普段の生活で愛猫の様子を見ていると「あれ?よく水を飲んでるな」と感じたことはありませんか?
水を飲むことはとても重要ですが、飲みすぎるということは何か重大な病気のサインが隠れている場合があります。
この記事では猫が水を飲みすぎる原因と多飲多尿をする理由、自宅での判断方法を解説します。
愛猫の健康管理にぜひ役立てて、健康な毎日を送れるようにしてあげましょう。
この記事の結論
- 猫の正常な飲水量は体重1kgあたり50mlでありそれ以上は病気の可能性が考えられる
- 猫の正常な一日の尿量は体重1kgあたり20~30mlでありそれ以上は多尿の可能性
- 正しい飲水量と尿量の測定方法を知っておくことが大事
- 日常的に愛猫の飲水量と尿量を把握しておき異常があればすぐに病院へ行こう
ライター/愛玩動物飼養管理士2級、猫検定 初級・中級/ペット看護師/動物介護士
プレゼント企画やお友だち限定企画も用意してありますので、友だち追加お待ちしております!
目次
猫も水分補給は大切
猫の祖先は中等の砂漠地域に生息していたため、元から水をあまり飲まない性質があります。
そんな地域でも生活できるように、少ない飲水量でも生きていける体の仕組みをしているのです。
しかし、適度な水分摂取は猫の健康を保つために重要であり、尿路の健康維持や体温調節、代謝にも役立ちます。
水分不足は腎臓疾患や尿路結石などさまざまなリスクを増加させる可能性があるので、適切な水分量を飼い主さんが把握して猫の健康をサポートしてあげましょう。
猫の一日の目安となる飲水量
猫が一日に必要とする水分量は、体重1kgあたりで大体50ml程で、犬の場合は100ml程です。そのため、犬に比べると約半分しか飲みません。
その日の気温などの状況によって1日に飲む量は変わってきますが、多くても1kgあたり60mlを超えたら異常と判断してもよいでしょう。
例えば体重が5kgの猫の場合、1日の水分量は250ml(50ml×5kg)ですので、300m(60ml×5kg)を超えると多すぎる水分摂取となります。
愛猫の飲水量は確認しつつ、必要以上に水をたくさん飲むようになった場合は何らかの疾患にかかっている可能性があります。
飲まないよりは飲む方が安心
猫が水を飲まないよりも飲むほうが安心な理由は、水分摂取は猫の潜在的な病気や健康問題を予防するために欠かせないからです。
多くの病気は水分摂取の不足や低下が原因で発症する可能性があります。
特に慢性腎不全や糖尿病などは水分が過剰に排泄され、脱水になりやすいので適切な水分摂取を確保してあげましょう。
猫が水を飲み過ぎる原因
猫は水を飲まないよりも飲むほうが安心ですが、飲みすぎてもいけません。
通常よりも水を多く摂取することは、病気や健康上の問題のサインとなる場合があります。
したがって、愛猫の水分量や行動に注意を払い、異常があれば早めに対処することが必要です。
以下では、猫が水を飲みすぎる可能性のあるいくつかの要因について解説します。
脱水状態からの多飲
猫が水を飲みすぎる原因のひとつとして脱水状態があります。
猫は本来、水分を摂るのが得意ではないのですが、体が水分不足に陥ると必死に水を摂ろうとします。
しかし、その過剰な水分摂取はさらなる健康問題を引き起こす可能性があるので、猫が脱水状態にならない対策を事前にしておきましょう。
脱水状態を防ぐ方法としては、愛猫が水を飲める環境をいつも用意しておくことです。
水が汚れていると飲まないことがありますのでいつでも新鮮な水を常に飲めるようにし、置き場所も愛猫が飲みやすい場所に配置することも重要です。
どんな場所でなら飲みやすいのかよく観察してあげてくださいね。
あわせて読みたい
運動後の多飲
猫が運動後に水をたくさん飲むことは、一般的には体内の水分バランスを保つための正常な反応です。
運動をすると人間は体温が上昇しそれを冷やすために汗をかきますが、猫は人間のように大量に汗をかくことはできません。
代わりに呼吸を通じて水分を失い体温を下げますが、運動後に水を飲むことで失った水分を補い、体温を調節し、体の各器官の機能を維持します。
運動後の猫が異常に多飲する場合には、その運動量と飲水量を記録しておきましょう。
通常の運動後の飲水量と比較して明らかに多い場合は、獣医師に相談してみることをおすすめします。
