人間同様に、犬も歯周病をはじめとする口腔内の病気にかかる動物です。そのため、犬であろうとも歯磨きは必要です。
ですが、現時点で愛犬の歯磨きができていない飼い主さんや、犬用の歯磨きの基本的なやり方がわからないという人もいるはず。
歯磨きに伴い犬用の歯磨きグッズも多数販売されていますが、歯磨きはいつ頃から始めるべきなのか、そもそも子犬に歯磨きは必要なのか気になる飼い主さんも多いでしょう。
本記事では、子犬の歯磨き開始の時期や方法について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の結論
- 子犬でも歯磨きは必要であり、歯磨きは子犬期から行っておいた方が良い
- 歯磨きをしないまま育つと、いざしようというときに極端に嫌がる可能性がある
- 子犬の歯磨きは生後3週間頃からスタートして慣れてもらう
- 歯磨きはできれば毎日、少なくとも週2~3回のペースで行う
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目次
子犬の歯磨きの開始時期と頻度
犬にとって歯磨きが重要なことは分かったけれど、どのくらいの時期から始めればいいのか気になる人も多いでしょう。
ここでは、子犬の歯磨きを開始する時期や頻度について解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
乳歯が生える生後3週間頃から始める
子犬の歯磨きを始める時期は、乳歯が生えてくる生後3週間頃から生後2~3か月頃までの間にスタートしましょう。
子犬の歯磨きはブラシで汚れを落とすことよりも、歯磨きに慣れさせるといった意味合いが強いです。
大人になるにつれてどうしても警戒心が強くなりますが、子犬のうちはさまざまな物事を受け入れやすい「社会化期」と呼ばれる時期でもあります。
永久歯が生え揃う1歳前後までを目標に、歯磨きの習慣化を目指しましょう。
歯磨きはできるだけ毎日行う
人間の場合は毎日食後に歯磨きを行うと思いますが、基本的には人間同様に愛犬の歯磨きも毎日行うのが理想です。
子犬の歯磨きでの一番の目的は、歯磨きに慣れさせること。慣れるまでにはそれなりに時間がかかることが多いので、毎日ほんの少しでも歯磨きに挑戦することで習慣化に繋がります。
ですが、無理強いをして「歯磨きは嫌なもの」と覚えさせてしまうと本末転倒です。
嫌がるようであれば中断し、愛犬・飼い主さん双方がリラックスした状態で行えるのがベストです。
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子犬期から歯磨きをするべき理由
幼い子犬はまだ歯石や口臭といった口腔内トラブルはほとんどありません。
ですが、汚れを放置するとその後、歯石や歯周病などのトラブルを引き起こす可能性があります。
そしてなにより、子犬のうちから歯磨きに慣れさせておかないと、成犬になった際に歯磨きを嫌がり慣れさせることが非常に大変になります。
子犬のうちから歯磨きを練習し、永久歯に生え変わるまでに習慣化させることを目標としましょう。
歯磨きをしないと歯周病になりやすくなる
歯磨きを怠ると歯周病になる確率が上がります。犬は虫歯にはなりにくいですが、歯周病にはかかりやすいといわれています。
成犬の8割が歯周病にかかっているといわれるほど、犬にとって歯周病は身近な病気です。
ペットとして人間と暮らす犬の主食は、ほとんどの場合ドッグフード。そのフードの食べかすが口の中に残ることで、歯垢が歯石に変わります。
そのスピードは人間の約5倍といわれており、3~5日ほどで歯垢が歯石へと変化してしまうのです。
人間の場合は歯石除去はそれほど大掛かりな治療ではありませんが、犬の場合は全身麻酔をしたうえで歯石の除去を行う必要があり、身体に大きな負担がかかります。
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歯周病はさまざまな症状を引き起こす
歯周病とは細菌に感染することで、歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気のことです。
毎日の食事によって細菌の塊でもある歯垢が溜まっていくと、歯ぐきに炎症が起きてしまいます。
歯周病は以下のような段階を経て進行します。
歯肉炎 | 歯肉が赤く腫れる |
歯周炎 | 歯肉が炎症を起こす |
歯槽膿漏 | 歯を支える骨が破壊されて歯がぐらつく |
