長毛が美しく、身体的特徴もいくつか持ち合わせている、カナダ原産のキムリック。キムリックの元になったマンクスの特徴も引き継いでおり、長毛種として誕生しました。
現在、ほとんど出会えることがないこの猫種ですが、今回はキムリックに焦点を当ててみました。キムリックとはどんな子なのか、性格・習性や誕生の歴史をまとめています。
この記事の結論
- キムリックとは、イギリスのマン島で誕生したマンクスの長毛種である
- 全体的にずんぐりむっくりな体型をしており、前肢より後肢の方が少し長い
- 前肢と後肢の長さの違いにより、ウサギのように飛び跳ねる走り方が有名
- キムリックやマンクス特有でもある、マンクス症候群という病気がある
目次
キムリックの特徴

キムリックはカナダで生まれた猫種のひとつで、意図して生み出された猫種ではありません。
元になっている猫種はマンクスという猫種で、ここから偶然に生まれた猫種だと言われています。
また、キムリックの中には「しっぽを持たない」子も誕生しており、身体的な特徴のひとつとして知られています。
引っ込み思案な性格
警戒心が強く、懐きづらい
鳴き声がやや大きい
遊び好きだが、運動量は多くない
その他情報
原産地 | カナダ |
猫種公認団体 | TICA,FIFe |
大きさ | 中型 |
平均寿命 | 10歳~13歳 |
なりやすい病気 | 猫汎白血球減少症,毛球症,下部尿路疾患,マンクス症候群 |
参考価格 | 30万円前後 |
被毛
抜け毛 | 多い |
毛質 | ダブルコート |
毛色 | ブラック,ホワイト,クリーム,レッド,ブルー,スモーク,チョコレート,フォーン,ライラック,レッドタビー,ブラック・ホワイト |
毛の長さ | 長毛 |
キムリックの身体的特徴
コビータイプと言われる体型のキムリックは、全体的にずんぐりむっくりな印象を持つでしょう。
長毛種であることからも全身を被毛で覆われているため、少なくともスッキリとした印象を持つことはありません。
目や顔はまん丸で前肢よりも後肢の方が少し長い、という特徴もあります。
前述の通り、猫としては非常に珍しく、しっぽを持たない個体も存在する猫種として知られています。
キムリックのサイズ(体高・体重)
体高 | 約25cm |
体重 | 男の子:4kg~6kg 女の子:3kg~5kg |
キムリックのサイズは中型程度ですが、体重が特別に重いわけではありません。男の子の場合で4kg~6kg程度、女の子は3kg~5kg程度とされています。
また、体高は約25cm程度で、がっしりとした体格ではあるものの、小柄な方ではあります。
キムリックの毛色・被毛
毛色は多種多様で、「ブラック、ホワイト、クリーム、レッド、ブルー、スモーク、チョコレート」など。ありとあらゆるパターンが存在し、認められています。
被毛はダブルコートでモフモフとしており、オーバーコートは艶のある被毛をしています。長毛種なので抜け毛はかなり多く、日頃からのお手入れがとても重要です。
キムリックの運動能力
他の猫種と比べて飛び抜けて運動能力が高いというわけではありませんが、キムリックの走り方は有名です。
前肢に比べて後肢が長いことから、ウサギのように飛び跳ねるような走り方をします。最初はビックリするかもしれませんが、ネズミ捕りも得意な猫種で器用に走ります。
キムリックの平均寿命
平均寿命は約10歳~13歳程度と、一般的な猫種に比べるとやや短いことが多いでしょう。
というのも、キムリックにはしっぽがない子も存在します。そしてしっぽがない子は、寿命が短くなる傾向にあると言われています。
ランピー | しっぽが全くない |
ランピーライザー | 尾椎が1~3個 |
スタンピー | しっぽが僅かにある |
ロンギー | しっぽが長い |
後述しますが、この内のランピーは劣性遺伝子です。そして、致死遺伝子でもあるのです。同時にランピーは個体数が少なくなるため、人気でもあります。
キムリックの注意したい病気
猫汎白血球減少症 | 猫パルボウイルスに感染することで急激に白血球が減少し、最悪の場合は死に至る |
毛球症 | 飲み込んだ毛が排出されないことにより、お腹の中で肥大化する |
