気がつくと、いつも寝ているように見える愛犬。「体調でも悪いのかな」と心配になって、思わず生存確認してしまったことがありませんか?
そもそも、犬の平均睡眠時間ってどれくらいなんでしょう?人間同様、夜眠れば十分なのでしょうか?愛犬が寝てばかりいて注意すべきケースは?
今回の記事では、犬の睡眠について解説します。
この記事の結論
- 犬の平均睡眠時間は、子犬・成犬・シニア犬で異なり、犬種によっても異なる
- 成長期の犬は体力温存のため、また犬の睡眠サイクルは短いため、長時間の睡眠が必要
- 過眠だけでなく、食欲や排泄などに気になる症状がある場合は疾患を原因とする可能性がある
- 愛犬が心地よい睡眠を得られる環境づくりも大切
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まずは犬の平均睡眠時間をチェック
愛犬がずっと寝ているかどうかを把握するためにはまず、基礎知識として犬の平均睡眠時間について知っておく必要があります。
犬の平均睡眠時間は、年齢やライフステージ、犬種、個体の活動量によっても異なります。
また、犬は基本的には夜間に長めの睡眠をとりますが、散歩や遊びの後などに昼寝することも多く、昼間に多めに寝ることでエネルギーを回復しています。
一般的に、もっとも元気のある健康的な成犬の状態でも、1日に12時間以上は寝ることがあります。
これを基準として、各ライフステージにおける違いと、愛犬の睡眠時間を照らし合わせていくと良いです。
子犬・シニア犬:18時間~19時間
子犬やシニア犬は成犬よりも多くの睡眠が必要で、平均睡眠時間は18時間~19時間とされています。
特に子犬や老犬は、20時間以上眠ることもあります。
成犬:12時間~15時間
成犬の平均睡眠時間は1日あたり12時間~15時間程度とされ、人間よりも長時間の睡眠を必要とします。
なぜなら、犬は人間よりもエネルギーの消耗が激しく、夜間だけでなく日中も短い昼寝を繰り返すことで体力を回復させているのです。
また、犬は人間のように深い睡眠(ノンレム睡眠)に到達するまでの時間が短く、そのぶん睡眠サイクルも短くなっています。
深い眠りに達する回数が少ないため、効率的に休息を取るには長時間の睡眠が必要なのです。
犬種サイズによる平均睡眠時間
犬種(成犬) | 平均睡眠時間 |
---|---|
トイ・プードル | 12時間~14時間 |
チワワ | 10時間~12時間 |
柴犬 | 11時間~15時間 |
ゴールデン・レトリーバー | 18時間~20時間 |
一般的に、小型犬よりも大型犬のほうが、睡眠時間は長い傾向にあるとされています。
大型犬は体が大きいため、エネルギー消費量が多いので、体力を回復させるのに多くの睡眠を必要とするからです。
特に大型犬の子犬は、成長ホルモンが多く分泌されるため、長い睡眠を必要とします。
大型犬は長く深い眠りをとることが多いのに対して、小型犬は短い睡眠を何度も繰り返す傾向があります。
以下は、主な犬種別の平均睡眠時間です。
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犬の睡眠時間がもともと長い理由
1日に1回のまとまった長時間の睡眠をとるのは、人間と一部の類人猿だけに見られる特異な睡眠パターンとされています。
犬や猫も他の哺乳類同様、1日に複数回の睡眠をとります。
野生の犬やオオカミなどは、狩りに備えて多くの時間を休息に費やし、生存に必要なエネルギーを温存するためでもあります。
そのため、本能として家庭犬にも、多くの時間寝ることでエネルギーを温存しようとする習性が残っていると考えられます。
成長期で体力を温存するため
成長期の子犬の体内では、眠っている間に大量の成長ホルモンが分泌されます。
このホルモンは、骨や筋肉の発達、組織の修復に不可欠で、特に骨格の成長が著しい大型犬にとっては十分な睡眠が欠かせません。
そして、十分な睡眠は成長期の子犬の脳の発達にとっても重要です。
犬も人間と同様、睡眠中に記憶を整理し、日中に経験したことや新しいスキルを脳に定着させるので、社会化の機会が多い子犬の学習力を高めます。
また、睡眠中に体内の免疫システムが活発になるので、まだ免疫力が弱い子犬の病気に対する抵抗力を強化します。
浅い眠りの時間が多いため
人間の睡眠サイクルは90分ほどで、この間に浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を交互に繰り返しています。
これに対して、犬の睡眠サイクルは約15分~20分程度と短く、そのため、犬は1日のうちに複数回の睡眠を必要とする「多相性睡眠」なのです。
犬の祖先であるオオカミなどの捕食者は、狩りに備えて体力を温存するために短く頻繁に眠る習慣があり、その名残りとされています。
犬がずっと寝ている原因
愛犬が普段と比べて明らかに寝る時間が長い場合は、何らかの原因が考えられます。
まずは、愛犬の睡眠環境を見直してみましょう。愛犬がいつも寝床にしている場所は、静かでリラックスして眠れる環境でしょうか?
