ふわふわの毛並みと愛らしい笑顔、まるで小さなライオンのような見た目が特徴のポメラニアン。その愛くるしい姿に魅了され、「いつかポメラニアンを飼いたい!」と憧れている方も多いのではないでしょうか? 小さな体に宿る勇敢で活発な性格は、私たちに多くの笑顔と癒しを与えてくれます。
しかし、どんな犬種にもそれぞれの特性があるように、ポメラニアンを家族に迎えるには、その特徴を理解し、適切な飼育環境を整えることが大切です。特に、豊かな被毛のお手入れや、子犬期からの社会化、健康管理などは、ポメラニアンと長く幸せに暮らす上で欠かせません。
この記事では、ポメラニアンの基本的な特徴や性格から、迎え入れる前の準備、日々のしつけとお手入れ、そしてかかりやすい病気と健康管理まで、ポメラニアンとの生活に必要な情報を網羅的に解説します。
これからポメラニアンを飼う方も、すでに一緒に暮らしている方も、ぜひこのガイドを参考にして、愛するポメラニアンとの絆を深め、豊かな毎日を過ごしてください。
この記事の結論
- ポメラニアンはサモエドをルーツに品種改良された小型犬
- 丸い瞳が可愛く、ふわふわの長い被毛が美しい日本ではとても人気のある犬種
- 明るく好奇心旺盛な性格である一方、警戒心が強く吠えやすい子も多い
- 被毛が長いので、毎日のブラッシングと月1回程度のシャンプーが必要
目次
ポメラニアンの基本情報:特徴と性格

ポメラニアンは、その愛らしい見た目と、小さな体に似合わない活発な性格で世界中の人々を魅了しています。
彼らを家族に迎える前に、まずその基本的な特徴と性格を理解することは、ポメラニアンと幸せに暮らすための第一歩です。
このセクションでは、ポメラニアンの身体的な特徴、例えばその魅力的な被毛やサイズについて詳しく解説します。
また、彼らが持つ独特の性格についても掘り下げ、ポメラニアンの多様な魅力を知ることで、より深く彼らを理解できるでしょう。
人間好きで活発な性格
甘えん坊でとても懐きやすい
警戒心から吠えやすい
遊ぶのが好きなので運動量も多い
その他情報
原産地 | ドイツ |
犬種グループ | 5G:原始的な犬・スピッツ |
大きさ | 超小型 |
平均寿命 | 12歳~15歳 |
なりやすい病気 | 難聴,高眼圧症,皮膚病,外耳炎,骨折,脱臼 |
参考価格 | 30万円~100万円 |
被毛
抜け毛 | 多い |
毛質 | ダブルコート |
毛色 | ホワイト,ブラック,ブラウン,レッド,オレンジ,クリーム,セーブル,ブラック&タン,ブラウン&タン,スポット,ブリンドル |
ポメラニアンの身体的特徴
ポメラニアンの最大の魅力の一つは、その独特な身体的特徴にあります。ふわふわとした豊かな被毛や、コンパクトな体格は、見る人を惹きつけ、彼らが「生きたぬいぐるみ」と称される所以でもあります。
ふわふわの被毛と豊富な毛色
ポメラニアンの最も目を引く特徴は、何と言っても二重構造(ダブルコート)の豊かな被毛でしょう。
ふわふわのアウターコートと、密生した柔らかいアンダーコートが組み合わさり、まるで綿あめのような丸いシルエットを作り出しています。
この被毛は、ポメラニアンの祖先が寒冷地で生きていた名残であり、体温を適切に保つための役割を果たしています。
- 被毛の構造:
- アウターコート(上毛): 長く、まっすぐで、少し硬めの毛。外部からの刺激や汚れ、水分から体を保護します。
- アンダーコート(下毛): 短く、柔らかく、密生した毛。高い保温性があり、体温を一定に保ちます。
- 豊富な毛色:
- ポメラニアンの毛色は非常にバリエーション豊かで、公認されているだけでも10種類以上あります。
- 代表的な毛色には、オレンジ、レッド、セーブル、ブラック、ホワイト、クリーム、チョコレート、ブルー、パーティーカラーなどがあります。
- 子犬の頃と成犬になってからで毛色が変化する個体も多く、成長過程も楽しめるのが魅力です。例えば、セーブルの子犬が成長すると、オレンジ色に変化することもあります。
これらの毛色の多様性も、ポメラニアンの大きな魅力の一つと言えるでしょう。
この美しい被毛は、定期的なお手入れが不可欠です。適切なブラッシングやシャンプーを行うことで、毛玉を防ぎ、皮膚を健康に保つことができます。
平均体重と体高
ポメラニアンは小型犬に分類されますが、その体重や体高には個体差があり、成長過程で変化していくことも理解しておく必要があります。
- 平均体重: 約1.8kg~2.5kgが理想とされていますが、中には3kgを超える子や、逆に1.5kg以下の小柄な子もいます。
- 平均体高(肩までの高さ): 約18cm~24cmが一般的です。
- 成長過程:
- 子犬期から生後約6~8か月頃までは比較的早く成長しますが、骨格が完全に形成され、体重が安定するまでには1歳から1歳半頃までかかることがあります。
- 特に、子犬の頃はふわふわの毛に覆われているため、実際の体格よりも大きく見えることがあります。成長につれて、見た目のバランスも変化していきます。
- 血統や遺伝的要因、さらには食事や運動量によっても個体差が生じます。成長期は急激な体重増加を避け、適切なフードと運動で健全な骨格形成を促すことが重要です。
「ティーカップ」「極小」などの表記について
- 近年、「ティーカップポメラニアン」や「極小ポメラニアン」といった表現を目にすることがありますが、これらは犬種団体が公式に認めている分類ではありません。
- 通常のポメラニアンよりも極端に小さい個体を指すことが多く、健康上のリスクを伴う可能性もあるため、注意が必要です。
