その名前からもわかるように、オーストラリアを原産とするオーストラリアン・テリア。テリア犬種のひとつで、計画的な交配によって1870年代に誕生した犬種です。
とても長い被毛を持ち、テリア種ならではのやんちゃさも持ち合わせている、人気の長い犬種。特徴的な見た目でもあるオーストラリアン・テリアの性格や寿命について、詳しくご紹介します。
この記事の結論
- ヨークシャー・テリアなどの混血により、オーストラリアで誕生した犬種
- 飼い主さんに対して愛情深く従順で、運動量がとても豊富
- 見た目が似ているオーストラリアン・シルキー・テリアは別犬種である
- 毎日の散歩や遊び、定期的なブラッシングは必須
目次
オーストラリアン・テリアの特徴

オーストラリアン・テリアはワーキングテリアとして、計画的な交配によって誕生しました。
地中に潜りながら獲物を捉えることを目的とし、当時では畑荒らしであったウサギやヘビを捕らえる目的としても飼われていました。
日本ではまだまだあまり知られていませんが、原産地であるオーストラリアでは非常に人気の高い犬種です。
外見的な特徴としては、「直立した耳、体高より体長が長い、しっぽは断尾」など。
勇敢で自信家、飼い主に愛情深い
従順であり忠誠心が高く、賢さもある
見知らぬ人には吠えやすい
とても活発で運動能力が高い
その他情報
原産地 | オーストラリア |
犬種グループ | 3G:テリア |
大きさ | 小型 |
平均寿命 | 12歳~15歳 |
なりやすい病気 | レッグ・カルベ・ペルテス病,膝蓋骨脱臼,糖尿病 |
参考価格 | 30万円~50万円 |
被毛
抜け毛 | 多い |
毛質 | ダブルコート |
毛色 | ブルー&タン,サンディー,レッド,ブルー,スチールブルー,ダークグレーブルー |
オーストラリアン・テリアのサイズ(体高・体重)
体高 | 25cm前後 |
体重 | 6.5kg前後 |
オーストラリアン・テリアのサイズ感としては、体高が約25cm前後。体重が6.5kg前後という小型犬です。
これが男の子の標準的なサイズ感で、女の子になるとこれよりもやや小さくなります。
オーストラリアン・テリアの毛色・被毛
毛色は「ブルー&タン、サンディー、レッド」などが多く、もっとも人気なのはブルー&タンです。
首の周りや頭頂部の長い毛はやわらかくなっています。
被毛についてはダブルコートで、かなり硬めのコートになっています。
ダブルコートとは、被毛が下毛(アンダーコート)と上毛(オーバーコート)の二重になっていること。
寒い地域で誕生した犬種に多く見られる被毛タイプで、アンダーコートは寒さから体温を保てるようにするための毛。
換毛期が春と秋にあり、この時期になると抜け毛が多くなります。
オーストラリアン・テリアの性格・習性
とても勇敢で自信家。活発な運動を好み、同時に飼い主に対しても深い愛情を持つことができる性格です。
飼い主さんに対しては従順な面も多く、賢さや忠誠心なども持っているのが特徴的。一方で知らない人や他人に対しては非常に警戒心が強く、簡単には心を開きません。
元々、畑荒らしなどの小動物を駆除するために飼われていたこともあり、生まれながらにして狩猟本能を持っています。
オーストラリアン・テリアの平均寿命
オーストラリアン・テリアの平均寿命は約12歳~15歳です。平均的な犬の寿命が約15歳なので、ほぼ平均的と言って良い寿命です。
運動量がとても豊富で体は丈夫なので、適度に運動できていれば健康的に生きてくれます。
オーストラリアン・テリアの注意したい病気
レッグ・カルベ・ペルテス病 | 大腿骨の骨頭が壊死する |
膝蓋骨脱臼 | ジャンプの着地などで膝関節のお皿が外れる |
糖尿病 | 多飲多尿、多食や短時間での白内障など |
被毛が非常に長いオーストラリアン・テリアは、定期的なブラッシングが必要になります。被毛が不衛生になってしまえば、皮膚炎などの原因にもなるため注意が必要。
ほかにも関節や骨に注意が必要で、レッグ・カルベ・ペルテス病や膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)にも気をつけましょう。
オーストラリアン・テリアの登録頭数
ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数によると、オーストラリアン・テリアの登録は直近において1匹もありません。
それだけ日本で出会える機会の少ない犬種と言えますし、新しくお迎えできる機会も少ないでしょう。
オーストラリアン・テリアの歴史

