つぶらな瞳と垂れ耳、そして遊び好きでエネルギッシュなイングリッシュ・スプリンガー・スパニエル。「家庭犬としても優秀」と聞き、その魅力に惹かれている方も多いのではないでしょうか。
彼らは元々鳥猟犬として活躍してきた歴史を持ち、その名の通り獲物を「スプリング(跳ね上がらせて見つける)」能力に長けています。賢く、愛情深く、そして非常に活発なイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルと暮らすことは、毎日が発見と喜びに満ちたものになるでしょう。
しかし、彼らが持つ特性を理解し、適切な飼育環境やケアを提供することが、共に幸せな生活を送る上では不可欠です。
この記事では、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの魅力から、寿命、飼い方のポイント、しつけのコツ、注意したい病気、そして子犬から老犬までのステージ別ケアまで、この素晴らしい犬種との暮らしをサポートする情報を網羅的にご紹介します。
この記事の結論
- ウェーブがかった被毛と大きく垂れた耳が特徴的な犬種
- スプリンガー・レイジ・シンドロームという遺伝子疾患は、スパニエル種に多く見られる
- とても明るく友好的な犬種なので、比較的飼いやすい犬種とも言える
- 非常にスタミナが豊富なので、日頃から長距離の散歩時間が必要になる
目次
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルとは?犬種としての魅力と特徴

つぶらな瞳と垂れ耳、そして常に尻尾を振って喜びを表現するイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その陽気で愛情深い性格から、世界中で愛される犬種の一つです。
彼らは元々鳥猟犬として活躍し、その名の通り獲物を「スプリング(跳ね上がらせて見つける)」能力に長けていました。
この歴史から来る高い運動能力と知性、そして人懐っこさが、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの大きな魅力です。
ここでは、彼らのルーツから平均寿命、そして美しい被毛のお手入れ方法まで、犬種としての特徴を詳しくご紹介します。
明るさと賢さを持ち合わせている
人に対しては慣れがとても早い
興奮して吠えることもある
運動量が豊富で、お散歩時間は長めに必要
その他情報
原産地 | イングランド |
犬種グループ | 8G:7グループ以外の鳥猟犬 |
大きさ | 中型 |
平均寿命 | 12歳〜14歳 |
なりやすい病気 | 外耳炎,眼瞼外反症,眼瞼内反症,進行性網膜萎縮症(PRA),てんかん,スプリンガー・レイジ・シンドローム |
参考価格 | 45万円前後 |
被毛
抜け毛 | 多い |
毛質 | ダブルコート |
毛色 | レバー&ホワイト,ブラック&ホワイト |
歴史とルーツ|スパニエル犬種としての役割
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの歴史は非常に古く、14世紀にまで遡ると言われています。彼らは元々、イギリスで鳥猟犬として活躍するために作出されました。「スパニエル」という犬種名は、彼らがスペインに起源を持つ犬であることに由来するとされています。
初期のスパニエル犬種は、その体格や役割によってさらに細分化され、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、茂みの中に隠れた獲物を「スプリング(跳ね上がらせる、追い立てる)」ことでハンターに獲物の位置を知らせる役割を担っていました。
彼らは単に獲物を追い立てるだけでなく、撃ち落とされた獲物を傷つけることなく回収(レトリーブ)する能力にも長けており、これは現代のイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの水遊び好きや、ボール遊びが大好きな特性にも繋がっています。
また、常に飼い主の指示に忠実に従い、共に働くことを喜びとする気質も、この猟犬としてのルーツに深く根ざしています。こうした歴史的背景が、彼らの賢く、協調性のある性格を形成しているのです。
平均寿命と健康寿命を延ばす秘訣
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの平均寿命は、一般的に12歳から14歳と言われています。中型犬としては比較的長寿な犬種に分類されますが、個体差や遺伝、日々の飼育環境、適切な健康管理によって寿命は大きく変わります。愛犬が健康で充実した生涯を送れるよう、飼い主が意識すべきポイントを以下にまとめました。
- バランスの取れた食事: 質の高い総合栄養食を選び、年齢や活動量に応じた適正な量を与えることが重要です。
- 十分な運動: 毎日適切な運動量を確保することで、心肺機能や筋肉を維持し、ストレス解消にも繋がります。運動不足は肥満や問題行動の原因にもなります。
- 定期的な健康診断: 若いうちから定期的に動物病院で健康診断を受け、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。
- 適切な体重管理: 常に適正体重を維持することで、関節への負担を軽減し、糖尿病や心臓病のリスクを下げられます。
- ストレスの少ない環境: 精神的な健康も寿命に影響します。愛情をもって接し、安心できる環境を提供することが大切です。
- 口腔ケア: 歯周病は全身の健康に影響を及ぼすため、日々の歯磨きを習慣化し、定期的に獣医さんによる口腔チェックを受けましょう。
これらの秘訣を実践することで、愛犬との「健康寿命」を最大限に延ばし、より長く幸せな時間を共有できるようになります。
身体的特徴と被毛の手入れ
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その活発な印象とは裏腹に、とても優美な体つきと、特徴的な被毛を持っています。
彼らの身体的な特徴を理解し、適切な被毛のお手入れを行うことが、健康で美しい状態を保つ上で非常に重要です。
標準的な体格と体重
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、中型犬に分類され、がっしりとした骨格と筋肉質な体つきをしています。
男の子 | 女の子 | |
