愛犬にはいつまでも元気に過ごしてもらいたいものですが、そのためには病気の早期発見が重要になってきます。
ただ、人間の言葉が話せない犬は、自分の不調を飼い主さんに伝えることができず、発見が遅れることもあります。
日ごろのケアやスキンシップの際に、少しだけ気を付けてあげるだけでも病気の早期発見に繋がります。
そこで今回は、日頃からできる健康管理について解説していきます。
この記事の結論
- 日常的に愛犬の変化がないか確認することが、病気や怪我の早期発見に繋がる
- 怪我をしているところは痛がるため、体を優しく触れてみて反応を確認する
- 肥満は病気や怪我に繋がりやすいため、常日頃から体型チェックが重要
- 目や耳、鼻や口など、ポイントごとに変化がないか確認してみる
獣医師
その後、ペット保険会社、動物病院向けの専門商社に勤務。現在は2児の母で子育て奮闘中です。
目次
日常的な愛犬の健康管理

愛犬の健康管理のためには、毎日愛犬のことを観察・確認しておくことがもっとも重要。
ちょっとした変化に気づくためには、愛犬のことを知らなければできません。たまにチェックするだけでは、病気やケガの初期症状に気付けないこともあるでしょう。
健康管理とは言っても、専門的な知識を持たない人だと難しい…ということもありません。自宅で日常的にチェックすることができる方法もあるため、この機会にぜひおさえておきましょう。
日ごろのケアやスキンシップ・お散歩など、ちょっとした時に気が付く健康管理をご紹介いたします。どのような症状であれば動物病院へ行く必要があるのか、参考にしていただければと思います。
自宅でできる愛犬の体・皮膚・被毛・呼吸の健康管理

顔を自分の正面に向けて愛犬を立たせ、顔を観察します。その後、頭の先から尻尾、足の付け根まで撫でながら触ります。
この触り方や観察方法で、後述の被毛・皮膚・目・耳・鼻・口腔内などのチェックも行いましょう。
自宅でできる愛犬の体全体の健康管理
痛がるとこがないか
急所を触れられると嫌がることはありますが、嫌がるというよりも痛がるようであれば、怪我をしている可能性があります。
特に犬の場合、人間と違って被毛で覆われているものなので、皮膚の怪我には気付きづらいもの。
発見のためには、愛犬の体に触れて痛がるところがないか、チェックする必要があります。
特に骨折をしていたり脱臼をしているなどのケースでは外から見てもわからないので、優しく触れてみて反応を確認する必要があるでしょう。
肋骨に触れられるか

環境省が発表している指標になるものが、上記のボディコンディションスコア(BCS)と呼ばれるものです。
これは愛犬の体型チェックを行う際の指標となるため、どの程度の体型であるかを確認してあげましょう。
理想的とされているのはBCS3。上から見たとき、腰のくびれが見られ、肋骨に多少触れることができる程度です。
被毛があるので見ただけではわからないと思いますが、実際に触れてみればその違いに気づけるでしょう。
自宅でできる愛犬の被毛・皮膚の健康管理
被毛は毎日のようにケアすべき犬種もいますが、毎日のケアが必要ない犬種でも確認だけは行っておくと良いです。
毛の流れに沿ってブラッシングしていると気付きづらいかもしれませんが、逆なですると被毛に覆われた皮膚が見やすくなります。
被毛にツヤやハリがあり、フケや毛玉などがないか
被毛にツヤやハリがない場合は栄養が足りていないなど、全身的な問題がある可能性があります。
特に肥満気味の子には肥満の原因にもなる脂質を抑えようとしますが、脂質は被毛のツヤやハリを維持するうえで必要になる栄養素です。
さらに、フケや毛玉は皮膚の病気に繋がる可能性がありますので、少しでも出ているようなら注意が必要。シャンプーや毛玉取り器などで適切に除去してあげましょう。
ノミやダニなどの寄生虫がいないか
ノミやダニ、寄生虫などは目で見てすぐに分かるような大きさではありません。
ブラッシング時に確認できることもありますが、ノミの成虫は1.5mm~2mm程度なので、よく目をこらしてみないと確認できません。
