長く美しい被毛とエレガントな佇まいが魅力的なアフガン・ハウンド。大型犬・長毛種が好きな人の中には「いつか一緒に暮らしてみたい!」と考える人も多いでしょう。
長毛種は美しい見た目である反面、お手入れで大変なことも多いです。それが特に大型犬ともなれば、大変な部分も多いでしょう。
本記事では、アフガン・ハウンドの特徴やお迎えの際のポイントなどを解説しています。ぜひ最後までご覧ください。
この記事の結論
- アフガン・ハウンドは「犬界の貴公子」とも呼ばれる、絹のような長く美しい被毛を持つ大型犬
- 穏やかな性格だが自立心が強く、束縛・強制されることを嫌がる
- 被毛がとても柔らかく絡まりやすいため、日々のお手入れは欠かせない
- かなりの運動量が必要なので、毎日2時間以上は散歩に連れていくことが大切
目次
アフガン・ハウンドの特徴

アフガン・ハウンドはアフガニスタンを原産国とする犬種で、古代の原始的な狩猟犬の姿を残している犬種とも言われています。
アフガニスタンにおいては獲物を追うことに長けており、サイトハウンドとして非常に優秀です。
非常に長い被毛を持つこともあって東洋的な見た目に加えて、オリエンタルな表情を持つのがこの犬種の特徴です。
独立心が強くマイペースな性格
飼い主には忠実だが、独立心もある
吠えることが少ない
元々猟犬であったため、運動能力は高い
その他情報
原産地 | アフガニスタン |
犬種グループ | 10G:視覚ハウンド |
大きさ | 大型 |
平均寿命 | 12歳~14歳 |
なりやすい病気 | 外耳炎,股関節形成不全,白内障,胃拡張捻転症候群 |
参考価格 | 15万円~45万円前後 |
被毛
抜け毛 | 少ないor多い |
毛質 | ロングコート |
毛色 | ブラック,クリーム,レッド |
アフガン・ハウンドのサイズ(体高・体重)
アフガン・ハウンドは大型種に分類されます。成犬時の体高・体重の平均は以下のとおりです。
体高 | 63cm~74cm |
体重 | 26kg~34kg |
長い被毛に覆われて隠れていますが、スラリと長い脚を持っており、スマートな体型です。
体高に対して体重はやや低めと言えますが、あくまで大型犬なので力強くしっかりとした体つきです。
アフガン・ハウンドの毛色と被毛
アフガン・ハウンドは絹のように美しく長い被毛を持っています。一見ダブルコートに見受けられますが、シングルコートの犬種です。主な毛色は以下のとおりです。
- ブラック
- クリーム
- レッド
体の毛色のほかに、顔の中心に入るドミノも許容されています。ドミノとは、顔または胸・足元などに、体の基本色に対して薄く白っぽい色が入ることです。
アフガン・ハウンドの平均寿命
アフガン・ハウンドの平均寿命は12歳~14歳。犬全体の平均寿命は14.76歳といわれているため、やや短命であることが分かります。
ですが、大型犬は10歳前後で亡くなってしまう子も多いので、その中では比較的長命だといえるでしょう。できるだけ長生きできるようにたくさん愛情を注いで育ててあげてくださいね。
アフガン・ハウンドのかかりやすい病気
外耳炎 | 耳の中にダニや菌が発生することによって炎症が起こる病気。 |
股関節形成不全 | 骨と筋肉のバランスが崩れ、股関節が変形してしまう遺伝性の病気。 |
白内障 | 目の中の水晶体が白く濁り、失明することもある病気。 |
胃拡張捻転症候群 | 胃の中にガスがたまることで胃がねじれてしまう病気。 |
特に注意しておきたい、アフガン・ハウンドのかかりやすい病気やケガの一例がこちら。それぞれ詳しく、どんな病気なのか見ていきましょう。
外耳炎
外耳炎(がいじえん)とは耳の中にダニや菌が発生し、炎症が起こる病気です。
アフガン・ハウンドのような垂れ耳の犬は耳が蒸れて痒くなったり、耳垢が溜まりやすい性質があります。耳を掻いたり頭を強く振るような素振りがあれば要注意です。
股関節形成不全
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)とは骨と筋肉のバランスが崩れ、股関節が変形していまう病気。ほとんどが遺伝によるものであり、大型犬に多いといわれています。
お尻を左右に振るように歩いたり、散歩や段差を嫌がる様子があれば動物病院を受診しましょう。
白内障
白内障(はくないしょう)とは目の中の水晶体が白く濁る病気。進行すると失明のおそれもあります。
アフガン・ハウンドは白内障を発症しやすい犬種であり、若い頃から症状が出る場合も。
日頃から目もしっかりチェックし、異変があれば早めに動物病院を受診しましょう。
胃拡張捻転症候群
胃の中にガスが溜まる胃拡張と、胃がねじれてしまう胃捻転。これを胃拡張捻転症候群(いかくちょうねんてんしょうこうぐん)と言います。
胃にガスや液体が溜まる状態を「胃拡張」といい、胃拡張が進行すると胃捻転を引き起こします。
お腹が張って膨らんでいたり、なにも出ないのに吐こうとしていたら胃捻転の可能性があります。胃捻転を発症すると、ほかの臓器への血流が途絶えるなど非常に危険です。
アフガン・ハウンドの登録頭数
JKCの犬種別犬籍登録頭数によると、アフガン・ハウンドの登録頭数(血統証明書が発行された犬の頭数)は数十匹です。
最近はCMなどで見かける機会が増えましたが、大型犬ゆえに決して飼いやすい犬種とは言えません。
アフガン・ハウンドとボルゾイの違いはサイズと被毛の長さ