歯根膿瘍 | 歯根の部分に膿が溜まってしまう |
さらに病状が進行すると鼻炎や顎下の骨折といった症状が出たり、歯周病菌が血流とともに運ばれることで心臓・肝臓といった臓器に関わる合併症を引き起こすことも。
歯周病は口腔内の症状にとどまらず、犬の身体全体の健康を脅かす病気なのです。
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歯周病の治療にかかるおおよその費用
日本では歯の治療があまり深刻に考えられていませんが、治療にはそれなりの費用がかかります。
傷病名 | 中央値 | 平均値 |
---|---|---|
歯周病/歯肉炎 | 50,450円 | 61,547円 |
犬が歯磨き中にじっとしてくれるわけでもないので、歯周病や歯肉炎を完全に予防することは難しいものです。
しかし毎日、少しずつでも歯磨きをしているケースと、全く歯磨きをしていないケースでは、歯周病になりやすさが全く違うこともわかるでしょう。
もし、抜歯が必要なほど症状が進行している場合は、さらに高額な治療費を請求される可能性もあります。
できる限り日々の歯磨きで予防しつつ、いざという出費に備えてペット保険への加入も検討するのも良いでしょう。
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子犬の歯磨きの手順
「歯磨き=楽しい」と覚えてもらえるよう、焦らず愛犬のペースに合せて行うことがポイントです。
途中でおやつを与え、たくさん褒めてあげながら行いましょう。順を追って少しずつ挑戦してみてくださいね。
ステップ1. 口周りを触る
いきなり口を触るのではなく、優しく声をかけたり名前を呼びながら顔周りを撫でて警戒心をほぐしてあげましょう。
顔を触らせてくれたらご褒美のおやつを与え、次は口周りに触れてみます。
ここでも嫌がらなければ、またご褒美を与えて褒めてあげてくださいね。
ステップ2. 口の中や歯を触る
口周りに触れることができたら、次は口の中や歯を触ってみます。
まずは触りやすい前歯からスタートし、慣れてきたら奥歯に移動します。
「いい子だね、上手だね」と声を掛けながら唇をめくり、歯を軽く撫でて触らせてくれたらご褒美のおやつをあげましょう。歯磨きペーストを使用するのもおすすめ。
子犬の乳歯は尖っているのでケガをしないように十分に注意してください。
ステップ3. 歯磨きシートなどで歯を磨く
次に、歯磨きシートを使って歯を拭く練習をしてみましょう。歯磨きシートがない場合はガーゼで代用してもOKです。
指にシートを巻き付け、歯に優しく触れてみます。この時点では拭かずに触れるだけで大丈夫です。
シートで触れられることに慣れてきたら、優しく歯を拭いてみましょう。
シートで拭けるようになれば、歯の表面についた汚れを落とすことができますよ。
ステップ4. 歯ブラシに慣れさせる
シートで歯を拭けるようになったら、歯ブラシの出番です。とはいっても、最初から歯ブラシで磨く必要はありません。
歯ブラシを見せながらおやつを与えたり、口元に優しく歯ブラシを当てたりして「怖いものではないよ」と教えてあげましょう。
歯ブラシに歯磨きペーストを付けて舐めさせてあげるのもおすすめです。
歯ブラシを嫌がらなければおやつを与え、たっぷり褒めてあげましょう。
ステップ5. 歯ブラシで歯を磨く
歯ブラシへの警戒心が溶けたら、いよいよ歯ブラシで歯を磨きます。
歯ブラシを45度の角度であて、磨きやすい前歯からスタートしましょう。
前歯を磨かせてくれたらおやつをあげます。続いて奥歯に向かって優しく歯を磨き、ここでもしっかり褒めながらご褒美をあげてくださいね。
特に奥歯は最初のうち、嫌がる子が多いです。無理強いはせずに1か所磨けたらご褒美を与えましょう。
愛犬のペースに合わせて根気強く慣れさせることが、歯磨きを習慣化させるポイントになります。
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子犬が歯磨きを嫌がる場合の対処法や注意点
子犬が歯磨きを嫌がる場合の対処法をご紹介します。
歯磨きは愛犬の健康にとって非常に重要なため、うまくできないと不安になってしまいますよね。
ですが、怖い思い・嫌な思いをさせてしまっては逆効果です。
決して無理強いはせず、愛犬のペースに合わせて歯磨きの練習をしていきましょう。
きちんとステップを踏んで少しずつ進める
先ほどご紹介したように、歯磨きはいきなり歯ブラシから始めて嫌がらない、というものではありません。