犬は環境の変化に敏感な動物ですので、落ち着いて眠れないと睡眠が浅くなり、疲れやすくなるため、より多くの睡眠時間が必要になります。
また、気候や気温の変化で睡眠不足になったり、寝る時間が増えたりすることがあります。
散歩や遊びの時間が少ないと、犬は時間を持て余し、退屈して寝てばかりいるということも考えられます。
こうした生活環境を整えても、愛犬が寝てばかりいる場合は、以下のような問題や原因が影響しているかもしれません。
ストレス
ストレスや不安を感じている場合、犬は精神的な疲れから多くの睡眠をとろうとすることがあります。
転居やリフォームといった生活環境の変化、ファミリーの進学や就職、新しいペットの加入といった家族構成の変化などがストレスの原因になることがあります。
人間にはわからないようなことでもストレスになることがあるため、環境の変化があった際には特に注意してみてあげてください。
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病気・ケガ
愛犬が普段よりもずっと寝てばかりいるのは、体調不良や病気のサインである可能性があります。
食欲はどうか、体重の変化はないか、軟便や下痢、便秘、嘔吐、発熱はないか、歩き方や姿勢におかしなところはないかもチェックしましょう。
病気やケガは気づきにくいものもたくさんありますので、少しでも気になる症状があればすぐ動物病院へ行きましょう。
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老化
高齢犬は体力の衰えから、成犬よりも多くの睡眠を必要とするようになります。
成犬の場合も年齢を重ねるにつれ、休息の時間が長くなるのが一般的です。
また、甲状腺ホルモンの低下は疲労感や無気力感の原因となり、特にシニア犬に多く見られるため、気になる場合は獣医師の診察を受けましょう。
犬がずっと寝ているときに考えられる病気
飼い主さんにとって特に気になるのが、病気が原因で愛犬が寝てばかりいるのではないかということでしょう。
愛犬の睡眠時間が長くなっただけでなく、食欲不振、元気の低下、嘔吐など、他の症状が数日続く場合には、一刻も早く動物病院へ。
愛犬の睡眠障害に関係する主な疾病は、以下が考えられます。
睡眠関連呼吸障害
犬の睡眠関連呼吸障害(SRBD)は、睡眠中の呼吸に問題が生じ、いびきや一時的な無呼吸、頻繁な寝返りや昼間の過度な眠気といった症状を示します。
朝起きたときに元気がない、食欲が落ちているなどの症状も要注意で、無呼吸による酸素不足で歯茎や舌が青紫色になるチアノーゼになることもあります。
原因としては、肥満、老化、アレルギーや炎症が考えられ、特に鼻腔が狭く、軟口蓋が長い短頭種(フレンチ・ブルドッグ、パグなど)に多く見られます。
中枢性過眠症
中枢性過眠症(ちゅうすうせいかみんしょう)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する症状を伴う病気です。
以下の病名はいずれも中枢性過眠症に分類されますが、それぞれ異なる特徴や症状を示します。
ナルコレプシー | 突然の強い眠気や急に眠り込んでしまう発作が特徴の神経系の障害 |
特発性過眠症 | ナルコレプシーのような突然の睡眠発作はないが、過度の眠気を伴う障害 |
クライネーレビン症候群 | 過食や精神的混乱、異常行動などを伴うこともある短期間に繰り返される過眠発作 |
これらの障害はすべて中枢神経系に関連しており、脳が睡眠と覚醒を調整する機能に影響を与えることによります。
また、過度の眠気や異常な睡眠パターンに伴う初期症状として、元気のなさや無気力、体重の変化、ストレスのサインを示すことがあります。
レム睡眠行動障害
愛犬が睡眠中に夢を見ているのか、手足をピクピク動かしたり、寝言のような声を出したりするのは可愛らしいものです。
ですが、痙攣(けいれん)が3分以上続いたり、全身が震えるような痙攣だったり、奇声を発したりしたら要注意。
レム睡眠行動障害という末梢神経系疾患の可能性があります。
ときには愛犬の体が硬直したり、呼吸をしていなかったり、意識がなかったりします。