---|---|---|
体高(肩高) | 約48~51cm | 約46~48cm |
体重 | 約20~25kg | 約18~23kg |
上記はあくまで目安であり、個体差があります。重要なのは、愛犬の成長段階や活動量に合わせて、適正な体重を維持することです。肥満は関節や心臓、内臓に負担をかけるだけでなく、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高めます。
定期的に体重を測定し、獣医さんと相談しながら適切な食事量と運動量を管理することで、愛犬の健康な体格を維持しましょう。特に成長期には、急激な体重増加がないよう注意が必要です。
特徴的な被毛と日々のお手入れ方法
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの被毛は、なめらかで光沢のある中くらいの長さのダブルコートで、耳や胸、お腹、四肢には豊かな飾り毛(フェザーリング)が生えているのが特徴です。
このダブルコートは、彼らが水辺の猟で体を保護するために発達したもので、保温性と防水性に優れています。
- 毎日のブラッシング: 抜け毛が多く、特に換毛期(春と秋)には大量の毛が抜けるため、毎日念入りなブラッシングが必要です。
- 定期的なシャンプー: 月に1回程度、または汚れが目立つ際に、犬用シャンプーでシャンプーしましょう。
- 飾り毛のトリミング: 美しさを保ち、汚れやもつれを防ぐため、定期的にトリミングが必要です。
- 耳のケア: 垂れ耳のため、通気性が悪く、外耳炎になりやすい傾向があります。週に1回程度、耳の中をチェックし、清潔に保ちましょう。
日々の丁寧な被毛ケアは、美しい見た目を保つだけでなく、皮膚病の早期発見や血行促進にも繋がります。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの性格と飼い主との相性

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その見た目の美しさだけでなく、内面の素晴らしさも大きな魅力です。
彼らは飼い主を心から信頼し、常にそばに寄り添おうとする愛情深い性格を持っています。しかし、その活発な気質から、飼い主との相性やライフスタイルが非常に重要になります。
ここでは、彼らの性格の特徴を深掘りし、どのような飼い主さんがイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルと最高のパートナーシップを築けるのかを解説します。
明るく陽気で愛情深い性格
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの最も際立った性格は、その明るく陽気で愛情深い点です。彼らは常に尻尾を振り、喜びを全身で表現するような、底抜けにポジティブなエネルギーに満ちています。
- 人懐っこさ: 家族に対してはもちろんのこと、見知らぬ人や初めて会う犬にも積極的に友好的に接します。社交性が高く、多くの人や犬と触れ合うことを喜びます。
- 愛情深さ: 飼い主や家族に対しては、深い愛情と忠誠心を示します。常に飼い主のそばにいたがり、スキンシップを求めます。そのため、家族の一員として室内で共に過ごせる環境が理想的です。
- 遊び好き: 生来の猟犬としての本能から、体を動かす遊びが大好きです。ボール投げや持ってこい遊びなど、飼い主と一緒に活動することを心から楽しみます。
- 感受性の豊かさ: 飼い主の感情を敏感に察知し、共感しようとします。喜びを分かち合い、悲しみに寄り添ってくれる、心の優しいパートナーです。
彼らのこの性格は、適切な社会化と愛情深い飼育環境によってさらに輝きを増します。孤独な時間が長すぎると、ストレスから問題行動に繋がる可能性もあるため注意が必要です。
高い知性と訓練性能
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その高い知性と優れた訓練性能も特徴です。元々猟犬として人間の指示に従い、複雑な作業をこなす能力が求められてきたため、学習意欲が高く、新しいことを覚えるのが得意です。
- 「Will to please」の精神: 飼い主を喜ばせたいという「Will to please(喜ばせたい意欲)」の精神が非常に強く、積極的に指示に従おうとします。
- 優れた記憶力: 一度覚えたコマンドやルールは忘れにくく、継続的なトレーニングによって、さまざまな状況に対応できる応用力も身につけます。
- 多才な活躍: その賢さと従順さから、家庭犬としてはもちろん、アジリティやオビディエンスといったドッグスポーツ、さらには災害救助犬や探知犬としても活躍しています。
- 知的な刺激の必要性: 賢い犬種であるからこそ、単調な生活は退屈やストレスに繋がりやすいです。
しつけのしやすさは飼い主にとって大きなメリットですが、彼らの能力を最大限に引き出すためには、根気強く、ポジティブなトレーニングを継続することが不可欠です。
子どもや他のペットとの関係性
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その穏やかで友好的な性格から、子どもや他のペットとの共存にも非常に適した犬種として知られています。
子どもとの相性
- 忍耐力と寛容さ: 小さな子どもが多少乱暴に接しても、滅多に怒ったり噛みついたりすることはなく、辛抱強く対応できます。子どもの良き遊び相手となり、一緒に成長していくことができるでしょう。
- 大人の監視は必須: ただし、どんなに穏やかな犬でも、子どもと犬だけで遊ばせるのは避け、大人が常に目を離さないようにしましょう。犬への適切な接し方を子どもに教えることも大切です。
他のペットとの相性
- 社交性: 他の犬や猫、小動物などに対しても友好的に接する傾向があります。多頭飼いもしやすい犬種と言えるでしょう。
- 社会化の重要性: 子犬の頃からさまざまな動物と触れ合わせる社会化を行うことで、より協調性のある犬に育ちます。
- 個体差: ただし、個体によっては他の動物との相性があるため、新しいペットを迎え入れる際には、慎重に様子を見る必要があります。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、家族の一員として、子どもから大人、そして他のペットとも良好な関係を築ける、理想的なパートナーとなり得る犬種です。
