これまでは何の問題もなくトイレができていた子であっても、ある日突然、失敗するようになることがあります。
トイレを失敗するようになったからといって、頭ごなしに叱っていても解決するものではありません。
まずはその原因や理由を知り、なぜ失敗してしまうのか、飼い主さん自身が理解するところから始めましょう。
愛犬がトイレを失敗するようになったその理由、そして原因と対処法をご紹介します。
この記事の結論
- 犬がトイレを失敗するのは、ストレスやマーキング行為など原因はさまざま
- 膀胱炎や尿路結石症など、病気が原因でトイレを失敗している可能性もある
- 愛犬がトイレを失敗する原因を特定してから改善を試みることが大切
- トレーニング時にトイレ場所を何度も変えたり、トイレの失敗で叱ることは避ける
犬のしつけパピーラブ代表/ドッグトレーナー
その後、ドッグトレーナー養成スクールのインストラクターや、犬のようちえんでトレーナーとして勤務し、ペットクリニックで動物看護師を経験後、2016年に犬のしつけ「パピーラブ」を渋谷に開業。
目次
犬がトイレを失敗するようになった原因

トイレトレーニングをきちんと終えて、問題なくトイレができるようになっていた愛犬。
ですが、「ある日突然、そのトイレを失敗するようになった」という状況に直面することがあります。
お掃除の手間が増えるため、叱りたい気持ちがでてくるのと共に、愛犬のことが心配になるでしょう。
子犬でも成犬でも老犬であっても、今までできていたのに急にトイレに失敗することはあります。
心の病気のひとつである分離不安症でトイレを失敗する
分離不安症(ぶんりふあんしょう)とは、心の病気のひとつで、人間の子どもだけでなく犬や猫にも見られる症状のこと。
飼い主さんの姿が見えなくなることで極度の不安状態に陥り、吠え続けてしまったり粗相をするようになります。
場合によっては家具や周りのモノを破壊するような行動も取ってしまうため、危険な場合も少なくありません。
環境の変化や生活スタイルの変化など、ストレスになるようなことが引き金になりやすいです。
引っ越しや来客などの環境変化によるストレスでトイレを失敗する
環境の変化は人間でも落ち着かないものですから、犬にとってもストレスになりやすいポイントです。
大きな変化がなかったとしても、飼い主さんとのコミュニケーション不足などもストレスになります。
留守番の時間が長かったり、誰もいない留守中に大きな音がしたり、雷がなったりして怖い思いをした、など精神的に落ち着かないことが原因になりがちです。
ストレスは特に原因を特定しづらい一方で、自宅でも簡単に解消できるようなものまで幅広いため、十分観察して変化を確認してあげましょう。
トイレの場所が変わったことによりトイレを認識できなくなった
トイレを場所で覚えている場合、何らかの理由によってトイレの場所を変えてしまうと失敗するようなことがあります。
模様替えやトイレの場所を変えたてしまうと、覚えていた場所にトイレがないもののトイレの場所であると認識し、失敗してしまうのです。
こうした部分はとても繊細で、「トイレ周りの環境が変わる」というだけでも失敗するようになります。
また、一時的にペットホテルへ預けると、トイレ環境がガラッと変わるため失敗することがあります。
老化によってトイレに対する認識や体勢を崩してしまった
犬の場合、一般的に7歳を超えてくると中年期、老犬期に入ります。すると、脳の老化による認知機能の低下、目の衰えによる認識力の低下が見られるようになります。
認知機能が低下してくると、トイレの場所を忘れてしまいますし、目の衰えによってトイレを認識できなくなることがあります。
また、老化による筋肉の衰えが見られるようになると、排泄時の体勢を崩してしまい、結果的に失敗することもあるのです。
子犬期や成犬期とはまた異なり、老化によるトイレの失敗は仕方のないケースが多いです。
1歳前後までの間に見られる反抗期で意図的な問題行動を起こした