原因は神経系障害、加齢、パーキンソン病や認知症などの脳疾患とされ、心身への過度なストレスにより脳の機能を変異させるのではと考えられています。
また、遺伝的にドーベルマン、ラブラドール・レトリーバー、ダックスフンド、プードル、ビーグルなどが発症しやすいとされています。
甲状腺機能低下症
犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)は、甲状腺ホルモンの生産が不足する状態で、特に中高年齢の犬に多く見られます。
過眠のほか、食事量は変わらないのに体重が増加、脱毛、無気力、悪寒、皮膚の乾燥、かゆみや炎症、心拍数の低下などの症状を発します。
意識の低下、不妊、眼瞼内反、白内障などの眼の異常が現れることもあります。
自己免疫疾患、甲状腺の外傷や手術、ヨード不足や甲状腺の腫瘍などが原因とされています。
遺伝的には、ゴールデン・レトリーバー、ダックスフンド、シェットランド・シープドッグなどが発症しやすいと言われています。
認知症
犬も認知症になることはよく知られるようになってきました。
日中に過眠したり、夜中に目を覚まして吠えたり、人間の認知症同様に記憶力の低下や混乱、不安や活動の減少、粗相などが症状として現れます。
また、飼い主さんや他のペットに対する関心が薄れて孤立し、壁を舐める、同じ場所をぐるぐる回るなどの異常行動をすることもあります。
加齢、脳内神経細胞の変性、脳への血流の減少、栄養の欠乏(特にオメガ-3脂肪酸や抗酸化物質の不足)、ホルモンバランスの乱れが原因とされます。
遺伝的には、ダックスフンドやコリー、ゴールデンレトリーバーなどの犬種が発症しやすいと言われています。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
犬の副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)は、体内の副腎からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される状態を指します。
原因としては、下垂体性クッシング病によるものが最も一般的で、副腎腫瘍、ステロイド剤の長期使用によっても引き起こされます。
過眠のほか、多飲多尿、食欲の異常な増加、脱毛、皮膚菲薄化や色素沈着、筋肉の萎縮、腹部膨満などの症状が現れます。
不安や興奮、攻撃的な行動を示すことがある一方、無気力になることもあり、不妊や定期的な皮膚病の発生、心疾患のリスク増加などが見られる場合も。
プードル、ビーグル、ボクサー、ダックスフンドなどの犬種が、遺伝的に発症のリスクが高いとされています。
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寝すぎる犬の想定される危険な症状
愛犬がよく眠っている場合でも、普段と変わらず元気で食欲もあり、健康な生活リズムが保たれているのであれば、対して心配する必要はないでしょう。
飼い主さんが用意してくれた環境が快適で、安全なら、犬はリラックスしてよく眠る傾向にあるからです。
愛犬がいつもより長時間寝ていても、数日後にはいつも通りに戻るようなら、一時的な疲労や睡眠不足気味による可能性が高いと考えられます。
何日か様子を見て、元気が回復していれば問題ありません。
けれど、以下のようなケースは注意が必要です。かかりつけの獣医師に早めに相談しましょう。
ある日突然、寝てばかりいるようになった
睡眠リズムの急激な変化は、健康上の異常が疑われることが多いため、注意が必要です。
以下のような健康問題や疾病が考えられます。
- 感染症や炎症性の病気による体力の低下
- 関節炎や骨折、捻挫などの怪我による痛み
- ホルモン異常
- 心臓病
- 貧血
- 腎臓病や肝臓病
- 神経系の異常
- うつや不安
- 糖尿病
睡眠の他に、食欲が減ったり、トイレの回数が変わったりという体調不良の兆候がないか、愛犬をよく観察しましょう。
平均睡眠時間よりも大幅に睡眠時間が長い
愛犬の睡眠時間が平均睡眠時間よりも1日あたり2~3時間以上長い場合は、注意が必要です。
