猫の病気・健康

【獣医師監修】猫の便秘の原因とは?考えられる病気や予防方法

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猫が便秘になる原因や症状とは?考えられる病気や予防・解消方法を解説!

愛猫の様子がいつもと違うと心配になりますよね。特にトイレの問題は、猫の健康問題をそのまま反映していることが多く、飼い主は注意しなくてはいけません。

今回は猫が便秘になる原因と実際の症状、さらに便秘の原因となる病気について詳しく解説します。

また、便秘を解消する方法、便秘を予防するために日頃から心がける方法についてもまとめました。

この記事を読んで、愛猫の便秘を見逃すことなく、健康で快適な生活を送って長生きしてもらいたいですね。

この記事の結論

  • 猫はあまり水を飲まない動物で、水分不足によって便秘になりやすい
  • 猫が便秘は水分不足以外に、体内に毛玉が詰まる、誤飲誤食など原因はさまざま
  • フードや水分補給の環境調整、ブラッシングなどを行うことで便秘予防につながる
  • 自己判断で人間用の便秘薬や療法食を与えることはせず、必ず獣医さんの指示を仰ぐ

長谷川 諒

監修者

長谷川 諒

獣医師/潜水士/株式会社Ani-vet代表取締役/犬猫生活財団評議員

大学卒業後、動物病院での診療や保護猫活動の支援に携わる傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識啓蒙にも取り組んでいる。

らみえる

執筆・監修

らみえる

ライター/動物取扱責任者/愛玩動物飼養管理士

会員制猫専用ホテル&ペットシッターキャッツカールトン代表。
動物取扱責任者、愛玩動物飼養管理士。猫の保護活動のためにブログ「ねこねこ王国」運営をはじめた知見を活かし、現在は動物ライター&デザイナーとしても活動。