生後7か月前後からトイレを失敗するようになったら、反抗期であることも考えられます。平均的には1歳前後までの間に見られる反抗期ということです。
トイレの失敗以外にも、よく吠えたり噛んだり、といった問題行動が目立つようになります。
失敗を続けてしまうとあちこちに粗相をしてもよいというルールが出来てしまい良くないので、トイレを失敗してしまったときは叱らず、粛々と片付けましょう。
自分の縄張りを主張するためのマーキングとして
トイレの場所を覚えていたとしても、マーキングの一環としてトイレ以外の場所で排泄することもあります。
マーキングは自分の縄張りであることを主張するための行動で、壁沿い、テーブルの足、カーテン、出入り口などですることが多いです。
基本的にマーキングであれば排尿のみですが、少量の排便をマーキングとする子も存在します。
去勢・避妊手術をした方が改善されやすく、飼い主さんとの関係性や環境の見直しも必要になりますのでプロのトレーナーに相談すると良いでしょう。
トイレのサイズが小さすぎて意図せずはみ出してしまった
トイレのサイズは小さすぎるよりも多少、体に対して大きい方が適しており、小さすぎるとはみ出してしまうことがあります。
これは意図してそのようにしているわけではないため、愛犬の成長と共に、トイレのサイズも再確認しなければいけません。
子犬のうちは子犬にあわせて子犬用のトイレを購入することもあるかもしれませんが、1年程度で成犬にまで成長します。
そのとき、体のサイズが大きくなりすぎると、失敗しようと思っていなくても、排泄物がはみ出してしまう、ということは十分考えられます。
飼い主の気を引くためにわざと失敗することもある
上記までの一部にも該当しますが、仕方なく失敗するのではなく、わざと失敗することもあります。
トイレの失敗が全て深刻な問題というわけではなく、飼い主の気を引こうとしているだけ、という可能性も考えておきましょう。
日頃からコミュニケーション不足になっていたり、特に飼い主に対して依存度が強い子はこの傾向にあります。
このようにトイレを失敗する理由次第で、解決策・対策が異なります。それぞれに適した対策が必要です。
犬がトイレを失敗するようになった原因:病気と精神的ストレス

トイレを失敗することは、愛犬にとって本意ではないケースも当然考えられます。その中には飼い主さんが気づきづらい、病気が原因になっていることもあるのです。
膀胱炎 | 膀胱の炎症によって膀胱炎となり、排泄コントロールができなくなることもある |
尿路結石症 | トイレの回数が増えたり、排出時の痛みが発生する |
ホルモン異常 | 意思に関係なく漏れてしまう、尿失禁の原因となる |
認知症 | 脳の老化により、トイレの場所を忘れてしまうことがある |
椎間板ヘルニア | 自分でおしっこができなくなることもある |
トイレのタイミングや場所で失敗するのとは別に、排泄コントロールがうまくできていない可能性もあります。
特に老犬期になると注意が必要な病気も多く、これまでの行動と違ったところがないかよく確認しておきましょう。
日頃から定期検診をしっかりと受けておき、早期発見・早期治療で長生きしてもらいましょう。
病気が原因となるケース
犬のトイレの失敗は、さまざまな病気のサインであることがあります。特に、これまでは完璧にトイレができていた犬が急に失敗するようになった場合、何らかの病気を疑う必要があります。
泌尿器系の病気
排泄を司る泌尿器系に異常があると、トイレの失敗に直結しやすいです。
- 膀胱炎
- 関連性: 膀胱の炎症により、頻繁に尿意を感じる、尿を我慢できなくなる、排尿時に痛みを感じるなどの症状が出ます。結果として、トイレまで間に合わず粗相をしてしまうことがあります。
- 具体的な症状: 頻尿(少量ずつ何度も排尿する)、血尿、排尿時のいきみ、尿の臭いの変化、おしっこを漏らす、陰部を気にして舐めるなど。
- 傾向:
- 年齢: 全年齢で起こり得ますが、特に免疫力が低下した老犬や、ストレスを受けやすい成犬に見られることがあります。