こんな飼い主さんにおすすめ!理想的なライフスタイル
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは魅力的な犬種ですが、彼らが心身ともに健康で幸せに暮らすためには、特定のライフスタイルを持つ飼い主さんがより適しています。以下のような特徴を持つ方は、彼らと最高のパートナーシップを築けるでしょう。
十分な運動時間を提供できる人
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは非常に活動的で、毎日かなりの運動量を必要とします。
毎日の長い散歩はもちろん、ドッグランや水辺での活動など、体を動かす時間を十分に確保できる人が向いています。
「朝晩の散歩を欠かさず行ける」「週末は一緒にアウトドアを楽しみたい」といったアクティブなライフスタイルの人には最適です。
しつけやトレーニングに意欲的な人
賢く学習意欲が高い犬種ですが、その能力を最大限に引き出すには、一貫したしつけとトレーニングが不可欠です。子犬期からの社会化や、生涯にわたる知的刺激を与え続けられる人が理想的です。
犬との密なコミュニケーションを大切にする人
彼らは非常に愛情深く、飼い主との密なコミュニケーションやスキンシップを強く求めます。毎日たっぷり時間をかけて触れ合い、愛情を注げる人が向いています。
犬の健康管理に意識が高い人
遺伝性疾患や耳・皮膚の病気など、犬種特有の注意点を理解し、定期的な健康チェックや獣医との連携を怠らない人が望ましいです。
上記の特徴に当てはまる方は、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルとの生活を心から楽しみ、彼らもまた飼い主との生活を幸せに感じることでしょう。彼らの特性を理解し、生涯にわたる責任を果たせる覚悟が重要です。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの飼い方|迎え入れから日々のケアまで

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、活発で愛情深い犬種なので、彼らが快適に、そして安全に暮らせるよう適切な飼い方と日々のケアが非常に重要です。
子犬を迎え入れる準備から、健康で快適な生活を送るための食事、運動、そして環境づくりまで、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを飼育する上で知っておきたいポイントを網羅的に解説します。
愛犬との絆を深め、共に幸せな時間を過ごすために、ぜひ参考にしてください。
子犬の選び方と信頼できるブリーダー・保護団体
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの子犬を迎え入れる際、どこから迎えるかという選択は、その後の愛犬の健康や性格に大きく影響します。信頼できるブリーダーや保護団体を選ぶことが何よりも重要です。
保護団体(シェルター)はさまざまな理由で飼育放棄された犬や迷子犬を保護し、新しい家族との出会いをサポートする団体です。子犬だけでなく、成犬や老犬も多く、過去の経緯や性格をスタッフから詳しく聞けますし、譲渡費用はワクチン接種や不妊手術費用などに充てられます。マッチングを重視するため、何度か面会が必要な場合もあります。
子犬を選ぶ際は、見た目の可愛さだけでなく、親犬の性格や健康状態、ブリーダーや団体の飼育環境を必ず確認しましょう。可能であれば、実際に足を運び、子犬が活発で健康そうか、人懐っこいかなどを自分の目で確かめることが大切です。
適切な飼育環境と必要な準備品
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを家庭に迎えるにあたり、彼らが快適に、そして安全に暮らせるよう、適切な飼育環境を整え、必要なものを事前に準備しておくことが不可欠です。中型犬でありながら活動的な彼らの特性を考慮した準備を心がけましょう。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、活発で遊び好きなので、室内でも彼らがリラックスして過ごせるスペースと、安全を確保することが非常に重要です。
生活スペースの確保
愛犬が体を伸ばして横になれる広さのケージやクレートを用意しましょう。これは安心して休めるプライベートな空間であり、しつけの際にも役立ちます。
室内を自由に動き回れる十分なスペースも必要です。家具の配置を見直し、犬が通りやすい動線を確保しましょう。
安全対策の徹底
- 誤飲防止: 子犬は何でも口に入れてしまう習性があります。電気コード、小さな飾り物、人間の薬、犬にとって有害な植物(観葉植物など)、洗剤などは、犬が届かない場所にしまうか、カバーなどで保護しましょう。
- 転倒防止: 滑りやすいフローリングは、関節に負担をかけ、転倒の原因にもなります。滑り止めマットやカーペットを敷くなどして対策をしましょう。
- 脱走防止: 玄関や窓からの脱走を防ぐため、ゲートの設置や、開閉に注意を払うことが重要です。庭がある場合は、フェンスの高さや強度を再確認しましょう。
愛犬が安全に暮らせる環境を整えることは、事故や怪我の予防に繋がり、飼い主の安心にも繋がります。
夏の暑さ対策
- 室温: エアコンなどを活用し、25℃前後を保つように心がけましょう。留守番中も熱中症にならないよう、エアコンをつけたままにするなどの対策が必要です。
- 湿度: 除湿器などを使い、湿度を50〜60%程度に保ちましょう。
- 冷却グッズ: クールマットや冷感ベッド、凍らせたペットボトルをタオルで巻いたものなどを活用し、体を冷やせる場所を用意してあげましょう。
- 散歩時間: 涼しい早朝や夜遅くに行い、日中の暑い時間帯は避けてください。
冬の寒さ対策
室内飼育であれば基本的には問題ありませんが、暖房器具で空気が乾燥しすぎないよう、加湿器の利用も検討しましょう。直接ストーブやヒーターに近づきすぎないよう、安全柵などで対策をしてください。
犬は人間よりも地面に近い場所で生活しているため、夏場は特に地面からの照り返しの熱も考慮する必要があります。
年間を通して快適な環境を提供することで、熱中症や体調不良のリスクを減らし、愛犬の健康を守ることができます。
毎日の食事と栄養管理のポイント