簡単にきづけないのであれば、定期的な予防で寄生虫を寄生させないことが大切です。
ただ、よく目をこらして見れば肉眼でも確認できるものなので、予防と合わせて目視でも定期的にチェックしてあげましょう。
皮膚が赤くただれていたり、乾燥していないか
アトピー性皮膚炎なども疑われるため、広範囲や発赤や目・口・耳・尾の周りの発赤の場合は、動物病院で診てもらいましょう。
被毛によって気付きづらいポイントもありますが、ブラッシング時にでも一緒に確認してみてください。
特に乾燥しているようであれば同時にフケが出ているなどの症状が見られることもあるため、併発している症状とあわせて確認すると良いでしょう。
いぼやホクロ、しこりなどがないか
悪性腫瘍(ガン)の可能性も否定できませんので、動物病院で診てもらいましょう。
普段からチェックしていないと、元々あったものなのか、それともある日突然できてしまったものなのか、把握しづらいです。
動物病院を受診するときにはいつ頃からできているのかを報告できたほうが良いので、日々の確認項目にしておくと良いです。
自宅でできる愛犬の呼吸の健康管理
運動をした時や熱い場所にいたときなどは息が上がるのが普通ですが、それ以外のときにいつもと様子が違う場合には注意が必要です。
暑い所から涼しいところに移動後、ずっと苦しそうに息をしてぐったりとしていないか
熱中症が疑われますので、足の付け根や首などを冷やしながら直ぐに動物病院へ向かいましょう。
暑い季節に外で運動していたり、散歩だけであっても、熱中症になる可能性は十分にあります。
真夏日には特に日中の出歩きが危険であるため、熱中症になる前に避けておくことをおすすめします。
息が「ゼーゼー」「ガーガー」とガチョウのような呼吸音になっていないか
小型犬に多い気管虚脱という病気の可能性がありますので、動物病院で診てもらいましょう。
呼吸音を気にしながら生活することはあまり多くありませんが、散歩後などの多少息が切れているタイミングなら気付きやすいです。
散歩を嫌がるようになったり、場合によっては呼吸困難に陥ることもありますので注意が必要です。
寝ているときなどのイビキがひどかったり、無呼吸症候群になっていないか
特に短頭種では注意が必要です。酷い場合は動物病院で診てもらいましょう。
パグやブルドッグなどの短頭種にはよく見られますので、イビキの音が特に酷いようなら早めに受診しましょう。
無呼吸症候群はイビキと共に見られることが多く、イビキが突然止まるようなら無呼吸症候群の可能性があります。
自宅でできる愛犬の顔周りの健康管理

左右対称で瞳がうるんで輝きがあり、大きくぱっちり開いているのが健康な目です。
コマンドによってアイコンタクトをすることもあると思いますので、健康チェックの中では気づきやすいポイントでしょう。
自宅でできる愛犬の目の健康管理
目やにや充血、涙が出ていないか
多少の目やには問題ありませんが、大量の目やにや充血、涙が止まらないなどの症状がある場合は注意が必要です。
目やには生理現象のひとつで出ることもありますが、黄緑色をしていたり粘っこい場合には病気の可能性もあります。
結膜炎や角膜の損傷、逆さまつ毛などが疑われるため、動物病院で診てもらいましょう。
目が左右対称か
左右対称でない場合は、目の周りが腫れている可能性や、神経の異常が考えられます。
目の開き具合が左右で違ったり、片目だけ閉じることが多い、といった様子が見られるようなら、動物病院で診てもらいましょう。
真正面からよく観察し、アイコンタクト時にでも確認してみると気づきやすいです。
目が濁っていないか
もし目が濁っているように感じる場合は、白内障などが疑われますので動物病院で検査をしましょう。
白内障は視力低下だけではなく、最悪の場合には失明の危険性もある病気です。
加齢によって白内障になることもありますが、若いうちから白内障になることもあるため年齢にかかわらず注意が必要です。
眩しそうに目をショボショボしていないか
一時的なものであれば様子をみても大丈夫ですが、頻回におこなうのであればどのタイミングでおこなうのかを観察し、動物病院でみてもらいましょう。
