犬用としては数が少ないもののいくつかの商品が存在する半生フードですが、猫用の半生フードは多くありません。
キャットフードといえば、いわゆる「カリカリ」のイメージや、ご褒美に与えるスープタイプ・ウェットタイプのフードのイメージが強いのではないでしょうか。
猫の半生フードはまだまだ珍しく「初めて聞いた!」という人もいるでしょうが、犬用があるのに猫用がほとんどない理由とはなんでしょう。
今回は、猫の半生フードについて解説します。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
この記事の結論
- 半生フードとは、ドライフードとウェットフードの中間のようなフード
- 半生フードの水分含有量は25%~35%程度であることが多い
- 半生フードは法規制で放射線殺菌(食品照射)が困難なため、市場に少ない
- 猫用の半生フードは半生用に使われる添加物の影響でほとんど売っていない
- 猫にとって害のある成分が含まれていることもあるため、購入・与える際には注意する
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目次
半生キャットフードは多少の水分を含んだキャットフード

半生キャットフードは「セミモイストフード」とも呼ばれる、水分含有量が25%~35%のキャットフード。
水分含有量が10%以下のドライフードと、水分含有量が75%程度のウェットフードの中間です。
ドライフードよりは水分量が多くて香りも強く、ほどよく柔らかい触感なので顎や歯の未発達な子猫、噛む力の衰えてしまったシニア猫に特にぴったり。
ドライフードに比べて消化吸収に優れているのも、嬉しいポイントです。
半生・ドライ・ウェットフードの違いは水分量

キャットフードの種類は、ドライ・半生・ウェットの3種類に大きく分かれます。
一般的なものはドライフードで、いわゆるカリカリと呼ばれるもの。これに加えて、ウェットフードもたまに与えているという人は多いのではないでしょうか。
猫は水分補給をほとんどしない動物なので下部尿路疾患になりやすく、意識して水分補給をさせなければいけません。
そのためにはドライフードだけだと水分量が足りなくなる傾向にあり、ウェットフードやフレッシュフードなどが選択されます。
水分含有量が25%~35%の半生キャットフード
半生フードとは、水分含有量が25%~35%のフードを指します。
ドライフードとウェットフードの中間にあたる水分量であり、ドライフードよりは香りが強く、ほどよい硬さが特徴です。
食が細い猫や噛む力の弱い猫にはうってつけの半生フードですが、ドライフードやウェットフードに比べて圧倒的に種類が少ないのが難点。
猫用の半生フードが少ない理由については、後ほど詳しく解説します。
水分含有量が10%以下のドライフード
ドライフードとは、水分含有量が10%以下のフードを指します。
硬めの食感が特徴で、噛む度に音がすることから「カリカリ」と呼ばれることも多いです。
香りが控えめで嗜好性は低いですが、開封後も長く持つことから、毎日の食事としてドライフードを与える飼い主さんが多いです。
販売されているフードのバリエーションも非常に多く、愛猫の好みのフードを探しやすいのもメリットのひとつだといえるでしょう。
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水分含有量が75%以上のウェットフード
ウェットフードとは、水分含有量が75%以上のフードを指します。
香りや食感がよい嗜好性が高いものが多く、食いつきがよいのがメリットです。
食事とともに水分補給ができるので、あまり水を飲んでくれない猫にはウェットフードがおすすめ。
ウェットフードは柔らかくて消化にもよいため、胃腸の調子が悪いときにもぴったりです。
開封後の劣化は早いものの未開封の状態であれば2年ほど保存が効くため、万が一の災害に備えて備蓄品としても便利です。
半生キャットフードの種類

