気になる愛犬のくしゃみ。ある日突然、止まらなくなったり、慢性的に続いたりしていると、飼い主さんとしては心配になってしまうでしょう。
犬がくしゃみをするのには理由があり、生理現象なら問題ありませんが、病気やストレスの可能性もあるため、決して軽視してはいけません。
さらに、意外な病気の場合や、犬独自の「逆くしゃみ」もあるため、本記事ではくしゃみに関する原因からくしゃみを止めるための対処法まで詳しく解説します。
この記事の結論
- 犬のくしゃみの原因として考えられるのは大きく分けると5つある
- 生理現象によるくしゃみは心配がないものの、アレルギーや病気の場合は注意が必要
- くしゃみとは違った逆くしゃみというものもあり、鼻が鳴る症状のことを指す
- くしゃみが一時的なら様子見、異変があったり続くような病院へ
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目次
犬のくしゃみの原因とは
犬がくしゃみをするのには原因があり、基本的に次の5つのいずれかに該当します。
- 異物による刺激
- ニオイによる刺激
- アレルギー
- 病気
- カーミングシグナル
くしゃみの原因になるものには、生理的な現象であるものと、治療を要するものなどがあります。
生理的な現象であれば様子見で問題ないものの、心配な場合には動物病院を受診して良いでしょう。
異物による刺激
犬には情報収集をしようとニオイを嗅ぐ習性があるため、犬のくしゃみで多く考えられるのは、ホコリや砂などの異物が鼻に入った場合です。
もし、ホコリっぽい場所やお散歩での愛犬の行動に思い当たる節があれば、きっかけは分かりやすいでしょう。
特に、「チワワ、パグ、フレンチ・ブルドッグ」などの鼻ぺちゃの短頭種は、飲食によっても異物が鼻に入りやすいため注意が必要です。
異物が鼻に入ると刺激を受けると反射的に排出しようとして、くしゃみが出ます。しかし、犬は人間のように鼻をかむことや異変を訴えることはできません。
もし鼻腔内異物がある状態で長期間放置すると、呼吸困難になったり鼻腔内に肉芽組織が形成されてしまったりと、重症に陥るケースもあります。
くしゃみが長く続いたり呼吸に異変を伴ったりする場合は、速やかに動物病院へ連れて行って処置をしてあげましょう。
ニオイによる刺激
犬の嗅覚は人間の3,000~1億倍とも言われており、ニオイにはとても敏感で、苦手なニオイに刺激を受けてくしゃみをすることがあります。
飼い主さんが好きな香りであっても、犬にとっては次のようなニオイが刺激臭となる可能性があることを知っておきましょう。
- お酢
- 柑橘類
- 香りの強い野菜
- ハーブ類
- 香辛料
- 香水
つまり、庭の植栽やお部屋で栽培している植物、部屋の芳香剤、飼い主さんの洋服の洗剤や柔軟剤などがくしゃみの原因になっているかもしれません。
もし思い当たる環境があれば、愛犬のためにもすぐに原因のニオイを解消してあげてください。ただし、くしゃみが止まらない場合は別の要因も考えられます。
くしゃみが続くと体力も消費するうえ、危険なケースも考えられるため、早期に動物病院を頼ることが最良です。
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アレルギー
人間と同じように、犬もアレルギー体質の場合があり、次のような要因からくしゃみが出る場合があります。
- ハウスダスト
- ノミ・ダニ
- カビ
- 花粉
アレルギーが原因の場合は鼻水や皮膚炎を伴うケースが多いため、耳や体を痒みで引っ掻いていないかなど、他の症状にも注目しましょう。
なお、気付きにくいのが季節の変わり目などに起こる寒暖差アレルギーです。
犬は朝晩の冷え込みなど、温度変化によってくしゃみが出る場合もあります。
このようなアレルギーが原因の場合、次の3つの対策とともに動物病院で治療と相談を行ってください。
対策方法
- 室内のほか、ケージやベッドやトイレなど、生活環境を清潔に保つ
- 春・秋の花粉の季節は、お散歩コースや時間帯を見直す
- 栄養バランスの取れた食事を摂取して、免疫力を高める
病気
愛犬のくしゃみが止まらずに慢性化している場合は、ウイルスや細菌などが原因で病気を患っている可能性があるため、気を付けなければなりません。
実は、犬猫などのペットと人間の病気や種類は人間とよく似ていて、風邪もひけば鼻炎にもなります。
あまり知られていませんが、犬猫や人間「歯周病」が原因で、くしゃみが出ることをご存知でしょうか。
くしゃみが症状となるこれらの病気については後述していますので、今後の愛犬のためにもぜひ知識を学んでおきましょう。
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カーミングシグナル
犬のくしゃみは、あくびや尻尾を振るようなカーミングシグナルの行為のひとつでもあります。
