犬の病気・健康

【獣医師執筆】犬の健康管理方法ガイド!病気・体調不良のサイン

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愛犬にはいつまでも元気に過ごしてもらいたいものですが、そのためには病気の早期発見が重要になってきます。

ただ、人間の言葉が話せない犬は、自分の不調を飼い主さんに伝えることができず、発見が遅れることもあります。

日ごろのケアやスキンシップの際に、少しだけ気を付けてあげるだけでも病気の早期発見に繋がります。

そこで今回は、日頃からできる健康管理について解説していきます。

この記事の結論

  • 日常的に愛犬の変化がないか確認することが、病気やケガの早期発見に繋がる
  • ケガをしているところは痛がるため、体を優しく触れてみて反応を確認する
  • 気にしないご家庭も多い肥満も、病気やケガに繋がりやすいため、体型チェックが重要
  • 目や耳、鼻や口など、ポイントごとに変化がないか確認してみる

執筆・監修

杉山 杏奈

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。その後、ペット保険会社、動物病院向けの専門商社に勤務。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

担当執筆者

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もくじ

日常的な愛犬の健康管理

愛犬の健康管理のためには、毎日愛犬のことを観察・確認しておくことがもっとも重要。

ちょっとした変化に気づくためには、愛犬のことを知らなければできません。たまにチェックするだけでは、病気やケガの初期症状に気付けないこともあるでしょう。

日ごろのケアやスキンシップ・お散歩など、ちょっとした時に気が付く健康管理をご紹介いたします。

また、どのような症状であれば動物病院へ行く必要があるのか、参考にしていただければと思います。

自宅でできる愛犬の健康管理「体全体」

顔を自分の正面に向けて愛犬を立たせ、顔を観察します。その後、頭の先から尻尾、足の付け根まで撫でながら触ります。

この触り方や観察方法で、後述の被毛・皮膚・目・耳・鼻・口腔内などのチェックも行いましょう。

①痛がるとこはありませんか?

急所を触れられると嫌がることはありますが、嫌がるというよりも痛がるようであれば、ケガをしている可能性があります。

特に犬の場合、人間と違って被毛で覆われているものなので、皮膚のケガには気付きづらいもの。

発見のためには、愛犬の体に触れて痛がるところがないか、チェックする必要があります。

②肋骨が少し触れますか(少し出ていますか)?

犬のボディコンディションスコア

環境省が発表している指標になるものが、上記のボディコンディションスコア(BCS)と呼ばれるものです。

これは愛犬の体型チェックを行う際の指標となるため、どの程度の体型であるかを確認してあげましょう。

理想的とされているのはBCS3。上から見たとき、腰のくびれが見られ、肋骨に多少触れることができる程度です。

肋骨が全く触れない

太っている可能性があります。

上から見たときに腰のくびれがなく、肋骨に触れられないケースはBCS4~BCS5に該当すると考えられます。

肥満体型になると関節や足腰に負担が大きくかかり、必要な運動をしなくなることがあります。

犬全体の3割~5割は肥満だと言われており、特に室内飼いが当たり前になっている環境だと、肥満になりやすい点にも注意しましょう。

肋骨が浮き出ている

痩せすぎている可能性があります。

必要以上に腰のくびれが極端にでており、肋骨だけではなく腰椎や骨盤などが確認できる状態です。

必要量をきちんと与えていれば痩せすぎることは基本的にないものの、運動量があまりに多い子だと痩せてしまうこともあります。

また、病気の影響によっても痩せることはあるため、「太っているよりスリムな方が良い」と安易に思わず、体型をチェックしてあげましょう。

自宅でできる愛犬の健康管理「被毛・皮膚」

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被毛は毎日のようにケアすべき犬種もいますが、毎日のケアが必要ない犬種でも、確認だけは行っておくと良いです。

毛の流れに沿ってブラッシングしていると気付きづらいかもしれませんが、逆なですると被毛に覆われた皮膚が見やすくなります。

①被毛はツヤ・ハリがありますか?フケや毛玉などはありませんか?