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの健康を維持し、活動的な毎日をサポートするためには、毎日の食事と栄養管理が非常に重要です。適切なフードの選択と与え方を心がけましょう。
高品質なドッグフードの選択
総合栄養食または総合栄養食基準(FEDIAF基準)と表示された、犬の成長段階(子犬用、成犬用、シニア犬用)に合った高品質なフードを選びましょう。
関節疾患のリスクがあるため、関節の健康をサポートする成分(グルコサミン、コンドロイチンなど)が含まれたフードを選ぶのも良いでしょう。
アレルギー体質の子には、特定のアレルゲンを含まないフード(グレインフリーなど)も検討できます。
適切な量の管理と肥満防止
パッケージに記載されている給与量はあくまで目安です。愛犬の活動量や体質に合わせて量を調整し、適正体重を維持するようにしましょう。
肥満は関節への負担を増大させ、様々な病気のリスクを高めます。おやつは与えすぎないようにし、与える際はカロリーを考慮しましょう。
食事回数
子犬期は消化器官が未発達なため、少量ずつ1日3〜4回に分けて与え、成長とともに1日2回に減らしていきましょう。
水分の確保
常に新鮮な水をたっぷりと用意し、いつでも飲めるようにしておきましょう。ウェットフードを混ぜるなどして、水分摂取量を増やす工夫も有効です。
食事は愛犬の健康の土台となります。定期的に獣医さんと相談し、愛犬に最適な食事プランを立てましょう。
豊富な運動量と最適な遊び方
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、元々鳥猟犬として活躍していた犬種であり、非常に活動的で、豊富な運動量を必要とします。毎日の適切な運動は、彼らの身体的健康だけでなく、精神的な安定にとっても不可欠です。
散歩の回数と時間の目安
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、毎日の散歩が欠かせません。ただ歩くだけでなく、適度に走らせたり、匂いを嗅がせたりする時間を設けましょう。
- 成犬の場合:
- 時間: 1回あたり45分〜1時間以上を、1日2回行うのが理想的です。
- 内容: ただ歩くだけでなく、ジョギングを取り入れたり、公園でボール遊びをしたりと、メリハリのある散歩を心がけましょう。
- 季節や天候: 夏の暑い時期は早朝や夜遅くの涼しい時間帯を選び、冬は日中の暖かい時間帯を選びましょう。雨の日や悪天候の日は、室内での遊びやトレーニングで運動不足を補う工夫が必要です。
- 子犬の場合:
- 過度な運動は成長期の関節に負担をかけるため、獣医さんと相談しながら適切な運動量を調整しましょう。短い時間(1回15〜20分程度)を複数回に分けて行うのがおすすめです。
場所は公園や河川敷など、リードを外して自由に走らせられるドッグランも活用しましょう。ただし、他の犬とのトラブルには十分注意し、公共のルールを守ってください。
運動不足はストレスや肥満、問題行動の原因となるため、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルとの生活では、運動時間の確保が非常に重要です。
本能を満たす遊び(レトリーブ、ノーズワークなど)
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その名の通り「獲物を跳ね上がらせて見つける」という役割を担っていた犬種です。この本能を満たす遊びは、彼らを心身ともに満足させ、ストレス解消にも繋がります。
- レトリーブ(取ってこい)遊び:ボールやフリスビー、おもちゃなどを投げ、愛犬に持ってこさせる遊びです。彼らの回収本能を満たし、知的な刺激にもなります。
- ノーズワーク(嗅覚を使った遊び):嗅覚を存分に使うことで、集中力や思考力を養い、精神的な満足感を得られます。
- アジリティや服従訓練:本格的なドッグスポーツに挑戦するのも良いでしょう。飼い主との共同作業を通じて、さらに絆を深めることができます。
- 水遊び:多くのイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは水を好み、水泳は全身運動になり、関節への負担も少ないため、非常に効果的な運動です。
これらの遊びは、単なる運動だけでなく、愛犬とのコミュニケーションを深め、信頼関係を築く上でも非常に役立ちます。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのしつけの基本とコツ

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは非常に賢く、学習能力が高い犬種であるため、子犬の頃からの適切なしつけが非常に重要です。
彼らの陽気で愛情深い性格を最大限に引き出し、社会性のある良きパートナーとして共に暮らすためには、一貫したトレーニングとポジティブなアプローチが欠かせません。
ここでは、社会化の重要性から基本的なコマンド、問題行動の予防、そしてトイレトレーニングの成功の秘訣まで、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのしつけの基本とコツを解説します。
子犬期からの社会化と基本的なコマンド
子犬期(生後3週齢〜12週齢頃)は、犬の性格形成において最も重要な時期であり、この時期の社会化がその後の犬生を大きく左右します。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの持つ協調性を伸ばすためにも、さまざまな経験を積ませることが大切です。
社会化の重要性
- 人との交流: 家族以外のさまざまな年齢層の人々(子ども、高齢者など)と触れ合わせ、人に対する良い印象を植え付けましょう。
- 犬との交流: ワクチン接種が済んだら、パピークラスに参加したり、穏やかな成犬と触れ合わせたりして、犬同士の適切なコミュニケーションを学ばせましょう。
- さまざまな環境・音に慣らす: 散歩を通じて、車の音、自転車、工事の音、知らない場所の匂いなど、日常生活で遭遇するさまざまな刺激に少しずつ慣らしていきましょう。
基本的なコマンドの習得
- 子犬の頃から、褒めて伸ばすポジティブ・トレーニングで基本的なコマンドを教えましょう。
- 「おすわり」「ふせ」「待て」「おいで」「ちょうだい」などのコマンドは、日常生活だけでなく、緊急時にも役立ちます。
