犬の病気・健康

犬の鼻詰まりの原因とは?鼻詰まりを見極める症状や考えられる病気

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人間よりも優れた嗅覚を持つ犬にとって、鼻詰まりは呼吸がしにくい、ニオイを感じ取りにくいといった理由から大きな不快感をともないます。

犬の鼻詰まりは、一過性のものから治療が必要となる病気まで原因はさまざま。

本記事では愛犬の鼻詰まりに悩んでいる人へ向けて、原因や関連する病気、病院へ連れて行くべき症状の目安などをご紹介していきます。

原因や対処法を知り、鼻詰まりの改善に役立てましょう。

この記事の結論

  • 犬の鼻詰まりの原因は、「生理現象」「アレルギー」「病気」の3つに分かれる
  • 鼻詰まりが長引くと、目や耳、口などほかの気管に悪影響を及ぼすこともあるので、早期の治療が大切
  • 不衛生で乾燥した環境は鼻詰まりが起こりやすいため、定期的な掃除と湿度を保つことが予防につながる
  • 鼻先が短い短頭種は、生まれつき複雑な鼻の構造をしているため鼻詰まりになるリスクが高い

眞壁 亜実

担当執筆者

眞壁 亜実

ライター

動物に携わる職を目指し、飼育について学ぶ専門学校へ入学。
牛の魅力にハマり、卒業後は酪農スタッフとして牧場で乳牛と過ごし、居住地が変わることをきっかけに、動物看護士に転職。
現在はこれまでのペットに関する経験を活かしながらライターとして活動中。

