日本では珍しい犬種でありながらも、それなりに人気のあるポーチュギーズ・ウォーター・ドッグという犬種。
泳ぎがとても得意な犬種だと言われており、その他の犬種と比べても圧倒的な特徴を持っている犬種だと言えるでしょう。
特殊なカットスタイルをすることでも知られており、カット次第では印象的な見た目を持つのも特徴的。
人間との関わりもとても深い犬種なので、その歴史から特徴や性格など幅広くご紹介していきます。
この記事の結論
- 昔からポルトガル沿岸で漁師のパートナーとして活躍していた犬種
- 水辺での作業を得意としており、泳ぎや番犬としても優秀であった
- 腰回り以降をしっかり刈り込むという、非常に特殊なカットスタイルが魅力
- 賢く社交性の高い犬種であるものの、暇になると噛み癖や吠え癖が見られる
目次
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの特徴と性格

ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、泳ぎや水辺での作業を得意とするポルトガル原産の犬種です。
水辺における作業犬としてはずば抜けて活躍してきており、漁師の手伝いだけでなく漁業船を守る番犬としても活躍しました。
漁業設備の進歩によって一時は絶滅の危機に瀕していましたが、今ではアメリカを中心として人気になりました。
実は、元米国大統領バラク・オバマ氏が迎えた犬種でもあり、任期中のファースト・ドッグとなった経歴を持ちます。
活発で思慮深い上に勇敢
家族や見知らぬ人にも愛情深い
警戒時に吠えることがある
運動が得意でスタミナ豊富
その他情報
原産地 | ポルトガル |
犬種グループ | 8G:7グループ以外の鳥猟犬 |
大きさ | 中型 |
平均寿命 | 11歳~13歳 |
なりやすい病気 | 股関節形成不全,拡張型心筋症,進行性網膜萎縮症(PRA),小眼球症,GM1ガングリオシドーシス,副腎皮質機能低下症(アジソン病) |
参考価格 | 40万円〜80万円 |
被毛
抜け毛 | 少ない |
毛質 | ウェーブコート |
毛色 | ブラック,ホワイト,ブラウン |
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの誕生の歴史
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは古くから漁師との付き合いがある犬種で、船上で生活していたほど海との関係性が深い犬種です。
原産地はポルトガルだと言われており、ポルトガル沿岸のさまざまな場所に生息していたと考えられています。もっとも古い記録は1297年という説もありますが、1800年代には漁業設備の進歩によって需要が低下し、絶滅の危機に瀕したようです。
その後、1930年代にはポルトガルの実業家であるバスコ・ベンソーデ氏が興味を持ち、絶滅の回避に向けて動き出します。1958年にはアメリカ人であるハリントン夫妻がイギリスから輸入し、ニューヨークに迎えます。
これをきっかけとして少しずつ生息数が増えていき、1972年にはアメリカのポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ・クラブという団体を主催。1983年にはアメリカンケネルクラブに認定され、1984年にはショーに出場するまでになりました。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの性格・習性
長く人間と関わりを持ってきたポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、非常に飼いやすい性格をしています。
ただ、飼いやすさに加えて理解しておかなければいけない点もいくつかあるため、後述のポイントと共に理解しておくと良いでしょう。
賢く訓練が得意で社交性も高い
昔から飼い主さんと共に作業をしてきた犬種であるため、賢く訓練がとても得意な性格をしています。
飼い主さんや家族に忠実なため、指示に従って作業をすることがとても得意なのです。
他の動物とも仲良くできる傾向にあるので、社交性の高さによって多頭飼いなども実現できるでしょう。
見知らぬ人に対してはよそよそしい
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグはただ作業をしていただけではなく、漁船や貴重品を守る役目もしていました。
番犬気質と言えるほどに番犬タイプではないものの、家族を守ることができるだけの強さは持ち合わせています。
見知らぬ人が近づいてくると吠えて警戒を促すため、吠え癖のトレーニングは必要です。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの身体的特徴
バランスの取れた体格をしており、とても落ち着いた印象を与えてくれるのがポーチュギーズ・ウォーター・ドッグです。
足には水かきのようなものがついているため、水中でも難なく泳ぐことができるという特徴があります。
被毛にはカールがかかっていたりウェーブがかかっており、撥水性のある被毛が特徴的です。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグのサイズ(体高・体重)
体高 | 男の子:50cm~57cm 女の子:43cm~52cm |
体重 | 男の子:19kg~25kg 女の子:16kg~22kg |