歯磨き中は口周りに触れることになりますし、歯ブラシ自体を不快に感じ、口の中に入ってくるのを嫌がるのは当然とも言えるでしょう。
初めから歯ブラシでキレイに磨けるものではありませんので、ひとつずつステップを踏みながら丁寧に進めてみましょう。
最初は歯磨きがきちんとできずに悩んでしまうこともあるかもしれませんが、ひとつずつ慣れてもらうことが子犬期は特に重要です。
歯磨き時間を短くしてみる
歯磨きをしている間は身動きをとることができなくなってしまうため、元気な子は特に歯磨き時間を嫌がりやすいです。
歯磨きを嫌がる場合は、1回の歯磨きの時間を短くしてみるのもおすすめです。
たとえ短時間であったとしても毎日コツコツと続けることで、少しずつ歯磨きに慣れてくれるでしょう。
「きちんと時間をかけて磨かないと汚れが落ちないのでは……」と心配になるかと思いますが、なによりもまずは歯磨きに慣れてもらい、警戒心を解くことが重要です。
嫌がる場合は無理に続けない
「歯磨き=嫌なこと、怖いこと」というイメージを与えてしまうと、その後もずっと歯磨きを嫌がるようになってしまいます。
完全に歯磨きが嫌いになってしまい、一切磨かせてくれなくなってしまっては本末転倒です。
トラウマを植え付けてしまわないよう、ゆっくり焦らずに歯磨きの練習をしていきましょう。
おやつを与えながら行う
歯磨きの練習は、ご褒美のおやつを与えながら行いましょう。
「せっかく歯を磨いているのに、おやつをあげたらまた汚れてしまうのでは?」と気になりますが、最初は心配いりません。
子犬の歯磨きの目的はあくまでも、歯磨きそのものに慣れてもらうことです。
歯磨きは楽しいことだと愛犬に覚えてもらえれば、おやつがなくても歯磨きができるようになり、成犬になったあともケアがぐっとラクになるでしょう。
どうしても気になる場合は、デンタルケアができるおやつを与えるのがおすすめです。
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動物病院に相談してみる
どうしても歯磨きを嫌がってしまい手に負えない場合には、動物病院に相談するという方法も。
歯磨き指導を行ってくれたり、歯磨き外来がある病院もあります。
歯磨きは愛犬の健康を維持するうえで、非常に重要なケアのひとつです。
うまくいかないからと放置せず、プロの手を借りることも検討してみてくださいね。
子犬におすすめの歯磨きグッズ
子犬の歯磨きに便利な歯磨きグッズをご紹介します。
歯磨きの練習に活用できるものや、遊んだり食べたりしながら歯磨きを行えるものなど、多種多様な歯磨きグッズが販売されています。
歯磨きを嫌がられてしまった際は、さまざまなアイテムを活用しながら根気強く挑戦してみてくださいね。
歯磨きシート
犬の歯を磨くための歯磨きシートは、ウェットティッシュのようなシートを指に巻き付けて使います。
飼い主さんの指を使って磨くので歯ブラシに比べて違和感がありません。
拭き取った汚れがしっかり見えるので、きちんと磨けているかどうかが確認できるのも便利です。
一枚ずつ使い捨てできるので、清潔に保てて歯ブラシとは違った魅力。
歯磨きスタート時は特にウェットティッシュのようなものの方が扱いやすく、抵抗感も歯ブラシよりは少ないです。
本体サイズ | 140mm×150mm |
---|---|
本体重量 | 99g |
原産国 | 日本 |
対象年齢 | - |
素材 | レーヨン系不織布 |
成分 | グリセリン、保存料、界面活性剤、pH調整剤、ピロリン酸Na、キレート剤、ポリリジン |
液体歯磨き
犬の口の中に直接吹きかけて使うタイプの歯磨きグッズです。
スプレー式のため、子犬の小さい口にも使いやすいのがメリット。噴射口が直接お口に触れないため、衛生的なのも嬉しいポイントですね。
ガーゼに吹きかけたり、綿棒に染み込ませて使う方法もあります。
また、液体タイプは飲み水に混ぜて使うものもあり、愛犬に負担をかけずにデンタルケアが行えますよ。
ただし、歯垢を物理的に落とせるものではないため、あくまで補助的な役割になります。
内容量 | 50ml |
---|---|
フレーバー | 無香料 |
原産国 | ベトナム |
対象年齢 | 生後3ヶ月以上 |
原材料・成分 | 精製水、グリセリン、セルロースガム、ソルビトール、エタノール、安息香酸Na、緑茶乾留エキス、クエン酸、エリスリトール、ビタミンB6、防腐剤、着色料 |
形状 | スプレー |
歯磨きジェル