- 犬種: 短い足の犬種(ダックスフンド、コーギーなど)や、水をあまり飲まない犬、特定の遺伝的素因を持つ犬種(シェットランド・シープドッグなど)はリスクが高いとされます。女の子は尿道が短いため、男の子よりも膀胱炎になりやすい傾向があります。
- 尿路結石症
- 関連性: 尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気です。結石が尿道を塞いだり、膀胱を刺激したりすることで、頻尿、排尿困難、痛みが生じ、トイレの失敗に繋がります。
- 具体的な症状: 頻尿、排尿時に痛がって鳴く、血尿、尿の出が悪い、全く尿が出ない(緊急事態)、尿の濁り、お腹を触られるのを嫌がるなど。
- 傾向:
- 年齢: 成犬から老犬にかけて多く見られます。特に、食事内容や飲水量が大きく影響します。
- 犬種: ミニチュア・シュナウザー、シー・ズー、ダックスフンド、ダルメシアン、ヨークシャー・テリア、ブルドッグなど、特定の犬種で遺伝的に好発する傾向があります。
ホルモン異常
ホルモンバランスの乱れも、トイレの失敗を引き起こすことがあります。
- ホルモン反応性尿失禁
- 関連性: 主に避妊手術を受けた女の子に多く見られ、エストロゲンホルモンの低下により尿道を締める力が弱まり、無意識のうちに尿が漏れてしまいます。寝ている時やリラックスしている時に多く見られます。
- 具体的な症状: 寝起きや立ち上がった時に尿の水たまりがある、くしゃみや咳をした時に漏らす、自覚なく尿が漏れているなど。
- 傾向:
- 年齢: 避妊手術後の成犬から老犬の女の子に多く見られます。
- 犬種: ボクサー、ドーベルマン、ジャイアント・シュナウザー、エアデール・テリアなど、大型犬や特定の犬種で好発傾向があります。
神経系・筋肉系の病気
排泄をコントロールする神経や筋肉に異常が生じると、トイレの失敗に繋がります。
- 椎間板ヘルニア
- 関連性: 脊椎のクッション材である椎間板が飛び出し、脊髄神経を圧迫することで、後肢の麻痺や痛み、そして排泄機能のコントロールができなくなることがあります。
- 具体的な症状: 後肢のふらつきや麻痺、歩行困難、痛みによる震えやうずくまる行動、排尿・排便の失禁、または逆に便秘や排尿困難など。
- 傾向:
- 年齢: 成犬から老犬にかけて多く見られます。
- 犬種: ダックスフンド、フレンチ・ブルドッグ、ミニチュア・シュナウザー、シー・ズーなど、胴が長い犬種や軟骨異栄養性犬種に多く見られます。
認知機能の低下
特に老犬で注意したいのが、認知症によるトイレの失敗です。
- 認知症(認知機能不全症候群)
- 関連性: 脳の機能が徐々に低下することで、これまでのしつけを忘れてしまったり、トイレの場所が分からなくなったりします。排泄したいという意思表示ができなくなることもあります。
- 具体的な症状: 夜鳴き、徘徊、同じ場所をぐるぐる回る、壁に頭を押し付ける、ぼーっとしている、名前を呼んでも反応が鈍い、食欲の異常、そしてトイレの場所を忘れて粗相するなど。
- 傾向:
- 年齢: 老犬、特に10歳を過ぎた犬に多く見られます。年齢とともに発症リスクは高まります。
- 犬種: 特定の犬種に限定されず、すべての犬種で発症し得ますが、大型犬の方が症状が重くなる傾向があるという報告もあります。
その他の病気
直接的に泌尿器系でなくても、全身の健康状態に影響を与える病気がトイレの失敗の原因になることがあります。
- 糖尿病
- 関連性: 血糖値が高くなることで、多飲多尿になります。尿量が増えるため、トイレの回数が増え、間に合わずに粗相してしまうことがあります。
- 具体的な症状: 多飲多尿、体重減少、食欲増進、疲れやすい、白内障など。
- 傾向:
- 年齢: 中高齢の犬に多く見られます。肥満もリスクを高めます。
- 犬種: シーズー、プードル、ミニチュア・シュナウザー、ビーグル、ゴールデン・レトリーバーなど、特定の犬種で発症しやすい傾向があります。
- 腎臓病