ポメラニアンの成長過程を理解し、その小さな体を大切に育むことで、彼らは健康で愛らしい姿に成長してくれるでしょう。
ポメラニアンの誕生の歴史とルーツ
ポメラニアンは、その愛らしい見た目からは想像しにくいかもしれませんが、実は大型のそり犬の子孫であり、ドイツとポーランドの境にあるポメラニア地方がその名の由来となっています。彼らの歴史とルーツを知ることは、その性格や特性をより深く理解することに繋がります。
そり犬の血を引くスピッツ系
ポメラニアンの祖先は、北極圏でそりを引いていたジャーマン・スピッツなどの大型犬種です。特に、その中でもサモエドスマイルで有名なサモエドが直接的な祖先と言われています。
当時のスピッツは、現在よりもはるかに大きく、体重も20kgを超えるような犬でした。彼らは家畜の番犬やそり引き犬として活躍していました。
小型化の歴史
18世紀頃、ポメラニア地方で、これらのスピッツが愛玩犬として小型化され始めました。特に、上流階級の人々の間で人気が高まり、より小さく、愛らしい姿に改良が進められました。
イギリスのヴィクトリア女王がポメラニアンを溺愛したことが、その人気に火をつけ、世界中に広まるきっかけとなりました。女王は特に小さなポメラニアンを好み、繁殖を奨励したと言われています。
初期と現在の違い
初期のポメラニアンは、現在のポメラニアンよりもやや大きく、体重も5kg前後あったとされています。徐々に小型化が進み、現在の愛らしい姿になったのです。
このように、勇敢で活動的なスピッツの血を引いているからこそ、ポメラニアンは小さな体にもかかわらず、時に大胆で番犬気質な一面を見せることがあるのです。
ポメラニアンの歴史を知ることで、彼らの持つ活発さや忠実さ、そして時には見せる勇敢な一面に、より深い理解と愛着を感じられることでしょう。
ポメラニアンの性格と魅力

ポメラニアンの魅力は、そのふわふわの被毛だけではありません。彼らの小さな体には、活発で賢く、そして時に勇敢な、多様な性格が宿っています。
これらの性格的特徴を知ることで、ポメラニアンとのコミュニケーションがより豊かになり、彼らとの生活がさらに楽しくなるでしょう。このセクションでは、ポメラニアンの愛すべき性格とその魅力に迫ります。
活発で好奇心旺盛な一面
ポメラニアンは、その小さな体からは想像できないほど活発で好奇心旺盛な一面を持っています。彼らは新しいものや場所、匂いに対して常に興味津々で、探検や遊びが大好きです。
遊び好きでエネルギッシュ
室内でも屋外でも、遊びに誘われると喜んで応じます。ボール遊びや引っ張りっこなど、飼い主と一緒に体を動かす時間を心から楽しみます。
特に子犬期は非常にエネルギッシュで、家中を駆け回ったり、おもちゃで遊んだりする姿は見ていて飽きません。
探検好き
初めて訪れる場所や、普段通らない散歩道など、新しい環境にすぐに順応し、好奇心旺盛に探索しようとします。
庭や室内でも、隅々まで嗅ぎ回り、新しい発見を楽しんでいるようです。
知的な刺激を好む
単に体を動かすだけでなく、知的なゲームやパズル系のおもちゃも大好きです。隠されたおやつを見つけたり、新しい芸を覚えたりすることに喜びを感じます。
この好奇心旺盛な性格は、しつけやトレーニングにも良い影響を与えます。新しいことを学ぶ意欲が高く、楽しく取り組むことができます。
社会性
子犬の頃からさまざまな人や犬と触れ合わせる社会化を行うことで、この好奇心はさらに良い方向へと導かれます。他の犬や人間とも友好的に接し、遊びを通して社会性を育んでいくことができます。
活発で好奇心旺盛なポメラニアンと暮らすには、毎日の散歩や遊びの時間をしっかりと確保し、彼らの探求心を満たしてあげることが重要です。
賢く忠実、甘えん坊な性格
ポメラニアンは、その愛らしい見た目とは裏腹に、非常に賢く、飼い主に対して忠実な一面を持っています。また、愛情深く、甘えん坊な性格も持ち合わせており、家族の一員として深く愛される理由となっています。
賢さと学習能力
物覚えが早く、基本的なコマンド(お座り、待て、伏せなど)はもちろん、さまざまな芸もすぐに覚えることができます。
状況判断能力も高く、飼い主の気持ちを察する能力にも長けています。褒められることが大好きなので、ポジティブな方法でしつけを行うと、どんどん新しいことを吸収していきます。
飼い主への忠実さ
一度信頼した飼い主には非常に忠実で、深い愛情を注ぎます。飼い主のそばにいることを好み、常にその存在を意識しています。
「ストーカー犬」と呼ばれるほど、飼い主の後をついて回ったり、同じ部屋にいることを好んだりする個体も多いです。
甘えん坊で愛情深い
膝の上に乗ったり、体を擦り寄せてきたり、顔を舐めてきたりと、さまざまな方法で愛情表現をしてくれます。
飼い主が構ってあげると、満面の笑みを見せ、幸福感を全身で表現します。この甘えん坊な性格が、飼い主にとって何よりも癒しとなるでしょう。
家族への愛情
飼い主だけでなく、家族全員に対して愛情深く接しますが、中でも一番お世話をしてくれる人や、一緒に過ごす時間の長い人に特に強く慕う傾向があります。
ポメラニアンの賢さ、忠実さ、そして甘えん坊な性格は、彼らを唯一無二の存在にしています。彼らの愛情に応え、しっかりとコミュニケーションを取ることで、より強固な絆を築けるでしょう。
勇敢で番犬気質な一面も
ポメラニアンの小さな体からは想像しにくいかもしれませんが、彼らは祖先のスピッツ犬の血を引くため、勇敢で番犬気質な一面も持ち合わせています。この特性は、愛らしい見た目とのギャップとなり、彼らの魅力の一つでもあります。
警戒心が強い