男の子の場合にはやや体高が大きいケースもありますが、基本的には中型犬サイズの犬種です。JKCによると、理想とされる体高は、男の子が54cm、女の子が46cmとされています。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの毛色・被毛
毛色はブラックやブラウンなどを中心として、ホワイトなどの毛色も存在する犬種です。
- ブラック
- ホワイト
- ブラウン など
単色以外だとブラックとブラウンの組み合わせや、ブラックとホワイトの組み合わせが多いです。毛質はカールしている個体やウェーブしている個体がおり、抜け毛はほとんどない体質です。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの運動能力
陸地での運動能力も高いですが、やはりポーチュギーズ・ウォーター・ドッグといえば水中です。
中には水を怖がる犬種もいる中で、古くから水辺で生活してきたこともあって水中での運動能力も非常に高いのです。
エネルギッシュで知性も高いため、アジリティーやダイビングドッグとしても活躍できる犬種と言われています。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの平均寿命
いくつかのかかりやすい病気はあるものの、中型犬の平均的な寿命であると言われています。
それよりはやや短いときもありますが、一般的には平均寿命が11歳~13歳程度と覚えておくと良いでしょう。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの注意したい病気
股関節形成不全 | 骨格形成期に骨が変形したり関節が緩むことで、股関節が異常形成される |
拡張型心筋症 | 心筋が薄くなり心臓の収縮機能が低下し、血液をうまく循環させられなくなる |
進行性網膜萎縮症(PRA) | 網膜が徐々に変性していくことで視力が低下していき、失明に至る |
小眼球症 | 生まれつき眼球が小さい状態のこと |
GM1ガングリオシドーシス | GM1ガングリオシドが分解されないことにより蓄積し、神経症状を引き起こす |
副腎皮質機能低下症(アジソン病) | 副腎あるいは脳の下垂体の障害のため、さまざまな症状を引き起こす |
健康問題は比較的少ないと言われているポーチュギーズ・ウォーター・ドッグですが、上記のような病気には注意が必要です。
中・大型犬に多い股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)や、拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)。
そして眼疾患である進行性網膜萎縮症(しんこうせいもうまくいしゅくしょう)や小眼球症(しょうがんきゅうしょう)などにかかりやすいです。
ウォーター・ドッグ系犬種 比較表
項目 | ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ | スパニッシュ・ウォーター・ドッグ |
---|---|---|
原産国 | ポルトガル | スペイン |
主な役割 | 漁師のパートナー(漁具の運搬、魚の追込み、船の番犬など) | 牧羊犬、水鳥の回収、漁師の手伝い |
体格 | 中型犬。 | 中型犬。 |
被毛 | シングルコート。撥水性があり、カールもしくはウェーブしている。 | シングルコート。巻き毛で、毛が伸びるとひも状のコードになる。 |
毛色 | ブラック、ホワイト、ブラウン、またはそれらの混色 | ブラック、ホワイト、ブラウンの単色またはそれらの斑 |
性格 | 賢く、忠実、社交的。見知らぬ人にはよそよそしい一面も。 | 忠実で、活発、陽気。家族には非常に愛情深く接する。 |
お手入れ | 抜け毛は少ないが、1ヶ月ごとの定期的なトリミングが必須。 | 抜け毛は少ないが、毛が絡まないようブラッシングやコーディングが必要。トリミングは年に1~2回。 |
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグのユニークさ
- 歴史的な役割: 漁師の相棒として、網や道具の運搬、泳いで魚を追い込むなど、海での幅広い作業に特化してきた独自の歴史を持っています。
- 有名人との繋がり: 元米国大統領バラク・オバマ氏の愛犬「ボー」として世界的に有名になったことで、犬種としての知名度と信頼性が非常に高まりました。
- 特徴的なカットスタイル: ボディの後半部分を刈り上げる「ライオンクリップ」は、後足での推進力を高めるための機能的なスタイルであり、この犬種ならではのユニークな外見的特徴です。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグのユニークさ
- 被毛の「コード」: 最も大きな特徴は、手入れを怠ると毛が絡み合い、ひも状の「コード」と呼ばれる独特な被毛になることです。これは、この犬種特有の見た目の個性と言えます。
- 多才な役割: 牧羊犬として羊や山羊を管理するほか、水辺での作業もこなすなど、様々な役割をこなす多才な犬種として活躍してきました。
両犬種とも水辺での作業に適応した賢く活発な犬種ですが、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは「漁業のパートナー」としての歴史と、「有名犬」としての知名度、そして「ライオンカット」という象徴的なスタイルが、他のウォーター・ドッグ系犬種にはないユニークな特性と言えるでしょう。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを飼うのに向いている人の特徴

ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、実際のところ一般家庭でお迎えするのはやや難易度が高いです。
それだけエネルギッシュな犬種であり、その豊富なスタミナをコントロールしてあげなければいけないからです。
活発に行動して暇な時間をなくせる人
豊富すぎるスタミナを持つポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、暇な時間を良しとしません。
暇な時間が多すぎると、吠えすぎたり噛み癖が酷くなったりと、多くのストレスを抱えている状況になります。
もともとが作業犬として活躍していた犬種であるため、常に動ける環境を求める傾向にあります。
早くから適切なしつけができる人
しつけのタイミングが遅れてしまうと、吠え癖や噛み癖が強く出てしまうポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ。
子犬期からのしつけはどの犬種でも同じく必要ですが、遅くならないように注意しましょう。
始める時期は子犬期の生後2~3か月が経過した頃で、この頃から社会化トレーニングとあわせて始めておくことが重要です。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの飼い方

少しハードルの高いポーチュギーズ・ウォーター・ドッグをお迎えするなら、次のポイントに注意すると良いです。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの特徴を知ったうえで、特に運動面やストレスの抱え方は理解しておかなければなりません。
高い知性を持つため、ポジティブなトレーニングが適切

非常に賢いと言われているポーチュギーズ・ウォーター・ドッグには、ポジティブなトレーニングが最適です。
怒ってばかりのネガティブなトレーニングは適しておらず、信頼関係を崩すだけの原因になります。
しっかりと信頼関係を維持した状態で進めなければいけませんので、褒めて伸ばす形を基本にしましょう。
1日2回、1回あたり30分程度の散歩や水泳がおすすめ

少なくとも1日1時間程度の運動は必要不可欠で、これより多くてもちょうど良いぐらいです。
ただ、普通に生活していると長過ぎる散歩は飼い主さんにとって負担となるでしょうから、週末にはドッグランなどで走り回れるとなお良いでしょう。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは泳ぎも得意なので、近場にあれば水泳などもあり。
いずれにしてもしっかりと運動をさせることが、必要以上にストレスを溜めないポイントになります。
水が得意なので水難事故に注意する
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは漁師との深い繋がりと水辺での作業をしてきたこともあり、水に対して怖がる様子はありません。
さらには足に水かきを持っており、被毛は防水性も兼ね備えているほど、得意なタイプなのです。
水中でもスムーズに動いて泳ぎも得意とする犬種ですが、だからこそ注意しなければいけません。
水中運動を得意とする犬種であっても、水難事故には注意してよく観察しておくことが重要です。
多くのカロリーを必要とするからこそ、体重管理が重要

ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは特に運動を多くする犬種なので、体にあったドッグフード選びが重要です。
どちらかと言えばカロリーは高めのものの方が適しており、痩せすぎにも配慮が必要です。
ただ、ハイカロリーのドッグフードを食べつつ、運動不足になるようなことがあれば太ります。
痩せすぎにも注意が必要ですが、太り過ぎにも注意して、運動と食事で体重管理をしてあげてください。
お手入れの頻度は少なく済むものの、1か月ごとのカットが必要
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは頻繁なお手入れが必要なく、特徴的な被毛をしていますがブラッシングは週に2~3回程度で問題ありません。
抜け毛がそんなに多くない一方、海辺や水遊びをする子の場合は、汚れのケアとして適度なシャンプーが必要です。
毛は常に伸び続けていくので、1か月に1回などの定期的なペースでトリミングをしてもらうことも忘れないようにしましょう。
定期的に水泳をする子や海に入る子には、通常よりも皮膚・被毛のケアや耳のケアが重要になってきます。
おすすめのドッグフード・アイテム
圧倒的な肉量で作られているアカナのスポーツ&アジリティレシピは、活動量の多い子にむけて作られたレシピです。
カナダ産の鶏肉や七面鳥を中心として、魚類はニシンやヘイクなどの新鮮な食材を贅沢に使用しています。
動物原材料を75%使用しているのに対して、果物・野菜・ハーブ類は25%とし、豊富な動物性タンパク質を摂取することができます。
少食な子や痩せ気味の子におすすめですが、100gあたり372.5kcalとハイカロリー過ぎないのが魅力です。
アメリカで誕生した安全な天然ゴム製の犬用おもちゃは、知育玩具としても人気のおもちゃです。
噛み癖の軽減や歯固めとしても使用することができて、暇つぶしにもなるおもちゃとなっています。
噛むことが多いものなので耐久性は特に重視されており、誤飲を軽減する仕様になっているおもちゃです。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの価格と費用

ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは人気なもののまだ個体数が少なく、お迎えは簡単ではありません。
価格相場と高価になる理由
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの生体価格は、一般的な犬種に比べて高価になる傾向にあります。
- 価格相場: 40万円〜80万円程度(血統や毛色、ブリーダーによって変動)
この犬種が高価になる主な理由は以下の通りです。
- 日本国内での希少性: 日本国内のブリーダーが非常に少なく、年間の登録頭数も限られているため、需要に対して供給が追いついていません。
- 海外からの輸入コスト: 多くの場合、海外(特に欧米)のブリーダーから輸入する必要があり、航空運賃、輸送費用、検疫費用、代行手数料などが数十万円単位でかかります。
- ブリーダーの飼育コスト: 健康な親犬の血統維持や、遺伝子病の検査、適切な飼育環境の維持には多額の費用がかかります。特にポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは専門的なケアが必要なため、そのコストが生体価格に反映されます。
お迎えにかかる初期費用シミュレーション
ここでは、生体代を含めた、お迎え時に一度だけかかる費用をシミュレーションします。
項目 | 金額の目安 | 備考 |
---|---|---|
生体代 | 400,000円~800,000円 | 血統やブリーダーによって大きく変動します。 |
ワクチン接種 | 5,000円~10,000円(1回) | お迎え前に済んでいる場合もあります。 |
健康診断・マイクロチップ | 5,000円~10,000円 | 健康チェックと個体識別のための費用です。 |
ケージ・サークル | 10,000円~30,000円 | 成犬時の大きさを考慮して選びましょう。 |
給水器・食器 | 1,000円~3,000円 | - |
ベッド・ブランケット | 3,000円~10,000円 | 安心して休める場所を用意してあげましょう。 |
フード | 3,000円~5,000円 | 最初の1~2ヶ月分のドッグフードです。 |
首輪・リード | 2,000円~8,000円 | - |
トイレ・シート | 2,000円~5,000円 | - |
おもちゃ・お手入れグッズ | 3,000円~10,000円 | - |
合計 | 約43万~89万円 | 生体代を含めたおおよその金額です。 |
このシミュレーションはあくまで目安であり、選ぶグッズやブリーダーによって費用は大きく変動します。特に、希少犬種は予想外の医療費がかかる可能性も考慮し、経済的な余裕を持ってお迎えを検討することが大切です。
この記事の執筆者
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