半生フードの中にも、「セミモイスト」と「ソフトドライ」の2種類が存在します。
見た目にはほとんど見分けがつかないようなものですが、製造方法や食感などに違いがあります。
違い | セミモイスト | ソフトドライ |
---|---|---|
加熱発泡処理 | なし | あり |
水分含有量 | 25%~35%程度 | 10%~30%程度 |
香り | 強い | 強い |
食感 | もっちりした弾力 | やわらかくカリカリ感もある |
大きな違いは、水分含有量と加熱発泡処理の有無です。それぞれの違いについて、以下で詳しく解説します。
セミモイスト
ソフトドライに比べてセミモイストの方が水分含有量が多く、香りが強いのが特徴。
食いつきがよく、もっちりとした食感で子猫・シニア猫にもおすすめです。
水分量が多い分フードに粘り気があり歯に食べかすが残りやすいため、食事のあとにはデンタルケアを行いましょう。
腐敗も早いため、食べ残しの処理には注意が必要です。
ソフトドライ
ソフトドライフードは、セミモイストよりも水分含有量が少なく、発泡させた粒状のキャットフード。
製造方法はドライフードとよく似ていますが、乾燥させないためしっとりとした食感が特徴です。
セミモイストフードに比べると、カリカリとした食感も残っています。
歯が衰えてしまい、ドライフードが食べづらくなってしまったシニア猫におすすめです。
半生キャットフードが市場に少ない理由

ここまでの解説を読んで「半生キャットフードって便利そう!」と感じた人も多いのではないでしょうか。
しかし、猫用の半生フードはほとんど販売されていないのが実情です。
ここでは、猫の半生フードが少ない理由について解説します。
愛猫の健康に関わることでもあるので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
保湿剤のプロピレングリコールは猫用フードへの使用は禁止
半生フードの保湿剤として用いられる「プロピレングリコール」という添加物は、猫用フードへの使用が禁じられています。
これが、猫用の半生フードがほとんど存在しない理由です。
柔らかく食べやすい食感を保つために使用されるプロピレングリコールは、猫にとっては毒物。
摂取すると自身の赤血球を攻撃してしまい、重度の貧血を引き起こします。
そのほかにも、以下のような症状が現れることもあります。
- 吐き気や嘔吐
- 下痢
- 衰弱
- 痙攣
- 湿疹
- 昏睡
プロピレングリコールは人間や犬にとっては無害であり、犬用の半生フードや人間用の食品にも使用されています。
猫が誤って口にしてしまうと命の危険も考えられるため、十分に注意しましょう。
参考:ペットフード安全法基準規格等 [動物の愛護と適切な管理]
半生フードは水分保持のために湿潤調整剤が必要
半生フードは、ウェットフードほどではないものの、水分を多く含むペットフードです。
水分を保持するため、半生フード特有のやわらかい食感を保つために、湿潤調整剤などの添加物が必要となります。
湿潤調整剤の中には危険性が確認されているものや、ほかの動物には使用OKでも猫にはNGのものも存在します。
これが、猫用の半生フードが非常に少ない理由のひとつです。
放射線殺菌(食品照射)が難しいため
日本では法規制で放射線殺菌(食品照射)が困難になるため、どうしても添加物量が多くなりがちです。
しかし、アメリカや中国では放射線殺菌(食品照射)がしやすい法律になっているので、添加物をそれほど多く添加しなくてもセミモイストフードが作れます。
一部の海外では主に犬猫の満腹感や水分摂取量を多くすることを目的として、食品照射をして添加物量を減らすケースもあります。
ですが、日本の法規制によって添加物量を増やすことでしか製造ができないケースがほとんどなので、市場には半生キャットフードが極めて少なくなっているのです。
半生キャットフードのデメリット

便利そうに感じる半生フードですが、販売している種類が少ないだけでなく、保存性や安全性の面からもいくつかのデメリットが挙げられます。
食事は大切な愛猫の健康に直結するものなので、フード選びの際にはデメリットもしっかり把握しておきましょう。
保存性が低い
半生フードは水分含有量が多く、ドライフードに比べて腐敗が進みやすく保存性が低いのがデメリットです。
特に開封後はフードが空気に触れることで、一気に酸化が進みます。その日のうちに食べきるぐらいでないと、劣化してしまうのです。
日持ちしないのであればウェットフードと同じようなものなので、意図して半生フードを選ぶ理由も特にありません。
猫の唾液が付着することで雑菌が繁殖しやすくなるため、食べ残した際には早めに処分しましょう。
添加物が多く使われやすい
半生フードは腐敗しやすいことから、保存性を高めるために添加物が使用されます。
ドライフードの場合は開封後も腐敗しにくいことから、天然由来の添加物のみを使用したものも多いです。
ウェットフードは包装容器を丸ごと高温・高圧殺菌するため、余分な保存料を取り除くことが可能です。
しかし、半生フードの場合は保存性を高め、食感を維持するために防カビ剤や保存料といった合成添加物が必要となります。
こういった面から、半生フードは必ずしも安全性が高いとは言い切れない側面があります。
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半生キャットフードのメリット