家族や自分のテリトリーを守ろうとする意識が強く、見知らぬ人や物音に対しては警戒心を示します。
郵便配達員や来客、外の物音などに対して、吠えて知らせることがあります。これは彼らなりの「番犬」としての役割を果たそうとしている行動です。
大胆な行動
自分よりも大きな犬や、見慣れないものに対しても臆することなく立ち向かおうとすることがあります。
時には勇敢すぎて、向こう見ずな行動に出てしまうこともあるため、散歩中などはリードをしっかり持ち、注意深く見守ることが必要です。
自信家な一面
小さな体ながらも自信に満ち溢れており、自分を大きく見せようとする傾向があります。これは、彼らが元々持っているリーダー気質や、賢さの裏返しとも言えます。
適切なしつけの重要性
この勇敢で番犬気質な一面は、頼もしい反面、無駄吠えや他の犬とのトラブルに発展する可能性もあります。
子犬の頃からの社会化を徹底し、さまざまな刺激に慣れさせること、そして「吠え」に対する適切なしつけを行うことが非常に重要です。褒めて伸ばすポジティブトレーニングを中心に、一貫した態度でしつけに取り組みましょう。
ポメラニアンの勇敢な一面は、適切に管理されれば頼もしい家族の番人となります。彼らの持つユニークな性格を理解し、尊重しながら、共生していくことが大切です。
ポメラニアンを迎え入れる準備と環境づくり

愛らしいポメラニアンを家族に迎えることは、とても喜ばしいことです。しかし、彼らが快適で安全に、そして健康に暮らすためには、迎え入れる前のしっかりとした準備と、適切な環境づくりが欠かせません。
このセクションでは、ポメラニアンの飼育に適した環境のポイントや、実際に迎え入れる前に準備しておくべき必需品について詳しく解説します。
ポメラニアンは小型犬ですが、その活発な性格とデリケートな体質を考慮した飼育環境を整えることが重要です。特に室内での安全確保と、温度・湿度の管理は、彼らの健康と快適な生活に直結します。
室内飼育の注意点と安全対策
ポメラニアンは、その小さな体と豊かな被毛ゆえに、屋外での飼育には適していません。必ず室内で飼育する必要がありますが、室内にも彼らにとって危険な場所は潜んでいます。安全で快適な居住空間を確保するための注意点と対策を知っておきましょう。
誤飲・誤食の危険性
ポメラニアンは好奇心旺盛なため、何でも口に入れてしまう可能性があります。床に落ちている小さなもの(ボタン、電池、薬、ゴム製品、ひもなど)は徹底的に片付けましょう。
人間用の食べ物の中には、犬にとって有害なもの(玉ねぎ、チョコレート、ブドウ、キシリトールなど)が多くあります。猫と同じく、彼らが届く場所に絶対に置かないでください。
観葉植物の中にも有毒なものがあります。犬が口にしないよう、手の届かない場所に置くか、置かない選択をしましょう。
転落・落下事故の防止
ソファやベッドからの飛び降り、階段からの転落など、高い場所からの落下は、骨折や脱臼(特に膝蓋骨脱臼)などの怪我に繋がりやすいです。
子犬や高齢犬の場合は、特に注意が必要です。階段にはベビーゲートを設置したり、ソファやベッドにはステップを設置したりするなどの対策をしましょう。
滑りやすい床の対策
フローリングなどの滑りやすい床は、犬の関節に大きな負担をかけ、股関節形成不全や膝蓋骨脱臼のリスクを高めます。
滑り止めマットやカーペットを敷く、あるいは滑り止め効果のあるワックスを使用するなどして、足腰への負担を軽減しましょう。
電気コードの管理
電気コードを噛んで感電する事故を防ぐため、コードカバーで保護したり、犬が届かないようにまとめたりする工夫が必要です。
危険な場所への侵入防止
キッチン、浴室、玄関、ベランダなど、犬にとって危険な場所には、侵入防止用のフェンスやゲートを設置しましょう。ゴミ箱は蓋つきのものを選び、漁られないように注意してください。
これらの安全対策を徹底することで、ポメラニアンが安心して室内で過ごせる環境を整えることができます。
適切な室温・湿度の管理
ポメラニアンは、その豊かな被毛ゆえに暑さに非常に弱い犬種です。また、寒さにもある程度は耐えられますが、極端な温度変化は体調を崩す原因となります。一年を通して適切な室温と湿度を保つことが、彼らの健康維持には不可欠です。
理想的な室温
一般的に、人間が快適と感じる20℃〜25℃が目安とされています。
特に夏場は熱中症のリスクが高いため、エアコンや扇風機などを利用し、室温が上がりすぎないように常に注意が必要です。お留守番中もエアコンはつけたままにするなど、対策を徹底しましょう。
冬場は、暖房を使用し、寒すぎないように配慮しますが、暖房器具によるやけどにも注意が必要です。
理想的な湿度
50%〜60%程度が理想とされています。
湿度が低すぎると皮膚や被毛が乾燥しやすくなり、静電気による毛玉の原因にもなります。加湿器などで湿度を調整しましょう。
湿度が高すぎると、カビや細菌が繁殖しやすくなり、皮膚病の原因となることがあります。除湿器や換気で調整しましょう。
その他
- 直射日光が当たる場所は避け、風通しの良い涼しい場所を選ぶ。
- 床で寝るのを好む犬もいるため、夏場はクールマット、冬場は暖かいブランケットなどを活用すると良い。
- 温湿度計を設置し、常に室温と湿度を把握しておくことをおすすめ。
適切な温度と湿度を管理することは、ポメラニアンが快適に過ごし、健康を維持するために欠かせない要素です。
迎え入れる前に準備するものリスト
ポメラニアンを自宅に迎え入れる際には、彼らが安心して新生活を始められるよう、事前に必要なものを揃えておくことが大切です。急な準備で慌てないためにも、リストを活用して計画的に準備を進めましょう。