両目だけでなく、片目だけをショボショボしていることもあります。
目をショボショボさせることは犬によく見られるものの、異物が入っている可能性もあるため楽観視はできません。
自宅でできる愛犬の耳の健康管理
左右対称で悪臭がしないことが健康な耳です。立ち耳の場合には汚れが溜まりづらいものの、特に垂れ耳の子に関してはしっかりとケアしてあげる必要も出てきます。
耳が左右対称で腫れたりしていないか
外傷があったり、外耳炎がひどくなったり、耳ダニの寄生などで耳が腫れることがあります。
ひどい腫れの場合は動物病院での治療が必要になります。左右で見比べてみて腫れていないか、確認してあげてください。
耳から悪臭がしていないか
外耳炎になっている可能性がありますので、動物病院で診てもらいましょう。
ニオイだけではなく、黄色・茶色といった色の付いた耳垢や、粘り気のある耳垢などは注意が必要です。
体のどの部位であっても、悪臭がするということは何かしらのトラブルを抱えているというサインです。
自宅でできる愛犬の鼻の健康管理
犬の鼻は通常、湿っており、鼻水や出血などがないことが健康な鼻です。よく目に入る部分なので気付きづらいことはないと思いますが、定期的にチェックしてあげてください。
鼻水やくしゃみ、咳をしていないか
頻回であれば風邪を引いている可能性がありますので、動物病院で診てもらいましょう。
一時的なものであれば生理現象であることも多いので、短時間で止まるかどうかを判断しましょう。
鼻水は色によっても症状の重さを判断することができるため、色がついた鼻水であるかどうか、確認してみてください。
出血をしていないか
外傷での出血であり、血がすぐに止まっているようなら様子をみましょう。頻回の外傷ではない鼻血の場合は、動物病院で診てもらいましょう。
鼻血をティッシュなどで止めることは絶対NGで、呼吸困難に陥り命に関わるため注意が必要です。
自宅でできる愛犬の口・歯の健康管理
口臭が少なく、歯が白く、歯茎や舌がピンクで潤っている状態が健康な口腔内です。歯磨きを嫌がる子は多いですが、子犬期からしっかりとしたデンタルケアが重要です。
歯石が付いていて不快なニオイがしないか
多少の歯石や口臭であれば自宅の歯磨きケアで十分ですが、ひどい場合には歯肉炎などになっている可能性があります。
犬にも人間同様、日常的な歯磨きが必要不可欠です。毎日の歯磨きがきちんとできていれば予防が可能。
とはいえ大人しくできるものでもありませんので、できる限りの歯磨きを日常的に行うようにする必要があるのです。
口臭が確認できた場合には治療が必要なケースも多いため、ぜひ一度、動物病院で診てもらいましょう。
歯茎が赤く腫れていないか
歯肉炎になっている可能性がありますので、動物病院でみてもらいましょう。
歯肉炎は歯周病のひとつで、デンタルケアが適切に行われていないと歯周病になりやすくなります。
歯周炎とは違い、歯肉炎ならば治療次第で治ると言われているため、早めに治療することをおすすめします。
食事ではないときに大量のよだれを垂らしていないか
口腔の病気や感染症の可能性もありますので、動物病院に相談してみましょう。
食事前のよだれは口内で食事の準備をしているだけなので、気にする必要はありません。
食事以外でのよだれは、歯周病や口腔内腫瘍、火傷やてんかんなどの可能性もあるため、注意が必要です。
舌や歯茎の色はピンク色をしているか
青白くなっており、元気や意識がない場合はチアノーゼ(血液中の酸素不足)の可能性があります。
呼吸障害や心臓疾患の可能性もありますので、急いで病院に行きましょう。
チアノーゼになっている場合は病気が少なからず進行している状態でもあるため、早期治療が重要です。
自宅でできる愛犬の飲食時・排便・排尿の健康管理

食事は決められた量を決められた時間にあげましょう。
また、水は常に飲めるようにし、水分を1日にどれくらいとっているかをチェックしておきましょう。
食事は健康のバロメーターなので、食欲の有無だけでも不調を検知することができます。
自宅でできる愛犬の飲食時の健康管理