オーストラリアン・テリアは1870年~1880年頃に、オーストラリアのタスマニア島で誕生した犬種です。「ヨークシャー・テリア、スコティッシュ・テリア、アイリッシュ・テリア」などの混血によって誕生。
見た目はオーストラリアン・シルキー・テリアと似ていたこともあり、作業犬としての被毛が硬くされました。
1899年には国際畜犬連盟(FCI)に申請するため、犬種基準の制定を実施。しかしこのときには、交配によって誕生した経緯もあり、純血犬種だと認められませんでした。
ですが実際には作業犬として非常に人気も高かったため、絶滅を免れ、20世紀頃にかけて純血犬種として認められるようになっています。
元々は”オーストラリア”の名を冠することに批判もありましたが、こうした人気から国際畜犬連盟(FCI)にも認められるようになった、という歴史的背景があります。
オーストラリアン・テリアと繋がりのある犬種
ヨークシャー・テリア(ヨーキー)

ヨークシャー・テリアは19世紀中ごろ、イギリスのヨークシャー地方で家庭のねずみ取りとして使役されていた犬種です。
1962年に「ブロークン・ヘアード・スコッチ・オア・ヨークシャ・テリア」と名付けられました。
しかし名前が長すぎて定着せず、1870年頃に改名され、現在のヨークシャー・テリアと呼ばれるようになりました。
用心深さと勇敢さを持つ
少しずつ懐いていくタイプ
警戒心から吠えやすい
活発だが運動量は多くない
その他情報
原産地 | イギリス,イングランド |
犬種グループ | 3G:テリア |
大きさ | 超小型 |
平均寿命 | 13歳~16歳 |
なりやすい病気 | 門脈体循環シャント,膝蓋骨脱臼,レッグ・カルベ・ペルテス病,気管虚脱,尿路結石症 |
参考価格 | 30万円~40万円 |
被毛
抜け毛 | 少ない |
毛質 | シングルコート |
毛色 | ブラック&タン,スチールブルー,ゴールド,シルバー,ブラック&ゴールド,ブルー&タン,ブルー&ゴールド,ダークスチールブルー&タン |
オーストラリアン・シルキー・テリア

オーストラリアン・シルキー・テリアは、オーストラリアン・テリアを元にして誕生した犬種です。
誕生したのは19世紀頃で、愛玩用として作出されていたものの、ネズミ狩りでも活躍していました。
1950年代に入るとアメリカに輸入されていき、1959年にアメリカンケネルクラブ公認となりました。
好奇心旺盛でとても活発
簡単には懐いてくれない
吠えやすい
運動能力は高く運動量も多い
その他情報
原産地 | オーストラリア |
犬種グループ | 3G:テリア |
大きさ | 小型 |
平均寿命 | 12歳~15歳 |
なりやすい病気 | 気管虚脱,外耳炎,水頭症,糖尿病 |
参考価格 | 30万円~50万円 |
被毛
抜け毛 | 少ない |
毛質 | ロングコート |
毛色 | ブルー&タン,グレーブルー&タン |
オーストラリアン・テリアの価格相場

オーストラリアン・テリアはペットショップなどでのお迎えが難しく、一般的にはブリーダーを通してお迎えすることになります。
その他にも里親制度や海外からの輸入も可能ですが、数としては非常に少ないです。
また、価格相場としては大体30万円~50万円ほどを見ておきましょう。血筋によってはより高くなることもありますが、遺伝疾患などにも注意して探すことをおすすめします。
「テリア気質」を理解したオーストラリアン・テリアのしつけ