- 短い時間(5〜10分程度)で、遊び感覚で楽しく教えることが大切です。成功したら大いに褒め、ご褒美を与えましょう。
子犬期の社会化と基本的なしつけは、問題行動を予防し、飼い主と愛犬の間に強い信頼関係を築く土台となります。
ポジティブ強化による効果的なトレーニング
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは賢く、飼い主を喜ばせたいという気持ちが強いため、「褒めて伸ばすポジティブトレーニング」が非常に効果的です。
罰や体罰は、犬との信頼関係を損ね、学習意欲を低下させるだけでなく、問題行動を悪化させる可能性もあります。
ポジティブトレーニングの基本
- 成功を褒める: 愛犬が望ましい行動をした瞬間に、「Good!」「よし!」などの明確な言葉で褒め、すぐにおやつや好きなおもちゃ、撫でるなどの報酬を与えましょう。
- タイミングが重要: 褒めるタイミングが遅れると、犬は何に対して褒められたのか理解できません。望ましい行動をした「直後」に報酬を与えることが大切です。
- 強制しない: 犬に無理やり行動をさせようとせず、自発的に行動するように促す環境を整えましょう。
クリッカートレーニング
特定の音が「褒められる合図」となるクリッカーを用いることで、より正確なタイミングで犬に「正解」を伝えることができます。これは特に複雑な芸を教える際に有効です。
一貫性
家族全員で同じコマンドと褒め方で接し、一貫した態度でトレーニングを行うことが重要です。そうすることで、犬は混乱せず、スムーズに学習できます。
ポジティブトレーニングは、愛犬とのコミュニケーションを円滑にし、楽しくしつけを進めるための最適な方法です。
問題行動の予防と対処法(吠え、掘り癖など)
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは陽気な性格ですが、適切なトレーニングや社会化が行われないと、吠えや掘り癖などの問題行動が出てしまうこともあります。これらの行動は、子犬期からの予防と、一貫した対処が非常に重要です。
吠え癖の予防と対処
- 原因の特定: 退屈、分離不安、要求吠え、警戒吠えなど、なぜ吠えているのか原因を特定しましょう。
- 運動と知的刺激: 運動不足や知的刺激の不足が原因の場合は、十分な運動と知育玩具などで欲求を満たしてあげましょう。
- 無視と肯定: 要求吠えの場合は、吠えている間は完全に無視し、吠え止んだ瞬間に褒めてご褒美を与えます。「吠えても良いことはない、静かにしていれば良いことがある」と学習させます。
- 環境の調整: 警戒吠えの場合は、窓からの視界を遮るなど、刺激を減らす工夫も有効です。
掘り癖の予防と対処
- 原因の特定: 退屈、ストレス、習性(獲物を探す、物を隠す)、涼しい場所を探すなど、掘る理由を考えましょう。
- 運動と遊び: 運動不足が原因の場合は、散歩時間を増やしたり、ボール遊びなどでエネルギーを発散させましょう。
- 掘っても良い場所を作る: 庭がある場合は、掘っても良いエリアを設け、そこに砂や土を入れ、おもちゃを隠すなどして、ストレス解消の場所を与えてあげましょう。
- しつけ: 掘っているのを見つけたら、「ダメ」と声をかけ、別の行動(おすわりなど)に誘導し、それができたら褒めるということを繰り返します。
問題行動は、犬からのSOSであることも少なくありません。根気強く、愛情を持って対処し、改善が見られない場合は専門のドッグトレーナーや獣医行動診療科に相談することも検討しましょう。
トイレトレーニングの成功の鍵
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのトイレトレーニングは、しつけの中でも特に重要な項目の一つです。賢く、飼い主を喜ばせたいという気持ちが強いため、正しい方法と一貫性を持って取り組めば必ず成功できます。
① トイレの場所を固定する
犬が落ち着いて用を足せる、静かで安心できる場所にトイレトレーとシートを設置し、場所を変えないようにしましょう。
中型犬のイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルにとって十分なサイズのトイレトレーを用意してください。
② 適切なタイミングで誘導する
- 起きがけ: 寝起きは尿意・便意があるため、すぐにトイレに連れて行きましょう。
- 食後: 食後数分〜20分以内に連れて行くのが効果的です。
- 遊びの後: 興奮した後は排泄しやすいため、遊びの区切りに連れて行きましょう。
- ケージから出した時: ケージ内で排泄を我慢していることがあるため、出したらすぐにトイレへ誘導しましょう。
③ 成功したら大いに褒める
トイレで成功したら、その場で大げさに褒め、ご褒美を与えましょう。犬は「ここで排泄すると良いことがある」と学習します。
おやつだけでなく、優しく撫でる、短い遊びをするなど、犬が喜ぶ報酬を用意しましょう。
④ 失敗しても叱らない
失敗した場合は、決して叱らないでください。叱ると犬は排泄自体を悪いことだと認識し、隠れて排泄したり、飼い主の見ていないところで粗相をするようになったりします。
黙って片付け、消臭スプレーなどで匂いを完全に消し去りましょう。
⑤ 日中のケージ(クレート)トレーニング
犬は自分の寝床を汚すことを嫌がる習性があります。日中、目を離す際はケージやクレートに入れておくことで、排泄を我慢することを覚えさせ、トイレシートで排泄するように誘導しやすくなります。
⑥ 根気強く、一貫して
トイレトレーニングは時間がかかることもありますが、飼い主が一貫した態度で根気強く続けることが成功の鍵です。家族全員で同じルールで接しましょう。
子犬のうちは失敗することもありますが、焦らず、褒めて伸ばすことを意識して取り組んでください。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルが注意したい病気と健康管理

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、比較的丈夫な犬種ですが、遺伝的な要因や犬種特有の性質から、いくつか注意しておきたい病気があります。
これらの病気を早期に発見し、適切に管理することで、愛犬が長く健康で快適な生活を送れるようサポートできます。
ここでは、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルに多い病気とその症状、予防策、そして日々の健康管理と獣医さんとの連携の重要性について詳しく解説します。