新しい家族となるポメラニアンのために、彼らが生活する上で欠かせない基本的な必需品を事前に準備しておきましょう。
フード
迎え入れる子犬がそれまで食べていたドッグフードを、ブリーダーやペットショップに確認して用意しましょう。急なフードの変更は、消化不良や下痢の原因となることがあります。
子犬期は、成長に必要な栄養素がバランス良く配合された「パピー用」を選びます。
食器
フード用と水用の2つを用意します。安定感があり、滑りにくい素材のものがおすすめです。適切な高さがある食器台を用意すると、首への負担が軽減されます。
ベッド・寝床
安心して休める「自分の場所」となるベッドを用意しましょう。囲われているドーム型や、ふかふかのクッションタイプなど、さまざまな種類があります。
ケージやクレートの中に設置することで、より安心して過ごせる空間になります。
ケージ・クレート
安全な場所として、またしつけの際にも非常に重要です。留守番中や就寝時に、犬の安全を確保するために使用します。
犬が中で立てたり、方向転換したりできる十分な広さのものを選びましょう。
リード・ハーネス(または首輪)
散歩のために必須です。ポメラニアンのような小型犬は気管が弱い場合があるため、首への負担が少ないハーネスを選ぶのがおすすめです。
リードは、長さが調節できるものや、持ちやすい素材を選びましょう。
移動用キャリーバッグ
動物病院への移動や、外出時に使用します。通気性が良く、安定感のあるものを選びましょう。
ブラシ・コーム
ポメラニアンの豊かな被毛のお手入れに欠かせません。スリッカーブラシやピンブラシ、コームなど、複数用意すると良いでしょう。
シャンプー・リンス
犬用の刺激の少ないものを選びましょう。香りが苦手な子もいますので、無香料だとなお良いでしょう。
これらを事前に準備しておくことで、ポメラニアンが新しい環境にスムーズに馴染む手助けとなるでしょう。
トイレ用品と安全なおもちゃの選び方
ポメラニアンが快適に過ごせる環境を整えるためには、日々の生活に欠かせないトイレ用品と、彼らの好奇心を満たし、ストレスを軽減する安全なおもちゃ選びも重要です。
トイレ用品
- トイレトレー: 足上げ排泄をする男の子用、シートを敷くだけの女の子用など、複数のタイプがあります。掃除のしやすさで選びましょう。
- トイレシート: 吸収力が高く、消臭効果のあるものがおすすめです。子犬期は特に排泄の回数が多いため、多めに用意しておきましょう。
- 消臭スプレー・除菌スプレー: 排泄物のニオイ対策と衛生管理のために必要です。犬に安全な成分のものを選びましょう。
- ペットシーツ固定クリップ(あると便利): トイレシートがずれにくくなり、噛んでしまうのを防げます。
おもちゃ
- 材質の安全性: 口に入れても安全な素材(天然ゴム、コットンなど)でできているか確認しましょう。硬すぎるおもちゃは歯を傷つける可能性があるので注意が必要です。
- 大きさ: 誤って飲み込んでしまわないよう、ポメラニアンの口の大きさに合った、適度なサイズのものを選びましょう。小さすぎるものは避けてください。
耐久性のしっかりとしたものが多くなっている一方、部品の一部を噛んでしまうことで誤飲の原因になることもあります。
- 噛むおもちゃ(デンタルトイ): 歯の健康維持にも役立ちます。耐久性のあるものを選びましょう。
- 引っ張りっこ用おもちゃ: 飼い主とのコミュニケーションにも役立ちます。
- 知育玩具: おやつを隠して犬が自力で取り出すタイプのもので、頭を使う遊びを提供できます。退屈しのぎやストレス解消に役立ちます。
- 投げて遊ぶおもちゃ: ボールなど。運動欲求を満たします。
おもちゃは種類が多ければ多いほどよいですが、必要なタイミングで揃えていく程度のペースで問題ありません。
ポメラニアンのしつけとお手入れ

ポメラニアンと幸せに暮らすためには、適切なしつけと日常のお手入れが欠かせません。彼らは賢く、飼い主に従順な性格ですが、正しい方法で根気強く教えることが大切です。
また、ふわふわの被毛は毎日のケアが不可欠ですし、健康を維持するためには定期的なチェックも重要です。
このセクションでは、子犬期からのしつけの基本や、ポメラニアン特有の被毛ケア、そして日々の健康チェックのポイントについて詳しく解説していきます。
子犬期からの社会化としつけ
ポメラニアンは賢く学習能力が高い犬種ですが、小さな体ゆえに、しつけを怠ると無駄吠えや噛み癖、臆病になったりする場合があります。特に子犬期の社会化は、将来の性格形成に大きく影響するため、非常に重要です。
子犬期の社会化は、ポメラニアンがさまざまな環境や刺激に慣れ、穏やかでフレンドリーな成犬に育つための土台となります。生後3週齢から16週齢(社会化期)は特に重要で、この時期に多くの経験をさせることで、ストレスに強い犬に成長します。
社会化の重要性
- ストレス耐性の向上: さまざまな人、犬、環境、音などに慣れることで、新しい状況に直面したときの不安や恐怖を軽減し、ストレスに強くなります。
- 問題行動の予防: 無駄吠え、噛みつき、臆病、分離不安などの問題行動は、社会化不足が原因となることがあります。適切な社会化はこれらの予防に繋がります。
- 安全性の確保: 病院での診察や災害時など、普段と違う状況でも落ち着いて行動できるようになります。
社会化の実践方法
- 人との触れ合い: 家族以外の人(老若男女、さまざまな体格の人)と優しく触れ合わせ、褒めておやつを与えるなど、良い経験をさせましょう。
