妖精という意味を持つピクシーの名を冠するのが、ピクシーボブという猫種。日本では生息頭数もほとんどおらず、猫好きの方でやっと知る機会があるといった程度でしょう。
そんなピクシーボブですが、「一度お迎えしてしまったらピクシーボブ一筋になってしまう」と言われるほど人気の猫種です。
どんな特徴を持つのか、性格や習性、お迎えしたときの飼い方についてまとめました。
この記事の結論
- ピクシーボブは南米に生息する、大型でトラ柄の模様を持つ猫種のこと
- とても賢い知能高めの猫種で、社交性の高さや人懐っこさが魅力的
- 子猫のうちは特に活発的に動き回ることが多く、運動不足になりやすい
- 南米を中心として人気の猫種でもあるため、日本国内での入手はとても難しい
ピクシーボブの特徴

ピクシーボブは、カナダ南部からメキシコ北東部にかけて生息する、ボブキャットに似た猫種です。
体格は大型で成猫の男の子になると、最大で10kg近くにもなるという体格の良いピクシーボブ。
トラ模様の柄を持っており、このあたりもボブキャットに似せて作出された歴史が垣間見えます。
とても頭の良い猫種でもあるので、一度一緒に暮らしてしまうとハマってしまう人が続出する、そんな猫種です。
とても賢く、社会性も高い
飼い主に懐く
あまり鳴かない
適度な運動を好む
その他情報
原産地 | アメリカ合衆国 |
猫種公認団体 | TICA |
大きさ | 大型 |
平均寿命 | 12歳~14歳 |
なりやすい病気 | 肥大型心筋症,多指症,尿路結石症,特発性膀胱炎 |
参考価格 | 30万円〜60万円 |
被毛
抜け毛 | 少ない |
毛質 | ショートコート,ロングコート |
毛色 | ブラウン |
毛の長さ | 短毛or長毛 |
ピクシーボブの誕生の歴史
ピクシーボブは1985年、アメリカに住むキャロル・アン・ブリュワーによってその歴史が始まりました。キャロル・アン・ブリュワーは、斑模様で多指症という男の子の猫を迎えました。この時点ですでに、ボブキャットのように短いしっぽを持っていたと言います。
翌年にも男の子猫を迎え入れており、この子にもボブキャットのような短いしっぽという特徴がありました。
そしてこの子は隣の家に住む、ブラウンスポテッドタビーの女の子猫と交配し、その年の春には子猫が誕生。ここで生まれた子のうち一匹を手元に残し、「ピクシー」と名付けています。
その後、ピクシーをもとにしたブリードがスタートし、ピクシーが持つ特徴を残すよう進められました。そこで、ワシントン州カスケード山脈に生息する、ボブキャットとイエネコによる自然繁殖と思われる23匹を迎え入れます。
1993年にはTICAに登録。1998年にはチャンピオンシップのステータスを得るまでに至りました。
ピクシーボブのサイズ(体高・体重)
体高 | 25cm |
体重 | 男の子:4kg~8kg 女の子:4kg~6kg |
ピクシーボブの体高は約25cmほど。あくまでイエネコなので、大きくてもこのぐらいでしょう。
平均的な体重は5kg~6kgほどで、男の子の場合は最大8kg程度。女の子の場合は最大6kg程度です。
これ以上に大きくなることもありますので、10kg近くになる子もいます。
ピクシーボブの毛色・被毛
ブラウンを基本としたトラ模様で、毛の長さは短毛種と長毛種の両方が存在します。ただ、基本的には短毛種となるため、長毛種の子に出会えることは多くないでしょう。
子猫のときは目が青色で、成長とともに緑色へと変化し、最終的にはゴールドになるという特徴もあります。毛色はブラウン系タビーが一般的で、カラーバリエーションは多くありません。
ピクシーボブの平均寿命
ピクシーボブの平均寿命は約12歳~14歳と言われており、やや短命と言えるでしょう。
一般的な猫の場合、平均寿命が約16歳ほどにまで伸びてきているため、病気や怪我に注意してあげなければいけません。
ピクシーボブの注意したい病気
肥大型心筋症 | 心臓の筋肉が分厚くなり、心機能が低下する病気 |
多指症 | 通常より前肢・後肢の指の数が多い先天性異常 |
尿路結石症 | 尿管や尿道に結石ができ、おしっこが出づらくなったり詰まる病気 |
特発性膀胱炎 | 原因不明の場合が多い膀胱炎 |
多くの猫で見られるような尿路結石症(にょうろけっせきしょう)や特発性膀胱炎(とくはつせいぼうこうえん)などの下部尿路疾患や、慢性腎不全などは注意したい病気のひとつ。
これに加えて特徴的なのが、多指症(たししょう)という指の数が多く生まれてくる先天性異常です。通常の猫は前肢5本、後肢4本ですが、生まれながらにしてこの指の数が多くなっていることもあります。
原則として、1本の肢に対して7本までの指であれば認められています。基本的に日常生活には支障がないことも多く、特別な治療を必要とするケースは少ないです。
ピクシーボブの見分け方
ピクシーボブの身体的特徴としては、被毛のトラ模様とゴールドに輝く瞳の色でしょう。
特にトラ柄模様の猫種は多くなく、その中でもブラウン系タビーのトラ模様がピクシーボブの特徴。
体の大きさもピクシーボブらしい身体的特徴だと言えますので、見てわかるサイズでもあるでしょう。
ピクシーボブ特有の身体的特徴と似ている猫種