オーストラリアン・テリアは、その可愛らしい見た目とは裏腹に、勇敢で頑固、そして活発な「テリア気質」を持っています。
この気質を理解し、適切な方法でしつけと飼育を行うことが、愛犬との良好な関係を築く鍵となります。
「テリア気質」の理解と接し方
テリア気質とは、もともと狩猟犬として活躍していた犬種に見られる、独立心が強く、勇敢で、好奇心旺盛、そして頑固な性格を指します。オーストラリアン・テリアは、この気質を強く持っているため、以下のポイントを意識して接することが重要です。
- リーダーシップを示す: 飼い主がリーダーシップをしっかりと示し、「この人についていけば安心」と思わせることが大切です。曖昧な態度をとると、自分がリーダーだと勘違いし、指示に従わなくなることがあります。
- 一貫した態度: しつけの方針は家族全員で統一し、一貫した態度で接しましょう。「ダメ」なことは誰に対しても「ダメ」であることを徹底します。
- 褒めて伸ばす: 頑固な一面もありますが、褒められることやご褒美が大好きです。成功したときに大いに褒めてご褒美を与えることで、学習効果が高まります。
具体的なしつけ方法
無駄吠え対策
オーストラリアン・テリアは、警戒心が強く、吠えやすい傾向があります。
- 吠える原因を取り除く: チャイムの音、外を歩く人、他の犬など、何に反応して吠えているのかを観察し、その原因を特定します。
- 「待て」や「静かに」を教える: 興奮して吠え始めたら、一度「待て」や「静かに」といったコマンドで落ち着かせ、吠え止んだ瞬間に褒めてご褒美を与えます。
- 「吠える前」に対応する: チャイムが鳴るたびに吠える場合は、チャイムの音を聞かせた後、吠える前に「待て」と指示を出して、落ち着いていられたら褒める、という練習を繰り返します。
- 物理的な対策: 窓の外が見えないようにカーテンを閉める、インターホンの音量を下げるなど、物理的に刺激を減らす工夫も有効です。
噛み癖防止
子犬の甘噛みから始まり、放置すると本気噛みにつながることがあります。
- 噛むと遊びは終わりと教える: 甘噛みしてきたら、「痛い!」と少し大げさに声を出し、すぐに遊びを中断してその場を離れます。犬は「噛むと楽しいことが終わる」と学習します。
- 噛んでも良いおもちゃを与える: 噛みつきたい欲求を満たすために、丈夫な噛むおもちゃ(コングなど)をたくさん与えましょう。
- 興奮させすぎない: 遊びの途中で犬が興奮しすぎないように、適度な休憩を挟んだり、知育玩具に切り替えたりしてクールダウンさせます。
日々の運動量と遊び方
オーストラリアン・テリアは、小型犬ながら非常に活発で、十分な運動量を必要とします。単なる散歩だけでなく、遊びを通して運動欲求を満たしてあげることが大切です。
- 散歩の目安: 1日2回、1回あたり30分~1時間程度の散歩が目安です。ただ歩くだけでなく、ニオイを嗅がせる、軽いジョギングを取り入れるなど、変化をつけてあげると喜びます。
- ドッグランでの遊び: 自由に走り回れるドッグランは、運動欲求を満たすのに最適です。他の犬との社会化の機会にもなりますが、テリア気質から他の犬に挑発的な態度をとることがあるため、飼い主さんがしっかりと見守り、トラブルを避けるよう配慮しましょう。
- ノーズワーク: 獲物を探すことが得意なテリア種の本能を満たすために、おやつを隠して探させる「ノーズワーク」はおすすめです。家の中や庭で簡単にでき、頭を使いながら楽しく遊べます。
- 引っ張りっこ遊び: 頑固で力強い一面があるため、引っ張りっこは適度な力加減で行い、最後に必ず飼い主が勝って終えることが大切です。これにより、飼い主がリーダーであることを再認識させることができます。
オーストラリアン・テリアとの生活は、その活発な性格を理解し、適切な運動と一貫したしつけを行うことで、より楽しく豊かなものになります。
オーストラリアン・テリアの飼い方