- 関連性: 腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する能力が失われ、多飲多尿になります。尿量が増えることで、トイレの失敗が増えることがあります。
- 具体的な症状: 多飲多尿、食欲不振、嘔吐、体重減少、口臭、脱水など。
- 傾向:
- 年齢: 老犬に最も多く見られる病気です。
- 犬種: 全ての犬種で起こり得ますが、特定の遺伝的素因を持つ犬種もいます。
精神的ストレスが原因となるケース
犬は非常に繊細な動物であり、環境の変化や心理的な要因が排泄行動に影響を与えることがあります。
環境の変化
犬は縄張り意識が強く、環境の変化に敏感です。
- 引っ越し
- 関連性: 新しい家、新しい匂い、新しい間取りに戸惑い、以前のトイレの場所が通用しなくなることがあります。安心できる場所がわからず、粗相してしまうケースです。
- 具体例: 引っ越し後、決まった場所にトイレを設置しても、以前の家のようにそこで排泄してくれず、リビングの真ん中や寝室で粗相をするようになった。
- 傾向:
- 年齢: 特に子犬や老犬は環境の変化にストレスを感じやすいです。成犬でも環境に順応するまで時間がかかる場合があります。
- 犬種: 神経質な性格の犬種(チワワ、トイ・プードルなど)はより影響を受けやすい傾向があります。
- 家族構成の変化(新しい家族、ペット、別れ)
- 関連性: 新しい赤ちゃんが生まれた、新しいペットが来た、あるいは家族の誰かが家を出たなど、家族構成の変化は犬にとって大きなストレスとなり得ます。飼い主の関心が他の対象に移ったと感じたり、不安や嫉妬心からマーキングのような行動として粗相をすることがあります。
- 具体例: 赤ちゃんが生まれてから、これまでなかった場所でおしっこをするようになった。あるいは、家に新しい猫が来てから、自分のベッドでわざと排泄するようになった。
- 傾向:
- 年齢: 成犬が最も影響を受けやすく、特にこれまで飼い主中心の生活を送っていた犬に顕著です。
- 犬種: 飼い主への依存度が高い犬種(ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ダックスフンドなど)はストレスを感じやすい傾向があります。
日常的なストレス要因
常に身近にあるストレスも、犬の排泄行動に影響を与えます。
- 来客
- 関連性: 見慣れない人が家に来ることは、犬にとってストレスや興奮、警戒心を引き起こすことがあります。緊張や興奮が高まりすぎて、トイレのコントロールを失うことがあります。
- 具体例: 来客中に興奮して、玄関や来客の足元で漏らしてしまった。来客が帰った後も、落ち着かず粗相が続いた。
- 傾向:
- 年齢: 子犬は社会化不足から、老犬は環境変化への適応能力の低下から、来客にストレスを感じやすいです。成犬でも、来客慣れしていない犬や臆病な性格の犬に見られます。
- 犬種: 警戒心が強い犬種(柴犬、シェパードなど)や、興奮しやすい小型犬(チワワ、ミニチュア・ダックスフンドなど)に見られやすいです。
- 運動不足・遊び不足
- 関連性: エネルギーが発散できず、ストレスやフラストレーションが溜まることで、そのはけ口としてトイレ以外の場所で排泄する行動に繋がることがあります。
- 具体例: 散歩に行けなかった日に限って、室内で粗相をしてしまう。留守番中に家具の上やベッドで排泄するようになった。
- 傾向:
- 年齢: 特に活動量が多い成犬に見られやすいですが、子犬でも十分な遊びや社会化ができないと問題行動につながることがあります。
- 犬種: ボーダー・コリー、柴犬、ゴールデン・レトリーバーなど、高い運動量を必要とする犬種に多く見られます。
- 分離不安
- 関連性: 飼い主と離れることに極度の不安を感じることで、破壊行動や無駄吠えと共に、排泄の失敗が見られます。これは、飼い主へのメッセージや不安の表現行動です。