下部尿路疾患 | 膀胱から尿道までのさまざまな病気のこと |
マンクス症候群 | 脊椎の奇形や脊髄の異常により引き起こされる、さまざまな障害 |
長毛種であるため毛球症にはかかりやすく、日頃からのお手入れやケアがとても重要です。また同時に、一般的な猫がかかりやすい下部尿路疾患についても注意が必要。
そしてマンクス症候群は、マンクスを筆頭としてその血を受け継いでいるキムリックにも見られる病気です。
前述の通り、主にランピーだった場合には90%の確率で先天的奇形を持って生まれると言われています。脊椎の奇形・脊髄の異常などにより、さまざまな障害を引き起こすのが、このマンクス症候群です。
マンクス症候群の具体的な症状
- 排泄機能の障害:
- 便秘: 腸の動きをコントロールする神経に異常があるため、便がうまく排出されず、便秘になりやすいです。重度になると巨大結腸症に進行することもあります。
- 排尿困難・尿失禁: 膀胱の神経支配に異常があるため、おしっこを完全に排泄できなかったり、逆に意思に反して漏らしてしまったりすることがあります。これが尿路感染症に繋がりやすい原因となります。
- 後肢の弱さ・麻痺: 後ろ足の神経が正常に発達しないため、歩行が不安定になったり、引きずるように歩いたり、完全に麻痺して動かせなくなったりすることがあります。
- 足の変形: 後肢の骨や関節に奇形が見られることがあります。
- 消化器系の問題: 食欲不振、嘔吐など、一般的な消化器症状が見られることもあります。
マンクス症候群の早期発見のためのサイン
- 便の異常: 硬い便が出る、数日便が出ない、排便時に苦しそうにしている、おしりに便がいつも付いている。
- 排尿の異常: トイレの回数が異常に多い・少ない、排尿姿勢をとってもおしっこが出ない、ちょこちょこ漏らす、おしっこの色がいつもと違う。
- 歩行の異常: 足を引きずる、歩き方がぎこちない、段差をうまく上り下りできない、ジャンプ力が弱い、後ろ足が震えている。
- その他: おしりや足の周りを異常に気にしている、食欲の低下、活発さの消失。
マンクス症候群の飼い主ができるケア
- 排泄の補助: 便秘がちな場合は、食事に水分や食物繊維を増やしたり、獣医師の指導のもとで便軟化剤を与えたりします。排尿が困難な場合は、お腹を優しく押して排尿を促す「圧迫排尿」を学ぶ必要があります(必ず獣医師の指導を受けてから行ってください)。
- 清潔の維持: 排泄物が付着しやすいお尻周りを常に清潔に保ち、皮膚炎や尿路感染症を防ぎます。
- 生活環境の整備: 後肢が弱い場合は、段差をなくす、滑りにくい床にする、低いキャットタワーを用意するなど、猫が安全に生活できる環境を整えます。
- 定期的な健康チェック: 日常的に猫の歩き方、排泄状況、食欲、活発さを注意深く観察し、異変があればすぐに気づけるようにします。
マンクス症候群の専門医との連携の重要性
マンクス症候群は、遺伝性の複雑な疾患であり、症状も多岐にわたります。そのため、一般的な動物病院ではなく、神経科や消化器科、あるいは遺伝性疾患に詳しい専門医、または猫専門の動物病院との連携が不可欠です。
- 正確な診断: 専門医は、レントゲンやMRIなどの画像診断、神経学的検査を用いて、症状の原因を正確に特定することができます。
- 適切な治療計画: 症状に応じた投薬(便秘薬、膀胱機能を調整する薬など)、リハビリテーション、重症な場合は外科的処置など、専門的な治療計画を立ててもらえます。
- 長期的な管理: マンクス症候群は完治が難しい場合もあり、生涯にわたる症状管理が必要となることがあります。専門医は、猫のQOL(生活の質)を維持するための長期的なケアプランを提案し、飼い主をサポートしてくれます。
- 情報提供: 最新の研究に基づいた情報や、他のマンクス症候群の猫の飼育例などを共有してもらえる可能性もあります。
マンクス症候群を抱えるキムリックとの暮らしは、飼い主に特別なケアと忍耐を求めることがあります。しかし、早期発見と適切なケア、そして専門医との緊密な連携があれば、猫は快適で質の高い生活を送ることができます。
キムリックの見分け方

