猫の食事

【獣医師執筆】猫の流動食とは?適切な選び方や与え方について

猫の流動食とは?適切な選び方や与え方について

多くの飼い主さんは猫と長年暮らしていく中で、愛猫の怪我や病気など様々な健康問題を抱えるでしょう。

その中でも猫の食欲が無くなってしまったり、ドライフードや缶詰フードを噛んで食べることが難しくなる場面では獣医師の指示に基づいて“流動食”を与えることがあります。

この記事ではそんな流動食について、

  • 流動食が必要になる状況
  • 流動食の種類
  • 流動食の与え方、注意点

の大きく3つのポイントに分けて解説をしています。

執筆・監修

原 駿太郎

原 駿太朗

獣医師、ペット管理栄養士、ペット用品取扱士

大学卒業後、総合診療に加え夜間救急、整形外科の専門治療、東南アジアでの診察指導などに従事。
現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。

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猫に流動食が必要な場面とは?

流動食が必要になるケースには、様々な状況が考えられますが代表的な例をご紹介します。

口周りの異常

食べ物を食べる入り口となる口腔内に歯周病や口内炎、はたまた腫瘍などが原因となり異常が発生しうまく摂食できない場合。

食欲低下・消化不良

胃腸炎や腎臓病など何らかの基礎疾患が原因で食欲不振や頻回の嘔吐、下痢を起こし食事をうまく消化・吸収ができない場合。

効率的な栄養補給

手術を受けた直後や消化機能が弱い状態で消化管に大きな負担をかけずに素早く栄養を補給したい場合。

食欲不振、嘔吐や下痢に関しては消化管に関係なく様々な病気で起こりうることがありますが、流動食が必要になるケースの多くが消化管の病気に関連しています。

猫の流動食の種類

流動食には、缶詰やパウチ、ボトルのタイプなど様々な種類があります。

ロイヤルカナンクリティカル リキッド

この2種類の流動食は動物病院から処方されることも多いので、目にされたことがある飼い主さんもいらっしゃると思います。

クリティカルリキッドは疾病回復期、手術後などの栄養要求量が高まっている犬や猫に給与する目的で特別に調製されています。

対してリーナルリキッドは猫に多い腎臓病の療法食として設計されており、リンやタンパク質の含有量などが調節されている流動食になります。

猫の健康状態に合わせて適した種類を選ぶことができ、蓋部分にシリンジを直接差して吸引する構造になっているため与える時も清潔な状態を保つことができるメリットがあります。

対象年齢 全年齢
内容量 600ml
原産国 フランス
主原料 低乳糖ミルク、マルトデキストリン、カゼインカルシウム
添加物 アミノ酸類、乳化剤、ミネラル類、ビタミン類
100gあたりのカロリー 105kcal
1日あたりの価格 約1,300円
定期販売 -
フード目的 療法食
フードの種類 ウェット

デビフペットカロリーエースプラス猫用流動食

デビフのカロリーエースプラスは高タンパク、高カロリーの設計になっている流動食なので離乳期や老齢期など噛む力が弱く、一度にたくさん食べられなくなっている猫にもおすすめです。

完全な液体の場合、猫の状態によってはかえって誤嚥をするリスクもありますが、そういった状態の猫のためにムースタイプの少しトロミがあるバージョンもあるのがカロリーエースプラスのユニークな特徴。

猫が食べやすい形状を状態に応じて選ぶことができます。

対象年齢 全年齢
内容量 340g
原産国 日本
主原料 調整乳、乳たん白、砂糖、鶏卵
添加物 増粘多糖類、乳化剤、糖類、タウリン、アミノ酸類、ミネラル類、ビタミン類
100gあたりのカロリー 90kcal
1日あたりの価格 約1,200円
定期販売 -
フード目的 総合栄養食
フードの種類 ウェット

森乳サンワールドチューブダイエット ハイカロリー

チューブダイエットはパウダー状になっている流動食になります。

高タンパク(43.0%以上)ながら消化性にも優れた原材料を選んで作られ、タウリン、アルギニン、L-カルニチンなども配合されており猫の肝脂肪症(肝リピドーシス)や胆管炎等にも配慮されています。

このフードの最大の特徴は、パウダー状に作られていること。

流動食として与える時は水を加える必要があるのですが、添加する水の量は自由に調節できるため完全な液体からムース状までこれひとつで病態の変化に合わせて細かく給与方法を変更できるので非常に便利です。

対象年齢 -
内容量 400g
原産国 日本
主原料 乳類、中鎖脂肪酸(MCT)含有粉末油脂
添加物 ミネラル類、アミノ酸類、ビタミン類、酵母エキスパウダー、ブドウ糖、二酸化ケイ素、香料
100gあたりのカロリー 510kcal
1日あたりの価格 約620円
定期販売 -
フード目的 療法食
フードの種類 ウェット

猫の流動食の与え方、注意すべきポイント

流動食の与え方にはいくつかのパターンとそれぞれ注意点があります。

お皿から自力で食べられる場合

猫が自分自身でお皿から舐めて食べられる場合は流動食をそのままお皿に入れてあげましょう。

この時注意すべき点としては

  • 食器を置く位置や食器の深さ猫が食べやすいように調整する
  • 流動食は細菌が繁殖しやすいので、食器は毎回洗って清潔を保つ

などがあります。

飼い主さんが口から飲ませる場合

飼い主さんがシリンジなどを使って口から飲ませる際は、しっかりと猫の体を支えてあげながら口元から少しずつ食べさせてあげるようにしましょう。

この時の注意すべき点としては

  • 猫の口がちゃんと動いて飲み込めているかを確認する
  • 一度に大量に飲ませずに、細かく分けながら与える
  • 温め過ぎた流動食は火傷を起こすことがあるので温度に注意する

などがあります。

体に設置されたチューブから与える場合

手術後や口腔内疾患などで直接口から食べることができなくなってしまった時には鼻から管を入れたり、食道や胃に直接チューブを設置しそこから食べさせることがあります。

この時の注意すべき点としては

  • 一度に大量に与え過ぎず、1日の中で何度かに分ける
  • フードでチューブ内部が汚れやすいので、与えたあとは水を通す
  • エリザベスウェアーなどの服を着せてチューブをカバーする(猫自身がチューブを噛んだり、足で抜いてしまうことがあるため)

などがあります。

まとめ

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流動食が必要になるケースでは猫ちゃんがなんらかの健康問題を抱えている場合がほとんどです

そのため、まずは動物病院で獣医さんとしっかり相談しながら、健康状態に合わせた適切な流動食、与え方を考えてあげましょう。

また、与える際のそれぞれの注意点を意識しながら少しでも異変を感じた場合はすぐに診察を受け、適切な処置や指示を仰いで猫にとっての最適な状態を保ってあげるようにしましょう。

執筆・監修者の情報

原 駿太郎

原 駿太郎

獣医師、ペット管理栄養士、ペット用品取扱士

大学卒業後、総合診療に加え夜間救急、整形外科の専門治療、東南アジアでの診察指導などに従事。
現在ではオンラインペットショップを運営する25Holdings Japanにてグローバル全体の自社ブランドの商品開発をする傍ら、”現役の臨床医”であり続けることにこだわり非常勤獣医師として動物病院に勤務も続ける。

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