- 具体例: 飼い主が出かけた直後に、これまで成功していたトイレではない場所で排泄してしまう。帰宅すると粗相の跡と共に、部屋が荒らされている。
- 傾向:
- 年齢: 成犬に多く見られますが、子犬期からの過度な依存や社会化不足が原因となることもあります。
- 犬種: 特定の犬種に限定されず、どの犬種でも起こり得ますが、小型犬や飼い主への依存度が特に高い犬種(トイ・プードル、チワワ、キャバリアなど)に見られやすい傾向があります。
トイレの失敗は、犬からの何らかのサインです。単なる「イタズラ」と決めつけず、まずは病気の可能性を疑い、動物病院で診察を受けることが最も重要です。
その上で、病気ではないと判断された場合は、愛犬の置かれている状況や日々の生活を振り返り、精神的なストレス要因がないかを探り、適切に対処していきましょう。
自宅でできる犬のトイレの失敗チェックリストと初期対処法

愛犬がトイレを失敗するようになった時、すぐに病院へ駆け込むべきか迷いますよね。まずは自宅で愛犬の様子を注意深く観察し、いくつかのチェックポイントを確認してみましょう。
これにより、原因の手がかりを見つけたり、獣医さんに伝えるべき情報を整理したりすることができます。
自宅でできる簡易チェックリスト
以下の項目を確認し、愛犬の排泄に関する変化や行動パターンを記録してみましょう。
尿の色・量チェック
チェック項目 | 具体的な確認内容 |
---|---|
尿の色 | いつもと違う色(赤っぽい、茶色っぽい、濃すぎる、透明すぎるなど) が見られますか? |
尿の濁り | 尿がにごっていたり、キラキラした結晶のようなものが混ざっていたりしませんか? |
尿の量 | 1回あたりの尿の量が増えた、または極端に減った などの変化がありますか? |
頻尿 | 排泄の回数が明らかに増えましたか? 短い間隔で何度も排泄しようとしますか? |
排泄時の様子 | 排尿時に痛がったり、いきんだり、震えたりする様子 がありますか? 途中で排泄をやめてしまうことはありますか? |
尿の臭い | いつもよりツンとくるアンモニア臭が強い、または甘いような異常な臭いがしますか? |
尿失禁の有無 | 寝ている時やリラックスしている時に、無意識のうちにおしっこを漏らして しまうことがありますか? |
飲水量チェック
チェック項目 | 具体的な確認内容 |
---|---|
飲水量の変化 | 水を飲む量が明らかに増えましたか? (普段より器の減りが早い、何度も水を欲しがるなど) |
飲水以外の行動 | 異常に喉が渇いているような様子(落ち着きがない、口が乾いている)はありませんか? |
尿量との関係 | 飲水量が増えた分、尿量も増えていますか? |
行動観察リスト
チェック項目 | 具体的な確認内容 |
---|---|
元気・食欲 | トイレの失敗以外に、元気がない、食欲不振、下痢、嘔吐 などの体調不良のサインは見られますか? |
環境の変化 | 最近、引っ越し、家族が増えた/減った、来客があった、家具の配置を変えた など、愛犬の生活環境に大きな変化がありましたか? |
飼い主の変化 | 飼い主の生活リズムに変更はありましたか? 愛犬と接する時間が減りましたか? |
不安・ストレス | 飼い主の留守中に物を壊す、無駄吠えをする、体を舐め続ける など、不安やストレスを示す行動が見られますか? |
トイレの場所 | 失敗する場所は決まっていますか?トイレ以外の場所でマーキングのような行為 をしますか? |
身体の痛み | 歩き方がおかしい、特定の場所を触ると痛がる、階段の昇り降りを嫌がるなど、身体に痛みがある様子はありませんか? |
認知症のサイン | 老犬の場合、夜鳴き、徘徊、同じ場所をぐるぐる回る、壁に頭を押し付けるなど、認知症を疑わせる行動が見られますか? |
自宅でできる初期の対処法
上記チェックリストで特に気になる症状がない場合や、獣医さんを受診するまでの間に、自宅でできる対処法を試してみましょう。
トイレ環境の見直し
