これまでは何の問題もなくトイレができていた子であっても、ある日突然、失敗するようになることがあります。
トイレを失敗するようになったからといって、頭ごなしに叱っていても解決するものではありません。
まずはその原因や理由を知り、なぜ失敗してしまうのか、飼い主さん自身が理解するところから始めましょう。
愛犬がトイレを失敗するようになったその理由、そして原因と対処法をご紹介します。
この記事の結論
- 犬がトイレを失敗するのは、ストレスやマーキング行為など原因はさまざま
- 膀胱炎や尿路結石症など、病気が原因でトイレを失敗している可能性もある
- 愛犬がトイレを失敗する原因を特定してから改善を試みることが大切
- トレーニング時にトイレ場所を何度も変えたり、トイレの失敗で叱ることは避ける
犬のしつけパピーラブ代表/ドッグトレーナー
その後、ドッグトレーナー養成スクールのインストラクターや、犬のようちえんでトレーナーとして勤務し、ペットクリニックで動物看護師を経験後、2016年に犬のしつけ「パピーラブ」を渋谷に開業。
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目次
犬が突然トイレを失敗するようになる7つの理由
トイレトレーニングをきちんと終えて、問題なくトイレができるようになっていた愛犬。
ですが、「ある日突然、そのトイレを失敗するようになった」という状況に直面することがあります。
お掃除の手間が増えるため、叱りたい気持ちがでてくるのと共に、愛犬のことが心配になるでしょう。
子犬でも成犬でも、老犬であってもトイレを失敗することはあります。
まずはその理由をしっかりと理解しておきましょう。
分離不安症
分離不安症(ぶんりふあんしょう)とは、心の病気のひとつで、人間の子どもだけでなく犬や猫にも見られる症状のこと。
飼い主さんの姿が見えなくなることで極度の不安状態に陥り、吠え続けてしまったり粗相をするようになります。
場合によっては家具や周りのモノを破壊するような行動も取ってしまうため、危険な場合も少なくありません。
環境の変化や生活スタイルの変化など、ストレスになるようなことが引き金になりやすいです。
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ストレスや精神的に落ち着かない
環境の変化は人間でも落ち着かないものですから、犬にとってもストレスになりやすいポイントです。
大きな変化がなかったとしても、飼い主さんとのコミュニケーション不足などもストレスになります。
留守番の時間が長かったり、誰もいない留守中に大きな音がしたり、雷がなったりして怖い思いをした、など精神的に落ち着かないことが原因になりがちです。
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トイレの場所が変わった
模様替えやトイレの場所を変えたことによって、トイレの場所がわからなくなることもあります。
こうした部分はとても繊細で、「トイレ周りの環境が変わる」というだけでも失敗するようになります。
また、一時的にペットホテルへ預けると、トイレ環境がガラッと変わるため失敗することがあります。
老化による影響
犬の場合、一般的に7歳を超えてくると中年期、老犬期に入ります。
すると、脳の老化による認知機能の低下、目の衰えによる認識力の低下が見られるようになります。
認知機能が低下してくると、トイレの場所を忘れてしまいますし、目の衰えによってトイレを認識できなくなることがあります。
また、老化による筋肉の衰えが見られるようになると、排泄時の体勢を崩してしまい、結果的に失敗することもあるのです。
子犬期や成犬期とはまた異なり、老化によるトイレの失敗は仕方のないケースが多いです。
反抗期
生後7か月前後からトイレを失敗するようになったら、反抗期であることも考えられます。
平均的には1歳前後までの間に見られる反抗期ということです。
トイレの失敗以外にも、よく吠えたり噛んだり、といった問題行動が目立つようになります。
失敗を続けてしまうとあちこちに粗相をしてもよいというルールが出来てしまい良くないので、トイレを失敗してしまったときは叱らず、粛々と片付けましょう。
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マーキング
トイレの場所を覚えていたとしても、マーキングの一環としてトイレ以外の場所で排泄することもあります。
マーキングは自分の縄張りであることを主張するための行動で、壁沿い、テーブルの足、カーテン、出入り口などですることが多いです。
去勢・避妊手術をした方が改善されやすく、飼い主さんとの関係性や環境の見直しも必要になりますのでプロのトレーナーに相談すると良いでしょう。
わざと失敗することもある
上記までの一部にも該当しますが、仕方なく失敗するのではなく、わざと失敗することもあります。
トイレの失敗が全て深刻な問題というわけではなく、飼い主さんの気を引こうとしているだけ、という可能性も考えておきましょう。
このようにトイレを失敗する理由次第で、解決策・対策が異なります。それぞれに適した対策が必要です。
愛犬のトイレ失敗は病気が原因であることも
トイレを失敗することは、愛犬にとって本意ではないケースも当然考えられます。