あわせて読みたい
季節変化による多飲
夏の暑い日には体温調節のために飲水量が多くなり、冬になると自然と飲む量を減らします。
冬に気をつけたいのが、乾燥した室内環境や暖房器具の使用により脱水症状が起こる可能性です。
冬は暖房器具などで乾燥するために水を多く飲む子もいます。
こうした季節による水分量の変化を把握しておくことで、脱水症状を防ぎ、いつもと違う飲水量にも気づくことができるようになります。
ぜひ、飼い主さんは愛猫のために覚えておいてくださいね。
あわせて読みたい
食事の変更による多飲
もし愛猫が水を飲みすぎるようになったら、その原因のひとつとして食事の変更が考えられます。
ウェットフードからドライフードに変えた場合、ウェットフードには水分が多く含まれていますが、ドライフードは水分が少ないため、猫は必要な水分を食事から摂取できません。
そのため、猫は自然と水を多く飲むようになります。
食事の変更に伴う多飲は通常一時的なものであり、新しい食事に慣れてくると水分摂取量も安定します。
しかし、多飲が続く場合は他の健康問題が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
また、特定の食材や添加物に対するアレルギーや食事の変更に伴うストレスも考えられます。
猫の飲水量とともに食事の内容や猫の行動を注意深く観察し、必要に応じて獣医師に相談しましょう。
服薬による多飲
猫が水をたくさん飲む理由のひとつに薬の影響も考えられます。
例えば、利尿剤やステロイドなどの薬は体内の水分バランスを調整する働きがあり、体内の水分を尿として排出させます。
すると猫は失われた水分を補うために、多くの水を飲むようになるのです。
短期間投与では必ず見られる副作用ですが、これらの副作用は薬の投与を辞めれば消失するため心配はありません。
服薬による多飲が気になる場合には、処方された薬について獣医師に相談してみましょう。
ストレスによる多飲
猫がストレスを感じると、自律神経が乱れ、水を多く飲むことがあります。
例えば引っ越しや新しい家族の登場、大きな音などがストレスの原因となり、このような環境の変化や飼い主の不在が続くと猫は不安や緊張から過剰に水を飲むことがあります。
多飲がストレスによるものなのかを判断するためには、環境の変化や生活パターンを見直してみましょう。
多飲に加えて食欲の低下やトイレの使用頻度などの変化が見られたら、獣医師にストレスを軽減するための方法を相談してみましょう。
愛猫が安心して過ごせる環境を整えることで、多飲の症状の改善が期待できます。
あわせて読みたい
猫が水を飲み過ぎているときに考えられる病気
猫が水を飲みすぎているなと感じるときは病気が隠れている可能性があります。
多飲の症状がみられる病気を5つ挙げるので事前に疾患を理解し対処法を知っておきましょう。
早期に発見し適切な治療をはじめることで、猫の健康と幸福を守ることができますのでぜひ知識として知っておきましょう。
糖尿病
糖尿病は猫の代表的な内分泌疾患であり、血糖値が異常に高くなる病気です。
猫の糖尿病は肥満や加齢、膵炎、ステロイドの長期間投与、ストレスなどさまざまな要因によって引き起こされます。
この病気の初期症状として猫の飲水量が増え(多飲)頻繁に排尿すること(多尿)があげられます。
これは、血液中の減らない糖をおしっこで排出してコントロールしようとしているからです。
他にも糖分が体にいきわたらないために、食欲は増進しているけれども瘦せていくなどの症状や、尿が濁ったりするなどの症状もみられます。
糖尿病は高齢の猫や肥満体型の猫、去勢した男の子の猫によく見られます。
治療には適切な運動と、食事管理、インスリンの投与が必要です。獣医師と相談し、個々の猫に合わせた治療プランを立てていきましょう。
副腎皮質機能亢進症
副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)別名クッシング症候群は、犬では比較的よく見られますが、猫では稀です。
副腎皮質機能亢進症とも呼ばれ、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。
症状としては、次のようなものがあります。