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そもそも猫は便秘になりやすい動物

ウンチをやわらかく、出しやすい状態にするためには水分を多く含む必要があります。

猫の祖先はもともと砂漠で暮らしていたため、水をあまり飲みません。このため猫は水分が不足してウンチが固くなり、便秘になりやすい動物です。

猫はだいたい1日に1~2回ウンチをしますが、猫によって回数や量、排便のタイミングが違います。

普段から愛猫のよく様子を見てトイレの状況を記録しておくといいでしょう。

特に多頭飼育の場合は、どの子がどのようなウンチをしているのかわかりにくいため、猫が便秘になっても見逃しがち。

マメにトイレの様子をチェックして把握しておくことが大切になります。

猫が便秘になる原因

普段からどれくらい水を飲んでいるか、確認できているでしょうか。

前述したように、水分をあまり摂らないのであれば、便秘になりがちな理由もわかります。

しかしそれだけが原因ではありません。その他に、猫が便秘になる原因をいくつか見てみます。

水分不足

前述したように、猫はあまり水を飲まない動物なので下部尿路疾患にかかりやすい動物です。

これは現在のイエネコの祖先であるリビアヤマネコが砂漠で暮らしていたため、あまり水がない環境下でも生きていけるように適応したからと考えられています。

しかし動物の体の多くは水分でできているため、体内の水分が不足するとウンチが固くなって、排泄しにくくなってしまいます。

フードが合っていない

毎日猫が口にするフードは猫の健康状態を大きく左右します。フードのタンパク質や食物繊維の量、種類、質によってウンチの状態は変わります。

食物繊維が少ないフードでは、腸内環境が悪化し便秘を引き起こしやすくなります。

愛猫に合ったフード選びはとても大切です。フードを変えたタイミングでウンチの調子が悪くなった場合などは、フードの影響と考えられます。

毛玉が胃や腸管に詰まる

猫は自分で自分の体毛を舐めるグルーミングで、自分の体をきれいにします。このときにザラザラした舌でなめとった毛を飲み込んでしまうのです。

飲み込んだ毛の量が少なければ、口から吐き出したり、ウンチと一緒になって排出されます。

しかし、大量の毛を飲み込んでしまった場合は胃腸の中で毛玉となります。毛玉は胃腸の活動をスムーズにすることを妨げ、便秘を引き起こすことがあります。

グルーミングが好きな猫や、長毛種の猫の場合は特に気をつけましょう。

異物を誤飲した

猫は好奇心が旺盛で、落ちているものや興味があるものを口に含み、そのまま誤って異物を飲み込むことがあります。

もしこういった異物が胃や腸管といった消化管に詰まると、便秘や腸閉塞の原因になります。

すぐに吐き出してくれると良いのですが、飼い主さんが気付かないうちに飲み込んでしまい気付いた時には腸閉塞といったケースも。

異物は便秘の原因になるだけでなく、場合によっては手術で取り出さないと命に関わることもあるので、誤食してしまった場合はすぐに動物病院に相談しましょう。

運動不足

猫の健康を保つためには、適度な運動が欠かせません。運動は血液の流れを良くして、内臓の動きを活発にする効果があります。

全身運動で筋肉を使うことで便通もスムーズに。室内で飼っている猫は特に運動量が不足しやすいため、ウンチが出にくく便秘になることがあります。

日頃からしっかりと運動できるよう、キャットタワーやキャットウォークの設置も検討したいですね。

老化による筋力の衰え

猫は年齢を重ねるとあまり運動をしなくなり、1日の大半を寝て過ごすことも多いです。

運動量が減ると筋力も弱まり腸の動きが鈍くなるだけでなく、排便をいきむ力も弱くなるので便秘気味に。

加えて食事の量が少なくなると便が固くなりがちなので、量もきちんと食べられるシニア猫用のキャットフードが必要になります。

ストレスを抱えている

猫がストレスを感じていると、その生理反応で便秘が起こることがあります。

  • 引っ越しをした
  • 新しい家族が増えた
  • トイレが汚れている
  • トイレの設置場所が変わっている など

引っ越しによる新しい環境、出産で新しい家族が増える、結婚で大好きな家族がいなくなる、他の猫や動物と対立する、などストレスの原因は多岐にわたります。

キレイ好きな猫は、トイレが汚れているだけでもストレスになり、ウンチを我慢してしまって便秘になることも。

またトイレや家具などの設置場所が変わることも、ストレスの元になったりもします。

薬の副作用

薬によってはその影響で便秘気味になることがあります。

例えば消化管の蠕動運動(ぜんどううんどう)が抑制されたり、体の中の水分が排出されやすくなりウンチが固くなりやすかったりとその原因はさまざまです。

薬を処方される際には、獣医師から事前に説明を受けると思いますので、必ず確認しておきましょう。

病気やケガ

何らかの病気ケガが原因で便秘となることがあります。

ケガの場合は脊椎や骨盤の骨折、消化管の動きを制御している神経の損傷などが原因となり便秘気味になることも。

また、病気によっても便秘が引き起こされます。高齢の猫、外傷を負った猫の場合は注意が必要です。

猫の病気については、詳しくは次に解説します。

猫の便秘から考えられる病気

愛猫が突然、便秘になったり便の形状や色が変わった場合は、何かしらの病気が原因かもしれません。

今回はその中でも特に便秘を引き起こすことが多いと言われる病気を、いくつか取り上げてみます。

腫瘍

猫の消化管に腫瘍(しゅよう)がある場合、うんちの通りを邪魔して便秘になることがあります。

また腫瘍の種類やできる場所によっては便秘だけでなく、下痢や軟便の症状が見られることも多いので高齢の猫では特に注意しましょう。

腫瘍は外から見ただけではわからないものなので、定期的に健康診断を受けることが特に重要です。

会陰ヘルニア

猫の会陰ヘルニア(えいんへるにあ)とは、猫の会陰部(肛門周辺)の奇形や筋肉が弱ることで内臓や脂肪が皮膚の下に飛び出してしまう病気で、会陰部にやわらかなふくらみが見られます。

この飛び出した部分でウンチが詰まってしまうと便秘の原因になるだけでなく、完全に閉塞してしまうと手術が必要なことも多く注意が必要な病気です。

手術は体に負担がかかりやすいので、早期発見ができるように体調管理をしてあげましょう。

巨大結腸症

便秘を放置して慢性化すると、巨大結腸症(きょだいけっちょうしょう)になるリスクがあります。

巨大結腸症では大腸の一部である結腸がのびきったままの状態になり、便を送り出す機能が低下して非常にガンコな便秘となります。

ウンチが長い間大量に結腸にとどまることで、水分が抜けて石のように固くなっていきます。

毛球症

猫の毛球症(もうきゅうしょう)は、猫が自分の毛をなめて毛づくろいするときに飲み込んだ毛が胃や腸にたまり、便秘や嘔吐を引き起こす病気を指します。

猫の舌にはとがった突起があるため、舌についた毛を飲み込んでしまうのです。

通常、飲み込んだ毛は嘔吐やウンチとなって排出されます。

しかし大量の毛を飲み込んだり胃腸の働きが低下している場合には、体外に排出できなくて毛球となり便秘へとつながります。

慢性腎臓病

慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)は猫の腎臓機能が少しずつ低下していく病気で、特に高齢になるほど猫に頻出するようになります。