- 他の犬との交流: ワクチン接種後、健康な他の犬(特に穏やかな成犬)と安全な場所で遊ばせ、犬同士のコミュニケーションを学ばせましょう。パピークラスやドッグランの利用もおすすめです。
- さまざまな場所への外出: 公園、ペット同伴可のカフェ、駅など、さまざまな場所へ連れて行き、多くの音や匂い、景色に触れさせましょう。最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばします。
- さまざまな音に慣らす: 掃除機、ドライヤー、雷や花火の音源などを、ごく小さな音量から聞かせ、良いこと(おやつや遊び)と結びつける音慣れトレーニングも有効です。
- 体を触る練習: 将来のお手入れや健康チェックに備え、子犬の頃から全身(口、耳、足先、しっぽなど)を優しく触られることに慣れさせましょう。
社会化は一過性のものではなく、成犬になってからも継続的に行うことで、ポメラニアンは生涯を通して穏やかで社会的な犬として暮らせるでしょう。
トイレトレーニング
ポメラニアンを家族に迎えたら、まず最初に教えたいのがトイレトレーニングと基本的なコマンドです。これらは、愛犬との快適な共同生活を送るための基礎となるだけでなく、犬の安全を守るためにも非常に重要です。
- 成功体験を積ませる: 排泄のサインを見逃さず、すぐにトイレに誘導しましょう。成功したら大げさに褒め、ご褒美を与えます。
- 排泄のタイミングを予測: 起床後、食後、遊びの後、寝る前など、排泄しやすいタイミングで定期的にトイレへ連れて行きます。
- 失敗しても叱らない: 失敗したとしても決して叱らず、黙って片付けましょう。叱ると、排泄そのものがいけないことだと誤解し、隠れてするようになったり、粗相が増えたりする原因になります。
- 広範囲にシートを敷く: 子犬の間は、ケージ内やサークル内、あるいは行動範囲を限定した場所に広めにトイレシートを敷き、徐々に範囲を狭めていくと成功しやすくなります。
- ニオイを残さない: 失敗した場所は、専用の消臭剤でしっかりとニオイを取り除き、再びそこで排泄しないようにしましょう。
- 基本的なコマンド(お座り、待て、おいでなど):
- ポジティブ強化で教える: 成功したらすぐに褒めてご褒美を与える方法で教えましょう。
- 短時間で繰り返す: 子犬の集中力は長く続きません。1回のトレーニングは5分程度にし、1日に数回繰り返しましょう。
- 一貫性: 家族全員が同じ言葉と方法で教えることが大切です。
- 「おいで」の重要性: 災害時や脱走した際など、緊急時に安全を確保するために非常に重要なコマンドです。
- リードとハーネスに慣らす: 散歩デビュー前に、首輪やハーネス、リードを装着することに慣らしておきましょう。
トイレトレーニングと基本的なしつけは、根気が必要ですが、ポメラニアンの学習能力の高さを活かせば、必ずできるようになります。
ポメラニアンの被毛ケアとシャンプー
ポメラニアンの最大の魅力であるふわふわの被毛は、その美しさを保つために定期的で丁寧なケアが不可欠です。適切なケアを怠ると、毛玉や皮膚病の原因となるだけでなく、自身も不快に感じてしまいます。
ポメラニアンの豊かなダブルコートは、毎日のブラッシングが非常に重要です。これを怠ると、すぐに毛玉ができたり、皮膚トラブルに繋がったりする可能性があります。
目的①:毛玉の防止
ポメラニアンの被毛は絡まりやすく、特にアンダーコートは抜け毛が多いため、放置するとあっという間に毛玉になります。毛玉は皮膚を引っ張り、痛みを伴うだけでなく、皮膚の通気性を悪くして皮膚炎の原因にもなります。
毎日のブラッシングで、抜け毛を取り除き、毛玉ができるのを防ぎましょう。
目的②:皮膚の健康維持
ブラッシングは、皮膚の血行を促進し、新陳代謝を活発にする効果があります。
また、フケや汚れを取り除き、皮膚を清潔に保つことで、皮膚病の予防にも繋がります。ブラッシング中に、皮膚の赤み、湿疹、しこりなどがないか、健康チェックも同時に行いましょう。
目的③:コミュニケーションと絆
ブラッシングの時間は、飼い主とポメラニアンが触れ合う大切なコミュニケーションの時間にもなります。優しくブラッシングすることで、信頼関係が深まります。
ブラッシングの頻度と道具
- 頻度: 毎日1回以上が理想です。特に換毛期(春と秋)は、抜け毛が非常に増えるため、1日に2回以上行うと良いでしょう。
- スリッカーブラシ: アンダーコートの抜け毛をしっかり取り除くのに適しています。皮膚に当たらないよう優しく使いましょう。
- ピンブラシ: アウターコートのもつれを解き、毛並みを整えます。
- コーム(粗目・細目): 毛玉がないか最終確認したり、顔周りや耳の飾り毛など、デリケートな部分を整えたりするのに使います。
- 注意点: ブラッシングの際は、毛の流れに沿って優しく行い、無理に引っ張らないようにしましょう。特に毛玉がある場合は、無理にとかさず、指で丁寧にほぐしてからブラシを使います。
毎日のブラッシングを習慣にすることで、ポメラニアンの被毛を美しく保ち、皮膚の健康を守ることができます。
シャンプーの頻度
ポメラニアンのシャンプーは、被毛の汚れを落とし、皮膚を清潔に保つために必要ですが、頻繁すぎると皮膚の油分を取りすぎてしまう可能性があります。
また、シャンプー後の乾燥は特に重要で、怠ると皮膚病の原因となるため注意が必要です。
基本的には月に1回程度が目安です。ただし、汚れがひどい時や、皮膚の状態によっては、獣医師と相談して頻度を調整しましょう。頻繁すぎるシャンプーは、皮膚の乾燥やフケの原因となることがあります。