- 水をたくさん飲む
- おしっこの量が増える
- 食欲が異常に増す
- 皮膚が薄くなり容易に裂ける。
- 脱毛する
- お腹が膨れる
以上のような症状が見られる場合には動物病院で診察を受けましょう。
また、クッシング症候群は糖尿病と併発する場合が多いのも特徴です。
クッシング症候群は予防方法がないため、早期発見早期治療が大切です。
似たような症状がでたら、そういえばこんな病気もあったなと思い出せるようにしておくと、早期発見につながるのでぜひ覚えておきましょう。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は高齢の猫によく見られる腎臓の病気です。
通常健康な腎臓ではろ過された水分の一部が再吸収され、残りが尿として排泄されます。
しかし、腎臓の機能が低下すると尿の濃縮が不十分になるので、猫は多くの水を飲んで尿を多く排出するようになり薄い尿が多くなります。
慢性腎臓病の猫は、多飲多尿のほか食欲不振や体重減少、嘔吐などの症状も見られることがあります。
この病気は多飲多尿が出る頃にはかなり病状が進んだ状態なため、早急な対処と治療が必要になってきます。
慢性腎臓病は進行する病気です。一度悪くなった腎機能はもとに戻らないので、年に一度の定期検診での早期発見や、病気の進行を遅らせる治療を獣医師とともに進めていきましょう。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は子宮が細菌感染によって炎症を起こし、子宮に膿がたまる病気です。
発情期や出産期は子宮が緩んだ状態になり、細菌に対する抵抗力が弱くなってしまいます。
子宮内で細菌が繁殖しやすい状態となり、増殖した細菌によって子宮に炎症が起こり膿がたまります。
膿がたまった状態で子宮頚が閉じてしまうと子宮蓄膿症になってしまうのです。
主な症状には多飲多尿のほか食欲低下、下痢、嘔吐などがあり、陰部から膿が出ることも。
強い腹痛や腹部の腫れ、発熱や体温の上昇もみられるのでこれらの症状が見られた場合はすぐに獣医師の診察を受けましょう。
尿崩症
尿崩症(にょうほうしょう)とは、脳の下垂体(かすいたい)から分泌されるパソプレシンというホルモンが少なくなる、または機能しなくなることにより薄い尿が作られてしまう病気です。
パソプレシンは下垂体から分泌されることによって腎臓に働きかけ、一度腎臓でろ過した水分の再吸収を促し尿の濃さを保つ働きがあります。
尿崩症の猫はパソプレシンがうまく機能しないため、腎臓でろ過ができず薄い尿がたくさん出ます。
薄い尿がたくさん出てしまうと体から水分が失われ、のどが渇くので多飲多尿の症状がでるのです。
他にも症状として嘔吐や体重減少もみられます。
猫の尿崩症はきわめて稀ですが、上記の症状が出た場合には他の病気の早期発見もできるのですぐに獣医の診察を受けましょう。
愛猫の多飲を判断する方法
愛猫が普段よりも水をたくさん飲んでいるか気になる時に、多飲を判断するためのポイントがいくつかあります。
普段の健康管理にも役に立ちますのでぜひ覚えておきましょう。
飲水量を確認する
愛猫の健康状態を把握するために、定期的に飲水量をチェックすることが重要です。
飲水量を調べる方法は以下の通りです。
- 計量カップで約200mlの水を測り猫の水飲みボウルに注ぎます。
- 同じ量の水を別の器に入れ、覆いをかぶせて猫が直接飲めないようにします。
- 一日後に覆いを摂り蒸発した量の水を測ります。
- 猫が飲んだ水のボウルの残量を測り、蒸発した水分を差し引いて猫の一日の飲水量を計算します。
- 猫が新鮮な水を出さないと飲まない場合には半日ごとに計測しましょう。
- 食事からの水分摂取量はウェットフードなら全体の75%、乾燥タイプなら全体の10%で計算します。
- 直接飲んだ水の量と食事から摂取した水の量を足した数が一日の水分量です。
- 飲水量は季節や環境などにも左右されますので2~3日間は計測するようにしましょう。
飲水量の変化に気づいた場合も、2~3日間計測し記録しておくと獣医による診察の時に役立つ情報となりますので、普段から記録する習慣をつけてみてくださいね。
目盛り付きの給水ボトルを使えば、日常的な飲水量のチェックも手軽になりますよ。