食欲がなく、全く食べない日が続いていないか
1日だけであれば他に異常がないか観察しながら様子を見ましょう。半分以上残してしまう日が数日続いている場合は、動物病院で診てもらいましょう。
少量でも食べているからといって安易に考えず、必要量を残しているという認識でいる必要があります。
食べたそうにしているのに食べない日が続いていないか
食道などの病気で食べられない可能性もありますので、動物病院で診てもらいましょう。
食事は体の資本です。満足に食事できていないのであれば、何かしらの問題があります。
体に問題があるだけではなく、ドッグフードの賞味期限が切れていたり、食べづらいサイズ感になっているということもあります。
いつもよりたくさん水を飲み、尿の量も多いことはないか
体重1kgあたり100mlを毎日飲んでいる場合は多飲です。体重5kgの子ならば500ml、体重10kgの子ならば1,000mlを飲んでいる状況です。
一般的には1kgあたり50ml前後が平均的で適切なので、目盛り付きの給水器などを使うのがおすすめ。糖尿病や腎臓疾患などの可能性もありますので、動物病院で診てもらいましょう。
自宅でできる愛犬の排便・排尿の健康管理
排泄物は体の健康状態を知るために重要なポイントで、排泄物から得られる情報はたくさんあります。
尿や便は体調の変化をあらわすため、毎回必ず観察してから捨てるようにしましょう。
嘔吐や下痢、便秘などはないか
ちょっとしたストレスでも嘔吐や下痢、便秘などはあり得ますので元気で一過性のものであれば様子を見ましょう。
頻回な嘔吐や下痢、数日間の便秘などは脱水状態に陥る可能性もあるため、早めに動物病院で診てもらいましょう。
嘔吐や下痢をした後、明らかに元気がない場合は、すぐに診てもらうのがおすすめです。
血便がでていないか
血の色が綺麗な赤かどす黒い赤か、量はどれくらいかによって病気の種類が異なります。
ただ、いずれにしても出血しているようであれば緊急性が高くなるため、すぐに動物病院へ行かなければいけません。
便(難しければ便の写真)を持参して、動物病院で診てもらいましょう。
便の中に虫はいないか
便の中に白い線のような虫などがみられた際は、直ぐに動物病院で診てもらいましょう。
これは寄生虫である可能性が高いため、排便すれば終わりというものではありません。
普段から便を確認する習慣をつけておくことで、いつもとの違いに気付きやすくなります。
尿の量がとても多い、または少ないことはあるか
1日の尿の量が1kgあたり20~45mlが正常です。多くても体重1kgあたり50ml程度までです。
それよりも多い日や少ない日が続くようであれば、脱水状態に陥っていたり何かしらの病気である可能性も考えられます。
特に多飲であるかどうかは判断がしやすいと思いますので、早めに動物病院で診てもらいましょう。
血尿が出ていないか
膀胱炎などになっている可能性がありますので、できれば血尿を持参し動物病院で診てもらいましょう。
排尿時には明らかに痛がっていたり、渋い顔をしている様子が見られるはずです。
排尿の頻度や量などもあわせてチェックしておくと、より正確な情報を獣医師に伝えることができます。
排尿時に痛がったりしていないか
排尿時に「キャン!」と痛がって吠えることなどがあれば尿路結石症が疑われますので、動物病院で診てもらいましょう。
痛がっているかどうかを簡単に判断するのは難しいものの、排尿時の様子を普段からチェックしておくと良いでしょう。
犬の具体的な症状別の健康管理

愛犬の体調不良は、飼い主さんにとって心配の種ですよね。特に、下痢や嘔吐、咳などはよく見られる症状ですが、その裏には緊急性の高い病気が隠れていることもあります。
ここでは、犬の代表的な体調不良のサインと、それぞれの緊急度レベルに応じた飼い主さんの対応をチェックリスト形式でご紹介します。
犬の体調不良:緊急度別チェックリスト
このチェックリストはあくまで目安です。少しでも不安を感じる場合や、複数の症状が同時に見られる場合は、迷わず動物病院を受診してください。
消化器系の症状(下痢・嘔吐)