半生フードが少ない理由やデメリットを説明してきましたが、もちろんメリットもあります。
ここでは、半生フードを与えるメリットについてご紹介します。
あまり見かける機会は多くはないですが、愛猫の性格・性質に合う場合には活用してみましょう。
香りが強く食いつきに期待できる
半生フードはドライフードに比べて香りが強く嗜好性が高いため、食いつきがよいのがメリット。
食感もやわらかくて噛みやすいので、嗅覚が衰えて食欲が落ちてしまったり、固いフードが食べづらくなったシニア猫には特におすすめです。
ただ、ウェットフードよりは水分含有量が少ないため、ウェットフードよりは食いつきが劣り、ドライフードよりは期待できる程度です。
やわらかく子猫やシニア猫でも食べられる
ドライフードに比べて半生フードはやわらかいため、顎や歯が未発達の子猫や、噛む力が衰えたシニア猫にも安心です。
ウェットフードほどのやわらかさではなく、ある程度の食感も残っているので、噛み応えを感じながら無理なく食べられます。
子猫期はドライフードをふやかして与えることも多く、その手間が省けるキャットフードだとも言えるでしょう。
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安全な半生キャットフードの選び方

半生フードは、ドライフードやウェットフードと比べるとあまり知られていないタイプのフードですよね。
実際に購入しても、「どうやって与えたらいいの?」「注意点は?」など疑問も多く湧いてきます。
ここでは、半生フードを購入・与える際の注意点を解説します。
主原料は高品質な動物性タンパク源か確認する

猫は本来肉食動物であり、体を作るために高品質な動物性タンパク質を効率的に消化・吸収する必要があります。
安全な半生キャットフードを選ぶ際は、原材料リストの最初に鶏肉、牛肉、魚などの具体的な動物の名称が記載されているかを確認しましょう。
これは、原材料リストは含まれる量が多い順に記載されているため、最初に動物性タンパク源が来ているフードは、猫が必要とする栄養をしっかり摂取できる可能性が高いと言えるからです。
穀物(トウモロコシ、小麦など)が最初にきているフードは、猫にとって消化しにくく、必要な栄養素が不足する可能性があるため避けるのが賢明です。
プロピレングリコール以外の不要な添加物にも注意する
半生フードに限ったことではありませんが、キャットフードに使用されている原材料・添加物は必ず確認しましょう。
プロピレングリコールはそもそも使用が禁止されているため、配合される心配はほぼありません。
しかし使用に制限が設けられている、注意すべき添加物もあります。

これらの添加物は使用量の上限が決められているものや、天然のもので代用できるため人工添加物である必要のないものです。
酸化防止剤・着色料・発色料など、人工添加物には特に注意しましょう。
信頼できるメーカーの製品か品質基準をチェックする

安全な半生キャットフードを選ぶ上で、製造しているメーカーの信頼性や品質管理体制も重要なポイントです。
AAFCO(全米飼料検査官協会)などの公的な機関が定める栄養基準を満たしているか、製品パッケージに総合栄養食と明記されているかを確認しましょう。
主食にするには総合栄養食が理想的ですが、総合栄養食基準で作られている一般食や、FEDIAF基準で作られているものも主食として扱うことができるものが多くなっています。
また、原材料のトレーサビリティがしっかりしているか、製造過程での品質管理が徹底されているかなども、メーカーのウェブサイトなどで情報公開されているかを見ると参考になります。
評判の良い老舗メーカーや、専門家が監修しているブランドなども信頼性が高い傾向にあります。
猫の年齢や健康状態に適した設計になっているか確認する

安全なフードは、すべての猫に合うわけではありません。猫のライフステージ(子猫、成猫、シニア猫)や、避妊・去勢の有無、運動量、アレルギーの有無、持病などに合わせて適切な栄養バランスのフードを選ぶことが重要です。
例えば、シニア猫には消化しやすく関節ケア成分が含まれたもの、食物アレルギーのある猫には特定の原材料を使用していないものなどがあります。
迷った場合は、かかりつけの獣医師に相談し、愛猫に最適な半生キャットフードを選ぶようにしましょう。
製品パッケージに記載されている対象年齢や目的別の表示をよく確認することも大切です。
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半生キャットフードを与える際の注意点