ピクシーボブは、そのワイルドな外見を特徴づけるいくつかのユニークな身体的特徴を持っています。特に「ボブテイル」と「多指症」は、他の猫種には見られない、この猫種特有の魅力です。
ボブテイル(短いしっぽ)
ピクシーボブの最も特徴的な点は、短いしっぽ(ボブテイル)です。このしっぽの長さは個体によって様々で、わずか数センチの短いものから、通常の猫の半分程度の長さまであります。
遺伝的な背景
ボブテイルは、遺伝的な突然変異によって生じます。この遺伝子は、特定の猫種(ジャパニーズボブテイル、アメリカンボブテイルなど)では猫種の特徴として受け継がれています。ピクシーボブの場合も、この遺伝子によってしっぽが短くなっています。
健康上の注意点
ボブテイル遺伝子は、ジャパニーズボブテイルなどの猫種では健康上の問題を引き起こさないとされています。
しかし、念のため、お迎え前にブリーダーに親猫の健康状態や遺伝子検査の結果について確認することが推奨されます。
多指症
ピクシーボブは、生まれつき足の指が通常より多い「多指症」の個体が多いことでも知られています
。一般的な猫の指の数は前足が5本、後ろ足が4本ですが、ピクシーボブでは前足に6本から7本の指を持つことがあります。
遺伝的な背景
多指症は、遺伝子によって発現する形質です。多くのブリーダーは、この特徴をピクシーボブの標準として認めています。
健康上の注意点
通常、多指症自体が健康に悪影響を与えることはありません。しかし、指の形や爪の生え方によっては、爪が皮膚に食い込んでしまうなどのトラブルが起こる可能性があります。定期的な爪切りを欠かさず行い、足の健康状態をチェックしてあげましょう。
ピクシーボブと似ている猫種の比較
ワイルドな外見を持つ猫種として、ピクシーボブはメインクーンやノルウェージャンフォレストキャットとよく似ていると言われます。それぞれの違いを比較してみましょう。
項目 | ピクシーボブ | メインクーン | ノルウェージャンフォレストキャット |
---|---|---|---|
しっぽ | 短い(ボブテイル) | 長く、ふさふさしている | 長く、ふさふさしている |
体格 | 中〜大型。筋肉質でがっしりしている | 超大型。猫種の中で最大級 | 大型。筋肉質でたくましい |
被毛 | 短毛or長毛。密集したダブルコート。 ブラウン系のタビー柄が基本 | 長毛。密集したダブルコート | 長毛。撥水性のあるダブルコート |
外見 | 野生的な顔立ち、短いしっぽ、多指症 | ふさふさのしっぽ、耳の先端の飾り毛 | ふさふさのしっぽ、大きな首回り |
性格 | 温厚で人懐っこく、犬のような性格 | 穏やかで賢い。「穏やかな巨人」と呼ばれる | 遊び好きで好奇心旺盛。優しい性格 |
特徴 | 多指症の個体が多い、しっぽが短い | 大きな体格、長い被毛、毛の量が多い | 寒さに強く、水遊びを好む個体が多い |
原産国 | アメリカ | アメリカ | ノルウェー |
ピクシーボブの性格・習性