症状 | 緊急度レベル | 主な状況と対処法 |
---|---|---|
【下痢】 | ||
水様便が続く(水のような便、勢いよく出る) | 高(即病院へ) | 短時間で脱水症状に陥る危険があります。 特に子犬や老犬は危険度が高いです。 |
血便(鮮血やタール状の黒い便) | 高(即病院へ) | 腸管からの出血が疑われます。 消化器系の重篤な病気の可能性があります。 |
激しい下痢(数時間おきに大量に出る) | 高(即病院へ) | 脱水や体力の消耗が急速に進みます。 |
元気・食欲がない下痢 | 高(即病院へ) | 下痢以外の症状を伴う場合、重い病気のサインの可能性があります。 |
軽度の軟便(形はあるが柔らかい、1~2回程度) | 中(数時間~半日様子見) | 食事内容やストレスが原因の可能性。 一時的に食事を控え、消化の良いもの(少量)に切り替えて様子を見ます。 改善しない場合は病院へ。 |
【嘔吐】 | ||
頻繁な嘔吐(短時間に何度も繰り返す) | 高(即病院へ) | 脱水や体力消耗が著しいです。 異物の誤飲、腸閉塞、中毒、重い内臓疾患の可能性も。 |
吐血(鮮血やコーヒーカスのような嘔吐物) | 高(即病院へ) | 消化管からの出血が疑われます。 緊急性が高いです。 |
異物混入の可能性(おもちゃの破片など) | 高(即病院へ) | 腸閉塞や消化器の損傷に繋がる可能性があります。 |
ぐったりしている・元気がない嘔吐 | 高(即病院へ) | 嘔吐以外の症状を伴う場合、重篤な病気のサインの可能性があります。 |
少量の一時的な嘔吐(1~2回、食後すぐの吐き戻しなど) | 低(自宅ケアで様子見) | 食べすぎ、早食い、胃の不調などの可能性。 その後元気で食欲があれば、少量ずつ与えて様子を見ます。 |
呼吸器系の症状(咳・鼻水)
症状 | 緊急度レベル | 主な状況と対処法 |
---|---|---|
【咳】 | ||
呼吸困難(呼吸が荒い、舌が紫色、パンティングが止まらない) | 高(即病院へ) | 酸欠の危険性があります。 心臓病、肺水腫、重度の肺炎などの可能性があります。 |
激しい咳が続く(ゼーゼー、ヒューヒューと音がする) | 高(即病院へ) | 気管虚脱、肺炎、心臓病などの可能性があります。 |
乾いた咳が頻繁に出る(ケンケン、ガーガーという音) | 中(数時間~半日様子見) | ケンネルコフ(犬の風邪)や気管支炎の可能性。 他の症状がなければ様子見も可能ですが、改善しない場合は病院へ。 |
運動時や興奮時の一時的な咳 | 低(自宅ケアで様子見) | 気管虚脱の軽度な症状の場合があります。 過度な運動は控え、様子を見ます。 |
【鼻水】 | ||
黄緑色や血が混じった鼻水 | 高(即病院へ) | 細菌感染や重度の炎症、鼻腔内腫瘍などの可能性があります。 |
多量の鼻水が止まらない | 中(数時間~半日様子見) | アレルギーや感染症の可能性。 他の症状がなければ様子見も可能ですが、改善しない場合は病院へ。 |
透明で少量の一時的な鼻水 | 低(自宅ケアで様子見) | 温度変化や一時的な刺激によるもの。元気であれば様子を見ます。 |
全身の症状(元気がない・食欲不振など)
症状 | 緊急度レベル | 主な状況と対処法 |
---|---|---|
ぐったりしている(呼びかけに反応しない、立てない) | 高(即病院へ) | 意識障害や重篤な病気、脱水、ショック状態の可能性があります。 |
全く食欲がない(24時間以上何も食べない) | 高(即病院へ) | 特に子犬や老犬、持病がある場合は危険です。 低血糖や重い病気の可能性があります。 |
水を飲まない・尿が出ない | 高(即病院へ) | 脱水、腎不全、尿路閉塞などの可能性があります。 緊急性が高いです。 |
けいれん、ひきつけ | 高(即病院へ) | てんかん、中毒、脳疾患などの可能性があります。 |
体の震えが止まらない | 高(即病院へ) | 低血糖、痛み、中毒、神経系の異常など。 |
発熱(体が熱い、呼吸が速いなど) | 高(即病院へ) | 感染症や炎症の可能性があります。 具体的な体温は動物病院で確認しましょう。 |