被毛にツヤ・ハリがない場合は栄養が足りていないなど、全身的な問題がある可能性があります。

フケや毛玉は皮膚の病気に繋がる可能性があります。

シャンプーやー毛玉取り器などで適切に除去してあげましょう。

②ノミやダニなどの寄生虫はいませんか?

定期的な予防で寄生虫を寄生させないことが大切です。

ブラッシング時に確認できることもありますが、ノミの成虫は1.5mm~2mm程度なので、よく目をこらしてみないと確認できません。

ただ、肉眼でも確認できるものなので、定期的にチェックしてあげましょう。

③皮膚が赤くただれていたり、乾燥していませんか?

アトピー性皮膚炎なども疑われるため、広範囲や発赤や目・口・耳・尾の周りの発赤の場合は、動物病院で診てもらいましょう。

被毛によって気付きづらいポイントもありますが、ブラッシング時にでも一緒に確認してみてください。

④いぼやホクロ、しこりなどはありませんか?

悪性腫瘍(ガン)の可能性も否定できませんので、動物病院で診てもらいましょう。

普段からチェックしていないと、元々あったものなのか、それともある日突然できてしまったものなのか、把握しづらいです。

動物病院を受診するときにはいつ頃からできているのかを報告できたほうが良いので、日々の確認項目にしておくと良いです。

自宅でできる愛犬の健康管理「目」

左右対称で瞳がうるんで輝きがあり、大きくぱっちり開いているのが健康な目です。

コマンドによってアイコンタクトをすることもあると思いますので、身体チェックの中では気づきやすいポイントでしょう。

①目ヤニや充血、涙が出ていることはありますか?

多少の目ヤニは問題ありませんが、大量の目ヤニや充血、涙が止まらないなどの症状がある場合は注意が必要。

結膜炎や角膜の損傷、逆さまつ毛などが疑われるため、動物病院で診てもらいましょう。

②目が左右対称ですか?

左右対称でない場合は、目の周りが腫れている可能性や、神経の異常が考えられます。

目の開き具合が左右で違ったり、片目だけ閉じることが多い、といった様子が見られるようなら、動物病院で診てもらいましょう。

③目が濁っていませんか?

白内障などが疑われますので、動物病院で検査をしましょう。

白内障は視力低下だけではなく、最悪の場合には失明の危険性もある病気です。

④眩しそうに目をシパシパしませんか?

一時的なものであれば様子をみても大丈夫ですが、頻回におこなうのであればどのタイミングでおこなうのかを観察し、動物病院でみてもらいましょう。

両目だけでなく、片目だけをシパシパしていることもあります。

自宅でできる愛犬の健康管理「耳」

左右対称で悪臭がしないことが健康な耳です。

立ち耳の場合には汚れが溜まりづらいものの、特に垂れ耳の子に関してはしっかりとケアしてあげる必要も出てきます。

①耳が左右対称で腫れたりしていませんか?

外傷があったり、外耳炎がひどくなったり、耳ダニの寄生などで耳が腫れることがあります。

ひどい腫れの場合は動物病院での治療が必要になります。

左右で見比べてみて腫れていないか、確認してあげてください。

②耳を痒がって頻繁に足で掻いていませんか?

イヤークリーナーなどを使って耳掃除をしましょう。

耳掃除はあくまで外耳の部分だけしかできませんので、それより奥の耳掃除は危険です。

また耳掃除のやり過ぎも症状を悪化させてしまう原因になるため、1ヶ月に1~2回程度が目安です。

耳掃除をしても痒がっている場合は動物病院で診てもらいましょう。

③耳から悪臭がしていませんか?