ピクシーボブはとても賢い猫種であり、いろいろな動物とも仲良くなれるような社交性の高さを持ち合わせています。
大柄なピクシーボブですがどんな特徴があるのか、性格の面から詳しく見ていきましょう。
とても賢く洞察力もある
ピクシーボブの特徴であり魅力でもあるのが、とても知能が高く賢いというところ。
飼い主さんについて周りながらも、観察しながら飼い主さんのことを理解しようとしてくれるでしょう。
“人間の言葉を理解する猫”とも言われているほどで、その賢さは猫界の中でも非常に長けています。
社交性が高く他の動物とも仲良くなれる
賢いだけではなく社交性も非常に高く、猫っぽくない魅力もあります。猫慣れしていない人はもちろんのこと、他の動物と同居することになっても、安心して迎え入れることができます。
もちろん手順を踏んで少しずつお互いに距離感を縮めていく必要はありますが、どんな猫とも仲良くなれる傾向にあるのです。
飼い主さんの後を追ってずっと付いてくるなど、飼い主さん大好きな一面も見られることでしょう。
嫉妬心も強く多頭飼いには注意が必要
社交性の高さだけではなく、同時に嫉妬心も高いため、多頭飼いが簡単というわけではありません。
場合によっては嫉妬心から警戒心を高く持ってしまうこともあり、飼い主さんを独り占めしたくなることも。
もっとも愛されたい、と行動にも出てしまうような子なので、その点にも理解が必要です。
まんべんなく愛することは当然必要ですが、特に甘えん坊になるようなこともあると理解しておきましょう。
ピクシーボブの飼い方

ピクシーボブを迎え入れるときには、次の点に注意してみましょう。
猫を迎える際の基本的なところはもちろんのこと、大型であるピクシーボブならではの悩みなどもご紹介しています。
賢いのでしつけは覚えやすい

ピクシーボブの特徴のひとつでもある、頭がよく賢い点はしつけ時に魅力的なポイントです。
根気強くしつけが必要なタイプではありませんので、子猫のうちから適切に行なっておけば苦労することも少ないでしょう。
トイレトレーニングや鳴き癖、ひっかき癖や噛み癖など、多い猫種ではありませんがしつけは重要です。
成猫になるまでは適度な運動が必要
体の大きなピクシーボブですが、成猫になるまでの約1年間は活発に動き回ることもあります。
社交性も高いので他の動物とのコミュニケーションも取れますし、犬のように一緒に遊ぶこともできます。
近場であればお出かけも可能ですが、逃げ出す可能性もあるためハーネスやリードは必須。
成猫になると運動量も落ちてきますので、肥満には気をつけながら遊ぶ時間を確保しておきましょう。
体の大きさに耐えられるアイテムを揃える
出典:Amazon
成長するにつれて体はどんどんと大きくなりますので、成長に伴った生活環境を整えてあげる必要があります。
例えばキャットタワーなどは、体の大きさに耐えられるようなサイズと重量でなければ危険なため、選ぶ際は要注意です。足腰への負荷も考えて、負担の少ない環境にしておきましょう。
人間と一緒で成長に合わせたアイテム選びが重要となりますので、一生涯同じものを使うのではなく、体の大きさに合わせてあげると良いですよ。
被毛のお手入れは1日1回程度