カーミングシグナルとは感情に応じて、突発的に犬が示す行動のことをいい、次のような心情の場合に見受けられます。
カーミングシグナル
- ストレスや不安や恐怖を感じているとき
- 嫌なことや威嚇から逃げたいとき
- 自分自身や相手を落ち着かせたいとき
- 相手に安心感を与えたいとき
- 嬉しい時や興奮しているとき
ぜひ、愛犬の気持ちを察しながら、くしゃみをするときの表情や行動をよく観察して、コミュニケーションを図ってあげましょう。
犬の逆くしゃみとは
くしゃみには逆くしゃみという種類もあるため、次の順序で詳しく解説します。
- 逆くしゃみの原因
- 逆くしゃみを起こしやすい犬種
- 逆くしゃみは問題ないことが多い
くしゃみと似ていますが、実際にはくしゃみとは異なるものです。
逆くしゃみの原因
逆くしゃみとは発作性呼吸とも呼ばれ、一時期的に「ブーブー」「フガフガ」と鼻が鳴る症状のことをいいます。
くしゃみが鼻と口から一気に息を出すのに対して、逆くしゃみは鼻から急激に息を吸ったり出したりしている状態です。
一見過呼吸のようにも見えるため、口でも呼吸をしているかチェックし見分けるようにしましょう。
詳しい原因は明らかにされていませんが、乾燥や外気との急激な温度変化の多い冬場に多くみられ、夏場のエアコンによる乾燥でも引き起こされることがあるため、温度や湿度管理が大切です。
喉の奥にある鼻咽頭尾端部という部分の粘膜に刺激が加わることで引き起こされ、横隔膜の痙攣でしゃっくりが出るメカニズムとよく似ています。
逆くしゃみを起こしやすい犬種
逆くしゃみは小型犬のうち、特に次のような鼻の短い短頭種が起こしやすいと言われています。
しかし、トイ・プードルやポメラニアンやパピヨンなどの小型犬や、大型犬でもボクサーなどの短頭種など、逆くしゃみはあらゆる犬種に起こり得ます。
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逆くしゃみは問題ないことが多い
逆くしゃみは10秒から1分程度で治まることが多く、しばらく経って何事もなかったかのように過ごしているなら問題なく、特に心配する必要はありません。
苦しそうな様子に見えるため、心配な飼い主さんもいらっしゃると思いますが、まずは落ち着かせてあげることが大切です。
次のような方法で症状がおさまることがあります。
対処法
- 鼻先に軽く息を吹きかける。
- 口を塞がないように注意して、鼻の穴を指で押さえて口呼吸を促し、口が開いたら指を離す。
- 喉や胸元をやさしく撫でてツバを飲ませる。
しかし、軟口蓋の炎症により気道が塞がれることが原因で逆くしゃみを引き起こすほか、鼻の中にできた腫瘍などが原因となっている場合には治療が必要になることもあります。
頻繫に逆くしゃみを繰り返したり、出血性の鼻水が出ている場合には動物病院を受診しましょう。
犬のくしゃみから考えられる病気
愛犬が次のような病気を患っている場合、くしゃみを引き起こすケースがあります。
- ケンネルコフ
- 犬ジステンパーウイルス感染症
- 鼻炎
- 鼻腔内腫瘍
- 歯周病
これらの病気の初期症状としてくしゃみが見られることもありますので、くしゃみだからといって安易に判断するのもよくありません。
併発している症状がないか、後述の病院へ連れて行く判断基準と合わせて確認してみましょう。
ケンネルコフ
ケンネルコフとは犬伝染性気管支炎とも呼ばれ、人間でいうインフルエンザのような感染力の強い風邪のことです。
運動時や興奮した時に発熱・咳などの症状が出るほか、膿を含んだ鼻汁や嘔吐などの症状がみられます。
成犬で合併症のない場合は、十分な栄養を摂り、安静にしていれば自然治癒します。
しかし、免疫力の低い子犬や、環境の変化や温度差によるストレスなどから抵抗力が低い場合、重症化しやすいため注意が必要です。
また、ウイルス感染と細菌感染の混合感染により引き起こされ、原因となる病原体が多いため混合ワクチンなどで完全に予防するのは困難だと言われています。
症状がみられたら早めに動物病院を受診し、他の犬のくしゃみや咳による鼻水や唾液などから飛沫感染する傾向があります。
特に多頭飼育などの犬同士の接触は、完治するまではできるだけ避けるようにしましょう。
犬ジステンパーウイルス感染症
さらに、似たようなくしゃみを伴う風邪の症状でも、犬ジステンバーウイルス感染症という病気に感染している場合は、命に危険をもたらす可能性があります。
くしゃみのほか、発熱、鼻水や咳、嘔吐・下痢、麻痺などの神経症状がみられます。
有効な治療法はなく、点滴や抗生剤などの投与で症状を軽減するといった処置になります。
危険な病気ではありますが、混合ワクチンの接種により予防することが可能な病気のため、定期的なワクチン接種を受けましょう。
鼻炎
鼻腔内の粘膜に炎症が起こることを鼻炎といい、鼻炎の原因には次のような種類があります。