尿の量を確認する
愛猫の健康を見守るために、尿の量を定期的に確認しましょう。
前述の通り、正常な尿量は猫の体重1kgあたり20ml~30mlです。体重5kgの場合は100ml~150mlが目安となります。
尿量の測定方法は以下の通りです。
- 砂タイプのトイレは新しい砂に取り替えてから24時間後に固まった砂を取り出します。
- 別の新しい砂には50mlの水を加えます。
- 愛猫の尿が固まった砂と50mlの水を含ませた砂を比較して尿量を測定します。
- ペットシーツの場合は、使用前と使用後のペットシーツの重さを測り、その差が1日の尿量になります。
- どうしても尿量の測定が難しい場合には猫が一日に飲む水の量をチェックすることで判断しましょう。
尿量のチェックも猫の健康状態を把握するのにとても大切なので、ぜひ普段からチェックすることを習慣にしてみてくださいね。
最近では猫用の自動トイレなどもあり、尿の量や状態をチェックする機能なども搭載されてきています。
あわせて読みたい
愛猫の多飲が見られたらすべきこと
愛猫が多量の水を飲むことは異常な症状であり重大な病気のサインかもしれません。
普段の生活で水の摂取量を記録して異常があるかどうかを把握しておきましょう。
異常な多飲が見られた場合、ほかにも確認しておく点があります。
一緒に記録しておくことで適切な治療をするための、獣医師の判断材料にもなりますのでぜひ実行しましょう。
併発している症状がないか確認する
多飲多尿の症状に加えて、以下のような症状がみられることがあります。
- 元気がない、活動量が減少している。
- 食欲がなく、食事を拒否する
- 嘔吐がある
- 体重が減少している
これらの症状が現れた場合、病気の可能性が高まります。
飼い主さんは愛猫の様子をよく観察し、体調の変化に注意を払いましょう。
そして症状がある場合には、早めに動物病院を受診し獣医師による適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
動物病院を受診する
動物病院を受診する際には以下のポイントに留意しましょう。
- 通常の飲水量といつもと比べて飲水量がどのくらい増えたかを記録しておくと、獣医師が正しい判断をしやすくなります。
- 慢性腎臓病は治る病気ではありませんが、早期発見と適切な治療により病気の進行を遅らせ症状の緩和が可能です
- 定期的な健康診断は、慢性腎臓病などの早期発見につながりますので、年に1回の健康診断を心がけましょう。
- 飼い主さんは日々の観察を習慣にして、ペットの様子や行動の変化に敏感に察知できるようにしましょう。
- ペットが普段と違う行動を見せたり、異常を感じた場合は迅速に動物病院を受診しましょう。早めの治療が病気の進行を防ぎます。
以上のポイントを心にとめて愛猫の健康管理に役立てていきましょう。
あわせて読みたい
この記事の執筆
ライター/愛玩動物飼養管理士2級、猫検定 初級・中級/ペット看護師/動物介護士
すべての飼い主様と愛犬、愛猫が幸せに暮らしていけるようになるのが私の願い。
少しでもお役に立てるように自身でも猫の留守番や介護についてのブログを運営しています。
nademo編集部
編集部
「いつまでも どこまでも」必要な情報を理解するだけではなく、心もお腹も満たされるような日々のために。
&nademo(アンドナデモ)のコンセプトをもとに、飼い主さんとペットが安堵できる時間を演出します。
※ 当コンテンツで紹介する商品は、実際に社内で利用した経験と、ECサイトにおける売れ筋商品・口コミ・商品情報等を基にして、nademo編集部が独自にまとめています。
※ 本記事はnademoが独自に制作しており、メーカー等から商品提供を受けることもありますが、記事内容や紹介する商品の意思決定には一切関与していません。
※ 記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部がnademoに還元されることがあります。
※ 監修者は掲載情報についての監修のみを行っており、掲載している商品の選定はnademo編集部で行っております。
※ 掲載している商品の順番に意図はなく、掲載の順番によってランク付けしているものではありません。