アフガン・ハウンドとよく似た犬種のボルゾイとの違いは、体の大きさと被毛の長さ。
どちらも同じサイトハウンドであり見た目も似ていますが、ボルゾイの方が体がやや大きいです。
被毛は中毛となっており、アフガン・ハウンドのように毛が垂れ下がっていることはありません。
アフガン・ハウンドの価格相場
アフガン・ハウンドをお迎えする際の相場価格は40万円~60万円前後です。性別やお迎えする場所によっても価格は前後しますが、血統によっても変動します。
アフガン・ハウンドはペットショップで出会えるほか、ブリーダーが定期的に繁殖を行っていることが多いです。成犬のお迎えでも問題なければ、稀に里親制度で出会えることもありますよ。
アフガン・ハウンドの性格や習性

アフガン・ハウンドは穏やかな性格ですが、自立心が強く束縛・強制されることを嫌がります。
もともと凄まじいスピードで獲物を捕らえる狩猟犬であった背景から、自分の判断で行動し服従性が低くしつけは少々困難であるといえます。
狩猟本能が強く残っている子も多く、小動物や小型犬を追いたくなる衝動に駆られる習性も。走るのが非常に速いため、駆け出してしまうと人間ではなかなか追いつけません。
飼い主さんがしっかりとリーダーシップを持ってしつけていくことが重要です。
気高く、独立心が高い:賢くもマイペースな一面
アフガン・ハウンドの「気高い」という表現は、彼らが持つ独特のプライドと、媚びない姿勢によく表れています。
彼らは非常に賢い犬種ですが、その知能を飼い主のために献身的に使うというよりも、自分の意志に基づいて行動する傾向があります。
しつけの際は褒めて伸ばすことの重要性
アフガン・ハウンドは、力や威圧によって無理強いされることを嫌います。命令されて従うのではなく、「自分で考えて行動する」ことを好むため、従来の服従訓練のようなやり方では効果が得られにくいことがあります。
しつけの際には、彼らの自尊心を尊重し、成功体験を積ませることが非常に重要です。 例えば、指示通りにできた時は大げさなくらいにたくさん褒め、おやつや大好きなおもちゃで盛大に褒美を与えましょう。
彼らは賢いので、ポジティブな経験を通して「この行動をすると良いことがある」と学習すれば、自ら積極的に行動するようになります。根気強く、愛情を持って接することで、強固な信頼関係を築くことができます。
独立心が高いゆえの呼んでも来ない場合の対処法
彼らは非常に独立心が強く、自分の世界に入り込むと、飼い主の呼びかけにすぐに反応しないことがあります。これは決して反抗しているわけではなく、彼ら自身のペースを重んじているためです。
「おいで」と呼んでもなかなか来ない場合、何度も大声で呼んだり、追いかけたりするのは逆効果です。犬は遊びだと思って逃げたり、飼い主の声を無視することを学習してしまう可能性があります。
対処法としては、まず呼びかけを魅力的なものにすることです。呼びかけと同時に、大好きなおやつや音の鳴るおもちゃを見せる、あるいは呼び戻しに成功したら最高のご褒美を与える、といった方法を試しましょう。
最初はリードをつけた状態で練習するのも有効です。呼んだらすぐに優しくリードをたぐり寄せ、来られたら褒める、を繰り返します。
重要なのは、「飼い主の元へ行くことは楽しい、嬉しいこと」だと犬に学習させることです。
番犬には不向きな理由(友好的すぎる、吠えないなど)
アフガン・ハウンドは、その堂々とした風格から番犬に向いているように見えるかもしれませんが、実際は番犬向きではありません。
見知らぬ人や他の犬に対しても、非常に友好的で、攻撃性を示すことがほとんどありません。来客があっても、吠えたり威嚇したりするよりも、むしろ興味津々で近づいていくことが多いでしょう。
このため、侵入者に対して警戒吠えをしたり、威嚇して追い払うといった行動は期待できません。彼らの美しい外見と穏やかな性格は、家族にとっては魅力的ですが、番犬としての役割を求める飼い主さんには不向きであることを理解しておく必要があります。
甘えん坊で愛情深い一面:信頼できる家族への深い愛情
独立心が強い一方で、アフガン・ハウンドは心を許した家族には非常に甘えん坊で愛情深い一面を見せます。
家族への深い絆
彼らは特定の家族に深く懐き、その絆を大切にします。飼い主の隣で静かに過ごしたり、優しく寄り添ったりすることで愛情表現をします。
繊細で感受性豊か
繊細な心の持ち主でもあるため、大声で叱ったり、無理強いしたりすると、心を閉ざしてしまうことがあります。常に穏やかに、そして一貫性のある態度で接することが重要です。
遊び好きで優しい
若い頃は非常に遊び好きで、好奇心旺盛です。家族との遊びを心から楽しみ、子供や他のペットに対しても優しく接することができますが、体格が大きいため、遊びの際は注意が必要です。
アフガン・ハウンドとの暮らしは、彼らの気高い独立心を理解し、尊重することから始まります。
力でねじ伏せるのではなく、愛情と忍耐をもって接することで、彼らは唯一無二の、かけがえのないパートナーとなってくれるでしょう。
アフガン・ハウンドを飼うのに向いている人の特徴