半生キャットフードは、前述のような理由があるため、簡単に入手できるようなものでもありません。
実際のところ、ドライフードやウェットフードが充実している今、わざわざ半生を選ぶ理由もあまりないでしょう。
だからこそ押さえておきたい、半生キャットフードを与えるとなったときの注意点について、ひとつずつ確認しておきましょう。
適切な保存方法で品質劣化とカビの発生を防ぐ
半生キャットフードは、ドライフードに比べて水分含有量が多いため、保存方法を間違えると品質が劣化しやすく、カビが発生するリスクが高まります。
パッケージを開封した後は、必ず密閉できる容器に移し替え、直射日光の当たらない、涼しい場所で保管するようにしましょう。
冷蔵庫での保管も有効ですが、出し入れによる温度変化で結露が生じ、かえってカビの原因となる場合もあるため、適切な密閉が不可欠です。
湿度の高い場所や温度変化の激しい場所での保管は避け、常にフードの状態をチェックすることが大切です。
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開封後は製品ごとの推奨期間内に使い切る
半生キャットフードは保存性を保つために特定の工夫がされていますが、一度開封すると空気や湿気に触れることで酸化が進みやすく、風味が落ちたり傷んだりする速度が速まります。
製品によって異なりますが、開封後は概ね1か月以内、可能であれば2週間〜3週間程度で使い切るのが理想的です。大容量パックよりも、愛猫が食べきれるサイズの製品を選ぶことをおすすめします。
使用期限内であっても、フードの色や匂い、手触りに異常がないか与える前に毎回確認し、少しでもおかしいと感じたら与えないようにしてください。
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適正量を守り肥満や消化不良に注意する
半生キャットフードは嗜好性が高いため、猫が喜んで食べる傾向がありますが、与えすぎは肥満や消化不良の原因となります。
製品パッケージに記載されている給与量目安は、あくまで一般的な基準です。愛猫の年齢、体重、運動量、体質に合わせて適切な量を与えることが重要です。
一度に大量に与えるのではなく、一日分の量を数回に分けて与える方が猫の胃腸への負担を減らせます。
新しいフードに切り替える際は、少量ずつ混ぜながら徐々に慣らしていくことで、下痢や嘔吐を防ぐことができます。
柔らかさゆえに歯垢がつきやすいためデンタルケアも重要
半生キャットフードはドライフードに比べて柔らかいため、食べる際に歯石や歯垢が落ちる効果が期待できません。
そのため、半生フードを主食としている猫は、歯垢や歯石が蓄積しやすく、歯周病のリスクが高まる可能性があります。
日頃からのデンタルケアが非常に重要になります。猫用の歯ブラシや歯磨きペーストを使った歯磨きを習慣づけるか、歯の健康をサポートするデンタルケア製品(デンタルガムや液体デンタルケア用品など)を併用することを検討しましょう。
定期的な獣医師による口腔内のチェックも推奨されます。
水分含有量はドライフードより多いが別途水分摂取も促す
半生キャットフードはドライフードより水分を多く含んでいますが、ウェットフードほどではありません。
猫はもともとあまり水をたくさん飲む習慣がないため、食事からの水分摂取も重要ですが、半生フードだけでは十分な水分量を確保できない場合があります。
常に新鮮な水が飲めるように複数の場所に水飲み場を設置したり、流れる水を好む猫のために循環式の給水器を用意したりするなど、意識的に水分摂取を促す工夫が必要です。
ウェットフードと併用するのも、水分摂取量を増やす有効な方法のひとつです。
半生キャットフードとあわせてデンタルケアグッズも用意

半生フードを与える際には、ぜひデンタルケアグッズも一緒に準備しましょう。
やわらかい食感の半生フードは歯に残りやすく、放置すると歯垢・歯石の原因となります。
猫の歯石除去は全身麻酔を伴う大掛かりな処置となり、歯石が溜まって歯周病にかかると腎臓病を引き起こしやすくなるなど、全身に影響を及ぼすおそれがあります。
口まわりを触ると嫌がる猫も多いので、なるべく早い段階から歯磨きの練習を行いましょう。
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