腎臓の働きが悪くなると体の中の水分調整がうまくいかなくなり、水分が不足して便秘を引き起こすのです。

慢性腎臓病は猫に非常に多い病気で、水を飲む量が増える、オシッコの色が薄くて多くなるなどの症状が見られます。

進行すると食欲不振や体重減少など症状が現れるように。

慢性腎臓病は発見されたときのほとんどは、病気が進んでしまっている状態です。

早期発見のためにも日ごろから水を飲む量、トイレではオシッコの色や量の観察などの尿を定期的にチェックをしてください。

椎間板ヘルニア

猫の椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)は、犬よりは一般的ではありません。

脊椎の間にある椎間板の内容物がはみ出して、脊椎の神経を圧迫する病気。神経が圧迫されると神経伝達がうまくいかなくなり、排便障害となります。

この病気の場合は痛みを伴いますので、猫の行動が急に変化したら要注意です。

以上、猫の便秘を引き起こす病気をご紹介しました。

いずれの場合も、早期発見・早期治療が猫の健康維持に重要です。

愛猫の体調変化には敏感になること。そして日々の食事や運動習慣にも気を配ることが、猫との長い付き合いへとつながるのです。

猫が便秘のときにみられる主な症状

猫の便秘ときいて、一見放っておいてしまうこともありそうな軽い問題に思ってしまいがちですが、中には深刻な健康問題が隠れていることがあります。

猫の便秘では具体的にどのような症状が見られるのか、詳しく順に見ていきましょう。

排便の姿勢をとってもウンチが出ない

トイレに入って排便の姿勢を取るものの、ウンチが出ない状態を何度も見かけた場合は、便秘の可能性があります。

猫のウンチの頻度は個体差があって、一般的には1日1~2回のことが多いようです。

丸2日以上排便がないようなら便秘を疑ってください。普段から猫のウンチの回数や様子を観察しておきましょう。

1日に何度もトイレへ行く

猫がトイレでウンチをするものの、1回に出るウンチが少なくて出し切れていないため、何度もトイレに行こうとします。

これはウンチが腸内にたまることで便意が起こるからです。

しかし便秘になっている場合はウンチが固くなりすぎて、トイレにはいくものの排便が困難になっています。猫がトイレの近くから離れないのも便秘の兆候です。

排便時に痛がったり鳴いたりする

猫が排便をするときに苦しそうな様子を見せたり、声を出したりする場合は便秘の可能性があります。

便秘によってウンチが固くなると、腸をスムーズにウンチが流れていかなくなり、排便時に痛みを引き起こします。

硬く乾燥した便が出てくる

猫が便秘になると、ウンチが硬くて乾燥した状態になります。

健康な猫のウンチは十分に水分を含んでいるため、やわらかさやツヤがありますが、便秘の場合のウンチは水分を失って固くコロコロしており、表面が乾燥しています。

排便してから何日か経っているような乾燥具合になるため、見た目からでもわかりやすいでしょう。

便に血がついている

便秘のとき猫のウンチにはときどき血が混じっていることがあります。

これは、硬いウンチが腸内を通過するときに粘膜を傷つけた結果、出血を起こしている可能性があります。

猫のウンチの様子を定期的にチェックすることで、早期に便秘を発見可能になります。

お腹が張っている、触ると痛がる

猫が便秘になってウンチが溜まってくると、お腹が張って過敏になります。

ウンチが大量に溜まった猫のお腹は硬くなっており、便秘の状態が長時間続くとお腹全体が張って、触られると痛がるようになります。

お腹は急所なので触られることを嫌がるのは一般的ですが、必要以上に痛がる様子があれば注意が必要です。

嘔吐する

猫が嘔吐するのは便秘が原因のときもあります。猫はもともと水分をあまり摂らないために、ウンチが固くなって便秘をしやすい動物です。

便秘が慢性化してウンチが腸に大量に溜まると腸が詰まった状態になり、それが嘔吐を引き起こすことがあります。

ウンチが腸管で完全に詰まると自力での排泄は難しく、動物病院で摘便処置が必要になることも。

また詰まった状態が続くと腸管が壊死したりと危険な状態に陥る可能性もあります。

元気や食欲がない

便秘が続くと猫の全体的な気分や食欲が低下します。これは便秘による腹部の痛みや不快感、体調不良によるものと思われます。

元気がない、食欲がないといった症状が見られた場合、便秘以外の問題の可能性も考慮に入れて、動物病院で早めに診療を受けてください。

以上が、猫が便秘のときに見られる主な症状です。一見すると便秘は小さな問題のように思われがちですが、治療をしないまま放置をしてしまうと、猫の健康に大きな問題が起きてしまう可能性があります。