- トイレの場所を増やす: 特に広い室内で過ごしている場合、トイレの場所が遠すぎたり、間に合わなかったりすることがあります。複数の場所にトイレを設置したり、失敗しやすい場所に一時的にトイレを置いてみたりしましょう。老犬や体が不自由な犬には、より近くに設置することも検討してください。
- トイレトレーの大きさ: 体が大きくなったのにトイレトレーが小さいと、はみ出して失敗することがあります。体のサイズに合った、ゆとりのある大きめのトレーに交換しましょう。
- トイレの素材: 犬によっては、トイレシートの感触や、シートを固定するメッシュトレーの感触が苦手な場合があります。様々な種類のシート(厚手、薄手、吸収性の高いものなど)や、人工芝タイプなど異なる素材のトイレを試してみましょう。
- トイレの清潔さ: 犬は非常にきれい好きです。トイレが汚れていると、別の場所で排泄してしまうことがあります。こまめにシートを交換し、常に清潔に保つようにしましょう。排泄の臭いが残っていると、そこをトイレと認識してしまいます。
排泄間隔の調整と誘導
- 排泄のタイミングを予測する: 食後、寝起き、遊びの後など、犬が排泄しやすいタイミングを見計らって、積極的にトイレに誘導しましょう。子犬や老犬は特に排泄間隔が短くなります。
- 短時間での散歩: 散歩中にしか排泄しない犬の場合、こまめに短い時間で外に出す習慣をつけることで、粗相を防げる場合があります。
- 排泄後の褒める習慣: トイレが成功したら、大げさに褒めたり、おやつを与えたりして、その場で褒めることを徹底しましょう。これは、成功体験を積み重ね、犬に「ここで排泄すると良いことがある」と認識させるために非常に重要です。失敗しても叱らず、黙って片付けましょう。
精神的ストレスへの配慮
- 安心できる場所の提供: 環境の変化などによりストレスを感じている場合は、静かで安心できる自分だけの場所(ケージやクレートに毛布などを入れた落ち着ける空間)を提供してあげましょう。
- 飼い主との時間: ストレスや分離不安が疑われる場合は、意識的に愛犬と触れ合う時間を増やし、たくさん遊んであげるなどして、コミュニケーションを充実させましょう。
- 不安要素の軽減: 雷や花火、来客など、犬が苦手な音や状況がある場合は、音を遮断する、安心できる場所に移動させるなど、できるだけストレスの原因を取り除いてあげましょう。
- 環境エンリッチメント: 知育玩具やおやつボールなどを活用し、脳を使う遊びを取り入れることで、ストレス軽減や精神的な満足感に繋がることがあります。
チェックリストを確認したうえで重要なこと
上記のチェックリストと対処法は、あくまで病院へ行く前の初期対応です。尿の色や量の異常、排泄時の痛み、元気や食欲の低下など、体調に異変が見られる場合は、すぐに動物病院を受診してください。
自己判断は避け、獣医さんの専門的な診断とアドバイスを受けることが、愛犬の健康を守るために最も重要です。
犬のトイレを成功させる対策方法

愛犬がトイレを失敗してしまう理由については、それぞれの環境や健康状態によって異なります。
まずはその原因を特定することが大事で、わからない場合は獣医師さんやドッグトレーナーに相談してみましょう。
いずれも愛犬が悪いのではなく、飼い主さんの管理の問題になります。理由・原因を特定し、改善できるように進めていきましょう。
わざと失敗する場合は原因を解消する
犬は綺麗好きな子が多く、トイレが少しでも汚れていると排泄物のニオイや足が汚れるのを嫌がり、別の場所でトイレを済ませるようになることもあります。
問題なくトイレができているうちはこまめに掃除しておき、トイレのスペースを清潔にして確保することが大切です。
トイレによっては一定期間の掃除が必要ないというものもありますが、汚いトイレで排泄したいと思える子はいません。
また、いつも寝ているスペースの横にトイレスペースを置いておくと、嫌がって排泄をしない子もいますよ。
ストレスの原因を解消する
分離不安症を始めとしたストレスによるトイレの失敗は、その原因を解消してあげるというのが適しています。