アフガン・ハウンドは体の大きな大型犬なので、お迎えにはそれなりの覚悟が必要です。
特に十分に運動させてあげられる人でないと、アフガン・ハウンドをお迎えするのは難しいでしょう。
犬の飼育経験がある人
アフガン・ハウンドは自立心が高く自分自身で判断して行動する性質を持つ犬種なので、しつけは根気強く行うのが必須です。
また、大型犬なのでかなりの運動量が必要で、美しい被毛を保つためにもこまめなケアが欠かせません。
これらの理由からアフガン・ハウンドは初心者には飼いにくく、ある程度の飼育経験がある人に向いている犬種です。
十分な運動をさせてあげられる人
アフガン・ハウンドともと狩猟犬ということもあり、運動量が多い犬種です。毎日しっかり散歩時間を確保したり、思いっきり走らせてあげる必要があります。
十分な運動ができないとストレスが溜まり、体に悪影響を及ぼす可能性があるため、十分な運動をさせてあげられる人に向いています。
毎日のお手入れができる人
アフガン・ハウンドの美しい被毛を保つには、日々のお手入れが欠かせません。
また、被毛がとても柔らかく絡まりやすいため、丁寧にやさしくケアする必要があります。
アフガン・ハウンドは大型犬なのでお手入れも一苦労ですが、面倒だと感じずにしっかり行える人に向いているでしょう。
アフガン・ハウンドの飼い方

アフガン・ハウンドと暮らす際のポイントを解説します。性格上しつけが難しく長い被毛のお手入れが大変なことから、初心者さんにとっては苦労の多い犬種です。
すでに犬との暮らしに慣れている人や、手間を惜しまずに犬との暮らしを楽しみたい人はぜひお迎えを検討してみてくださいね。
ブラッシングを毎日行う

アフガン・ハウンドには短毛種や房毛種なども現存しますが、長毛種が広く知られています。この美しい被毛を保つため、ブラッシングは毎日行いましょう。
アフガン・ハウンドは下毛のないシングルコート。換毛期はありませんが、被毛がとても柔らかく絡まりやすいため日々のお手入れは欠かせません。
放置するともつれてフェルトのように固まってしまうので、こまめにブラッシングをしてあげてくださいね。
柔らかめのピンブラシは皮膚を傷つけにくく、マッサージ効果にも期待できます。
シャンプーは月に1~2回程度を目安に

アフガン・ハウンドはもともと乾燥した土地に生息していた犬種で、日本の土地環境とは全く異なる生活をしていました。
日本のような高温多湿の環境では、皮膚が生乾きのままだと皮膚病を引き起こす原因となってしまいます。
月に1~2回程度を目安にシャンプーをしてあげましょう。そしてシャンプーの後はしっかりと毛を乾かすことも大事です。
爪切りと耳掃除も忘れずに

爪切りの伸び方には個体差があり、お散歩の量などによっても変わってきますが、日頃から爪の状態をチェックし、月1~2回の爪切りを行いましょう。
爪が伸びたままだと上手く踏ん張ることができず、ケガをしてしまう恐れがあります。
アフガン・ハウンドはたれ耳で長毛です。湿気の多い日本では耳の中が蒸れやすくなるため、週に1回を目安に耳掃除を行いましょう。
また、足裏の毛が伸びたままになっていると、お散歩などで汚れやすくなるほか、フローリングなどツルツルした床の上では滑りやすくなります。
しつけは根気強く行う

