紹介しているヒルズ社と合わせて、手に入りやすさの非常に高い商品ではないでしょうか。

このフードは、リンの含有量を制限し、タンパク質や必須脂肪酸の含有量も調整して配合されています。

また、犬が好む香りで食欲を刺激し、腎臓病による食欲低下に配慮しています。

対象年齢1歳以上
内容量3kg
原産国フランス
主原料コーンフラワー
その他原材料米、動物性油脂、超高消化性小麦タンパク、コーン、超高消化性大豆タンパク、植物性繊維、コーングルテン、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、チコリー、魚油(オメガ3系不飽和脂肪酸源)、大豆油、フラクトオリゴ糖、マリーゴールドエキス(ルテイン源)
注意したい原材料なし
安全性の高い添加物サイリウム、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(L-リジン、DL-メチオニン、タウリン、L-トリプトファン)、ゼオライト、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)、ミネラル類(Cl、K、Na、Ca、Mg、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(A、コリン、D3、E、C、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、B6、B1、B2、ビオチン、葉酸、B12)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス)
注意したい添加物保存料(ソルビン酸カリウム)
100gあたりのカロリー398kcal
1日あたりの価格(体重5kgの場合)223円/92g
定期販売-
フード目的療法食
フードの種類ドライ

ヒルズプリスクリプション・ダイエット ドッグフード k/d ケイディー チキン

出典 :https://www.amazon.co.jp/

こちらも動物病院で勧められる機会が多い療法食になるかと思います。

リンやナトリウムなどを調整し、腎臓の健康と食事量の増加をサポート。

腎臓病を患う愛犬の生活向上に対してサポートしてくれる療法食です。

対象年齢1歳以上
内容量3kg
原産国オランダ
主原料
その他原材料動物性油脂、トウモロコシ、全卵、ビートパルプ、エンドウマメ蛋白 、鶏肉エキス、植物性油脂、魚油、亜麻仁、ポークエキス、オート麦、フラクトオリゴ糖
注意したい原材料なし
安全性の高い添加物ミネラル類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、クロライド、マグネシウム、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、ヨウ素、リン、イオウ)、アミノ酸類(スレオニン、タウリン、トリプトファン、メチオニン、リジン)、乳酸、ベタイン、L-カルニチン、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
注意したい添加物なし
100gあたりのカロリー390kcal
1日あたりの価格(体重5kgの場合)220円/93g
定期販売-
フード目的療法食
フードの種類ドライ

ドクターズケアドッグフード キドニーケア

出典 :https://www.amazon.co.jp/

近年、見かけることが多くなったメーカーの療法食です。

リン・タンパク質・ナトリウムの含有量が調整されているほか腎臓の健康維持に配慮して。オメガ3脂肪酸が配合されているのが特徴です。

対象年齢-
内容量1kg
原産国日本
主原料トウモロコシ、おから
その他原材料動物性油脂、米、フィッシュオイルパウダー(EPA・DHA源)、ミートミール、全卵粉末、タピオカスターチ、コーングルテン、チキンレバーパウダー、フラクトオリゴ糖、セレン酵母、グルタチオン酵母、マッシュルーム抽出物(シャンピニオンエキス)、小麦粉、ライスブラン
注意したい原材料ミートミール
安全性の高い添加物ビタミン類(A、D3、E、K3、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、 ビオチン、B12、コリン)、ミネラル類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、塩素、鉄アミノ酸複合体、鉄、コバルト、銅アミノ酸複合体、銅、マンガンアミノ酸複合体、マンガン、亜鉛アミノ酸複合体、亜鉛、ヨウ素)、アミノ酸類(タウリン)、酸化防止剤(ローズマリー抽出物、ミックストコフェロール)
注意したい添加物なし
100gあたりのカロリー406kcal
1日あたりの価格(体重5kgの場合)297円/104g
定期販売-
フード目的療法食
フードの種類ドライ

アニモンダインテグラプロテクト ドライフード 腎臓ケア

出典 :https://www.amazon.co.jp/

個人的な経験に基づいたイメージですが、療法食の中でも食いつきがよかった印象があります。

こちらの療法食はリンやタンパク質の制限はもちろん、グルテンフリーになっていることも特徴のひとつです。

対象年齢-
内容量4kg
原産国ドイツ
主原料ライス、 コーン
その他原材料鳥タンパク(乾燥)、 鳥脂肪、 牛脂、 ビートパルプ、 加水分解鳥タンパク、 鳥レバー、 サーモンオイル、 亜麻仁、 卵(乾燥)、 フラクトオリゴ糖、 イースト、 ユッカシジゲラ
注意したい原材料なし
安全性の高い添加物炭酸カルシウム、塩化カリウム、ユッカシジゲラ、ミネラル類、ビタミン類
注意したい添加物なし
100gあたりのカロリー416kcal
1日あたりの価格(体重5kgの場合)175円/75g
定期販売-
フード目的療法食
フードの種類ドライ

ナチュラルハーベストセラピューティックフォーミュラ キドニア

出典 :https://www.amazon.co.jp/

腎臓の健康に配慮し、タンパク質・リン・ナトリウムを控えながらも、健康な腎臓機能をサポートするために、機能性食材である豚腎臓やEPA豊富な魚油などを配合しています。

対象年齢全年齢
内容量1.36kg
原産国アメリカ
主原料精製白米
その他原材料α化米、全粒大豆(グリシニン源)、グルコース、鶏卵、豚腎臓、ビートファイバー、菜種油、亜麻仁、加水分解チキンエキス、ニシンミール、フラクトオリゴ糖、塩化カリウム、オリーブオイル、トルラ酵母、魚油、加水分解酵母、プロバイオティクス(アシドフィルス菌、カゼイ菌、プランタルム菌、フェシウム菌)
注意したい原材料なし
安全性の高い添加物硫酸カルシウム、ゼオライト、塩化カリウム、オリーブオイル、DLメチオニン、塩化コリン、ビタミンC、プロバイオティクス、ユッカ抽出物、β-カロテン、キレート亜鉛、ビタミンE、ローズマリー、タウリン、キレート鉄、ナイアシン、キチンキトサン、パパイヤ乾燥末、キレート銅、ビタミンA、キレートマンガン、硝酸チアミン、クエン酸、パントテン酸カルシウム、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンD3、ヨウ素、葉酸、セレン酸ナトリウム、ヨウ化カルシウム、ローズマリー抽出物
注意したい添加物なし
100gあたりのカロリー339kcal
1日あたりの価格(体重5kgの場合)234円/85g
定期販売-
フード目的療法食
フードの種類ドライ

さいごに

腎不全の子にとって、治療の重要な柱である食事療法に使われる腎臓病療法食。

必要なときには適切に選択して与える必要があるものの、あくまで個人の判断で始めるものではありません。

腎臓への負担を軽減し、腎不全になってしまった愛犬の健康を保つサポートするためにかかりつけの獣医さんとよく相談して、適切な腎臓病療法食を選んであげましょう。

この記事の執筆者・監修者

執筆・監修者の情報

原 駿太郎

原 駿太郎

獣医師、ペット管理栄養士、ペット用品取扱士

大学卒業後、総合診療に加え夜間救急、整形外科の専門治療、東南アジアでの診察指導などに従事。
現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。

執筆者情報

nademo編集部

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