引っ越しなどで仕方なく環境の変化があったとしても、愛犬とのコミュニケーション時間を増やし、少しでも安心させてあげることが大切。
運動不足からくるストレスの可能性もあるので、お散歩時間をしっかり確保したり、一緒に遊ぶ時間を増やしてあげる、というのも良いです。
飼い主さんがいる時もサークルに入る時間を作って慣れさせておき、お留守番の時も短時間であればサークルの中で過ごさせてみましょう。
飼い主さんがいる時といない時の落差をできるだけ少なくする方法で、ストレスを必要以上に溜めづらくします。寂しさからくるストレスは解消するまでに時間がかかるもの。根気強く接してあげましょう。
トイレ環境を愛犬の行動に合わせる
トイレを失敗してしまうようになったら、失敗している場所にトイレスペースを設置するというのもおすすめ。ペットシーツの種類を変えてみたり、トイレサークルを変えてみたり、といった方法も良いでしょう。
トイレの場所は合っているのにはみ出してしまうという場合は、トイレのサイズが合っていないことが考えられます。思い切ってトイレスペースを広げてみることもおすすめ。
老犬の場合は、普段寝ている場所の近くにトイレを設置したり、トイレの段差をなくすなどもおすすめです。日頃からおむつの練習をしておくことで、シニア期の粗相が増えてきたときに役立ちます。
トイレのタイミングで誘導する
子犬期や老犬期は特に、自分の尿意に気付けないことも多いです。しかしこれは体の構造上、仕方のないこと。
就寝前後や食事前後など、トイレのタイミングを見計らって誘導してあげると、失敗しづらくなりますよ。
場合によっては「トイレに間に合わない」ということもありますので、定期的にトイレへと誘導してあげます。
トイレトレーニング時にもこうした誘導は有効的なので、最初期を思い出してやってみましょう。
トイレに成功したら褒めてあげる
いくつかの対策を講じた上で、トイレに再び成功するようになったらしっかりと褒めてあげましょう。
トイレが完璧にできたならば、ご褒美をあげるのもおすすめ。繰り返していくことで、成功体験を学習してくれます。
適切なトイレスペースでトイレに成功することが、良いことであると覚えてもらうのです。言葉や触れ合いで褒めることはもちろんのこと、おやつなどもうまく使うと良いですよ。
改善が難しい場合は動物病院へ
これらの対処法を試した上でもなかなか改善しない、という場合には動物病院で診てもらいましょう。
老犬期であればこうした対処でも改善しないことが多く、早めに受診することが大切です。
病気が原因でトイレに失敗するということもあり、目視では確認できない病気も多いので、飼い主さんが適切な判断を下すことは難しいです。
目に見えて明らかな病気(トイレに行っても排泄物が出ていない・血尿や血便が見られるなど)はすぐに動物病院へ。
基本的な犬のトイレトレーニング方法

元々は問題なくトイレに成功していた愛犬も、再トレーニングをしておくと安心です。
基本的な犬のトイレトレーニングについてもご紹介しますので、環境が変わったときなどに行ってみましょう。
飼い主さん自身がトイレのタイミングを理解する
愛犬がトイレに行きたそうなタイミングを理解してあげると、トイレへの誘導がしやすくなります。
寝起きや就寝前、食前や食後、そして運動の前後など、いくつかのタイミングでトイレ確認をしてみましょう。
タイミングが適切でなかったとしても、定期的に誘導してあげればトイレの失敗回数は少なくできます。
尿のニオイを少しだけ残して、場所を記憶してもらう
トイレスペースの場所が変わったときや、引っ越しなどで環境が変化したときには、尿のニオイを少しだけ残しておきます。
基本的にはトイレスペースを清潔に保つことで、犬としてもキレイな場所でトイレができます。
ですが、トイレの場所を忘れてしまったときには、どこがトイレスペースであるのかを認識してもらう必要があります。
その判別方法として、正しい場所には尿のニオイを少し残しておきます。
トイレに失敗した場所は丁寧に掃除しておく