その中には飼い主さんが気づきづらい、病気が原因になっていることもあるのです。
膀胱炎 | 膀胱の炎症によって膀胱炎となり、排泄コントロールができなくなることもある |
尿路結石症 | トイレの回数が増えたり、排出時の痛みが発生する |
ホルモン異常 | 意思に関係なく漏れてしまう、尿失禁の原因となる |
認知症 | 脳の老化により、トイレの場所を忘れてしまうことがある |
椎間板ヘルニア | 自分でおしっこができなくなることもある |
あくまで一例ではありますが、トイレの失敗理由として病気が原因であることも考えなければいけません。
トイレのタイミングや場所で失敗するのとは別に、排泄コントロールがうまくできていない可能性もあります。
特に老犬期になると注意が必要な病気も多く、これまでの行動と違ったところがないかよく確認しておきましょう。
日頃から定期検診をしっかりと受けておき、早期発見・早期治療で長生きしてもらいましょう。
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愛犬のトイレを成功させる対策方法
愛犬がトイレを失敗してしまう理由については、それぞれの環境や健康状態によって異なります。
まずはその原因を特定することが大事で、わからない場合は獣医師さんやドッグトレーナーに相談してみましょう。
いずれも愛犬が悪いのではなく、飼い主さんの管理の問題になります。理由・原因を特定し、改善できるように進めていきましょう。
わざと失敗する場合は原因を解消する
犬は綺麗好きな子が多く、トイレが少しでも汚れていると排泄物のニオイや足が汚れるのを嫌がり、別の場所でトイレを済ませるようになることもあります。
問題なくトイレができているうちはこまめに掃除しておき、トイレのスペースを清潔にして確保することが大切です。
トイレによっては一定期間の掃除が必要ないというものもありますが、汚いトイレで排泄したいと思える子はいません。
また、いつも寝ているスペースの横にトイレスペースを置いておくと、嫌がって排泄をしない子もいますよ。
ストレスの原因を解消する
分離不安症を始めとしたストレスによるトイレの失敗は、その原因を解消してあげるというのが適しています。
引っ越しなどで仕方なく環境の変化があったとしても、愛犬とのコミュニケーション時間を増やし、少しでも安心させてあげることが大切。
運動不足からくるストレスの可能性もあるので、お散歩時間をしっかり確保したり、一緒に遊ぶ時間を増やしてあげる、というのも良いです。
飼い主さんがいる時もサークルに入る時間を作って慣れさせておき、お留守番の時も短時間であればサークルの中で過ごさせてみましょう。
飼い主さんがいる時といない時の落差をできるだけ少なくする方法で、ストレスを必要以上に溜めづらくします。
寂しさからくるストレスは解消するまでに時間がかかるもの。根気強く接してあげましょう。
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トイレ環境を愛犬の行動に合わせる
トイレを失敗してしまうようになったら、失敗している場所にトイレスペースを設置するというのもおすすめ。
ペットシーツの種類を変えてみたり、トイレサークルを変えてみたり、といった方法も良いでしょう。
トイレの場所は合っているのにはみ出してしまうという場合は、トイレのサイズが合っていないことが考えられます。
思い切ってトイレスペースを広げてみることもおすすめ。
老犬の場合は、普段寝ている場所の近くにトイレを設置したり、トイレの段差をなくすなどもおすすめです。
また、日頃からおむつの練習をしておくことで、シニア期の粗相が増えてきたときに役立ちます。
トイレのタイミングで誘導する
子犬期や老犬期は特に、自分の尿意に気付けないことも多いです。しかしこれは体の構造上、仕方のないこと。
就寝前後や食事前後など、トイレのタイミングを見計らって誘導してあげると、失敗しづらくなりますよ。
場合によっては「トイレに間に合わない」ということもありますので、定期的にトイレへと誘導してあげます。
トイレトレーニング時にもこうした誘導は有効的なので、最初期を思い出してやってみましょう。
トイレに成功したら褒めてあげる
いくつかの対策を講じた上で、トイレに再び成功するようになったらしっかりと褒めてあげましょう。
トイレが完璧にできたならば、ご褒美をあげるのもおすすめ。繰り返していくことで、成功体験を学習してくれます。
適切なトイレスペースでトイレに成功することが、良いことであると覚えてもらうのです。
言葉や触れ合いで褒めることはもちろんのこと、おやつなどもうまく使うと良いですよ。
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改善が難しい場合は動物病院へ
これらの対処法を試した上でもなかなか改善しない、という場合には動物病院で診てもらいましょう。
老犬期であればこうした対処でも改善しないことが多く、早めに受診することが大切です。
病気が原因でトイレを失敗する、ということもあります。
目視では確認できない病気も多いので、飼い主さんが適切な判断を下すことは難しいです。
目に見えて明らかな病気(トイレに行っても排泄物が出ていない・血尿や血便が見られるなど)はすぐに動物病院へ。
基本的な犬のトイレトレーニング方法
元々は問題なくトイレに成功していた愛犬も、再トレーニングをしておくと安心です。