便秘の症状が見られたら、すぐに動物病院に連絡を取って早期に適切な治療を受けましょう。

猫の便秘の予防・解消法

愛猫の便秘は健康状態にとってパラメーターとなる大事なものです。

この章では便秘の予防と解消法について、具体的にご紹介していきます。

日頃からウンチの状態を確認する

愛猫の健康管理で怠りがちなのは「ウンチの状態を観察すること」です。

特に多頭飼育の場合はどこで誰がウンチをしたのかがわからず、ウンチをしていない子がいても見逃しやすくなります。

色や臭い、形状、ウンチのタイミングなどを日頃から観察しておくと、誰がウンチをしたかがわかりやすくなります。

フードを見直す

愛猫のフードは便秘予防に重要な役割があります。食事内容が便秘の原因となることもありますから、フードを変えて便秘症状が出た場合はフードを見直してみましょう。

食物繊維が豊富なフードは、腸内環境を改善して、ウンチを出やすくしてくれるので、便秘予防に有効です。

食物繊維が大腸の蠕動運動を活発にし、便通を促進する効果があるためです。

ただし、食物繊維を多く含むフードに変えるときは、急に全部変えると猫のストレスになったり、体に負担をかける可能性があります。少しずつ時間をかけて変えていきましょう。

ウェットフードは水分補給にも繋がる

ウェットフードをあげることで、自然に水分を補充できます。あるいはドライフードに鶏の茹で汁(だし汁)をかけてふやかして食べさせるのもいいでしょう。

市販の猫フードには必ず成分表示がありますので、それを参考に適切なフードを選択してください。

また猫草を与えることで毛玉を吐き出しやすくなったり、食物繊維の影響で便通が良くなる効果も期待できます。

ただし、あまりひどい便秘のときに猫草を与えると、猫は猫草を消化できないため、腸に詰まって便秘を悪化させることがあります。

フードの切り替えは7~10日間が目安

猫のフードを切り替えるときは、7~10日間ほどかけて徐々に切り替えていきましょう。

具体的な目安は以下のように、1日ごとにいつものフードを10%ずつ減らし、新しいフードを10%ずつ増やしていきます。

急に新しいものに切り替えると食いつきが悪くなったり、吐き戻し、下痢などの症状が見られる場合があります。

そのため、愛猫のペースに合わせて切り替えることが大切です。

水分補給がしやすい工夫をする

猫の祖先はもともと砂漠で暮らす動物で、足りない水分は主に獲物から摂取してきたため、自発的に水を摂る習慣が少ない生き物です。

しかし、ペットとして飼われる現代の猫たちは、多くの場合にはドライフードなどを主食とします。

そのため十分な水分が摂取できず、その結果として腸内のウンチが硬くなり便秘につながることもあります。

次のように、水分補給がしやすい環境作りをしてみましょう。

  • 水飲み場を増やす
  • 水を入れる器を見直す
  • 水をこまめに取り換える
  • ドライフードにスープやウェットフードを混ぜる など

水飲み場をいくつも設置して飲水量を増やすのも効果的。猫が好む場所や好みの器を見つける手助けとなります。

あまり飲まないなと思ったら、器を置く場所を変えてみるのも有効で、人の出入りが多い場所は避け、行き来が少ない場所にします。

水を入れる器はヒゲがフチにあたらないよう、大きめのものにします。水をこまめにとりかえてきれいな水を常にあげるようにしてください。

愛猫の運動不足を解消する

猫が適度に運動すれば、腸の動きが活発になって排便の助けになります。

以下のような対策を実施してみてください。

  • キャットタワーを設置する
  • ひとり遊びできるおもちゃを用意する
  • 遊ぶ時間や回数を増やす など

特に室内飼いの猫は、限られたスペースの中で活動しなくてはいけないため、意識的に運動をしむけることが必要です。

そのためには、キャットタワーを設置し、ひとり遊びができるおもちゃの導入、人間と一緒に遊ぶ時間を日々確保する等、愛猫が運動をしてくれるように工夫しましょう。

愛猫の体をマッサージする

愛猫にマッサージをしてあげると、体調管理、便秘の解消に役立ちます。

一緒に過ごす時間もいっそう充実し、より良い関係を築けるでしょう。

複雑なものは必要なく、愛猫が気持ちよさそうにしてくれているなら、それで正解です。

  1. まずは愛猫をリラックスさせる
