猫の病気・健康

【獣医師執筆】猫の健康診断ではなにをする?費用や受ける頻度

nademoコンテンツ内にはPRが含まれます。詳しくはコンテンツガイドラインをご確認ください。

※ 当コンテンツで紹介する商品は、実際に社内で利用した経験と、ECサイトにおける売れ筋商品・口コミ・商品情報等を基にして、nademo編集部が独自にまとめています。
※ 記事内に含まれる情報は常に最新情報を提供できるよう更新しておりますが、都度詳細が変更されることはあるため、最新の情報は必ず各公式サイトを通じてご確認ください。
※ 本記事はnademoが独自に制作しており、メーカー等から商品提供を受けることもありますが、記事内容や紹介する商品の意思決定には一切関与していません。
※ 記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部がnademoに還元されることがあります。
※ 監修者は掲載情報についての監修のみを行っており、掲載している商品の選定はnademo編集部で行っております。
※ 掲載している商品の順番に意図はなく、掲載の順番によってランク付けしているものではありません。

nademoの運営体制・コンテンツガイドライン

猫の健康診断は必要?費用や注意点、受ける時期やペース

一般的な社会人であれば年に一回の健康診断や、40歳代からは人間ドックなども受けるようになります。

ですが、愛猫の健康診断は定期的に行っているでしょうか。

大切な愛猫の健康状態を知るためには、しっかりと検査できる健康診断は欠かせません。

もし病気があった場合、早期発見できる可能性があるため、定期的な健康診断は大切です。

本記事では、猫の年齢別に健康診断を受けるペースや、費用についてお伝えしています。

この記事の結論

  • 猫は本能的に不調を隠す習性があるため、定期的な健康診断が大事
  • 成猫なら年に1回、高齢猫になると3か月から6か月に1回のペースがおすすめ
  • 健康診断では飼い主さんへの問診や触診はもちろん、血液検査や尿検査なども行う
  • 猫の健康診断にかかる費用は、1回あたり5,000円~10,000円程度

杉山 杏奈

執筆・監修

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。
その後、ペット保険会社、動物病院向けの専門商社に勤務。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

nademo編集部

担当執筆者

nademo編集部

編集部

nademo編集部が調査した愛犬・愛猫に関する情報をお届け。
愛犬・愛猫との新しい生活を応援する、大切な情報や豆知識をご紹介しています。

猫に健康診断は必要?