少し元気がないが、食事は少量とる | 中(数時間~半日様子見) | 一時的なストレスや疲れの可能性。 静かに休ませ、水は十分に与え様子を見ます。 改善しない場合は病院へ。 |
食べムラがあるが、元気はある | 低(自宅ケアで様子見) | フードの好みの変化、ストレス、一時的な胃腸の不調など。 食事の工夫をしながら様子を見ます。 |
睡眠時間が増えた(老犬に多い) | 低(自宅ケアで様子見) | 加齢によるものや、季節の変わり目など。 ただし、急激な変化や元気がない場合は獣医師に相談を。 |
愛犬の異変に気づくための日頃の観察ポイント
病気の早期発見には、日頃からの観察が欠かせません。以下のポイントを毎日チェックする習慣をつけましょう。
- 食欲・飲水量: 普段と同じ量を食べているか、水を飲む量に変化はないか。
- 便と尿の状態: 色、形、硬さ、量、排泄の回数に変化はないか。
- 元気・活動量: 散歩や遊びに普段通り興味を示すか、寝ている時間が極端に長くなっていないか。
- 目の輝き: 目ヤニや充血はないか、輝きが失われていないか。
- 鼻の状態: 湿り気があるか、乾いていないか(睡眠時は乾いていることもあります)。
- 口の中: 歯茎の色(ピンク色か)、口臭、歯石の有無。
- 被毛・皮膚: 脱毛、フケ、赤み、かゆみ、しこりはないか。
- 体重: 極端な増減はないか。
- 体温・呼吸: 異常に熱い、冷たい、呼吸が速い、荒いなどの変化はないか。
愛犬の命を守るためにも、少しでも気になる症状があれば、ためらわずに獣医師に相談することが大切です。スマートフォンで症状を撮影しておくと、診察時に獣医師が状況を把握しやすくなります。
犬の健康診断・予防接種の年間スケジュール例

愛犬が健やかに毎日を過ごすためには、ライフステージに合わせた適切な健康診断と予防接種が欠かせません。
病気の早期発見・早期治療、そして感染症からの予防は、愛犬の健康寿命を延ばすために非常に重要です。
ここでは、子犬期から老犬期までの犬のライフステージに応じた、健康診断と予防接種の年間スケジュール例を解説します。
犬の健康管理:年間スケジュール例
子犬期(生後2ヶ月~1歳未満)
この時期は免疫力が低く、さまざまな感染症にかかりやすいです。社会化も兼ねて、動物病院に慣れる期間でもあります。
項目 | 推奨スケジュール | 内容と目的 |
---|---|---|
混合ワクチン | 生後2~3ヶ月で1回目、その後3~4週間おきに2~3回接種。 年1回の追加接種は、獣医師の判断による。 | ジステンパー、パルボウイルス感染症など、複数の感染症から身を守るための予防接種。 |
狂犬病ワクチン | 生後91日齢以降に1回接種(法律で義務付け) | 狂犬病の発症を防ぐための予防接種。 |
健康診断 | 混合ワクチン接種時や狂犬病ワクチン接種時、または体調に異変があった場合 | 身体検査で、先天的な異常や寄生虫の有無などを確認。 |
便検査 | ワクチン接種時や、迎え入れ時 | 寄生虫(回虫、鉤虫など)の有無をチェック。 |
フィラリア予防 | 生後2~3ヶ月頃から毎月(蚊の発生期間中) | 蚊が媒介するフィラリア症の予防。 |
ノミ・ダニ予防 | 通年で毎月または3ヶ月に1回など(製品による) | ノミ・ダニが媒介する病気(皮膚炎、バベシア症など)の予防。 |
成犬期(1歳~6歳頃)
体が安定し、最も活動的になる時期です。日頃の健康維持と、病気の早期発見が重要です。
項目 | 推奨スケジュール | 内容と目的 |
---|---|---|
混合ワクチン | 年1回(抗体価検査で判断する場合もあり) | 免疫を維持し、感染症から継続的に身を守るため。 |
狂犬病ワクチン | 年1回(法律で義務付け) | 狂犬病の発症を防ぐための予防接種。 |
健康診断 | 年1回(最低限) | 身体検査に加え、血液、尿、便などで、内臓機能や隠れた病気の早期発見。 |
血液検査 | 年1回(健康診断と併せて) | 貧血、炎症、腎臓病、肝臓病、糖尿病など、病気の早期発見。 |