反対に、トイレに失敗した場所はトイレスペースでないことを学習してもらう必要があります。
自分の尿のニオイが残っているとトイレスペースであると認識してしまうこともあるため、必ず丁寧に掃除しておきましょう。
サッと拭き取るだけではなく、ニオイを消すためにも消臭まで徹底します。
犬のトイレトレーニングにおすすめのアイテム

愛犬のトイレトレーニングを行う上で、どうしても難易度が高いという場合にはアイテムを使ってみても良いでしょう。
効果には個体差がありますが、便利グッズなのでぜひ一度検討してみてください。
トイレの学習用スプレー
ペットシーツにおしっこのニオイを残すことで、トイレの場所を学習してもらうスプレーがこちら。
アンモニア水などが含まれているため、ペットシーツに吹きかけることでトイレの場所を判別できるようになります。
普段からなかなかトイレの場所を覚えることができない子には、こうしたスプレーを使うのもおすすめです。
トイレの学習用ペットシーツ
ペットシーツ自体に誘引するための認識香料を配合し、トイレの場所を判別してもらうアイテムです。
この香料は人が感じない程度のニオイであるため、不快なニオイは感じず、しつけができるようになります。
高分子吸水性樹脂によりおしっこのニオイをしっかりと吸水し、閉じ込めてくれるためニオイも気になりません。
排泄物のニオイ 消臭&除菌
トイレの場所として適切でなかった場合、失敗してしまった場合には丁寧にお掃除する必要があります。
失敗した場所をトイレの場所だと認識しないためにも、消臭や除菌がしっかりできるものを使うと良いでしょう。
トイレスペースのニオイが気になるところや、ケージ内のお手入れとしても利用できますよ。
犬のトイレトレーニングにおける注意点

しつけを含めたトレーニングは、得意な子もいれば苦手な子もいます。愛犬の性格に合わせてトレーニングを実施していくのはもちろん、その他の準備や考え方も重要なポイント。トイレトレーニングを行う場合には、次の点に注意が必要です。
トイレは清潔に保つ
トイレスペースは清潔に保っておき、「トイレを済ませることが嫌なことだ」と思わないようにしましょう。
おしっこやうんちは早めに掃除することで、トイレが嫌なものではないと認識してもらう必要があります。
トイレスペースに行くことを嫌がるようになると、適切な場所でトイレをしなくなる可能性もあるのです。
適切なトイレスペースであることを認識してもらうためにニオイを少し残しておく程度は良いですが、汚いままにしておくことはNGです。
トイレの場所を頻繁に変えない
トイレの場所を頻繁に変えてしまうと、どこが適切なトイレスペースであるのかわからなくなってしまいます。
仕方なく変更するときでも、再トレーニングを行い、どこでトイレを済ませるべきなのか理解してもらいましょう。
老犬期でなかったとしてもトイレを頻繁に変えていると、トイレスペースがわからなくなりますよ。
絶対に叱らない
トイレに失敗すると、飼い主さんの負担も増えるため叱りたくなってしまいますよね。ですが、トイレの失敗で叱ることはNG行為です。
叱られることを怖く感じてしまい、適切なトイレスペースに行かなくなり、隠れて別の場所でするようになり逆効果です。
また、我慢してしまってトイレに失敗するといったこともありますので、酷くなれば膀胱炎などの病気になってしまいます。
排泄行為そのものが怒られている感覚にもなりますので、トイレに失敗したからといって叱るようなことは絶対にないようにしましょう。
この記事の執筆者・監修者
犬のしつけパピーラブ代表/ドッグトレーナー
その後、ドッグトレーナー養成スクールのインストラクターや、犬のようちえんでトレーナーとして勤務し、ペットクリニックで動物看護師を経験後、2016年に犬のしつけ「パピーラブ」を渋谷に開業。
2023年には場所を世田谷に移し、犬のようちえん業務もスタート。
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