キムリックともっとも似ているのが、元になったとされているマンクスですが、違いは被毛の長さです。
マンクスは短毛種ですが、キムリックは長毛種なので、被毛の長さをチェックしてみましょう。
また、前肢よりも後肢の方が長いという特徴もあるため、他の猫種との違いも見分けやすいのではないでしょうか。
キムリックの価格
キムリックの個体価格は、どちらかと言えば高い部類に入る30万円前後です。
とは言っても、実際には日本国内からお迎えできるケースがほぼありませんので、海外からの輸入となってしまいます。
その際には海外からの輸入手数料等、いくらかの諸経費もプラスされてくるため、30万円を超えるようになるでしょう。
日本国内からはなかなかお迎えが難しいものの、海外のブリーダーを頼れば出会える猫種と言えます。
キムリックの性格・習性

キムリックは非常に優しい性格の持ち主で、特徴的なものを3つご紹介します。
番犬のように守ってくれる従順さ
猫は本来、マイペースで孤立した生活を送るものですが、キムリックは犬に近い性格をしています。
番犬のような習性もあり、飼い主さんにピタッとくっついて守ってくれるような従順さもあります。
もちろん番犬ではないので番犬ほどの活躍はできませんが、飼い主さんに対する愛情は深いものがあります。
賢い上に甘えん坊
犬のような面は他にも持ち合わせており、非常に賢いと言われています。
特別なしつけは必要とせず、また甘えん坊な面も持ち合わせているので、とても愛せる性格ではないでしょうか。
ただ、甘えん坊な部分が依存に変わってしまうと、賢いがためにイタズラに変わってしまうことも。
見知らぬ人には警戒心が強い
前述の通り、番犬のような一面も持ち合わせているキムリックですが、それは警戒心の強さによるところも大きいです。
飼い主さんに対しては愛情深く懐いてくれるものの、見知らぬ人には人一倍警戒するでしょう。
この警戒心がお迎え時に出てくることも十分に想定されるため、慣れてもらうまでに時間がかかることもあります。
キムリックを飼うのに向いている人の特徴

キムリックはまだまだお迎えできる機会が少ないものの、もしお迎えを検討するならば以下のポイントを確認してみてください。
生活環境の変化が多くない人
キムリックはとても警戒心の強い子が多いため、生活環境の変化を苦手とします。
例えば頻繁に模様替えをする人や、頻繁に引っ越しする人、旅行や外出期間が長いために預けることが多い人など。
こうした場合はキムリックにとって多大なストレスがかかってしまうため、適しているとは言えないでしょう。
猫と遊ぶのが好きな人
キムリックは飼い主に対してとても甘えん坊で、一緒に遊ぶことが大好きな猫種です。
飼い主さんが忙しくて愛猫と遊ぶ時間がなかなかとれないとストレスが溜まってしまい、問題行動を起こしたり思わぬ病気を引き起こしてしまうことも。
そのため猫と遊ぶのが好きな人や、遊ぶ時間を積極的に作ってあげられる人が向いているといえるでしょう。
毎日のお手入れが可能な人
マンクスの長毛種と言われるキムリックなので、抜け毛も多くお手入れがとても重要。
抜け毛だけではなく毛玉についても注意が必要で、しっかりとほぐしてあげないと毛球症の原因になってしまいます。
一般的には週2~3回のブラッシングで良かったとしても、キムリックに関してはそうはいかないのです。
キムリックの飼い方