基本的な犬のトイレトレーニングについてもご紹介しますので、環境が変わったときなどに行ってみましょう。
飼い主さん自身がトイレのタイミングを理解する
愛犬がトイレに行きたそうなタイミングを理解してあげると、トイレへの誘導がしやすくなります。
寝起きや就寝前、食前や食後、そして運動の前後など、いくつかのタイミングでトイレ確認をしてみましょう。
タイミングが適切でなかったとしても、定期的に誘導してあげればトイレの失敗回数は少なくできます。
尿のニオイを少しだけ残して、場所を記憶してもらう
トイレスペースの場所が変わったときや、引っ越しなどで環境が変化したときには、尿のニオイを少しだけ残しておきます。
基本的にはトイレスペースを清潔に保つことで、犬としてもキレイな場所でトイレができます。
ですが、トイレの場所を忘れてしまったときには、どこがトイレスペースであるのかを認識してもらう必要があります。
その判別方法として、正しい場所には尿のニオイを少し残しておきます。
トイレに失敗した場所は丁寧に掃除しておく
反対に、トイレに失敗した場所はトイレスペースでないことを学習してもらう必要があります。
自分の尿のニオイが残っているとトイレスペースであると認識してしまうこともあるため、必ず丁寧に掃除しておきましょう。
サッと拭き取るだけではなく、ニオイを消すためにも消臭まで徹底します。
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愛犬のトイレトレーニングにおすすめのアイテム
愛犬のトイレトレーニングを行う上で、どうしても難易度が高いという場合にはアイテムを使ってみても良いでしょう。
効果には個体差がありますが、便利グッズなのでぜひ一度検討してみてください。
トイレの学習用スプレー
ペットシーツにおしっこのニオイを残すことで、トイレの場所を学習してもらうスプレーがこちら。
アンモニア水などが含まれているため、ペットシーツに吹きかけることでトイレの場所を判別できるようになります。
普段からなかなかトイレの場所を覚えることができない子には、こうしたスプレーを使うのもおすすめです。
トイレの学習用ペットシーツ
ペットシーツ自体に誘引するための認識香料を配合し、トイレの場所を判別してもらうアイテムです。
この香料は人が感じない程度のニオイであるため、不快なニオイは感じず、しつけができるようになります。
高分子吸水性樹脂によりおしっこのニオイをしっかりと吸水し、閉じ込めてくれるためニオイも気になりません。
オシッコ・ウンチのニオイ 消臭&除菌
トイレの場所として適切でなかった場合、失敗してしまった場合には丁寧にお掃除する必要があります。
失敗した場所をトイレの場所だと認識しないためにも、消臭や除菌がしっかりできるものを使うと良いでしょう。
トイレスペースのニオイが気になるところや、ケージ内のお手入れとしても利用できますよ。
愛犬のトイレトレーニングにおける注意点
しつけを含めたトレーニングは、得意な子もいれば苦手な子もいます。
愛犬の性格に合わせてトレーニングを実施していくのはもちろん、その他の準備や考え方も重要なポイント。
トイレトレーニングを行う場合には、次の点に注意が必要です。
トイレは清潔に保つ
トイレスペースは清潔に保っておき、「トイレを済ませることが嫌なことだ」と思わないようにしましょう。
おしっこやうんちは早めに掃除することで、トイレが嫌なものではないと認識してもらう必要があります。
トイレスペースに行くことを嫌がるようになると、適切な場所でトイレをしなくなる可能性もあるのです。
適切なトイレスペースであることを認識してもらうためにニオイを少し残しておく程度は良いですが、汚いままにしておくことはNGです。
トイレの場所を頻繁に変えない
トイレの場所を頻繁に変えてしまうと、どこが適切なトイレスペースであるのかわからなくなってしまいます。
仕方なく変更するときでも、再トレーニングを行い、どこでトイレを済ませるべきなのか理解してもらいましょう。
老犬期でなかったとしてもトイレを頻繁に変えていると、トイレスペースがわからなくなりますよ。
絶対に叱らない
トイレに失敗すると、飼い主さんの負担も増えるため叱りたくなってしまいますよね。ですが、トイレの失敗で叱ることはNG行為です。
叱られることを怖く感じてしまい、適切なトイレスペースに行かなくなり、隠れて別の場所でするようになり逆効果です。
また、我慢してしまってトイレに失敗するといったこともありますので、酷くなれば膀胱炎などの病気になってしまいます。
排泄行為そのものが怒られている感覚にもなりますので、トイレに失敗したからといって叱るようなことは絶対にないようにしましょう。
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この記事の執筆者・監修者
犬のしつけパピーラブ代表/ドッグトレーナー
その後、ドッグトレーナー養成スクールのインストラクターや、犬のようちえんでトレーナーとして勤務し、ペットクリニックで動物看護師を経験後、2016年に犬のしつけ「パピーラブ」を渋谷に開業。
2023年には場所を世田谷に移し、犬のようちえん業務もスタート。
nademo編集部
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