外耳炎になっている可能性がありますので、動物病院で診てもらいましょう。

ニオイだけではなく、黄色・茶色といった色の付いた耳垢や、粘り気のある耳垢などは注意が必要です。

体のどの部位であっても、悪臭がするということは何かしらのトラブルを抱えているというサインです。

自宅でできる愛犬の健康管理「鼻」

犬の鼻は通常、湿っており、鼻水や出血などがないことが健康な鼻です。

よく目に入る部分なので気付きづらいことはないと思いますが、定期的にチェックしてあげてください。

①鼻水やくしゃみ、咳をしていないないですか?

頻回であれば風邪を引いている可能性がありますので、動物病院で診てもらいましょう。

一時的なものであれば生理現象であることも多いので、短時間で止まるかどうかを判断しましょう。

鼻水は色によっても症状の重さを判断することができるため、色がついた鼻水であるかどうか、確認してみてください。

②出血をしていませんか?

外傷での出血であれば、血がすぐに止まっているようなら様子をみましょう。

頻回の外傷ではない鼻血の場合は、動物病院で診てもらいましょう。

自宅でできる愛犬の健康管理「口・歯」

口臭が少なく、歯が白く、歯茎や舌がピンクで潤っている状態が健康な口腔内です。

歯磨きを嫌がる子は多いですが、子犬期からしっかりとしたデンタルケアが重要です。

①歯石が付いており不快なニオイがしますか?

多少の歯石や口臭であれば自宅の歯磨きケアで十分ですが、ひどい場合には歯肉炎などになっている可能性があります。

犬にも人間同様、日常的な歯磨きが必要不可欠です。

とはいえ大人しくできるものでもありませんので、できる限りの歯磨きを日常的に行うようにする必要があるのです。

口臭が確認できた場合には治療が必要なケースも多いため、ぜひ一度、動物病院で診てもらいましょう。

②歯茎が赤く腫れたりしていませんか?

歯肉炎になっている可能性がありますので、動物病院でみてもらいましょう。

歯肉炎は歯周病のひとつで、デンタルケアが適切に行われていないと歯周病になりやすくなります。

歯周炎とは違い、歯肉炎ならば治療次第で治ると言われているため、早めに治療することをおすすめします。

③食事ではない時にいつも大量のよだれを垂らしていませんか?

口腔の病気や感染症の可能性もありますので、動物病院に相談してみましょう。

食事前のよだれは口内で食事の準備をしているだけなので、気にする必要はありません。

食事以外でのよだれは、歯周病や口腔内腫瘍、やけどやてんかんなどの可能性もあるため、注意が必要です。

④舌や歯茎の色はピンク色をしていますか?

青白くなっており、元気や意識がない場合はチアノーゼ(血液中の酸素不足)の可能性があります。

呼吸障害や心臓疾患の可能性もありますので、急いで病院に行きましょう。

チアノーゼになっている場合は病気が少なからず進行している状態でもあるため、早期治療が重要です。

自宅でできる愛犬の健康管理「呼吸」

運動をした時や熱い場所にいたときなどは息が上がるのが普通ですが、それ以外のときにいつもと様子が違う場合には注意が必要です。

①暑い所から涼しいところに移動したにも関わらず、ずっと苦しそうに息をしていてぐったりとしていませんか?

熱中症が疑われますので、足の付け根や首などを冷やしながら直ぐに動物病院へ向かいましょう。

暑い季節に外で運動していたり、散歩だけであっても、熱中症になる可能性は十分にあります。

真夏日には特に日中の出歩きが危険であるため、熱中症になる前に避けておくことをおすすめします。

②息が「ゼーゼー」「ガーガー」とガチョウのような呼吸音になっていることはありませんか?

小型犬に多い気管虚脱という病気の可能性がありますので、動物病院で診てもらいましょう。

呼吸音を気にしながら生活することはあまり多くありませんが、散歩後などの多少息が切れているタイミングなら気付きやすいです。

③寝ているときなどのイビキがひどかったり、無呼吸症候群になっていませんか?

