犬の病気・健康

【獣医師監修】犬の治療費は実際いくらかかる?手術や入院の費用感

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もし、愛犬が病気やケガをしてしまったら、迷わず治療するという人が多いのではないでしょうか。

しかし、その治療費が100万円以上になったとしたら、金銭的な負担が大きく躊躇してしまう人も少なからずいるはず。

年々、犬猫の治療費は上がってきており、必要不可欠ともいえる出費は大きくなってしまいます。

事前に備えておくためにも、犬の治療費相場や高くなってしまう理由を詳しくまとめました。

この記事の結論

  • 動物病院でかかる医療費は月平均で4,500円前後
  • 犬には人間のような医療制度がなく、専門性も高いことから治療費が高額になる傾向に
  • 犬の病気やケガの内容によっては、治療費が20万円を超えるものもある
  • ペット保険に加入することで、急な高額治療費の負担を軽減できることも

監修者

今井 愛

今井 愛

獣医師、登録販売者

獣医師のほか、登録販売者、薬膳・漢方検定の資格を保有。
動物病院やペットオーナー向けのセミナーや相談会の経験を活かし、愛犬や愛猫との暮らしをサポートをするため株式会社を設立。

担当執筆者

nademo編集部

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編集部

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犬の生涯必要経費は約250万円

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まずは犬を飼うことで必要となってくる、一生涯に必要な経費について確認してみましょう。

ペットフード協会の令和5年 全国犬猫飼育実態調査によると、2023年の生涯経費は全犬種平均で2,446,068円となっています。

前年は約250万円なので、約6万円の減少ということがわかります。

5年前の2018年と比べてみれば一目瞭然で、約180万円から約60万円も増加しているということです。

全種平均で約250万円

サイズ生涯経費
超小型2,554,012円
小型2,382,200円
大型+中型2,559,186円
出典:ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」

調査する年度によっても異なるものの、最新の2023年調査ではどのサイズの犬種でも約250万円。

年度によっては中・大型犬のみ、約300万円という年もありましたが、最低でも約250万円程度はかかってくるのだと理解しておく必要があります。

平均寿命も人間同様に少しずつ伸びてきているので、そうした背景もあって増加傾向にあります。

獣医にかかる医療費は5年前から月1,300円増

医療費/月平均
2018年3,642円
2019年3,951円
2020年4,343円
2021年4,713円
2022年4,653円
2023年4,284円
出典:ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」

医療費だけで月平均を見ていくと、2017年時点では3,335円です。

これが2023年になると、月平均で4,284円。5年で月平均600円ほど増えているのがわかります。

年間の負担で計算してみると、5年前から年間7,000円ほどが負担増となっています。

実は、同時にフードも5年前から月平均1,000円ほど増えており、愛犬にかける経費はとても増えていることがわかります。

犬の保険代はほぼ変わらず

保険代/月平均
2018年2,832円
2019年3,250円
2020年2,892円
2021年3,190円
2022年2,885円
2023年2,966円
出典:ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」