犬の好きな味・香りの付いた歯磨きジェル。お口周りを触ったり歯ブラシを使う練習をする際に使用すると、とても便利です。
食べられる成分なので、すすぐ必要もありません。犬の口臭予防にもなりますよ。
人間用はペースト状のものが一般的ですが、犬用のものはジェル状のものが多く、歯磨き粉として使えます。
内容量 | 40g |
---|---|
フレーバー | リーフ |
原産国 | 日本 |
対象年齢 | 全年齢 |
原材料・成分 | ソルビトール、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリアクリル酸Na、保存料、リン酸水素二Na、キサンタンガム、アルギン酸Na、ポリリジン、ポリリン酸Na、スクラロース、香料、リン酸二水素Na、ピロリン酸Na |
形状 | ジェル |
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指サック歯ブラシ
指サックのような形をした犬用歯ブラシは、通常の歯ブラシよりも使いやすさが魅力。
飼い主さんの指で磨く感覚に近いため、普通の歯ブラシで磨くよりも抵抗を感じにくいでしょう。
指を使って磨くため、奥歯や歯の裏側にも届きやすいのがメリットです。
ブラシのように扱いにコツが必要ないので、歯磨きに慣れていない飼い主さんにおすすめのタイプです。
本体サイズ | - |
---|---|
本体重量 | - |
原産国 | - |
対象年齢 | - |
素材 | ミネラルコーティングしたナイロン繊維 |
内容量 | 2枚 |
硬さ | ふつう |
形状 | 指サック |
傾斜 | - |
犬用歯ブラシ
犬用の歯ブラシです。人間の歯ブラシと見た目は似ていますが、ヘッドの部分が人間の子供用歯ブラシよりもさらに小さいサイズになっています。
ブラシ部分がとても柔らかいため、デリケートな子犬の口腔内を傷つけにくい仕様です。
歯ブラシにはさまざまな形状があり、ヘッドの部分がスポンジやローラーのようになっているタイプもあります。
愛犬に合った形状のものを選んでみてください。
子犬の歯茎は非常にデリケートなので、たとえ「柔らかめ」を謳っているものであっても人間用は使用しないでくださいね。
本体サイズ | 縦149mm×横14mm×奥行12mm(ヘッド部分:幅8mm×縦16mm 毛の長さ:6.5mm) |
---|---|
本体重量 | - |
原産国 | - |
対象年齢 | 子犬~ |
素材 | 柄:ポリプロピレン/毛:天然毛 |
内容量 | 1本 |
硬さ | やわらかい |
形状 | スティック |
傾斜 | - |
歯磨きガム(おやつ)
デンタルケア効果のある犬用のおやつで、噛むことで歯の表面についた汚れを落とすことができます。
奥歯までしっかりと噛ませてあげることがポイントです。
おやつを食べるだけでケアができるので、愛犬にとって最もストレスの少ない歯磨きの方法だといえるでしょう。
毎日のおやつを歯磨きおやつに置き換えれば、自然にデンタルケアが行なえますよ。
ただし、歯の汚れがすべて落ちるわけではないので、並行して歯磨きの練習も行いましょう。
歯磨きおもちゃ
遊ぶことでデンタルケアに繋がる、歯磨き用のおもちゃです。噛んで遊ぶことで歯の表面の汚れを落とすことができます。
犬の好きなフレーバーを仕込んでいるおもちゃもあり、おやつを噛むように長く楽しめ愛犬のストレスも軽減できるでしょう。
毎日の遊びの時間に取り入れることで、無理なくデンタルケアが行なえます。
こちらも歯磨きガム同様、歯磨きが必要なくなるアイテムではありませんので、歯磨きの練習は必須になります。
本体サイズ | ミニ:1.5cm×2cm×10cm |
---|---|
本体重量 | 22g |
原産国 | 中国 |
対象年齢 | 全年齢 |
素材 | ナイロン、TPR、香料 |
適合種 | 小型犬 |
種類 | 1種類 |
子犬期から歯磨きに慣れてもらい、健康な歯を保ってあげよう
歯磨きは愛犬の健康維持にとって、非常に重要なケアのひとつ。
人間が毎日きちんと歯磨きをするように、愛犬にとっても歯磨きは日常生活の習慣にしておきたいものです。
歯周病をはじめとする口腔内のトラブルは、身体全体に影響を及ぼす恐れもあります。
子犬のうちから歯磨きに慣れさせる歯磨きをコミュニケーションの一環として認識してもらい、習慣化させていきましょう。
この記事の執筆者
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