シャンプーの手順と注意点
- ブラッシング: シャンプー前に、必ずブラッシングで毛玉や抜け毛をしっかり取り除いておきましょう。毛玉があるままシャンプーすると、余計に絡まってしまいます。
- シャンプー剤の選択: 犬用の低刺激性シャンプーを選びましょう。人間用は皮膚のpHバランスが異なるため、使ってはいけません。
- 温度: シャワーの温度は、36℃〜38℃程度のぬるま湯が適温です。熱すぎると皮膚に負担をかけ、冷たすぎると嫌がります。
- 洗い方: 泡立てたシャンプーで、皮膚をマッサージするように優しく洗いましょう。爪を立てずに指の腹で洗うのがポイントです。耳や目にお湯やシャンプーが入らないよう注意してください。
- すすぎ: シャンプー成分が皮膚に残らないよう、時間をかけて念入りにすすぎましょう。すすぎ残しは皮膚炎の原因になります。
シャンプー後の乾燥の重要性
- シャンプー後の乾燥は、シャンプー以上に重要です。ポメラニアンの被毛は密生しているため、表面が乾いていても地肌が湿っていることがよくあります。
- タオルドライ: まずは吸水性の良いタオルで、優しく水分を拭き取りましょう。ゴシゴシ擦ると毛が絡まります。
- ドライヤー: ドライヤーは、皮膚から20cm以上離し、低温設定で、常に動かしながら乾かしましょう。同じ場所に熱風を当て続けると、やけどの原因になります。
- コームスルー: ドライヤーで乾かしながら、コームやブラシで毛をとかし、地肌からしっかりと乾かしましょう。特にアンダーコートが乾きにくいので、指で毛をかき分けながら確認します。
- 完全に乾かす: 完全に乾くまでブラッシングとドライヤーを繰り返しましょう。生乾きの状態は、皮膚病やニオイの原因となります。
シャンプーと乾燥は手間がかかりますが、愛犬の健康と快適さを保つために非常に大切なお手入れです。
日常のお手入れ
ポメラニアンの健康を維持するためには、被毛ケアだけでなく、日常的な細かいお手入れも欠かせません。これらのお手入れは、病気の早期発見にも繋がる大切な健康チェックの時間でもあります。
ポメラニアンが健康で快適に過ごすために、歯磨き、耳掃除、爪切りは日常的に行うべき重要なお手入れです。
歯磨き
- 重要性: 犬も人間と同じように歯周病になります。歯周病は口臭の原因となるだけでなく、進行すると歯が抜け落ちたり、歯周病菌が全身に回り、心臓病や腎臓病などの深刻な病気に繋がることもあります。
- 頻度: 毎日行うのが理想です。難しければ、2~3日に1回でも効果があります。
- 方法: 犬用の歯ブラシと歯磨き粉を使用します。最初は歯磨きシートや指に巻いたガーゼで優しく触れることから始め、徐々に歯ブラシに慣らしましょう。
- 子犬期から慣らす: 小さい頃から歯磨きに慣れさせることが重要です。
耳掃除
- 頻度: 週に1回程度、耳の汚れをチェックし、必要であれば行います。耳垢が多くなく、ニオイがなければ無理にする必要はありません。
- 方法: 犬用のイヤークリーナーをコットンやガーゼに含ませ、見える範囲の耳のひだを優しく拭き取ります。奥まで綿棒を入れるのは避けましょう。
- 注意点: 耳の赤み、強い痒み、悪臭、黒っぽい耳垢、頭を振るなどの症状が見られたら、外耳炎などの可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
爪切り
- 頻度: 最低でも1か月に1回程度が目安です。散歩で削れる犬もいますが、伸びすぎると歩きにくくなったり、肉球に刺さったり、骨格に影響を与えたりする可能性があります。
- 方法: 犬用の爪切りを使用し、血管や神経が通っている「クイック」を切らないよう注意が必要です。特に黒い爪の犬はクイックが見えにくいので慎重に行いましょう。
- 恐怖心を与えない: 嫌がる場合は無理せず、少しずつ慣らすか、動物病院やトリミングサロンでプロに頼むのも良い方法です。
これらのお手入れは、愛犬の快適さと健康維持に直結します。
定期的な健康チェックのポイント
日常のお手入れの時間は、ポメラニアンの健康状態をチェックする絶好の機会でもあります。
毎日全身を触り、以下のような点に異常がないか確認する習慣をつけましょう。早期発見は、病気の治療を有利に進めるために非常に重要です。
目 | 目ヤニや涙が多くないか、充血していないか、白濁していないか。 目の周りの毛が常に濡れていないか(涙やけの有無)。 |
鼻 | 湿っていて冷たいか(乾燥しすぎていないか)。 鼻水が出ていないか、くしゃみをしていないか。 |
口・歯茎 | 口臭はないか。 歯石がついていないか、歯茎が赤く腫れていないか。 歯がぐらついていないか。 |
耳 | 耳垢が多くないか、ニオイがしないか。 耳の内側が赤く腫れていないか、痒がっていないか。 |
被毛・皮膚 | 毛づやは良いか、脱毛している部分はないか。 皮膚に赤み、湿疹、フケ、かさぶた、しこり、痒みがないか。 ノミやダニがいないか。 |
体全体 | 体を触って、しこりや腫れがないか。 手足の関節を軽く動かして、痛みがないか、異音はしないか。 足の裏の肉球に傷がないか、乾燥しすぎていないか。 |
排泄物 | 便の状態(硬さ、色、量、異物混入がないか)。 尿の状態(色、量、回数)。 |
行動・食欲・飲水量 | 元気や食欲はあるか、水を飲む量は適切か。 普段と比べて行動に変化はないか。 |
これらのチェックを毎日行うことで、ポメラニアンの小さな変化にいち早く気づき、異変があればすぐに動物病院を受診する体制を整えましょう。
ポメラニアンの健康管理と注意すべき病気