遺伝性疾患(股関節・肘関節形成不全、PRAなど)
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、遺伝的にいくつかの疾患を発症しやすい傾向があります。特に注意したいのが、大型犬に多く見られる股関節形成不全や肘関節形成不全といった整形外科疾患、そして進行性網膜萎縮症(PRA)などの眼疾患です。
- 股関節形成不全・肘関節形成不全: 関節が正常に形成されず、痛みや跛行(足を引きずる)を引き起こします。重症化すると関節炎に進行し、生涯にわたる管理が必要になることもあります。
- 症状: 立ち上がりにくい、散歩を嫌がる、階段の上り下りをためらう、腰を振るような歩き方をする、運動後に痛みが増すなど。
- 進行性網膜萎縮症(PRA): 網膜の細胞が徐々に変性し、最終的に視力を失う遺伝性疾患です。初期は夜盲症から始まり、徐々に進行します。
- 症状: 暗い場所で物にぶつかる、目の瞳孔が常に開いているように見える、視力低下により行動が慎重になるなど。
これらの遺伝性疾患は、信頼できるブリーダーから迎え入れる際に、親犬が遺伝子検査を受けているか確認することが最も確実な予防策です。
また、肥満は関節疾患の悪化を招くため、適切な体重管理が非常に重要です。愛犬に異変が見られたら、早期に獣医さんに相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
耳の病気(外耳炎、中耳炎など)
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その特徴的な垂れ耳が原因で、外耳炎や中耳炎などの耳の病気にかかりやすい犬種です。耳の中が密閉されやすく、通気性が悪いため、細菌や真菌が繁殖しやすい環境になってしまうのです。
- 外耳炎: 耳の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起きる病気です。
- 症状: 耳を頻繁に掻く、頭を振る、耳から悪臭がする、耳垢が増える、耳の赤みや腫れなど。
- 中耳炎: 外耳炎が悪化したり、他の感染症から波及したりして、鼓膜の奥にある中耳に炎症が起きる病気です。
- 症状: 外耳炎の症状に加え、顔の麻痺、めまいによるふらつき、食欲不振、痛みが激しい場合など。
予防と対策
- 定期的な耳の掃除: 週に1回程度、犬用の耳洗浄液を使って優しく耳の中を拭き取り、清潔に保ちましょう。
- 乾燥を保つ: シャンプー後や水遊び後は、耳の中をしっかりと乾燥させることが重要です。湿気が残ると細菌や真菌が繁殖しやすくなります。
- 通気性の確保: 耳周りの毛を定期的にトリミングして、通気性を良くすることも有効です。
- 早期発見・早期治療: 耳を痒がったり、頭を振る回数が増えたり、耳垢が増えるなどの異変に気づいたら、悪化する前にすぐに獣医さんに相談しましょう。
日々の丁寧な耳のケアが、耳の病気の予防には欠かせません。
皮膚疾患(アレルギー性皮膚炎など)
豊かな被毛を持つイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その被毛ゆえに皮膚疾患にかかりやすい傾向があります。特に「アレルギー性皮膚炎」や「膿皮症」「脂漏症」などがよく見られます。
- アレルギー性皮膚炎: 特定の環境アレルゲン(花粉、ハウスダスト、ダニなど)や食物アレルゲンに対する過剰な免疫反応によって引き起こされる慢性的な皮膚炎です。
- 症状: 強い痒み、皮膚の赤み、湿疹、フケ、脱毛など。体を掻きむしったり、舐めたりすることで、皮膚が二次感染を起こしやすくなります。
- 膿皮症: 皮膚のブドウ球菌などの細菌が異常増殖することで起こる細菌性皮膚炎です。
- 症状: 痒み、皮膚の赤み、膿疱(膿の入ったブツブツ)、かさぶた、脱毛など。アレルギー性皮膚炎の二次感染として併発することも多いです。
- 脂漏症: 皮膚の皮脂の分泌異常により、皮膚がべたついたり(脂性)、乾燥してフケが出たり(乾性)する疾患です。
- 症状: 皮膚のベタつき、体臭、フケ、皮膚の炎症など。
予防と対策
- 毎日のブラッシング: 死毛や汚れを取り除き、皮膚の通気性を保ちましょう。
- 適切なシャンプー: 犬の皮膚に合ったシャンプーを選び、定期的に洗い、しっかりと乾かしましょう。洗いすぎは皮膚を乾燥させる原因にもなります。
- アレルゲンの特定と対策: アレルギーが疑われる場合は、獣医さんと相談してアレルゲンを特定し、除去や軽減に努めましょう。
- ノミ・ダニ予防: 外部寄生虫も皮膚炎の原因となるため、通年で予防薬を投与しましょう。
- 栄養管理: 皮膚の健康をサポートする栄養素(オメガ3脂肪酸など)が含まれたフードやサプリメントも有効です。
- 早期治療: 痒がったり、皮膚に異常が見られたら、自己判断せずに早期に獣医さんに相談しましょう。
皮膚疾患は慢性化しやすい傾向があるため、日々のケアと早期発見が非常に重要です。
てんかんの発症リスクと対処法
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、他の犬種に比べててんかんの発症リスクがやや高いとされています。てんかんは脳の異常な電気的興奮によって引き起こされる神経疾患で、さまざまな種類の「発作」として現れます。
てんかんの主な症状(発作の種類)
- 全身性発作(大発作): 意識を失い、全身を硬直させたり、手足を激しく痙攣させたりします。泡を吹く、失禁、脱糞を伴うこともあります。数分で治まることが多いです。
- 部分発作(焦点性発作): 体の一部(顔や手足など)がピクピクと痙攣する、一点を見つめる、口をパクパクさせる、異常な行動(異常な徘徊、攻撃的になるなど)を示すなど、意識を失わないこともあります。
発作時の対処法
- 安全確保: 犬が発作を起こしたら、まずは周囲の危険物(家具の角など)を取り除き、犬が怪我をしないように安全を確保してください。
- 落ち着いて見守る: 無理に体を抑えたり、口の中に手を入れたりしないでください。犬は意識がなく、噛まれる危険があります。
- 時間を記録: 発作の持続時間、発作中の様子(痙攣の程度、意識の有無など)を記録しておくと、獣医さんの診断に役立ちます。
- 獣医に連絡: 発作が治まったら、速やかに獣医さんに連絡し、指示を仰ぎましょう。初回の発作の場合は、必ず診察を受けてください。