  2. 脇腹を優しく揉んであげる
  3. おなかを時計回りに優しく撫でる

でも実際に猫にマッサージをしてあげるときは、いきなりお腹を触るとびっくりしてしまいます。

猫のお腹は急所で、触られるのを嫌がることも多いので、無理をしないことです。

①まずは愛猫をリラックスさせる

リラックスした状態であれば、猫もマッサージを受け入れやすくなります。

優しく声をかけながら、猫がリラックスしている状態のときにおでこや耳の後ろなど、猫がさわられれ喜ぶ部分をなでることから始めます。

耳やおでこから首、背中、尻尾の方向に、猫が気持ちがよさそうにしている力加減で撫でていきます。

②脇腹を優しく揉んであげる

頭からしっぽにむけてなでながら、少しずつ手のひらをお腹の方に少しずつ動かしながら、ゆっくりとさすったり、もんでいきます。

脇腹は特にデリケートな部分です。強い力をかけないことが大切で、無理に行わないようにしましょう。

最初は片手で、嫌がらないときは両手を両脇腹に差し込んでもむのも良いですね。

抵抗された場合は無理に続けるのではなく、一度手を放します。

③おなかを時計回りに優しく撫でる

お腹のおへそ周りを中心に時計回りに円を描くように、あるいは「の」の字を書くよう、優しくすべらせるように4本の指(親指を除く)でマッサージしていきます。

長くやり続けてもよくありませんので、目安としては30秒程度と短めです。

猫はお腹を触られることに抵抗があることが多いので、嫌がったらやめます。

ブラッシングをこまめに行う

ブラシの選び方

ブラッシングは、猫の毛並みを整えるだけでなく、皮膚の健康維持にも役立つ大切なケアです。

ブラッシングを怠るとグルーミングで自分の毛を飲み込む量が増えることで毛玉ができやすくなり、便秘のリスクが上昇します。

ブラッシングで余分な毛をとりのぞいておくと、猫が飲み込む毛の量が減るので、お腹の中で毛玉が貯まることを防げます。

長毛種の猫は特に毛がからまりやすく量が多いため、定期的なブラッシングが必要。

短毛種の猫であっても、季節の変わり目などは特に抜け毛が増えるので、こまめに行いましょう。

トイレを清潔に保つ

猫はとても清潔好きな生き物で、トイレが汚れているとストレスを感じてウンチを我慢してしまうことがあります。

便秘以外にも爪とぎをしたり、トイレ以外の場所で排泄をしたりするトイレの問題行動が起こることも。

こまめに毎日最低2回は清掃して、清潔なトイレ環境を保ちます。

トイレの砂もパッケージに交換頻度が記載されていますので、その目安を超えないように交換します。

トイレの数は飼育頭数プラス1以上を設置することで清潔を保ちやすくなります。

また、猫は砂の種類にも好みがあります。トイレの砂の種類が変わっただけでもストレスを感じてウンチを我慢することもあります。

新しいタイプの砂に替えた場合は、前の砂も残して少しずつ切り替えていきます。

誤飲誤食しそうなものは片付けておく

猫が誤飲誤食する原因は多くの場合、人間の不注意が原因です。

猫の目に届くところに、人間が片付け忘れたもの、散らかしたままにしないのが大事。

ゴム製のおもちゃやビニールの袋、紐やリボンなどは特に危険で、遊んでいるうちに口にしてしまわないように、使用後は必ずしまうよう心がけましょう。

しかし誤飲誤食が何度も起こる場合は、ストレスや栄養障害で食べ物以外のものを自ら口にしてしまう「異嗜(いし)」が原因になっているものもあります。

ストレスを与えない生活環境を作る

猫はストレスを感じると便秘になることがあります。ストレスの引き金は多岐にわたります。

部屋の模様替えをした、飼い主の生活スタイルが変化した、新しい動物を迎えたなど、急な環境の変化は猫にとって大きなストレスとなります。

掃除機やテレビなど家電の音が苦手、あるいは猫の性格によっては来客が苦手ということもあるので、掃除や来客のときには違う部屋に移動させましょう。

日々の生活の中で、愛猫がどのような場合にストレスを感じるのかよく観察していくのが大事です。

以上、それぞれの項目で猫の便秘を防ぐ方法や対策を詳しく解説しました。それぞれが影響しあって猫の健康を作ることを肝に念じることが大切です。

愛猫の状態を観察し、食事内容や生活環境を整え、適度な運動を促すなど、愛猫の便秘予防・改善に取り組みましょう。

愛猫が便秘のときに注意すること