キムリックをお迎えしてからの飼い方については、特別難しいことはありません。
ただ、ストレスなく生活してもらうために必要なポイントがありますので、要チェックしてみてください。
運動量が多いので、広めのスペースを確保する
激しい運動をする子が多いわけではありませんが、完全室内飼いではやや運動不足になりがち。
そのためできる限り運動ができるような広めのスペースを確保し、部屋の行き来などができるとなお良いでしょう。
リビングを中心として移動できるようなスペースを確保してあげると、ストレスや負担なく生活ができます。
抜け毛が多いので、毎日のブラッシングが理想的

ブラッシングはできる限り毎日行うのが、長毛種でもあるキムリックの大事なお手入れ。特に換毛期である春や秋については、夏・冬に向けて抜け毛がごっそりと出てくる時期でもあります。
毛玉や毛球症を防ぐためにも、毎日ブラッシングをしっかりとしてあげてください。
ブラシの種類によって得意とする目的が異なるため、必要なものを用意して都度変えながら使ってあげるのが良いです。
ときにはシャンプーで抜け毛をごっそり除去

ブラッシングだけでは抜け毛の処理が追いつかない、というときにはシャンプーを検討しましょう。
通常猫の場合、自分でグルーミングをするために汚れが溜まることは少なく、足裏以外に汗をかくこともありません。
そのためシャンプーを必要としないのですが、ペースさえ守れば適切な抜け毛処理として活躍しますよ。
犬のように毎月のシャンプーはNG。多くても半年に1回程度のペースを守るようにしてください。
肥満がわかりづらい体型でもあるため、フード選びが重要
元々、コビータイプでもあるずんぐりむっくりな体型ですが、被毛の長さによってより体型がわかりづらくなっています。
普段からしっかりと運動できていれば極端な肥満になることは少ないでしょうが、体重管理は必ず行ってあげてください。
運動だけでダイエットをするのは難しいため、基本的なダイエットはフード選びや量が重要になります。肥満度については下記の通り、BCSを参考にしてみましょう。

被毛の長さによって上から見ただけでは判断が難しく、実際にくびれがあるかどうか、肋骨が触れる程度かどうか、確認してみてください。理想とされているのはBCS3なので、肥満度の基準にしてみましょう。
とても賢く観察好きなので、しつけは簡単

猫は元々、特別なしつけを必要とせず、それぞれ適した位置に配置するだけで十分です。
特に注意したいトイレについては、トイレの場所と猫砂に問題がなければ、しつけをする必要もないほど簡単です。
また、非常に賢い子が多いので、ダメなことはきちんと示してあげることで、覚えてもらいやすい子も多いでしょう。
長時間のお留守番は避ける
キムリックは飼い主さんや家族に対しては甘えん坊な一面を持ち合わせているので、お留守番は得意ではありません。
ひとりで過ごす時間が多いと不安や寂しさからストレスを感じ、分離不安症を起こす場合があります。
そのため長時間のお留守番は基本的に避け、お留守番をさせる際はまず短時間から練習を始めて徐々に時間を伸ばし、ひとりで過ごすのに慣れさせましょう。
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キムリックの誕生の歴史

キムリックの誕生は1960年代。祖先であるマンクスの繁殖過程において、突然変異の結果、偶然に生まれたという歴史を持っています。
元となっているマンクスはイギリスのマン島を発祥とする猫種で、閉鎖された環境において無尾の遺伝因子がほそぼそと受け継がれていました。
そのため、マンクスに長毛種をかけあわせて生まれたキムリックの誕生、そして無尾であるランピーの誕生は意図しないものでもあったというわけです。
あくまでもマンクスの長毛種verということで、「ロングヘアマンクス」と呼ばれることもあります。登録団体によっては、マンクスとキムリックを同種であると考える団体も存在します。
また、キムリックは偶然として誕生した猫種でもあることから、意図して作出することが難しい現状にあります。
作出しようとしても確実にキムリックが誕生するというわけではなく、現在のところは長毛種として誕生するのが多くないのです。
その確率は、4~5匹に1匹程度の割合となっており、キムリックは個体数自体が多くないという現状です。
キムリックの理解度チェック
この記事の執筆者
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