予防と管理
遺伝的要因が大きいため、完全に予防することは難しいですが、ストレスを軽減し、規則正しい生活を送らせることが大切です。
てんかんと診断された場合は、獣医さんの指示に従い、抗てんかん薬を継続的に投与することで、発作の頻度や重症度をコントロールできます。自己判断で投薬を中断しないでください。
てんかんは飼い主にとって非常に心配な病気ですが、適切な知識と対処法を知ることで、愛犬をサポートできます。
その他注意したい病気と予防策
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、前述の遺伝性疾患や耳・皮膚の病気、てんかんに加えて、いくつかの病気にも注意が必要です。
これらの病気を理解し、適切な予防策を講じることで、愛犬の健康リスクを軽減できます。
眼疾患
白内障: 加齢とともに発症することが多いですが、若年性白内障の場合もあります。目の水晶体が白く濁り、視力が低下します。
緑内障: 眼圧が上昇し、視神経が圧迫されることで、視力低下や失明に至る可能性のある緊急性の高い病気です。目の充血や痛み、瞳孔の散大などが見られます。
心臓病
僧帽弁閉鎖不全症: 小型犬に多いですが、中型犬でも発症することがあります。心臓の弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流することで心臓に負担がかかります。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気で、活動性の低下、体重増加、脱毛、皮膚の乾燥などの症状が見られます。診断には血液検査が必要です。
胃拡張捻転症候群
大型犬に多い緊急性の高い病気ですが、中型犬でもリスクがあります。食後に胃がねじれることで、血液循環が悪くなり、命に関わる状態になります。食後の激しい運動を避ける、食事を少量ずつ複数回に分けるなどの予防策が重要です。
一般的な予防策
- 定期的な健康診断: 定期的な獣医さんによる健康チェックは、これらの病気の早期発見に繋がります。
- 適切な体重管理と食事: 肥満は多くの病気のリスクを高めます。
- ストレス軽減: ストレスは免疫力を低下させ、病気への抵抗力を弱めます。
- 遺伝子検査: 迎え入れる前に、遺伝性疾患のリスクを評価するために遺伝子検査を受けているブリーダーを選ぶことも有効です。
これらの病気について知識を持つことで、愛犬の異変にいち早く気づき、適切な対応を取ることができます。
定期的な健康チェックと獣医との連携
愛犬のイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルが健康で長生きするためには、定期的な健康チェックと獣医さんとの密な連携が欠かせません。
日々の飼い主さんによる観察と、専門家による定期的な検査を組み合わせることで、病気の早期発見・早期治療に繋がり、結果的に愛犬の負担を減らすことができます。
自宅での日々(週)の健康チェック
- 食欲・飲水量: いつもと比べて食欲がない、水を飲む量が変わったなど。
- 排泄物: 尿や便の色、形、量、回数に異常はないか。
- 体重: 定期的に体重を測り、急激な増減がないか確認しましょう。
- 体全体: 撫でながらしこりや腫れがないか、皮膚の赤みや脱毛がないか、耳や目の異常がないかなどをチェックします。
- 歯と歯茎: 口臭、歯石、歯茎の腫れや出血がないか確認しましょう。
- 行動: 元気がない、歩き方がおかしい、特定の場所を気にするなど、普段と違う行動がないか。
獣医さんによる定期検診
- 年に1回: 健康な成犬でも、年に1回は獣医さんによる健康診断(身体検査、血液検査、尿検査など)を受けましょう。
- 高齢犬の場合: 8歳以上のシニア犬は、半年に1回程度の検診が推奨されます。
- ワクチン接種・フィラリア予防・ノミダニ予防: これらは病気から愛犬を守るための重要な予防策であり、獣医さんの指示に従って定期的に行いましょう。
日々の観察で異変に気づいたら、どんな些細なことでもかかりつけの獣医さんに相談することが大切です。
かかりつけの獣医さんと信頼関係を築き、愛犬の健康状態を共有することで、より的確なアドバイスや治療を受けることができます。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのライフステージ別ケア

イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その一生を通して、成長段階に応じた異なるケアが必要です。
子犬期、成犬期、そして老犬期というそれぞれのライフステージにおいて、身体的・精神的な変化に適した食事、運動、健康管理を行うことで、愛犬が快適に、そして幸せに過ごせるようサポートできます。
ここでは、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの各ライフステージにおけるケアのポイントを詳しく解説します。
子犬期(~1歳):心身の発達をサポートするケア
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの子犬期(生後約1歳まで)は、心身ともに最も急速に成長する時期であり、特別なケアが必要です。この時期の過ごし方が、その後の犬生に大きく影響します。
社会化の徹底
生後3週齢〜12週齢頃の「社会化期」は特に重要です。人、犬、さまざまな音や環境に積極的に触れさせ、ポジティブな経験を積ませましょう。
パピークラスへの参加は、社会化と基本的なしつけを学ぶのに非常に有効です。
栄養管理
子犬用の高品質なフードを、1日に3〜4回に分けて与えましょう。急速な成長をサポートするための適切な栄養バランスが必要です。
骨や関節に負担をかけないよう、過剰な栄養摂取による急激な体重増加には注意が必要です。
運動
成長期の骨や関節はデリケートなため、激しい運動は避けましょう。短い散歩や室内での遊びを中心に、体を動かす機会を与えます。獣医さんと相談しながら、適切な運動量を調整してください。
しつけとトレーニング
トイレトレーニング、甘噛み、飛びつきなどの基本的なしつけを根気強く行いましょう。褒めて伸ばすポジティブトレーニングを徹底し、飼い主との信頼関係を築きます。
健康管理
混合ワクチン接種、狂犬病予防接種、フィラリア予防、ノミダニ予防を獣医さんの指示に従って行いましょう。