猫は本能的に体調不良を隠す傾向があるため、飼い主さんが体調不良に気が付いたときには既に病気が進行していた、ということも珍しくありません。

そのため、定期的な健康診断を行うことで、健康時の数値を客観的に把握することができ、病気の早期発見、早期治療に繋がります。

人間でも同様に1年に1回程度の健康診断を行うと思いますが、無症状であってもそこで早期発見することができます。

対して、猫の加齢スピードは人間の約4倍です。少しでも長い時間を愛猫と過ごすためにも、定期的な健康診断をおすすめします。

猫の健康診断の内容

年齢や室内猫、外猫など生活環境に応じて必要な検査はそれぞれ異なりますので、獣医師と相談して決めましょう。

各検査項目には基準値があり、そこから大きく外れていたり、バランスがおかしくないかなど総合的に判断して健康状態を把握します。

ここでは一般的な検査内容や流れについてご紹介します。

問診

ご家庭での様子や食欲などの状態、日常生活で気になることなどを確認します。言葉が話せない愛猫にとって飼い主さんからの情報はとても重要です。

必要に応じて普段からメモを取っておいたり、気になる様子が見られるときには動画で撮影しておくと良いです。

触診・視診

全身状態、顔、皮膚、腹部、神経、骨格、歩き方や関節の異常、しこりの有無などを診て触り異常がないか確認します。

異常の有無については飼い主さんも日常的に確認できるため、必要に応じて自宅でもやってみましょう。

常日頃から愛猫の体に触れて理解しておくと、ちょっとした変化を見逃さずに受診できるようになります。

聴診

心拍数、心雑音、不整脈、腹部の消化器の音、肺音、呼吸数などの音を聴いて異常がないか確認します。 

自宅ではなかなかできないことなので、健康診断が重要な機会になるでしょう。

血液検査

血液を採取して各臓器や全身状態などを把握する検査で、大きく4つの検査に分けられます。

生化学検査肝機能や腎機能の異常、脂質や糖の代謝、栄養状態などの検査
血液学的検査貧血の有無、白血球・赤血球・血小板の異常などの検査
感染症検査細菌培養検査、伝染病の有無、、寄生虫感染の有無などの検査
特殊検査腫瘍マーカの測定、炎症マーカーの測定、アレルギー検査、各種ホルモン(膵炎の有無、腎臓病・心疾患・甲状腺疾患・副腎皮質疾患の有無など)検査

血球検査(CBC)

白血球(WBC): 体に侵入した細菌やウイルスなどと戦う免疫細胞の数を調べます。数値が高い場合は感染症や炎症、ストレスなどが、低い場合は免疫力の低下や特定のウイルス感染(猫汎白血球減少症ウイルスなど)が疑われます。

赤血球(RBC): 全身に酸素を運ぶ役割を担う細胞の数を調べます。数値が低い場合は貧血の有無やそのタイプ(鉄欠乏性貧血、慢性疾患性貧血など)が分かります。

血小板(PLT): 血液を固める働きを持つ成分です。数値が低い場合は出血しやすくなっている可能性があり、止血機能の異常が疑われます。

血液化学検査

肝機能: ALT(GPT)、AST(GOT)、ALPなどの酵素の数値から、肝臓の健康状態を評価します。これらの数値が高い場合は、肝炎や肝障害、胆管の閉塞などが疑われます。

腎機能: BUN(尿素窒素)やCre(クレアチニン)の数値は、腎臓が老廃物をどれだけ効率的に排出できているかを示します。これらの数値が高い場合は、腎不全や脱水症状などが疑われます。特に猫は腎臓病になりやすい傾向があるため、重要な指標です。

血糖値(Glu): 血液中のブドウ糖の量を調べます。数値が高い場合は糖尿病の可能性が、低い場合は肝不全や特定の腫瘍などが疑われます。

電解質: ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)などのバランスを調べ、脱水や腎臓病、副腎皮質機能低下症などの内分泌疾患の診断に役立ちます。

総タンパク(TP)/アルブミン(ALB)/グロブリン(GLOB): 血液中のタンパク質の量やそのバランスを調べ、栄養状態や炎症、肝臓・腎臓の異常、免疫系の病気などが分かります。

コレステロール/中性脂肪: 脂質の代謝状態を評価し、肥満や特定の疾患(甲状腺機能低下症など)との関連を確認します。

その他: 炎症マーカー(SAAなど)、膵臓関連酵素(リパーゼなど)、ホルモン値(甲状腺ホルモンなど)を調べることで、特定の炎症、膵炎、ホルモン異常などの診断に繋がります。

なぜこの検査が重要なのか

猫は本能的に病気のサインを隠そうとする動物です。そのため、飼い主さんが気づいた時には病気がかなり進行しているケースも少なくありません。血液検査は、このような猫の習性ゆえに見落とされがちな体内の小さな変化や、自覚症状が現れる前の病気の兆候を早期に発見できる点で極めて重要です。

病気の早期発見と早期治療: 血液検査によって、腎臓病、肝臓病、糖尿病、貧血、感染症など、多くの病気を症状が出る前に発見できる可能性があります。早期に発見できれば、治療の選択肢が広がり、猫への負担を最小限に抑えながら効果的な治療を開始できるため、病気の進行を遅らせたり、完治させたりする可能性が高まります。

健康状態の基準値の把握: 健康な時に血液検査を受けておくことで、その猫にとっての「正常な状態」のデータ(基準値)を把握できます。将来的に体調を崩した際に、この健康時のデータと比較することで、異常の程度や病気の進行度を正確に評価し、より適切な診断と治療方針の決定に役立てることができます。