対して保険代はどうでしょう。5年前と比べて、約200円ほどが増えています。

保険代は補償内容や補償割合、加入する際の健康状態や年齢によって変わるため、一般的には大きな変動はありません。

高額になりがちな治療費を、ペット保険でカバーしようとする人も増えていくのではと考えられます。

ペット保険への加入者自体は増加傾向にあると言われており、愛犬の年齢が上がるにつれて保険料も上がる傾向にあることを覚えておきましょう。

犬の治療費が高くなる理由

なぜ犬の治療費はここまで高くなってきているのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

ペットの医療には、人間のような公的医療保険制度がないことや、独占禁止法によって獣医師団体が基準料金を決めることのできない現状があるためです。

犬には公的な医療制度・保険がない

人間には毎月支払っている国民健康保険や社会保険など、公的な医療制度・保険があります。

そのため病気やケガで治療を受けたとき、保険証を提示すれば実際に負担するのは3割のみ。

あくまで毎月の積立のような感覚ではありますが、保険適用であれば全額を負担することはありません。

しかし、動物病院ではこうした医療制度がなく、自由診療という扱いになります。

仮に病気やケガの治療を受けたとしたら、支払う金額は全額が飼い主さん負担となります。

治療の専門性が高くなってきている

治療できる病気やケガは医療技術の進歩とともに増えており、治療できる分野は広くなってきています。

しかし、難易度の高い病気やケガを治療する場合は専門性が高くなるため、治療費も高くなる傾向にあります。

治療費は動物病院ごとに異なる

動物病院で受ける治療費は、病院ごとに異なります。

それはなぜか。独占禁止法により、診療料金を獣医師団体が決定したり、獣医師同士が協定して設定することが禁止されているためです。

動物病院ごとに料金を設定し、競争できる体制を維持することが求められています。(参考:日本獣医師会「獣医師の診療料金」

高くなってしまう病院もあれば、安く済ませられる病院もある、ということですね。

犬の治療費目安

内容平均値中央値
初診料1,468円1,500円
再診料802円750円
往診料2,669円2,500円
時間外診療(平日)3,087円2,500円
時間外診療(休診日)3,507円2,500円
時間外診療(深夜)6,123円6,250円
入院料(犬/小型)3,721円2,500円
入院料(犬/中型)3,847円4,000円
入院料(犬/大型)4,899円4,000円
入院料(犬/特大)5,761円6,250円
入院料(ICU)5,210円4,000円
診断書2,176円2,500円
狂犬鑑定書3,409円2,500円
狂犬病予防接種3,370円4,000円
犬混合ワクチン(5種・6種)6,509円6,250円
犬混合ワクチン(8種・9種・10種)7,855円8,750円
輸血料(犬)15,260円11,250円
犬去勢(麻酔料除く)21,340円17,500円
犬避妊(卵巣切除、麻酔料除く)31,639円27,500円
犬避妊(卵巣子宮切除、麻酔料除く)32,583円27,500円
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査結果(令和3年度)」

全て犬のみの金額というわけではありませんが、日本獣医師会の令和3年度調査によると、上記の費用感となっています。

犬のみとなる入院料はサイズ別に分けられており、平均値では小型の3,721円から特大の5,761円です。

他にもワクチンや去勢・避妊など、全国で調査された平均値と中央値がまとめられています。

犬の病気別治療費

傷病名平均値中央値
外耳炎39,782円10,778円
弁膜症(べんまくしょう)225,810円69,876円
嘔吐下痢、血便36,198円8,748円
胃炎、胃腸炎、腸炎38,920円9,276円
皮膚炎49,689円9,667円
膿皮症、細菌性皮膚炎51,986円11,101円
慢性腎臓病243,339円53,586円
アレルギー性皮膚炎96,850円22,356円
アトピー性皮膚炎123,723円32,867円
てんかん154,723円50,436円
椎間板ヘルニア129,643円16,956円
歯周病、歯肉炎86,398円33,264円
膀胱炎51,697円13,620円
細菌性外耳炎34,432円9,504円
膵炎203,186円56,700円
胆泥症(たんでいしょう)156,053円46,278円
歩行異常、跛行、四肢の痛み34,020円7,668円
外傷23,281円5,400円
元気喪失45,390円11,496円
結膜炎22,883円6,372円
出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2019」

アニコムの2019年調査では、犬の保険の請求理由として多い病気が順番に並んでいます。

件数としては原因不明の外耳炎がもっとも多く、弁膜症や嘔吐・下痢・血便などが続きます。

年間の治療費(平均値)が20万円を超えているものもあり、病気やケガの内容によっては大きな金額がかかることを覚悟しなければいけません。

愛犬の高額治療に備えるならペット保険

年々、飼い主さんの負担が増えてきている愛犬の治療費。少しでも余裕を持って、いざとなったときに治療したいですよね。

そこで検討したいのがペット保険です。

ペット保険は人間の保険制度のように毎月定額を支払い、急な病気やケガで治療費がかかった場合に、申請すれば保険金が支払われるという仕組みのもの。

数千円程度ならば耐えられることも多いものの、いざ数百万円という治療費が必要になったとき、精神的にも金銭的にも余裕が生まれます。

いつ来るかわからない愛犬の病気やケガ。備えられるときに備えておく、というのが良いでしょう。

想定していない高額出費を防げる

ペット保険に加入するのではなく、急な出費に備えて貯金をしておく、というのでも問題ありません。

しかし、貯金額を超えるような治療費や、継続的な治療が必要になった場合などは負担が大きくなってしまいます。

愛犬になにかあったときは飼い主さんにも余裕がない状態です。ペット保険と貯金のメリット・デメリットをそれぞれ考えた上で選択することが必要です。

愛犬にとって最善の治療を選びやすくなる

病気やケガに備えて貯金をしていても、想定していなかった費用がかかることもあります。

事前にどれくらいの治療費がかかるのかは教えてもらえますが、状況によってはその判断を瞬時に行わなければいけないことも。

「お金がないから治療の選択ができない」とならないよう、ペット保険で備えておくことも一つの選択肢です。

愛犬に関する健康の疑問を相談できるサポートも

全社で用意されているものではありませんが、それぞれのペット保険に異なる特徴があります。

そのひとつとして多く見られるものが、愛犬の健康に関することを無料で相談することができる、という窓口の設置です。

ちょっとした疑問や不安があると動物病院へ行って獣医師に相談する、というのが一般的です。

ですが、もしペット保険に加入しており、相談窓口が設置していれば、無料で相談することが可能となっています。

こうしたサポートや特典などは各社が独自に設定しているものなので、ペット保険を選ぶ際のひとつの基準にもなるでしょう。

犬のペット保険の注意点

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ペット保険にもメリット同様にデメリットもあります。

加入に際しては注意しなければいけないポイントをまとめましたので、加入前に必ずチェックしておきましょう。

年齢制限がある

ペット保険の年齢制限

ペット保険も人間の生命保険などと同様に、年齢によっては加入しづらくなることがあります。

一般的に新規での加入はシニア期となっている10歳ほどまでで、それ以降の新規での加入は難しいと判断されることも。

また、健康状態や持病持ちの場合も、新規での加入が難しくなったり、保険料が高くなるということもあります。

ペット保険が必要だと判断したら、早いうちから加入しておくことが推奨されます。

また、基本的には終身まで継続可能な保険会社がほとんどですが、ごくまれに継続可能な年齢の上限を設けている保険会社もありますので、加入の際にはしっかり調べておきましょう。