特に短頭種では注意が必要です。ひどい場合は動物病院で診てもらいましょう。

無呼吸症候群はイビキと共に見られることが多く、イビキが突然止まるようなら無呼吸症候群の可能性があります。

自宅でできる愛犬の健康管理「飲食」

食餌は決められた量を決められた時間にあげましょう。

また、水は常に飲めるようにし、水分を1日にどれくらいとっているかをチェックしておきましょう。

食餌は健康のバロメーターです。

①食欲がなく、全く食べない日が続いていませんか?

1日だけであれば他に異常がないか観察しながら様子を見ましょう。

半分以上残してしまう日が数日続いている場合は、動物病院で診てもらいましょう。

少量でも食べているからといって安易に考えず、必要量を残しているという認識でいる必要があります。

②食べたそうにしているのに食べない日が続いていませんか?

食道などの病気で食べられない可能性もありますので、動物病院で診てもらいましょう。

食事は体の資本です。満足に食事できていないのであれば、何かしらの問題があります。

体に問題があるだけではなく、ドッグフードの賞味期限が切れていたり、食べづらいサイズ感になっているということもあります。

③いつもよりたくさん水を飲み、尿の量も多いことはありますか?

体重1kgあたり100mlを毎日飲んでいる場合は多飲です。

一般的には1kgあたり50ml前後が平均的で適切なので、目盛り付きの給水器などを使うのがおすすめ。

糖尿病や腎臓疾患などの可能性もありますので、動物病院で診てもらいましょう。

自宅でできる愛犬の健康管理「排便・排尿」

排泄物は体の健康状態を知るために重要なポイントで、排泄物から得られる情報はたくさんあります。

尿や便は必ず観察してから捨てるようにしましょう。

①嘔吐や下痢、便秘などはありますか?

元気で一過性のものであれば様子を見ましょう。

頻回な嘔吐や下痢、数日間の便秘などは動物病院で診てもらいましょう。

嘔吐や下痢をした後、明らかに元気がない場合は、すぐに診てもらうのがおすすめです。

②血便がでていないですか?

血の色が綺麗な赤かどす黒い赤か、量はどれくらいかによって病気の種類が異なります。

便(難しければ便の写真)を持参して、動物病院で診てもらいましょう。

③便の中に虫はいませんか?

便の中に白い線のような虫などがみられた際は、直ぐに動物病院で診てもらいましょう。

普段から便を確認する習慣をつけておくことで、いつもとの違いに気付きやすくなります。

④尿の量がとても多い、または、少ないことはありますか?

1日の尿の量が1kgあたり20~45mlが正常です。

それよりも多い日や少ない日が続くようであれば動物病院で診てもらいましょう。

⑤血尿が出ていませんか?

膀胱炎などになっている可能性がありますので、できれば血尿を持参し動物病院で診てもらいましょう。

⑥排尿時に痛がったりしていませんか?

排尿時に「キャン!」と痛がって吠えることなどがあれば尿路結石症が疑われますので、動物病院で診てもらいましょう。

愛犬の健康管理で特に注意したいポイント

一番大切なことは愛犬の「通常時」を知っておくことです。

ここに記載したチェック項目も標準的な犬の場合をベースに記載しています。

例えば、チャウ・チャウなどの犬種では舌が紫色をしています。他の犬種で舌が紫色だと前述のようにチアノーゼと判断しますが、チャウ・チャウは紫色が通常なので健康と判断できます。

犬種に限らず、暑さに弱くていつも口呼吸をしている子、血液の数値が少し高いのが通常の子、鼻がいつも乾燥している子など個体差もあります。

愛犬と毎日ふれあっている飼い主だからこそわかる、いろいろな「通常時」を知っておくことで、「異常」を見つけやすく病気の早期発見に繋がります。

この記事の執筆者・監修者

執筆・監修者の情報

杉山 杏奈

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

執筆者情報

nademo編集部

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