予防への貢献: 血液検査は、将来的な病気のリスクを予測する手がかりにもなります。例えば、特定の数値にわずかな異常が見られた場合、生活習慣や食事を見直すことで、本格的な発症を予防できる可能性もあります。

麻酔を伴う処置の安全性向上: 去勢・避妊手術や歯科処置など、麻酔を必要とする処置を行う前に血液検査を実施することで、麻酔のリスク評価ができます。内臓機能に問題がないかを確認し、安全に麻酔をかけるための重要な情報となります。

これらの理由から、特に猫は人間よりも歳をとるスピードが速いため、年に1回(シニア期では年に2回)程度の定期的な血液検査を含む健康診断が、愛猫の健康寿命を延ばし、質の高い生活を送るために不可欠であると言えます。

尿検査

尿を採取して尿のPH確認、腎臓病・糖尿病・膀胱や尿路疾患、尿結石症などの異常がないか確認します。

排泄物は体内部の重要な情報を持っているので、非常に重要な検査です。

便検査

便を採取して血便、異物や寄生虫の有無、腸内細菌のバランス、消化状況などに異常がないか確認します。

尿検査同様に、非常に重要な情報を持っているのでぜひ受けておきましょう。

超音波検査

確認したい部位にゼリーを塗ってプローブを当てて検査をします。

主に臓器の構造・形・動きに異常がないか確認し、レントゲン検査では映らない結石なども発見できます。

レントゲン検査(X線検査)

レントゲン装置に横になり撮影し、外からでは見ることができない骨や関節の異常、心臓、肺、肝臓などの臓器の位置や形、大きさなどに異常がないか確認します。

猫の健康診断を受ける時期やペース

猫と人間の年齢換算表

幼猫、成猫、シニア猫、老猫で健康診断を受けるペースは変わってきます。また成長スピードは一定ではないため、次の期間を目安として考えてみてください。

幼猫:0歳~1歳(人間年齢:約1歳~17歳)

健康診断のスタートは、避妊・去勢手術を考え始める生後6か月頃が望ましいです。

このときにみつかる異常は先天的な病気の可能性が高く、定期的な投薬や手術などが必要になるケースもあります。

成猫:1歳~7歳(人間年齢:約17歳~44歳)

子猫期を過ぎた猫は、人間に換算すると1年で約4歳の年をとります。この時期は人間と同じで、1年に1回の健康診断が望ましいです。

血液検査や尿検査などの数値も安定してくるので、愛猫の健康時の状態を把握できます。

シニア猫:7歳~14歳(人間年齢:約44歳~72歳)

猫にして約7歳~14歳。シニア猫になってきたら半年に1回の健康診断が望ましいです。

シニア期以上になると、猫のかかりやすい「腎疾患、糖尿病尿路結石症膀胱炎甲状腺機能亢進症」などの慢性疾患が発症しやすくなります。

早期発見・早期治療ができれば治りやすい病気もありますので、少しペースを早めて検査していきましょう。

老猫:15歳以上(人間年齢:約76歳以上)

15歳以上の老猫となってきた際には、年に2~3回の健康診断が望ましいです。足腰も弱り食も細くなりやすいので、いつ病気が発症してもおかしくない年齢です。

日々の観察に加えてこうした定期的な健康診断が、愛猫の長生きに繋がる最初のポイントとなります。

猫の健康診断ができる場所と費用

かかりつけの病院で行うのがベストですが、健康診断を実施していない病院もありますので、まずはかかりつけの病院に相談してみましょう。

費用は受ける検査項目数によって異なりますが、約5,000円〜10,000円の動物病院が多いです。検査項目が多くなると、20,000円~30,000円ほどになることも。

また、病院によってはセット料金価格やキャットドック価格などがあり、通常に受けるよりもお安く設定されている病院もあります。

動物病院は、犬と猫で待合室を分けているところや猫専門のところもあります。これからかかりつけの病院を探す場合は、愛猫ができるだけストレスなく受診できる動物病院を選ぶと良いでしょう。