感染症による鼻炎 | 細菌・ウイルス・カビなどの感染症によるもの。 |
アレルギー性鼻炎 | ハウスダストや花粉やダニなどのアレルギーに起因するもの。 |
疾患による鼻炎 | 鼻腔内の腫瘍・歯の根元に炎症が起こる歯根膿瘍・上顎に穴が開いて鼻と口が繋がっている口蓋裂(こうがいれつ)など。 |
いずれの鼻炎もくしゃみや鼻水を引き起こし、悪化すると鼻づまりや粘液性の膿のような鼻汁や鼻血が出る場合もあり、鼻で息をしにくくなると口呼吸をし始めます。
鼻炎は原因の解明によって症状が軽いうちに治療することで回復しますが、慢性的になると肺や心臓にも負担がかかるため、動物病院を頼ることがおすすめです。
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鼻腔内腫瘍
鼻の中に腫瘍ができる鼻腔内腫瘍では、くしゃみやいびき、鼻詰まり、鼻汁や鼻血といった症状が起こり、腫瘍が大きくなると鼻や目などの変形が起こります。
鼻腔内腫瘍にかかりやすい犬種や特徴は次のとおりです。
- コリーやシェットランド・シープドッグなどの鼻の長い犬種
- 小型犬よりも中型犬から大型犬
- 年齢では中年期や高年期
腫瘍の切除や放射線療法、抗がん剤などの化学療法によって治療を行いますが、鼻腔内腫瘍では悪性の鼻腺癌が多く、完治するのは難しいとも言われています。
予防方法はなく、鼻腔内腫瘍への最善の対策は定期的な健康診断による早期発見と早期治療といえるでしょう。
歯周病
犬のくしゃみの原因は歯周病にあることが多くあり、歯周病は放置しておくと鼻や顎の骨が溶けてしまう危険な病気です。
世界小動物獣医学会の学術書によると、2歳までのうち、約8割もの犬が歯周病を患っていることが公表されているため、とても身近な問題といえるでしょう。
歯垢から歯石になるスピードは人間より早い
歯周病の原因は歯垢や歯石に含まれる細菌で、初期は歯肉炎ですが、悪化すると歯根膜や歯槽骨などの歯周組織が破壊される歯周炎へと進行します。
歯垢が歯石になるまで人間が約25日かかるのに対して、犬は3~5日と5倍以上の速度で歯石になりやすく、歯石になるとご家庭では除去できません。
口臭や歯茎の腫れや出血などの症状から始まり、放置しておくと歯のぐらつきや食欲不振、最終的には顔に変形が生じ、蓄積した膿が頬や下顎から出てきます。
菌の溜まりやすい歯周ポケットのお掃除にはデンタルケアが必要なため、くしゃみへの対策のひとつとしても、日頃の歯磨きの習慣を大切にしてください。
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犬のくしゃみが止まらないときの対処法
犬のくしゃみが止まらないときの対処法として、重要なポイントは次の2つです。
- 一時的なものなら問題なし
- 異変のあるくしゃみは動物病院へ
生理的な現象のくしゃみは一時的なものも多く、瞬間的にくしゃみが出てしまうことは犬の場合にもあります。
しかし、これが一時的でない場合には判断を変える必要が出てくるため、いつからどれくらいの頻度でくしゃみをしているのか、メモしておくと良いでしょう。
一時的なものなら問題なし
犬は生理現象としてくしゃみをするため、他の症状が見受けられず、一時的なものなら心配する必要はないと思って良いでしょう。
最初ばかりは驚くこともあるかもしれませんが、くしゃみしていることがわかったらきちんと観察することも忘れずに。
特に短頭種や逆くしゃみをする場合は、特性のひとつとして理解して、飼い主さんが慌てないようにやさしく対処してあげてください。
異変のあるくしゃみは動物病院へ
愛犬のくしゃみが慢性的な場合や、他の症状が見受けられるなど、次の場合はすぐに動物病院へ連れて行って診察をしてもらいましょう。
注意が必要な症状
- くしゃみが連続している、何日も続いている
- 食欲が落ちている
- 下痢や嘔吐がある
- 元気がない
- 大量の鼻水が出ている
- 鼻血が出ている
- 鼻水に粘り気がある
くしゃみは予期せぬことが原因の場合も多く、きちんと原因追求をして適切に対処すれば、改善することが可能です。
そのためには、正しい知識と経験豊富な獣医師へ診察してもらい、アドバイスをしてもらってください。
犬がわざとくしゃみをすることもある?
嬉しい時や興奮している時をはじめ、犬がカーミングシグナルとして、わざとくしゃみをするケースは多く見受けられます。
わざとくしゃみをする場合、ある程度の行動パターンがあり、愛犬から飼い主さんへと何かしらのサインを送っているようです。
犬のくしゃみは喜怒哀楽の感情を確認できる貴重な目安でもあるため、何を伝えたいのか、飼い主さんならではの視点でぜひ解読してあげてくださいね。
この記事の執筆者
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