子犬特有の病気(パルボウイルス感染症など)にも注意し、異変があればすぐに獣医さんに相談してください。
子犬期にしっかりとした土台を作ることで、健康的で社会性のある成犬へと成長します。
成犬期(1歳~8歳):活発な時期の健康維持
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの成犬期(約1歳〜8歳)は、体が最も活動的で体力もある時期です。この時期の適切なケアは、病気の予防と健康維持に繋がります。
運動
毎日十分な運動量を確保することが不可欠です。1日2回、各45分〜1時間以上の散歩に加え、ドッグランや水遊びなどで思い切り体を動かす機会を与えましょう。
十分な運動は、肥満防止だけでなく、ストレス解消や問題行動の予防にも繋がります。
食事
成犬用の総合栄養食を、愛犬の活動量や体質に合わせて適切な量を与えましょう。肥満にならないよう、体重管理は常に意識してください。関節の健康をサポートする成分を含むフードを選ぶのも良いでしょう。
しつけと脳の活性化
基本的なしつけを継続し、必要に応じて新しい芸を教えたり、知育玩具を与えたりして、脳の活性化を促しましょう。アジリティなどのドッグスポーツに挑戦するのも、心身の健康維持に役立ちます。
定期的な健康チェック
年に1回の健康診断は欠かさず受けましょう。血液検査や尿検査、身体検査などを通して、病気の早期発見に努めます。皮膚や被毛、耳、歯、爪などの日々のケアも継続し、異常がないかチェックしましょう。
予防医療
フィラリア予防、ノミダニ予防、狂犬病予防接種、混合ワクチン接種を定期的に行いましょう。成犬期は、愛犬との絆を深め、共に様々な活動を楽しめる充実した時期です。適切なケアを続けることで、健康で幸せな日々を送ることができます。
老犬期(9歳~):シニア期の生活と介護
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、一般的に9歳頃から老犬期に入るとされています。この時期になると、体力や代謝機能が低下し、様々な体の変化や病気のリスクが高まるため、シニア期に合わせた特別なケアと介護が必要になります。
食事
運動量が減り、代謝が落ちるため、シニア犬用の低カロリーで消化しやすいフードに切り替えましょう。
関節や腎臓、心臓の健康に配慮した療法食が必要になる場合もありますので、獣医さんと相談して選びましょう。
食欲が落ちた場合は、温めたり、ウェットフードを混ぜたりするなど、嗜好性を高める工夫も有効です。
運動
散歩の回数や時間は減らさず、距離を短くしたり、歩くスピードをゆっくりにしたりするなど、愛犬の体力に合わせて調整しましょう。無理のない範囲で体を動かすことが大切です。関節に負担の少ない水泳などもおすすめです。
住環境の整備
滑りやすい床にはマットを敷く、段差をなくす、階段にスロープを設置するなど、転倒防止や足腰への負担軽減のための工夫が必要です。寝床は体が冷えないよう、クッション性のある暖かいものを用意しましょう。
健康管理と定期検診
病気の早期発見・早期治療のため、半年に1回は獣医さんによる健康診断を受けましょう。
関節炎による痛みの管理、視力や聴力の低下、認知機能の低下など、老犬特有の症状に注意し、獣医さんと連携して適切なケアを行います。
排泄の失敗が増えることもありますので、排泄補助や清潔を保つケアも必要になります。
心のケア
視力や聴力が衰えることで不安を感じやすくなるため、これまで以上に優しく接し、安心させてあげましょう。コミュニケーションを密にとり、アイコンタクトや声かけを大切にしてください。
老犬期は、愛犬のペースに寄り添い、体と心の両面からきめ細やかなケアを行うことが、彼らが最期まで穏やかに過ごすために非常に重要です。
まとめ:イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルとの楽しい毎日を送るために
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その優しく賢い性格と美しい外見で、世界中の人々を魅了し続ける素晴らしい犬種です。彼らは家族の一員として深い愛情を注ぎ、共に過ごす時間すべてを輝かしいものにしてくれるでしょう。
しかし、その愛情深い性格ゆえに、飼い主には大きな責任が伴います。十分な運動量の確保、適切な食事と栄養管理、そして何よりも一貫した愛情深いしつけと社会化は、彼らが心身ともに健康で幸せに暮らすために不可欠です。また、遺伝的に注意すべき病気や、各ライフステージに応じたケアの知識を持つことで、愛犬の小さな変化にも気づき、適切なサポートを提供できます。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルとの生活は、喜びや感動に満ちたものです。日々のケアを怠らず、愛犬とのコミュニケーションを大切にすることで、互いに信頼し合い、かけがえのないパートナーシップを築けるでしょう。この記事が、これからイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを迎えたいと願う方々、そしてすでに共に暮らしている飼い主の皆さまにとって、愛犬との「楽しい毎日」をより豊かにするための助けとなれば幸いです。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの理解度チェック
この記事の執筆者
nademo編集部
編集部
「いつまでも どこまでも」必要な情報を理解するだけではなく、心もお腹も満たされるような日々のために。
&nademo(アンドナデモ)のコンセプトをもとに、飼い主さんとペットが安堵できる時間を演出します。
※ 当コンテンツで紹介する商品は、実際に社内で利用した経験と、ECサイトにおける売れ筋商品・口コミ・商品情報等を基にして、nademo編集部が独自にまとめています。
※ 本記事はnademoが独自に制作しており、メーカー等から商品提供を受けることもありますが、記事内容や紹介する商品の意思決定には一切関与していません。
※ 記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部がnademoに還元されることがあります。
※ 監修者は掲載情報についての監修のみを行っており、掲載している商品の選定はnademo編集部で行っております。
※ 掲載している商品の順番に意図はなく、掲載の順番によってランク付けしているものではありません。