オーストラリアン・テリアを飼うとなったら、次のポイントには注意しておきましょう。テリア種の特徴をしっかりと理解してから、迎え入れるということも非常に大切です。
毎日1時間程度の十分な運動

活発で冒険家のような一面を見せるオーストラリアン・テリアは、運動が好きな犬種です。
毎日の散歩はもちろんのこと、適度に遊んであげることも大事です。小型犬ですが体力はたっぷりあるので、ボール遊びやドッグランはとても喜んでくれます。
運動不足になってしまうと攻撃的な性格にもなりやすいので、定期的にしっかり遊ばせてあげましょう。
また、元々地面を掘ることも得意な犬種なので、自宅の庭などで遊ばせるときには注意してみておいてあげることが大事です。
被毛は週に一度のブラッシング

被毛は頻繁に抜けることがないものの、長毛であることから毛玉になりやすい脇や内股をしっかりブラッシングしてあげましょう。
毛玉になってからではケアが大変なので、毛玉になる前にほぐしておく、というのが大事。
ダブルコートでもあることから換毛期には抜け毛が多くなります。この時期は特にしっかりとブラッシングしてあげてください。
犬独特のニオイは少ない犬種ですが、定期的なブラッシングを怠ると臭うようになることもあります。
シャンプーは定期的に行う

オーストラリアン・テリアは毛玉ができやすいため、ブラッシングだけでなくシャンプーも定期的に行いましょう。
お散歩などで体が汚れることがあれば、濡れたタオルでその都度、汚れを拭き取ってあげるとよいです。
頻繁にシャンプーをすると、本来必要な皮脂まで洗い流してしまい皮膚トラブルにつながるので、洗いすぎないことも大切です。
シャンプーの回数は多くても2週間に1回程度、少なくても1か月に1回程度はシャンプーするようにしましょう。
関節に負担のかからない環境を用意する

オーストラリアン・テリアは膝蓋骨脱臼など関節の病気を発症しやすい犬種です。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、関節に負担がかからない環境を用意してあげることが一番。
犬にとってフローリングの床は足腰に負担がかかってしまうため、カーペットなどを敷いてあげてください。
高い場所や段差がある場所は飛び降り防止のために、ドッグステップ等を設置してあげましょう。
フードはライフステージと目的に応じたものを選ぶ

愛犬の健康維持のためにはドッグフード選びがとても大切で、ライフステージだけでなく目的も重視してください。
主食として与える場合は、そのフードと水のみで十分な栄養がとれる総合栄養食や総合栄養食基準のフードを選びましょう。
犬は「子犬期・成犬期・シニア期」などライフステージによって必要なカロリーが異なります。そのため愛犬の年齢にも合わせて、フードを切り替えていく必要があるのです。
他の動物との共生は難しい
オーストラリアン・テリアは非常に警戒心が強い犬種であるため、他の動物と一緒に暮らしていくことは難易度がやや高め。
子犬の頃から一緒に生活して慣れさせていけば可能ですが、突然の共生は難易度が高いものだと覚えておきましょう。
少しずつ慣れてもらうことが重要で、警戒心から襲ってしまわないように注意しておくことが大事です。
可能であれば子犬期から他の動物との触れ合いに慣れてもらい、早い段階から社会化トレーニングを積んでおくとよいです。
床を掘る習性がある
元々、地中に潜っていた獲物を捕らえるために活躍していたという経歴を持ち、その本能は今も健在です。
室内飼いをしていても、ふとした瞬間に床を掘ってしまっていたり、クッションを傷つけるといったことが見られるケースもあります。
本能的なものなので仕方ありませんが、掘ってしまっても大丈夫なように環境を整えてあげましょう。
穴掘りをしてもよい場所を決めておき、そうした行動が見られるときには誘導してあげることで徐々に場所を覚えてくれます。
また、一緒におもちゃなどで遊んであげれば、他のことに興味が出てくることで穴掘りをやめてくれるケースもありますよ。
オーストラリアン・テリアのおすすめドッグフード3選
オーストラリアン・テリアの理解度チェック
この記事の執筆者
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