どうしても病院に連れて行くのが難しい猫の場合は、採取した尿や便だけの持参で検査してくれる動物病院もあります。

猫の健康診断を受けるおすすめ時期と注意点

猫の健康診断は事前に検査内容を確認したうえで予約をして受診します。

ずばり、おすすめの時期は秋です。春は犬のワクチンや健康診断で込み合うことが多く、真夏の暑さや真冬の寒さの中での移動は猫のストレスになります。

特に猫にとっては外出自体がストレスになることも多いため、できる限りストレスのない外出が可能な状況を選ぶのがおすすめです。

食事制限

検査内容によっては飲水や食事制限が必要な場合もありますので、予約時に合わせて確認をしましょう。

事前説明として受けるとは思いますが、忘れてしまうと検査に支障が出ます。

特に飲水よりも、食事に関してはいつまで食べて良いのか、ついついクセになって与えてしまうことがないよう、注意しましょう。

尿採取・便採取

事前に尿や便を採取して持参する必要があることもあります。

動物病院での採尿や採便が難しい場合には、事前に自宅で採取してくるというケース。自宅採取の場合は、採取方法を動物病院に確認しておこないましょう。

猫を動物病院に連れていく方法

猫の場合は動物病院に行くこと自体がかなりのストレスになることが多いため、0歳時から定期的に動物病院に連れていくことで慣れさせることも大事です。

また、日頃からキャリーの中でごはんをあげるなどして、移動時のキャリーにも慣れさせておきましょう。キャリーは爪が引っかからないプラスチック製がおすすめです。

暴れてしまう猫は事前に網目が荒めの洗濯ネットにいれていくと、動物病院での診察をスムーズに行うことができます。移動中や待合室ではバスタオルなどをかけてあげると安心します。

日常的にできる愛猫の健康チェック方法

愛猫との毎日のスキンシップやお世話の中で、セルフ健康チェックを行ってみましょう。

定期的な健康診断で体内部の異変に気付けますが、見た目だけからでも気付けることはあります。

顔のチェック目やにや腫れ、耳や口から悪臭がしないか
体のチェック皮膚にしこりや触ると痛がるところはないか、毛は艶があってフケなどはないか
便のチェック硬さや色は正常か、血液などが混ざっていないか
尿のチェック尿の色、尿をするときに痛がっていたり、回数は減っていないか
活動のチェック高いところに登ったり、ジャンプしたりできているか

猫は腎疾患、膀胱炎、尿路結石症を起こしやすいので尿のチェックは特に重要です。ニオイや量、色や回数など、日頃から記録しておくと変化に気付きやすいですよ。

日々の健康チェックをしつつ、愛猫の健康状態に気を配りましょう!

この記事の執筆者・監修者

杉山 杏奈

執筆者情報

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

nademo編集部

執筆者情報

nademo編集部

編集部

新しい家族を迎えるペットファミリーにとって、欲しい情報をnademo編集部がお届けします。
「いつまでも どこまでも」必要な情報を理解するだけではなく、心もお腹も満たされるような日々のために。
&nademo(アンドナデモ)のコンセプトをもとに、飼い主さんとペットが安堵できる時間を演出します。


※ 当コンテンツで紹介する商品は、実際に社内で利用した経験と、ECサイトにおける売れ筋商品・口コミ・商品情報等を基にして、nademo編集部が独自にまとめています。
※ 本記事はnademoが独自に制作しており、メーカー等から商品提供を受けることもありますが、記事内容や紹介する商品の意思決定には一切関与していません。
※ 記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部がnademoに還元されることがあります。
※ 監修者は掲載情報についての監修のみを行っており、掲載している商品の選定はnademo編集部で行っております。
※ 掲載している商品の順番に意図はなく、掲載の順番によってランク付けしているものではありません。

-猫の病気・健康
-,