ポメラニアンと長く健康に暮らすためには、日々の適切な健康管理が非常に重要です。彼らは愛らしい小型犬ですが、遺伝的要因や体質から、特定の病気にかかりやすい傾向があります。
これらの病気の知識を持つことは、早期発見・早期治療に繋がり、愛犬の苦痛を軽減し、寿命を延ばすことにも繋がります。
このセクションでは、ポメラニアンがかかりやすい代表的な病気とその予防法、そして適切な食事と運動による健康維持のポイントについて詳しく解説します。
ポメラニアンがかかりやすい病気
ポメラニアンが特に注意すべき病気は、小型犬に多く見られる関節や気管の疾患、そして特徴的な脱毛症などです。これらの病気の症状や予防策を知っておくことで、いざという時に冷静に対応できます。
膝蓋骨脱臼(パテラ)と予防
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)は、パテラとも呼ばれ、ポメラニアンを含む小型犬に非常によく見られる関節疾患です。膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう病気で、遺伝的要因が大きいですが、後天的な要因でも発症します。
- 症状:
- 初期では、時々スキップするように片足を上げて歩く(ケンケン歩き)が見られます。
- 進行すると、足を上げたままにしたり、痛がって歩きたがらなくなったり、足を触られるのを嫌がったりします。
- 重度になると、常に膝蓋骨が外れた状態になり、歩行が困難になることもあります。
- 予防と対策:
- フローリングなど滑りやすい床の対策: 滑り止めマットやカーペットを敷き、足腰への負担を軽減しましょう。
- 高い場所からの飛び降り防止: ステップやスロープを設置して、安全に上り下りできるようにしましょう。
- 体重管理: 肥満は膝関節に大きな負担をかけます。適正体重を維持することが非常に重要です。
- 適度な運動: 筋肉を適切に維持することで、関節をサポートできます。ただし、過度な激しい運動は避けましょう。
- サプリメント: 獣医師と相談の上、関節の健康をサポートするグルコサミンやコンドロイチン配合のサプリメントを検討することもできます。
- 早期発見: 定期的な健康チェックで足の動きに異常がないか確認し、少しでも異変があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
遺伝的要因が強い病気ですが、日頃の生活環境に配慮することで、発症リスクを低減したり、進行を遅らせたりすることが可能です。
気管虚脱の症状と対処法
気管虚脱(きかんきょだつ)は、ポメラニアンを含む小型犬によく見られる呼吸器疾患です。気管が潰れてしまい、空気の通り道が狭くなることで呼吸がしにくくなる病気です。遺伝的な素因があると考えられています。
- 症状:
- 特徴的な症状は、「ガーガー」というアヒルの鳴き声のような咳(アヒル様咳嗽)です。興奮した時や、運動後、水を飲んだ後、首を引っ張られた時などに多く見られます。
- 呼吸が苦しそうになる、呼吸が速くなる、舌の色が紫色になる(チアノーゼ)などの呼吸困難の症状が現れることもあります。
- 重度になると、失神してしまうこともあります。
- 対処法と予防:
- 首への負担を避ける: 首輪ではなく、ハーネスを使用しましょう。首輪だと気管を圧迫し、症状を悪化させる可能性があります。
- 興奮させすぎない: 激しい運動や遊び、興奮は咳を誘発します。穏やかな遊びを取り入れましょう。
- 温度・湿度管理: 暑すぎたり、乾燥しすぎたりする環境は呼吸器に負担をかけます。適切な室温(20〜25℃)と湿度(50〜60%)を保ちましょう。
- 体重管理: 肥満は呼吸器に負担をかけるため、適正体重を維持することが重要です。
- 受動喫煙の回避: タバコの煙は気管に悪影響を与えます。喫煙は避けましょう。
- 早期発見: 咳の症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
気管虚脱は慢性化しやすい病気ですが、早期に適切な対処を始めることで、症状の進行を遅らせ、QOLを維持することができます。
脱毛症X(アロペシアX)について
脱毛症X(アロペシアX)は、ポメラニアンに比較的多く見られる原因不明の脱毛症です。通称「ポメはげ」と呼ばれることもあり、全身または部分的に毛が抜けてしまうのが特徴です。痒みや炎症を伴わないため、犬自身に痛みはありません。
- 症状:
- 左右対称性の脱毛: 体幹部や尻尾、首周りなど、特定の部位の毛が対称的に抜けることが多いです。顔や手足の先端の毛は残ることが多いです。
- 地肌の黒ずみ(色素沈着): 毛が抜けた部分の皮膚が、黒っぽく色素沈着することがよくあります。
- 毛質の変化: 残った毛も、パサついたり、柔らかくなったりと質感が変わることがあります。
- 発症時期: 若齢から中高齢まで幅広い年齢で発症しますが、特に若いうちに発症するケースが多い傾向にあります。
- 原因と診断:
- 原因は未だ不明な点が多く、性ホルモンや副腎皮質ホルモンのバランスの乱れ、遺伝などが関与していると考えられています。
- 診断には、他の脱毛症(甲状腺機能低下症、クッシング症候群、アレルギー性皮膚炎など)を除外するための血液検査、皮膚生検などが行われます。
- 治療と対策:
- 確実な治療法は確立されていませんが、去勢・避妊手術によって症状が改善するケースもあります。
- メラトニンやホルモン剤の投薬、シャンプー療法などが試されることもありますが、効果には個体差があります。