治療費の全額が必ず補償されるわけではない

治療費補償割合保険金自己負担
50,000円50%25,000円25,000円
50,000円70%35,000円15,000円
補償割合における自己負担の違い

ペット保険に加入したからといって、治療費の全額が必ず補償されるというわけではありません。

ペット保険の補償割合は大半が50%もしくは70%となっており、毎月支払う保険料によって異なります。

仮に治療費が5万円だとしたら、補償割合50%で保険金は2.5万円。自己負担は残りの2.5万円となります。

補償割合100%のペット保険もありますが、保険料が高くなりやすいため、しっかりと説明を聞いて加入するのが良いでしょう。

ペット保険は掛け捨て型が基本

貯蓄と掛け捨ての違い

保険の種類には貯蓄型や掛け捨て型があり、ペット保険の大半は掛け捨て型となっています

貯蓄型では支払った保険料の一部が貯蓄となり、途中で解約しても貯蓄分だけが戻ってきます。

ただ貯蓄分も支払うため、保険料は高くなりがち。

対して、掛け捨て型は解約時に戻ってくるお金はありません。その分、保険料は貯蓄型に比べて安くなります。

掛け捨て型では、保険料を支払いながら貯蓄するということはできませんが、個人で別途貯蓄しておけば問題ないでしょう。

予防接種や先天性疾患などは補償対象外

ペット保険の補償範囲となるのは、原則としてペット保険加入後の病気やケガとなっています。

また、健康体に対する治療は範囲外となっていることが多く、ワクチン接種や去勢・避妊手術は対象外です。

生まれたときからの持病や先天性疾患なども対象外となりますので、加入前に補償内容をしっかり確認しておきましょう。

ワクチンで予防できるものは補償対象外

ワクチン接種が義務付けられている狂犬病ワクチンとは別に、今では混合ワクチンが用意されています。

混合ワクチンを接種することで、「犬伝染性肝炎、犬ジステンパーウイルス感染症、犬パルボウイルス感染症、犬パラインフルエンザ感染症」などを予防することができます。(※ワクチンの種類によります。)

そのため、これらのワクチン接種を行っておけば予防できる病気に関しては、仮にこうした病気で動物病院を受診することになっても「補償対象外」という扱いになります。

ただし、ワクチンによる予防効果が続く期間(有効期間)内に発症した場合、補償対象となるペット保険もあります。

犬のペット保険で特に注意したい補償の対象と対象外

ペット保険は年々利用する人も増えていますが、しっかり確認しないと活用できない場面も。

「ペット保険に加入すれば、いざというときの備えとなる」ことは間違いありませんが、補償割合や補償対象によっては意図しない結果になることもあります。

1日の上限金額や免責金額・免責事由については金額で記載されているためわかりやすいですが、補償対象については確認が必要な場合もあります。

「払ってもらえると思ってたのに、保険金が下りない」というトラブルにつながる可能性もあるので、ペット保険加入前にきっちり確認しておきましょう。

“思っている以上に払ってもらえる条件が厳しい”ということも理解し、保険料を払って加入すべきかをよく検討すべきポイントにもなっています。

愛犬のいざに備えて事前対策をすべき

ペット保険は愛犬のいざに備えて、事前に加入しておくものです。なにかあってから加入する、というのでは補償されません。

愛犬自身に何かあったときの備えとしても利用できますし、保険内容によっては、愛犬が誰かを傷つけてしまったり何かを壊してしまったというときにも利用できます。

毎月保険料を支払わなければいけないというデメリットはあるものの、補償範囲や補償内容次第では必要だと思える人も多いのではないでしょうか。

必ずしも加入するものではありませんが、愛犬の万が一に備えるならばペット保険への加入を検討しておきましょう。

今井 愛

今井 愛

我が家もペット保険に加入していますが、大切なのはきちんと納得してから加入すること。

今では保険の種類もたくさんあるので、いざという時の備えとして検討してみてくださいね♪

この記事の執筆者・監修者

監修者情報

今井 愛

今井 愛

獣医師、登録販売者

先代犬・柴犬との介護生活でごはんの大切さを痛感し、食事管理を勉強するためペットフード会社に2年間勤務。
獣医師のほか、登録販売者、薬膳・漢方検定の資格を保有。
動物病院やペットオーナー向けのセミナーや相談会の経験を活かし、愛犬や愛猫との暮らしをサポートをするため株式会社を設立。
現在は、おてんばなキャバリアと生活中。
Instagram「まいにちごはん」では、楽しく”健康に”過ごすためのごはん情報をお届けしています♪

執筆者情報

nademo編集部

nademo編集部

編集部

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&nademo(アンドナデモ)のコンセプトをもとに、飼い主さんとペットが安堵できる時間を演出します。

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