美しい見た目をしていますが、あくまで大型犬。必要なしつけは行っておかないと、事故やトラブルの元となります。
アフガン・ハウンドは穏やかな性格ではありますが、プライドが高く服従性が低い一面があります。自立心が高く自分の意思で行動するため、意思にそぐわない命令は無視することも。
子犬の頃から辛抱強く愛犬と向き合い、社会性を身に着けさせましょう。おやつやご褒美を活用して、愛犬が自らよい行動をとれるように教え込んでいくことが大切です。
初心者はプロに相談しながらしつけるのがおすすめ
初心者さんは、プロのドッグトレーナーに相談するのがおすすめです。
アフガン・ハウンドはしつけが難しい犬種のため、犬を初めて迎え入れる飼い主さんはかなり苦戦するでしょう。
ドッグトレーナーからしつけの方法を教わりながら、「短時間集中」「褒めて伸ばす」を意識してしつけを行いましょう。
安心して過ごせるように、広めのスペースを確保する

体の大きいアフガン・ハウンドが安心して動き回れるよう、広めのスペースを確保してあげましょう。
室内でも自由に動き回れるようにしたり、眠るときに落ち着けるよう大きめのサークルやベッドを用意してあげるのがおすすめです。
大型犬とはいえ、室内犬としてお迎えする方が安全なうえに、適切な環境で過ごすことができます。
小型犬とは必要とされる生活スペースが異なるので、この点についてもお迎え前から確認しておくと良いでしょう。
愛犬が滑らないよう床にマットを敷く

室内を動き回る際、愛犬が滑らないよう床にマットを敷いてあげるのがおすすめ。アフガン・ハウンドは股関節形成不全をはじめ、関節の異常が出やすい犬種です。ツルツルと滑る床を走り回っていると、関節への負担が大きくなってしまいます。
室温・湿度の管理は徹底する

アフガン・ハウンドはもともと乾燥した地域で生まれ育った犬種であるため、高温多湿の日本で飼う場合は室内飼いが基本です。
毛量が多く熱がこもりやすいので、夏場はエアコンで温度を調整し、常に新鮮な水が飲める環境を整えてあげることが大切。
湿度が高い梅雨時などは皮膚が蒸れやすく、皮膚病にかかりやすくなるので、湿度もしっかり管理しましょう。
フードは愛犬の成長段階に合ったものを選ぶ

フードは愛犬の成長段階に合せて選びましょう。体の大きさや年齢に応じて必要な栄養は異なります。
子犬用・成犬用などの年齢に合わせたフードや、体重管理用・被毛ケア用といった体のケアに特化したフードもあります。
愛犬の様子をみながら合うフードを選ぶことが重要ですが、基本的に運動量の多い犬種であるため、大きく痩せることは少ないでしょう。
毎日2時間程度の散歩が必要

スタミナがとにかく豊富なので、散歩は毎日2時間以上が理想的です。1日の散歩の目安は以下のとおりです。
目安回数 | 1日2回 |
目安時間 | 1時間~2時間程度 |
目安距離 | 3km~5km |
もともと狩猟犬ということもあり、アフガン・ハウンドはかなり運動量の多い犬種です。
可能であれば上記の散歩時間に加え、30分ほど全力疾走できる時間を作ってあげられると尚よいでしょう。
夏場や暑い日は散歩時間を調整する
アフガン・ハウンドは暑さに弱い犬種です。特に気温が高くなる夏場は日中を避け、早朝や夜など比較的涼しい時間帯を選びましょう。
また散歩コースはできるだけ日陰の多いルートを選び、散歩中はこまめに水分補給を行いましょう。
アフガン・ハウンドにおすすめのドッグフード3選
アフガン・ハウンドの誕生の歴史

アフガン・ハウンドは、名前のとおりアフガニスタン原産の犬種。その歴史は長く紀元前4000年頃には存在していたといわれています。旧約聖書の出てくる「ノアの方舟」に乗った犬だという説も。
もともとは荒野で狩りをする狩猟犬として活躍しており、アフガニスタンの山岳や砂漠地帯といった寒暖差の激しい環境を生き抜くため、長い被毛を持つようになりました。
18世紀にアフガン・ハウンドはイギリスへ持ち込まれ、狩猟犬としてほかの犬との交配が進められると同時に、ショードッグとしても改良が重ねられます。
その美しい容姿が評価され、世界の富裕層を中心に広く愛されるようになったのです。
アフガン・ハウンドの理解度チェック
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