基本的には短毛種なので、1日1回のブラッシングで問題ありません。個体差はありますが、週に2~3回程度でも問題のない子もいます。
ただ、長毛種になると毛が絡まってしまう可能性も高まるため、必要に応じてブラッシング回数を調整してあげてください。
ブラッシングやコーミングはコミュニケーションの一環であり、健康チェックのための時間でもあります。できる限りは1日1回、触れ合う時間を確保しましょう。
歯磨きはなるべく毎日行う

猫も人間と同じく歯のケアを行う必要があります。歯磨きを怠ると歯周病を発症し、愛猫の体に悪影響を与える恐れもあります。
猫の歯磨きは毎日するのが理想ですが、毎日が難しい場合は3日1回の頻度で行いましょう。
多くの猫は歯磨きを嫌がるため、乳歯が生え始めた頃から愛猫ペースに合わせて、少しずつ歯磨きに慣れてもらいましょう。
人間のように歯医者に行く習慣もないでしょうから、1年に1度の健康診断は必ず受けるようにしてください。
高タンパク低脂質のキャットフードが最適

愛猫の成長や健康維持のためにもフード選びは、ライフステージと目的に合わせて選ぶことがポイントです。
主食にはそのフードと水だけで基本的な栄養を摂取できる総合栄養食や、総合栄養食基準の食事を選ぶようにしましょう。
猫はライフステージによって必要なカロリー量が異なるので、年齢に合わせてフードを切り替えるのがベストです。
子猫期は栄養やカロリーがたっぷり必要ですし、成猫になると体型維持のため肥満を防止するような食事と運動が必要。
反対に中高齢期になると運動量と食事量によって調整が必要になるため、その子の状況に合ったものを選ぶ必要が出てきます。
肥満にならないよう体重管理を行う

大型で筋肉量が多いピクシーボブは食事の量が多い猫種なので、運動不足だとすぐ太ってしまいます。
体重が増えてしまうと毛づくろいが困難になり皮膚病を引き起こしたり、足腰に負担がかかってしまい怪我をしてしまうことも。
そのため、上図のボディコンディショニングスコア(BCS)を参考にしながら体重管理を徹底して、理想的な体型に近づけてあげましょう。
猫は皮膚が伸びるので見た目だけではわからず、実際にお腹に触れて肋骨に触れるかどうかを確認してあげてください。
ピクシーボブにおすすめのキャットフード・アイテム
ピクシーボブのお迎え方法と価格相場

ピクシーボブは日本のペットショップ、ブリーダーからお迎えすることが難しい猫種です。
アメリカを中心として人気が高いものの、日本では基本的に飼育されておらず、お迎えには輸入が必要になるでしょう。
ブリーダーからお迎えする
ピクシーボブを家族として迎えたい場合、最も一般的で推奨されるのがブリーダーからのお迎えです。ペットショップで見かけることはほとんどありません。
- 専門ブリーダーの探し方:ピクシーボブ専門のブリーダーは数が少ないため、インターネットの猫専門ブリーダーサイトや、猫種団体(TICAなど)のウェブサイトから探すのが一般的です。
- ブリーダーからお迎えするメリット:
- 健康状態の把握:親猫や兄弟猫の健康状態を直接確認でき、遺伝的な病気のリスクについて詳しく説明を受けられます。
- 専門的なアドバイス:ピクシーボブの特性を熟知しているため、飼育方法やしつけ、健康管理について専門的なアドバイスをもらえます。
- 安心感:疑問点や不安な点を直接ブリーダーに相談できるため、お迎え後も長期的なサポートが期待できます。
価格相場
ピクシーボブの価格は、血統、毛色、ブリーダーの方針によって大きく変動しますが、一般的な価格帯は以下の通りです。
項目 | 価格(目安) |
---|---|
生体価格 | 30万円〜60万円 |
この価格には、ワクチン接種や健康診断などの初期費用が含まれていることが多いです。ただし、ショーに出陳できるような優秀な血統の猫は、さらに高額になることもあります。
お迎えを検討する際は、価格だけでなく、ブリーダーの飼育環境や猫たちへの愛情をしっかりと確認し、信頼できるブリーダーを選ぶことが最も重要です。
ピクシーボブの理解度チェック
この記事の執筆者
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