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犬の鼻詰まりの危険性

鼻詰まりと聞くと一時的な症状に感じるかもしれませんが、程度によっては放っておくと全身の体調不良へとつながることもあるので甘くみてはいけません。

重度の鼻詰まりでは、鼻腔が完全に塞がって鼻呼吸ができなくなったり、鼻で発生した炎症が目や喉に拡がって重症化したりすることも。

病気が鼻詰まりの原因ではなかったとしても、長引かせると別の不調を併発する危険性があるのです。

犬は人間のように鼻をかんだり容易に吸引したりすることができないので、その不快感は大きなストレスとなってしまいます。

犬の鼻詰まりは原因を特定して速やかに対処し、悪化させないようにすることが大切です。

犬の鼻詰まりの原因

犬の鼻詰まりは、「生理現象」「アレルギー」「病気」の3つに原因が分かれます。

病気に限らず起こり得ることから、とっても身近な症状だといえます。

まずはどの原因に当てはまるのか、犬の症状や状況を頼りに見極めていくことが肝心です。

鼻詰まりを引き起こす各原因の特徴について知っていきましょう。

生理現象

体の自然な反応として、生理的に鼻水が発生することがあります。

生理現象として鼻詰まりが起こる状況は、寒い環境で過ごす、刺激の強いニオイを嗅ぐ、鼻に異物が入るなどが挙げられます。

透明でさらさらとした鼻水がみられることが一般的で、時間が経てば治まることが多いため、様子をみても問題ないケースがほとんどです。

アレルギー

花粉やハウスダストなどに対するアレルギー反応のひとつに鼻詰まりが挙げられます。

アレルギー物質を外に追い出そうとする働きから鼻水が増加し、悪化すると鼻詰まりにつながってしまいます。

犬も私たちと同じように花粉症になることがあるなんて意外に感じますよね。

アレルギーが軽度であればさらさらの鼻水が出る程度にとどまりますが、慢性化すると鼻が詰まってしまう可能性が高いです。

散歩に行くとひどくなる、春や秋に症状が目立つ、掃除をするとくしゃみや鼻水が出るという場合はアレルギーが原因になっている可能性もあります。

病気

鼻詰まりで考えられる病気は複数あり、時間と共に症状が進んで辛くなってしまうので、早めに気が付いてあげたいです。

病気が原因となると、鼻水の状態は黄色や緑色でドロリとしていることが多いです。

鼻は目や口などほかの器官とつながっているので、発症している病気によっては、鼻症状に限らず咳や目やにが気になることもあります。

症状が軽いうちはいきなり病気と判断するのは難しいですが、食欲や元気など総合的に犬の体調をよく観察し、病院へ連れて行きましょう。

犬の鼻詰まりで考えられる病気

鼻詰まりを症状とする犬の代表的な病気は、以下の5種類が考えられます。

鼻詰まりの症状

  • 鼻腔狭窄
  • 副鼻腔炎
  • 歯周病
  • ケンネルコフ
  • 鼻腔内腫瘍

鼻腔狭窄

鼻腔狭窄(びくうきょうさく)とは鼻の中が狭くなり、呼吸がしにくい状態を指します。

鼻構造が複雑な短頭種に先天的にみられるケースが多く、呼吸のたびに「ブーブー」と音が鳴ったり、興奮や暑さで体温が上がると酸欠になりやすかったりするのが特徴です。

また、細菌やウイルスへの感染、アレルギーなどを理由に、鼻腔粘膜に炎症が起こることで腫れが発生し、狭くなってしまう場合もあります。

常時鼻が詰まっている状態なので、体温調整がしにくく呼吸困難になるリスクが高いです。

生まれつきの場合は鼻腔を拡げる外科手術を行うのが一般的ですが、程度によっては肥満に気を付けながら上手く付き合っていく事例も多いです。

副鼻腔炎

副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは、鼻の奥にある副鼻腔という部分に炎症が起こる病気です。