尿検査 | 年1回(健康診断と併せて) | 尿路結石症、膀胱炎、腎臓病、糖尿病などの早期発見。 |
便検査 | 年1回(健康診断と併せて) | 消化器系の異常や寄生虫の有無をチェック。 |
フィラリア予防 | 毎月(蚊の発生期間中)、予防薬投与前に検査 | フィラリア感染の有無を確認し、予防薬を投与。 |
ノミ・ダニ予防 | 通年で毎月または3ヶ月に1回など | ノミ・ダニが媒介する病気の予防。 |
老犬期(7歳頃~)
加齢に伴い、さまざまな病気のリスクが高まります。早期発見・早期治療が、QOL(生活の質)維持に大きく影響します。
項目 | 推奨スケジュール | 内容と目的 |
---|---|---|
混合ワクチン | 年1回(体調や抗体価検査で判断する場合もあり) | 免疫を維持し、感染症から継続的に身を守るため。 高齢犬の体調を考慮し、獣医師と相談。 |
狂犬病ワクチン | 年1回(法律で義務付け) | 狂犬病の発症を防ぐための予防接種。 |
健康診断 | 年2回(半年に1回)を推奨 | 身体検査に加え、血液検査、尿検査、便検査などをより詳細に実施。 |
血液検査 | 半年に1回(健康診断と併せて) | 内臓機能の詳しいチェック。 |
尿検査 | 半年に1回(健康診断と併せて) | 腎臓病や尿路疾患の早期発見・進行度チェック。 |
便検査 | 半年に1回(健康診断と併せて) | 消化器系のトラブルチェック。 |
レントゲン検査 | 年1回~(獣医師の判断による) | 心臓や肺の状態、関節炎、腫瘍などの確認。 |
超音波検査 | 年1回~(獣医師の判断による) | 腹腔内の臓器や膀胱の詳しい検査。 腫瘍の発見にも有効。 |
フィラリア予防 | 毎月(蚊の発生期間中)、予防薬投与前に検査 | フィラリア感染の有無を確認し、予防薬を投与。 |
ノミ・ダニ予防 | 通年で毎月または3ヶ月に1回など | ノミ・ダニが媒介する病気の予防。 |
各検査の目的とわかること
- 身体検査: 体重、体温、心拍数、呼吸数、眼、耳、鼻、口腔内、リンパ節、皮膚、被毛、四肢、関節、触診など、全身の状態を目で見て触って確認します。病気の兆候や異常な変化の早期発見に繋がります。
- 血液検査: 貧血、炎症、脱水、肝臓や腎臓の機能、血糖値、電解質バランスなどを数値で評価します。見た目ではわからない体の内部の異常を把握できます。
- 尿検査: 尿比重、pH、タンパク、糖、潜血、細菌、結晶などをチェックします。腎臓病、尿路感染症、糖尿病などの診断に役立ちます。
- 便検査: 寄生虫の卵や原虫、血液の有無などを調べます。消化器系の異常や寄生虫感染を特定します。
- レントゲン検査: 骨格、心臓、肺、消化管などの臓器の大きさや形、異常な影(腫瘍、結石など)を確認します。
- 超音波検査: レントゲンでは分かりにくい臓器の内部構造(腫瘍の有無、血流など)や動きをリアルタイムで観察します。
定期的な健康診断と予防接種は、愛犬が長く健康で幸せな生活を送るための大切な投資です。かかりつけの獣医師とよく相談し、愛犬の年齢、犬種、体質、生活環境に合わせた最適な健康管理プランを立てましょう。
愛犬の健康管理で特に注意したいポイント

一番大切なことは愛犬の「通常時」を知っておくことです。ここに記載したチェック項目も標準的な犬の場合をベースに記載しています。
例えば、チャウ・チャウなどの犬種では舌が紫色をしています。他の犬種で舌が紫色だと前述のようにチアノーゼと判断しますが、チャウ・チャウは紫色が通常なので健康と判断できます。
犬種に限らず、暑さに弱くていつも口呼吸をしている子、血液の数値が少し高いのが通常の子、鼻がいつも乾燥している子など個体差もあります。
愛犬と毎日ふれあっている飼い主だからこそわかる、いろいろな「通常時」を知っておくことで、「異常」を見つけやすく病気の早期発見に繋がります。
この記事の執筆者・監修者
nademo編集部
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