愛猫が便秘で苦しむ様子を見ると、飼い主の気持ちも辛くなりますね。

しかし、便秘の解消に良かれと思ってやった行動がかえって猫の体調を悪化させることもあるので注意が必要です。

猫が便秘のときにどのようなことに注意すべきなのか、知っておくべきことを詳しく説明します。

手作り食の危険

一般的に食物繊維は腸に刺激を与えることで排便がスムーズになります。

ただしそれは適量であることが大前提。食物繊維には水に溶けやすい「水溶性」と水に溶けにくい「不溶性」の二種類があり、不溶性食物繊維の取りすぎはむしろ便秘を悪化させるかもしれません。

猫専用に設計されている総合栄養食では栄養成分がきちんと計算されていますが、手作り食では食物繊維の種類が偏ってしまい便秘の原因になる可能性もあるので気をつけましょう。

自己判断で市販の便秘薬や療法食を与えない

動物病院で診察を受けずに飼い主さんの自己判断で人間用の便秘薬を与えることは危険ですので絶対にやめてください。

猫の状態や便秘の原因によってその治療はさまざま、まずは一度動物病院に相談しましょう。

また、便秘を繰り返す猫では療法食に切り替えることもありますが療法食とは本来、獣医さんが診察した上で処方するフードです。

便秘を起こしている原因によっては合わないこともあるのでやはり自己判断で与えることは危険です。

便秘が長引いたり、繰り返す猫では早めに動物病院を受診しましょう。

綿棒などを使って肛門を刺激しない

便秘が続いているからといって、肛門を綿棒などで刺激することは避けてください。

強く刺激することで肛門だけでなく、直腸を傷つけ出血や感染症、場合によっては穿孔(せんこう)を引き起こす可能性があるので非常に危険です。

重度の便秘時の猫草は控える

猫草は便秘の予防や改善に有効であるといわれていますが、すでに重度の便秘のときには猫草の摂取は控えましょう。

猫草は消化されないために、すでに便が腸内に溜まっている場合には、摂取することでさらにウンチが蓄積して、便秘が悪化する可能性があるからです。

猫によっては猫草を好まない場合もあるので、そのような場合は無理に与える必要はありません。

便秘が2日以上続くようなら動物病院へ

愛猫の便秘が続いている場合、何日くらいで病院に連れて行ったほうがいいか、気になる飼い主もいますよね。

一般的に猫は1日に1~2回ウンチをする事が多いので、2日間ウンチをしていなかったら獣医師に相談しましょう。

ただしその子によって排便のリズムは違いますので、日々観察してくださいね。

愛猫が便秘に悩んでいる、便秘になりやすいのであれば、日常の食事内容や生活環境を見直すことが大切です。

猫の健康チェックを普段から自分だけで担うのではなく、定期的に健康診断をして獣医師の意見を聞きましょう。

専門家の判断をあおぎながら愛猫に合ったケアをすることで、最終的には愛猫の健康維持につながります。

水分不足やフードの問題、運動不足、ストレス、病気、など猫の便秘には多くの原因があります。何か問題があると感じたら、早めに獣医師に相談することで重篤な病気を見逃しません。

この記事では、猫が便秘になる原因、症状、それに関連する可能性のある病気、予防法や解消方法について詳しく解説しました。

愛猫が健康で快適な生活を送るため、情報を積極的に収集することも心がけてくださいね。

この記事の執筆者・監修者

長谷川 諒

監修者情報

長谷川 諒

獣医師/潜水士/株式会社Ani-vet代表取締役/犬猫生活財団評議員

大学卒業後、動物病院での診療や保護猫活動の支援に携わる傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識啓蒙にも取り組んでいる。

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ライター/動物取扱責任者/愛玩動物飼養管理士

会員制猫専用ホテル&ペットシッターキャッツカールトン代表。
動物取扱責任者、愛玩動物飼養管理士。慶應義塾大学卒、大手企業で企業で広報、編集、校正の仕事に従事していた経験や、猫の保護活動のためにブログ「ねこねこ王国」運営をはじめた知見を活かし、現在は動物ライター&デザイナーとしても活動。

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