主な症状はくしゃみやドロッとした粘着性のある鼻水で、一般的には鼻炎の長引きによる慢性化が原因で副鼻腔炎を発症します。

投薬など内科的治療が選択されますが、進行すると膿がたまる蓄膿症となり、鼻の中に管を通して洗浄したり、切開して膿を取り除いたりするような治療が必要になることも。

鼻炎の段階でしっかりと治療することが大切なので、くしゃみや鼻水がみられたら早めに受診しましょう。

歯周病

成犬にみられることが多い歯周病は、歯周辺の組織に炎症が起きて膿がたまってしまう口腔内の病気です。

歯の病気ということで鼻詰まりと関係がないように感じますが、歯周病は悪化すると炎症や膿が鼻にまでおよび、くしゃみや鼻水などの症状を引き起こします。

歯周病は鼻に炎症や膿が拡がるだけでなく、歯が抜け落ちたり頬に穴が開いてしまったりするリスクがあるため、早期の発見と治療が求められます。

普段から歯磨きなどを行なって口内のケアをし、歯周病の初期症状である歯肉の腫れや赤みがないかチェックすることが大切です。

ケンネルコフ

ケンネルコフとは「伝染性気管支炎」とも呼ばれる、伝染性呼吸器疾患の総称を指す病気です。

体の免疫が弱い生後6か月齢以下の子犬に多くみられ、ウイルスや細菌に感染することで発症します。

呼吸器の疾患なので主な症状は激しい咳ですが、鼻水やくしゃみがみられることもあります。

二次感染を起こすと重症化しやすく、肺炎や気管支炎を発症するリスクがあるため注意が必要です。

非常に感染力が強く、主にペットショップなどたくさんの犬が集まる場所で流行します。

ワクチン接種で予防ができるため、適切な時期に欠かさず接種することが推奨されています。

鼻腔内腫瘍

鼻腔内腫瘍(びくうないしゅよう)とは、鼻の中に腫瘍ができる病気です。

鼻水が増加したり鼻血が出たり、鼻腔を塞いで鼻詰まりになったりします。

腫瘍が大きくなると鼻腔内が圧迫されて呼吸がしにくくなるので、いびきや呼吸音が気になることも。

鼻炎と症状が似ていることから診断が遅れやすく、気が付いたときにはかなり進行していたというケースも珍しくありません。

鼻腔内腫瘍は悪性であることがほとんどで、治療は腫瘍の切除や放射線療法、抗がん剤の投与が選択されます。

犬の鼻詰まりを確認する方法

鼻呼吸ができているかどうかを目視ではっきりと確認するには、鼻先にティッシュペーパーを近付けてみましょう。

ティッシュペーパーが鼻息で揺れなければ、鼻が詰まっている可能性が高いといえます。

ほかにも、手のひらを当てて鼻息を確認する方法も分かりやすいです。

一定のリズムで犬の鼻息を感じられなければ、鼻詰まりを疑いましょう。

犬の鼻詰まりで病院へ行くべき症状

鼻詰まりは生理現象が原因のケースもあるため、病院へ連れて行くべきか判断が難しいこともあります。

病院へ行く目安として、以下のような症状が続く場合は迷わず受診しましょう。

注意したいの症状

  • 呼吸が荒い
  • 口呼吸をしている
  • くしゃみ、鼻水
  • いびきをかいている

呼吸が荒く、口呼吸をしきりにしている様子がある場合は、鼻詰まりで呼吸困難を起こしているサインです。

酸欠状態になると命にかかわるので、いつもと違う呼吸の様子があればすぐに受診してください。

くしゃみや鼻水は生理的な反応で起こることもありますが、長引く場合は鼻炎を発症している可能性が考えられます。

普段はしないいびきをかいていたり、いびきの音がいつもより大きかったりするときも、鼻詰まりを疑って病院へ連れて行きましょう。

犬の鼻詰まりの予防法

犬にとって非常に辛い鼻詰まりは、できる限り発症しないように気を付けてあげたいですよね。

普段から実践できる予防方法はあるのでしょうか。犬の鼻詰まりの予防法についてご説明していきます。

病気を予防することはできない

前述でご紹介したように、鼻詰まりに関連する病気はいくつかありますが、すべての病気を完全に予防することは難しいです。

健康を維持するには毎日の食事や運動で免疫を高めておくことが求められますが、やはり年齢を重ねるごとに体の抵抗力は弱っていきます。

年齢に限らずストレスやホルモンバランスの変化などによって一時的に免疫が弱まることもあり、こうしたタイミングで病気を発症するリスクが高まります。

愛犬の体の健康を100%管理するのは不可能なので、体調の変化にすぐに気が付いてあげられるように努めましょう。

スキンシップを通して体の健康チェックを行い、病気の早期発見・治療につなげることが大切です。

部屋を清潔に保つ

部屋を清潔に保つことで、花粉やハウスダストを原因とした鼻詰まりの症状を抑えることが可能です。

掃除を怠るとホコリや抜け毛から雑菌が繁殖し、犬が体調不良を引き起こす恐れがあります。

不衛生な環境でのお世話はなにかと体調のトラブルが多くなるため、定期的な掃除と換気で清潔な状態を保つよう心掛けましょう。

湿度を上げる

乾燥した空気よりも、湿度が高い環境のほうが鼻が通りやすくなることが知られています。

鼻が詰まっているときにホットタオルを当てると鼻の通りが良くなった、という経験をしている人は多いはずです。

犬でも同じことが当てはまり、鼻詰まりには湿度を上げることが効果的です。

愛犬の鼻詰まりが気になるときは、加湿器を使って湿度を上昇させてみましょう。

鼻詰まりになりやすい犬種

鼻先が短い短頭種と呼ばれる以下の犬種は、特に鼻詰まりになりやすいといわれています。

ぺちゃっとした鼻が特徴の短頭種は、鼻の穴が狭く、空気が通る鼻腔内の構造が複雑な傾向にあります。

そのため鼻水が外に排出されにくく、中に溜まった鼻水が固まって鼻詰まりが発生しやすいのです。

呼吸困難につながるほど鼻の穴が狭い場合は、鼻腔を拡げる外科手術が行われることも。

病気やアレルギーを原因とする鼻詰まりはどの犬種でも起こり起こる可能性がありますが、短頭種は特に鼻のトラブルに注意が必要です。

この記事の執筆者

眞壁 亜実

執筆者情報

眞壁 亜実

ライター

動物が大好きな子育て中の主婦です。
動物に携わる職を目指し、飼育について学ぶ専門学校へ入学。
牛の魅力にハマり、卒業後は酪農スタッフとして牧場で乳牛と過ごし、居住地が変わることをきっかけに、人とペットを繋ぐ仕事がしてみたいと思い動物看護士に転職。
現在はこれまでのペットに関する経験を活かしながらライターとして活動中。

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