成犬の場合、通常12時間~14時間が平均睡眠時間ですが、1日16時間以上続くようであれば、何らかの健康問題の可能性があります。
シニア犬の場合は年齢とともに長く寝ることが増えるのは自然なことですが、それでも18時間以上寝る場合は、他の異常がないか、よく観察しましょう。
食欲低下や体重減少、活動意欲の減少、尿や便の変化、呼吸の異常などがないか確認して、獣医師に相談することをおすすめします。
起きている間も行動時間が極端に短い
散歩に行きたがらなかったり、睡眠から目覚めてもじっとしていたりするのは、病気や体調不良のサインである可能性が高いと考えられます。
食欲、トイレの習慣、呼吸の変化、毛艶など、普段の健康状態と異なる点がないか確認しましょう。
愛犬が以前と比べて極端に活動しなくなり、数日以上続くようであれば、念のため獣医師の診察を受けることをおすすめします。
食欲が少なく、遊ぶ欲もない
食欲は排泄とともに、愛犬の体調や健康状態の最もわかりやすいバロメーターです。
犬も年齢とともに食事量は減ってきますが、ある日突然、食欲が低下するというのは体調に何らかの問題があるサインです。
また、昨日までボールやロープ遊びを楽しんでいたのに、急激に興味を失ったように遊ばなくなるのは、愛犬が不調や痛みを隠している可能性があります。
発熱、吐き気、便の異常、よだれ、震えなど、他の体調不良の兆候がないか確認し、食欲低下と無気力が3日以上続く場合は獣医師の診察を受けましょう。
犬が快適に眠れる環境作り
過眠は愛犬の健康上の問題にかかわることが往々にしてありますが、本来、犬にとって睡眠は心身の健康を保つ上で非常に重要な役割を果たすものです。
体力の回復や免疫力強化、成長、脳のリフレッシュ、ストレス解放、感情の安定、日中のパフォーマンス向上、健康寿命の延伸は、心地よい睡眠から。
愛犬が安心して熟睡できる環境を整えてあげましょう。
騒音のしない静かな場所に寝場所を作る
犬の聴力は、人間の約4倍~5倍と言われており、小さな音でも簡単に感じ取ることができます。
また、犬の耳は細かい音の違いや微細な音にも敏感で、遠くの音を聞き分ける能力にも優れています。
そのため、騒音が気になる場所や人の出入りが激しい場所では、落ち着いて眠ることができません。
リビングは騒音がしやすい場所でもあると思うので、別の部屋など愛犬の寝床は静かな場所に設えてあげましょう。
ゆとりのある大きなベッドを用意する
愛犬も丸くなって寝る子もいれば、手足を伸ばして寝る子もいますね。いずれもはみ出さないよう、十分ゆとりのあるサイズを選んであげましょう。
大型犬やシニア犬には、体圧を分散できる低反発素材や厚みのあるベッドが関節への負担を軽減するのでおすすめです。
夏は接触冷感のマット、冬は保温性の高い毛布やペット用ヒーターを敷いて、暑さ・寒さ対策してあげましょう。
飼い主さんの匂いが付いたタオルや布を寝床に置いておくと、愛犬が安心して眠りにつけます。
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室温・湿度を適切に保つ
犬も明るいとよく寝られません。照明は暗くして、夜間もエアコンを点けて室温と湿度の調整も忘れずに。
犬種によって理想の温度は異なりますが、一般的には25℃前後が快適温度の目安で、湿度は40%~60%に保つと呼吸がしやすくなります。
室温は人間が過ごしやすい室温と大きく変わらない一方、湿度は気づきづらいという人もいるでしょう。
最低40%を保ちつつ、理想としては50%から60%の湿度を保てるようにしてあげてください。
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日中のうちに十分な運動時間を作る
一定の時間に散歩や食事、休憩をとるようにして、規則正しい生活リズムを作ると、犬の体内時計が整い、睡眠の質も向上します。
特に日中、適度な運動をさせることが、夜にしっかり快眠するためには効果的です。
健康的な睡眠で愛犬とあなたとの幸せな生活が末永く続きますように、nademoも願っております。
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