- 多くの場合、健康状態に直接的な悪影響はありませんが、見た目の問題が大きいです。
- 皮膚が露出するため、紫外線対策や冬場の防寒対策をしっかり行いましょう。
脱毛症Xは見た目の問題が主ですが、健康であることに変わりはありません。焦らず、獣医師と相談しながら、その子に合った対策を見つけていくことが大切です。
年齢・活動量に合わせたフード選び
ポメラニアンの健康を維持するためには、適切な食事と適度な運動が不可欠です。これらは、病気の予防だけでなく、健全な心身の発育、そして日々の充実した生活に繋がります。
中でもまずは、ポメラニアンの健康を支える上で、年齢や活動量、健康状態に合わせたドッグフード選びは非常に重要です。フードは、彼らの体を作る基礎となるからです。
総合栄養食の選定
主食は、犬に必要な全ての栄養素がバランス良く配合された「総合栄養食(AAFCO基準・FEDIAF基準)」などの主食になるドッグフードを選びましょう。
手作り食を与える場合は、栄養バランスが偏らないよう、獣医師や動物栄養管理士などの専門家のアドバイスを受けることが重要です。
年齢別のフード
- 子犬期(パピー用): 成長に必要な高タンパク質、高カロリーのフードを選びます。骨や筋肉、脳の発育をサポートする栄養素が豊富に含まれています。
- 成犬期(アダルト用): 体重や活動量に合わせて、適切なカロリーと栄養バランスのフードを選びます。避妊・去勢手術後は、太りやすくなる傾向があるため、低カロリーのフードも検討しましょう。
- 高齢犬期(シニア用): 消化機能や代謝が衰えるため、消化しやすく、低カロリーで関節や腎臓の健康をサポートする成分(グルコサミン、コンドロイチンなど)が配合されたフードがおすすめです。
活動量に合わせた調整
運動量が少ない犬には、肥満を防ぐために低カロリーのフードを。活発な犬には、必要なエネルギーを補給できるフードを選びましょう。おやつは、1日の摂取カロリーの10%以内に抑えることが理想です。
アレルギー対応フード
食物アレルギーがある場合は、アレルゲンとなる食材を含まない「アレルギー対応食」や「療法食」を選びます。獣医師に相談して最適なフードを選びましょう。
フードの与え方
1日2〜3回に分けて与えるのが一般的です。一気に食べさせると消化不良や胃捻転(稀ですが)のリスクがあります。急なフードの切り替えは避け、1週間程度かけて徐々に新しいフードを混ぜて慣らしましょう。
適切なフード選びと与え方は、ポメラニアンの健康寿命を延ばすための基本中の基本です。
適度な運動量と遊び方
ポメラニアンは小さな体ですが、非常に活発で運動好きな犬種です。適度な運動は、肥満予防、ストレス解消、筋力維持、そして精神的な充実のために欠かせません。
適度な運動量
- 1日2回、各20〜30分程度の散歩が目安です。ただし、個体差や年齢、健康状態によって調整が必要です。
- 子犬や高齢犬、膝蓋骨脱臼などの関節疾患がある場合は、散歩の時間や強度を調整し、無理をさせないようにしましょう。
- 暑い日や寒い日、雨の日などは、無理せず室内での遊びに切り替えることも大切です。
散歩の注意点
- 首輪ではなくハーネス: 気管虚脱のリスクを避けるため、首に負担がかからないハーネスを使用しましょう。
- リードは必須: 小型犬でも好奇心から急に走り出すことがあるため、必ずリードを装着しましょう。
- 時間帯の配慮: 夏場は早朝や夜間の涼しい時間帯を選び、熱中症に注意しましょう。冬場は、寒すぎない日中の暖かい時間帯を選びます。
- 肉球の保護: 夏のアスファルトは高温になります。肉球のやけどを防ぐため、散歩前に地面の温度を確認しましょう。
室内での遊び方
- 天候不良時や、散歩に行けない日でも、室内で十分に体を動かせる遊びを取り入れましょう。
- ボール遊び: 小さなボールを使った引っ張りっこや持ってこい遊びは、室内でも手軽にできます。
- 知育玩具: おやつを隠すタイプの知育玩具は、頭を使いながら遊べるため、運動と知的刺激の両方を与えられます。
- かくれんぼ: 飼い主が隠れて探させる遊びも、運動と脳への刺激になります。
過度な運動は避ける
- 小型犬であるポメラニアンにとって、ジャンプを繰り返すような激しい運動や、長時間の運動は関節に大きな負担をかけます。
- 無理のない範囲で、楽しんで体を動かすことが大切です。
適切な食事と運動のバランスを保つことで、ポメラニアンは心身ともに健康で、活発な毎日を送ることができるでしょう。
まとめ:ポメラニアンとの愛しい日々を大切に
ふわふわの被毛と愛らしい表情、そして小さな体に宿る活発で賢い性格が魅力のポメラニアン。彼らは、私たちに多くの笑顔と癒しを与えてくれる、かけがえのない家族です。しかし、ポメラニアンと長く幸せに暮らすためには、彼らの特性を理解し、適切なケアと健康管理を行うことが非常に重要です。
この記事では、ポメラニアンの基本的な特徴や性格、迎え入れる前の準備、日々のしつけとお手入れ、そして健康管理と注意すべき病気について、網羅的に解説してきました。
ポメラニアンとの生活は、喜びと発見に満ち溢れています。彼らの小さな命と真摯に向き合い、愛情と責任を持ってケアすることで、ポメラニアンはきっと、あなたの人生をより豊かにしてくれるでしょう。
この記事が、愛するポメラニアンとの絆を深め、共に幸せな日々を送るための一助となれば幸いです。
ポメラニアンの理解度チェック
この記事の執筆者
nademo編集部
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